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建設業における建設工事は、建物やインフラストラクチャーの新築、改修、維持管理を行う作業の総称です。住宅、商業施設、公共施設、道路、橋梁、ダム、トンネルなど、多岐にわたる建築物や構造物の施工を行っています。最大規模の企業プラットホーム「BIZMAPS」で建設工事に関する企業を調べたところ【造園工事】で9,696社、【解体工事】が8,746社、【交通関連土木工事】は17,451社もあります。 また、【その他建設・工事】78,605社、【その他土木工事】48,887社と企業数の規模も大きいことが見られます。本記事では、建設業の建設工事の業界研究を行った内容を紹介していきます。

建設工事の業界定義や特性は?

建設業のなかでも、建設工事は、建物やインフラの新築、改修、維持管理などを行う作業の総称です。建設工事の主なカテゴリは以下の通りになります。
  • 建築工事
  • 土木工事
  • 設備工事
  • 内装工事
  • 環境関連工事
  • メンテナンス工事
建設工事の特徴として、建設業に対するさまざまな専門知識や技術が必要です。また、大がかりな建設工事から小規模な建設工事でも、安全対策が最も重要視されています。新しい技術や材料の導入が進行し技術革新が始まっています。これは環境への影響を最小限に抑える取り組みにもつながっています。

建設工事の業界構造と主要企業を紹介します!

建設工事は一般的に、国や自治体、民間からの発注をゼネコンが元受け業者として受注し、下請けの専門工事業者が施工して建設物を完成させるのが基本構造です。建設工事業界の構造は、さまざまな企業や組織が連携してプロジェクトを完成させる複雑なネットワークから成り立っています。それぞれの役割が明確に分担されることで、プロジェクトが円滑に進行します。

バリューチェーンについて

建設工事業界のバリューチェーンは、プロジェクトの計画段階から完成・引き渡し、さらにはアフターメンテナンスに至るまでの一連の価値創造プロセスを示しています。
  1. 元請企業:プロジェクト全体の管理を担当する主要な建設会社です。プロジェクトの企画、設計、施工管理、品質管理、安全管理などを行い、クライアントと直接契約を結びます。
  2. 下請企業:元請企業から特定の工事部分を請け負う専門業者です。例えば、土木工事、電気工事、配管工事、内装工事など、各分野の専門家が下請企業として参加します。元請企業と連携し、工事を実施します。
  3. サブコントラクター:さらに下請企業から特定の作業を請け負う企業や職人です。高度な専門技術や特定の設備を持つ場合が多く、専門分野の作業を担当します。
  4. 設計・コンサルタント会社:建設プロジェクトの設計図を作成し、技術的なアドバイスを提供します。建築設計事務所やエンジニアリング会社がこれに該当します。設計段階での計画立案、技術仕様の作成、プロジェクト管理などを行います。
  5. 材料・機材供給業者:建設プロジェクトに必要な建材や機材を提供します。コンクリート、鋼材、木材、電気設備、配管材料などを供給し、品質管理や納期管理を行います。
建設工事の業界はピラミッド構造になっており、ピラミッドのトップがゼネコンです。その下に第一次下請け会社、第二次下請け会社と施工会社が存在します。ゼネコンの中でもスーパーゼネコンと言われる5社は歴史や規模が大きく建設工事業界の中でも中心的な存在です。建設工事の中でゼネコンは、施工会社である専門工事業者をマネジメントすることが仕事です。 今までは、設計と施工を異なる業者が行う「設備・施工分離」が原則でした。しかし、現在は「設計・施工一括発注方式」が試行されており、ゼネコン自身が設計するパターンも増えてきました。下請け業者は請負業務によって仕事が細かく分類されています。また、発注内容によってはスーパーゼネコンや準大手ゼネコンだけが受注業務を行うだけではなく、ゼネコンと専門工事業者が受注競争を行う場合もあります。

