一色 みわ
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目次
アパレル製造・販売業界の定義
アパレル製造・販売業界は、衣料品の企画、製造、および販売を行う業界です。アパレル製造・販売業界には大きく分けて三つの主要な事業形態があります。 まず、商品の企画から生産までを行うアパレルメーカーがあります。これらの企業は、デザインの考案から素材の選定、製品の生産までを一手に担います。 次に、商品企画から販売までを一貫して手がけるSPA(製造小売業)です。SPAは「Specialty store retailer of Private label Apparel」の略で、専門的なプライベートブランド衣料品を扱う小売業者を指します。 これらの企業は、自社でデザインした商品を自社または契約工場で製造し、直営店やオンラインストアなど自らの販売チャネルを通じて消費者に直接販売します。ユニクロやZARAなどが代表例です。 最後に、小売を主体として展開するアパレル専門店です。これらの店舗は、さまざまなブランドやメーカーから商品を仕入れて販売することに特化しています。アパレル専門店は消費者のニーズに応じた幅広い選択肢を提供することが可能で、ショッピングモールや商店街などに位置していることが多いです。 アパレル製造・販売業界は、消費者のファッションに対する需要を満たすために、これらの異なる業態を通じて多様な商品とサービスを提供しています。それぞれの事業形態が連携しながら、効率的かつ効果的に市場に対応しているのが特徴です。アパレル製造・販売業界の構造
アパレル製造・販売業界の取扱商品やサービスの特徴
アパレル製造・販売業界の取扱商品やサービスの特徴は、以下の3点です。- アパレル商品の分類
- SPA型ビジネスモデルによる在庫リスクの効果的管理
- ブランド価値と効率的なサプライチェーン
アパレル商品の分類
- プライベート/カジュアル(普段着)
- ビジネス(仕事着)
- その他(下着、靴下、呉服など)
SPA型ビジネスモデルによる在庫リスクの効果的管理
アパレル製造・販売業界では季節性が高く多品種を取り扱うため、在庫リスクが常に存在しているのが特徴です。 従来のアパレル企業は年に二回のシーズンごとに在庫計画を立て、生産から販売までを一括で行っていましたが、市場の変動や消費トレンドの誤読により、しばしば不良在庫が蓄積し、最終的にはセールによる利益の減少や資金繰りの圧迫につながっていました。 SPA型ビジネスモデルでは、製造と販売のプロセスが統合されており、市場データをリアルタイムに取り込み、生産計画に迅速に反映することが可能です。 これにより、外部に在庫リスクを委ねることなく、自社で在庫を効率的に管理し、過剰在庫を最小限に抑えられます。このモデルは、製造と販売の距離を縮め、市場の反応を直接商品企画に反映させることで、在庫リスクを内部でコントロールしやすくする効果を持っています。ブランド価値と効率的なサプライチェーン
アパレル製造・販売業界は「高粗利低速回転型」と「低粗利高速回転型」という二つのビジネスモデルに分かれています。高価な衣料品を扱う企業は、ブランドの確立と総合的なブランド戦略に注力し、商品の機能やデザインを強化し、一方安価な衣料品を提供する企業は、サプライチェーンの効率化とリードタイムの短縮により、リスクを分散させています。 特にSPAモデルを採用する企業は、中間流通を省略してコスト削減と在庫リスクを低減しており、迅速な市場対応が可能です。商品を定期的に更新し、消費者のニーズに柔軟に応えることが求められており、機能性やデザインの付加価値を重視する消費者の期待に応えることが競争力の鍵となっています。アパレル製造・販売の市場規模とトレンド
アパレル製造・販売の相関図
アパレル製造・販売業界は競争が非常に激しく、業界の構造は常に変動しているのが特徴です。特に近年、多くの企業がブランドの獲得やバリューチェーンの最適化を目的にしたM&A活動を積極的に行っており、この動きはアパレル業界全体の再編を加速させています。 百貨店を主力販売チャネルとしてきた伝統的なアパレルメーカーが経済的な厳しさに直面する中、新たな資本やパートナーシップのもとで事業再構築を迫られています。この過程で、一部のアパレルメーカーは国内外の投資ファンドや中国の繊維大手企業の傘下に入ることで生き残りを図っています。 ここでは、以下の3つ分類のアパレル関連企業を解説します。- プライベート(普段着)を取り扱うアパレル関連企業