取り扱い商品とサービス

建設工事のサービスは、一般的に「建築工事」と「土木工事」に分かれます。建築工事は、主に建物や人が快適に活動するための空間を建設する工事のことを指します。土木工事は、道路整備や橋やトンネルの構築や、鉄道の敷設、河川や港湾の工事、上・下水道の整備、治水事業、発電所などの建設、ダムや堤防の建設工事などを指します。一般的な区切りはこの2つですが、建設業法では建設工事の許可は28業種に分類されています。 建設工事を請け負う種類によって、必要な許可を受けなくてはなりません。また、例え土木一式、建築一式の許可を持っていたとしても、各専門の許可を持っていない場合は500万円以上の工事を単独で請け負うことはできない仕組みになっています。

業界のビジネスモデルを知ろう

建設業における建設工事は、国や自治体、民間などの発注者からの注文を受け、発注者の注文に基づき個別の建造物を造り、完成すると発注者に引き渡すという、典型的な受注請負産業です。商品は、発注者の注文内容により建造物の規模や構造が異なるため、例え同種の工事だったとしても、まったく同じものを2つと作らないというのが大きな特徴です。請け負う建設工事内容によりますが、工事期間は1年を超えるものが多いです。 建設工事の受注から施工、完成品を発注者に引き渡しまでが流れですが、他製造業と比べて長い期間を要するのも大きな特徴の一つです。また、公共工事の場合は国や地方自治体が公告をし、多くの業者間で競争をする「一般競争入札方式」が原則です。しかしこれは、発注元である国や地方自治体は費用を抑えられるメリットがあるという反面、競争入札を行う企業間で談合を行い受注額を高めようとする動きがあるのが社会問題となっています。 建設業界は、国や自治体、一般の民間から仕事を受注するため、発注者の建設投資の動向に大きく左右される業界でもあります。そのため、建設投資が少ない時期は、企業間での受注競争が激しくなるため、各社不採算となる案件が増加する傾向にあります。その視点から見ると、近年は震災の復興支援や、東京オリンピックなど大きなイベントに向けた投資などにより、都市部を中心に建設投資が増え売り手優位な状況が続いています。

KFSと抱えるリスク

建設工事のKFSは、建設投資額に左右されやすい業界のため、各企業の収益力を強化することが重要になります。それを叶えるためには、不採算部門からの撤退・縮小と収益性の高い事業部門や案件への経営資源のシフトをおこなうことが必要となります。「受注高重視」の体制から「事業採算性重視」の体制へと転換し、収益性の向上を基本路線とすることが求められています。また、建設工事が抱える大きなリスクは人手不足です。 建設工事の建設労働者は、少子高齢化や若年層の建設業離れなどの要因が影響しており、建設工事業界内でも高齢化が進んでいます。そのため今後、技術と経験が豊富なベテラン技術者が大量かつ一気に抜けることが予想され、建設工事現場での技術力やマネジメント力が弱体化することが問題とされています。

主要企業の財務指標を分析しました

建設工事の主要企業はスーパーゼネコンである以下の企業を取り上げ財務指標分析を行います。
  • 株式会社大林組:1936年に設立し、土木、建築、環境、エネルギーの各分野で幅広い事業を展開。国際的なプロジェクトにも積極的に参加しています。
  • 鹿島建設株式会社:1840年に設立し、日本で最も歴史のある建設会社の一つで、国内外の大型プロジェクトに強みを持っています。土木工事や建築工事、都市開発など幅広い分野で活躍しています。
  • 清水建設株式会社:1804年に設立し、高い技術力と先進的な建築技術で知られ、国内外で多くの大型プロジェクトを手掛けています。特に高層ビルや地下工事に強みを持っています。
最近は、新型コロナウイルスが広がる中、民間を中心に工事の中止や延期などが発生したため全体的に売上高が減少しました。2021年度には売上高が回復に転じ、2022年度にはコロナ禍前の水準に戻りました。しかし、利益率の低調は未だに続いています。経済活動再開と共に民間設備の投資は増加傾向にありますが、労務費や資材の高騰が収益を圧迫しているためROSやROAは低下傾向です。 首都圏の再開発は、東京を中心とする大都市圏の都市再生とインフラ整備を目的とした大規模なプロジェクトです。大規模な案件となるため、地域のインフラ整備などの需要は堅調で、新規建設だけではなく維持管理のための投資需要も戻りつつあります。このように収益性の高い案件の受注獲得が収益UPの鍵となってきます。3社の生産性は従業員当たり売上高が1億円前後と高い水準を維持しています。

建設工事の市場規模

建設工事の市場規模を調査するため国土交通省の公表する「建設投資見通し」を参考にします。2023年度の建設投資額は70兆3,200億円になります。民間が発注者の建築が52.7%、政府が発注者の土木が27.0%を占めています。2011年度以降は、「東日本大震災」の復興に向けた需要拡大や、消費税増税前の駆け込み発注などで需要が高まり増加に転じました。 2013年度、2014年度はほぼ横ばいでの推移でしたが、2015年度以降は東京オリンピック関連の民間需要の高まり増加基調となりました。2020年度はコロナ禍でも堅調に推移し、2021年度以降も完成工事全体に占める割合は、新設工事69%、維持・修繕工事31%で、近年維持・修繕工事の比率が高まっています。

建設工事のトレンド

建設工事の業績を見ると、全体的にコロナ禍前の水準まで満たしていないのが現状です。そんな中、建設工事のDX化が注目されています。また、以前より建設工事で問題視されていたのが労働時間です。長時間労働や休日の減少が問題となっていましたが、2024年4月より改正労働基準法「時間外労働の上限規制」が適用され労働時間の見直しが始まりました。建設工事は人員確保が重要なポイントとなっています。 人員確保をするために労働者が快適に働けるよう見直しが入っています。また、建設工事は国内の大きな需要が無い時は売上高が減少することから、海外インフラ展開を視野に入れつつあります。

建設工事は今後どのように変わっていくか

新型コロナウイルスの影響や、住宅市場の縮小など多くの問題を抱える建設工事は、国内において長期的な市場環境が不透明です。建設工事がさらに成長するには建設業と親和性の高い業界へと進出し、ノウハウを生かせる業界への新規参入が必要となってくるでしょう。また、今後は日系企業の案件を足がかりに国際入札案件や言質案件などグローバル展開を視野に入れて受注していくことが重要となります。 建設工事が、今後収益力を維持・強化していくには、業界再編に向けたM&Aを積極的に推進する必要があります。 今までは業界再編よりも、中小の施工会社の廃業などで企業淘汰が進んだが、今後は準大手ゼネコンを中心としたM&Aや、スーパーゼネコンを中心に異業種との提携やクロスボーダーでのM&Aへの取り組みが期待されています。 建設工事は今後グローバルへと発展していく業界です 建設業における建設工事は、国や自治体、民間にとって無くてはならない業界です。しかし、少子高齢化が進むにつれ専門技術を持った労働者が減少している傾向にあります。また、国内の案件が減少傾向にある中、安定した利益を生むには今後はグローバル展開を視野に入れる必要があります。さまざまな取り組みが進む中、今後、建設業界はDX化やグローバル展開を得てさらに発展する業界と言えます。 国内最大級の企業検索サービス「BIZMAPS」では、170万社以上の企業情報を基本無料で閲覧することができます。タグ検索機能もあるので、自分が見たいと思った業界を一発で検索可能です!さまざまな企業情報を得たい方は是非、利用してみてください。 ▼その他のBIZMAPS掲載企業の特集記事はこちらから! 教育業界とは?最新の動向を踏まえ徹底的に解説します! 旅行業界とは? 今後の動向から徹底的に解説します! 医療・介護業界の全貌を解明!最新トレンドや今後の重要ポイントを解説 広告業界を徹底解説!市場規模や最新動向、売上ランキング上位の主要企業一覧も 不動産業界の今後はどうなる?業界動向を左右するポイントを解説 設備工事業界とは?市場規模や主要プレイヤーの動向についても解説

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