- ビジネス・オフィス(仕事着)を取り扱うアパレル関連企業
- その他の製品を取り扱うアパレル関連企業
プライベート(普段着)を取り扱うアパレル関連企業
【百貨店が主力の企業】 【駅ビル・ショッピングセンターが主力の企業】- 株式会社ワールド
- 株式会社TSIホールディングス(東京スタイルとサンエー・インターナショナルが統合)
- 株式会社ストライプインターナショナル
- ファムグループ(株式会社マッシュスタイルラボなどを運)
- 株式会社ファーストリテイリング
- 株式会社アダストリア(ポイントとトリニティアーツが統合)
- 株式会社ユナイテッドアローズ
- 株式会社しまむら
ビジネス・オフィス(仕事着)を取り扱うアパレル関連企業
【紳士服が主力の企業】 【作業服が主力の企業】 【制服が主力の企業】その他の製品を取り扱うアパレル関連企業
【下着が主力の企業】 【靴下が主力の企業】 【和服が主力の企業】アパレル製造・販売の主要プレイヤーの動向
- アダストリアの戦略
- ストライプインターナショナルの革新
- 中小企業の展望
アダストリアの戦略
アダストリアは「LOWRYS FARM」や「GLOBAL WORK」などのブランドを有する小売型SPA企業です。かつて仕入れ販売がメインだった同社は、2010年に生産機能を自社で持つ方針に転換し、SPA化を進め、競合他社との商品の同質化を防いでいます。 ただし、全てのブランドを内製化するのではなく、ベーシックなアイテムが多いブランドでは内製化を進めつつ、変化の速いトレンドを追うブランドでは商社からの機動的な仕入れを続けています。 EC売上も好調で、2020年度には前年比23.4%増となりました。また、ワイアードカフェなどを運営するカフェ・カンパニーと連携し、衣食住を含めたライフスタイルの提案を強化しています。ストライプインターナショナルの革新
ストライプインターナショナルは「earth music&ecology」、「AMERICAN HOLIC」などの若い女性に人気のブランドを持っています。2015年には自社の洋服を簡単にレンタルできる「メチャカリ」というサービスを開始しました。 このサービスは新規会員の獲得に成功し、顧客の期待に応えるために新品の新作やスタイリストが組んだコーディネートを毎週提供しています。さらに、洋服の宅配クリーニングを展開する「Basket」を買収し、宅配クリーニングサービスも開始しました。中小企業の展望
ファストファッションの浸透による環境への負荷が大きく、生産国における労働・人権問題が表面化している中、SDGsへの対応が求められています。 また、コロナ禍の影響で消費者の実店舗離れが進み、業界の販売チャネルのオンライン化が進んでいます。これらの環境の変化は生産方法や素材の厳選など中小規模生産者・販売者ならではのこだわりがより消費者に理解される土壌が醸成されており、EC化に伴う低コストでの顧客との接点の構築が可能になっています。アパレル製造・販売の今後の業界展望
新型コロナウイルスの影響でアパレル製造・販売業界は実店舗販売からオンライン販売への転換を急速に進めています。特に、ユナイテッドアローズやワールドなどはECでの売上が大幅に成長し、D2C(直販)ブランドの成長も目立っています。 また、SNSを利用した販売促進やインフルエンサーマーケティングも拡大しており、ライブコマースなど新しい販売手法も導入。しかし、一方で老舗のレナウンが倒産するなど、休業や資金繰りの悪化が深刻な影響を与えています。 アパレル製造・販売業界の将来展望には、以下の3つの主要なシナリオが考えられます。- SPAモデルの進化
- スマート衣料の普及
- オンライン発ブランドの増加と店舗の役割変化
アパレル製造・販売業界の消費者ニーズを把握しよう

「場所や時間にとらわれない自由な働き方」がモットーの転勤族ママライターです。読み手に寄り添った分かりやすい文章を心がけています。転職・副業・旅行ジャンルなどが得意。旅行とカメラと甘いもの(とくにチーズケーキ)が大好きで、毎日のお茶タイムは欠かせません。元気すぎる2人の子どもを育てながらのんびりと活動しています。
ブログ:https://miwaalog.com/
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