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電子部品業界は、ビジネスや消費者の生活に欠かすことができない電気機器・情報通信機器に使用される部品や回路を製造している業界です。あらゆる業界においてデジタル化が進む中、電子部品業界の産業全体における重要性はますます高まっているといえるでしょう。 本記事では電子部品業界をとりまく現状と今後の動向について解説していきます。 また電子部品業界の中から、業界を代表する大手企業も紹介しており、それ以外の電子部品業界企業情報は「#電子機器」「#電池」「#センサー・計測機器」から確認できます。 登録企業数170万社以上の企業検索サービス「BIZMAPS」に掲載されている電子部品業界の企業や団体は、全部で6,907社です。法人営業で電子部品業界にアプローチを検討中の皆さんは、ぜひ営業戦略立案の参考にしてください。

電子部品業界とは

電子部品業界は、電気機器、情報通信機器さらに輸送用機器内の電子部品や電子回路、およびそれらを使用した部品を設計・製造するメーカーで構成される業界です。 電子部品業界は競争が激しく、各企業にはコスト削減と高付加価値化の両面の努力が求められます。事業運営においては資本集約的に大規模な設備投資を行い、大量生産によってコスト面での優位性を保ちつつ、技術力や提案力を高めることで、常に自社製品に付加価値をつけなくてはなりません。 また、生産・販売の両面で国内外を問わずに、幅広いネットワークが必要なため、新規参入企業に脅かされる可能性は低いといえるでしょう。 現在は業界内で再編による集約化と分野ごとのすみわけが進んでおり、買い手や供給業者に対する交渉力も比較的強いのが特徴となっています。 しかし、業界内での競争環境は厳しく、2000年代以降はアジア企業が急速に力をつけてきたことで、液晶パネルや太陽電池などの分野では国内メーカーが劣勢に立たされる局面が多く見られるようになりました。 電子部品メーカーは、次々と新たな技術が生み出されていく電気機器・情報通信機器関連の業界において、常に自社の技術を磨き、厳しい競争の中を生き残っていくことが求められています。

電子部品業界の取り扱い商品について

この業界の取扱い商品は初めに電子部品とそれ以外の部品に大きく分かれますが、いずれも最終製品の電気回路中に搭載される商品であることに変わりはありません。 電子部品は多様な機器を構成するため、商品の種類が非常に幅広いのが特徴です。総務省の「日本標準産業分類」および電子情報技術産業協会(JEITA)による電子部品分類を基に、電子部品は能動部品、受動部品、接続部品、変換部品に分けられます。 これらの電子部品は、製品としての加工度は高くないものの、サイズ、精度、耐久性といった品質や性能の面で、周りに差をつける高いレベルの技術が求められます。これらの電子部品を搭載する土台となるのが電子回路基板であり、基板および電子部品を仕入れて回路として販売するメーカーもあります。 その他の電子機器には、電源、電池、パネルなどが含まれます。これらは電子部品よりも加工度が高いものの、最終製品の電気回路中に用いられる商品である点は同じです。そのため電源・電池・パネルと電子部品は、流通構造や市場動向において共通する部分を多く持っています。

電子部品業界の市場規模

電子部品業界は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で一時的に市場が縮小しましたが、比較的早期に回復を遂げました。特にコロナ収束後には、有機ELやリチウムイオン電池の需要が拡大していることが特徴です。 経済産業省の「経済構造実態調査」および総務省・経済産業省の「経済センサス」によると、国内の電子部品市場規模は、2021年の電子部品と電子回路の出荷額が5兆5,825億円に達し、大幅に拡大しています。 また、電子デバイスの2021年の出荷額は6兆7,143億円で、これまでの減少傾向から大幅な増加を見せました。電子部品と電子回路の出荷額は、電子デバイスの8割超の規模まで拡大しています。

電子部品市場の推移

2005年からの出荷額の推移を見ると、電子部品・電子回路は電子デバイスよりも安定しており、長期的には減少傾向にありましたが、2021年には大幅な増加を見せ、底を打ったと見てよいでしょう。 品目別で見ると、受動部品(抵抗器・コンデンサなど)や接続部品(コネクタ・スイッチなど)の出荷額は、2009年の金融危機には落ち込んだものの、その後は拡大基調で、コロナ禍でも通信需要の拡大により大きく増加しています。 液晶パネル市場では、テレビやパソコン向けの大型パネルの需要がコロナ禍で拡大し続けています。 一方で、スマートフォンなど小型機器向けの中小型パネルは、有機ELへの置き換わりにより縮小傾向にあります。国内メーカーは液晶パネルから有機ELへの転換を進める一方で、市況の変動が激しいため海外調達に変更する企業も少なくありません。 リチウムイオン電池は、電気自動車やパソコン、スマートフォンなどでの需要が拡大していますが、国内生産は伸び悩んでいます。パナソニックホールディングス三洋電機を買収しリチウムイオン電池部門を強化していますが、海外勢の躍進の影響を受けています。

電子部品の世界市場は?

電子部品の世界市場は堅調に推移しており、コロナ禍で一時的に落ち込んだものの、2021年度にはコロナ禍前の水準を上回り、2022年度も好調を維持しています。 電子情報技術産業協会(JEITA)の「電子部品グローバル出荷統計」によると、2022年度の電子部品の市場規模は4.4兆円であり、このうち日本の出荷額は9,059億円で、世界市場の21%を占めています。日本は中国に次いで世界第2位の出荷額を誇ります。 ただし2022年度は日本と中国の出荷額が前年比で減少したのに対し、コロナ禍からの回復が早かった米州と欧州は大幅な増加を見せました。 世界市場の推移を見ると、2008年の金融危機以降は拡大基調が続き、2019から2020年度にかけてコロナ禍の影響で落ち込んだものの、2021年度以降はコロナ禍前の水準を上回っています。

電子部品業界の業界構造

電子部品業界は、電気機器や情報通信機器、輸送用機器などに使用される多様な部品を製造する企業で構成されています。この業界には、総合メーカーから特定の分野に強みを持つ大手プレイヤーまで、さまざまな企業が存在します。 電子部品の流通構造は、半導体業界と類似しており、材料や製造装置を供給業者から調達し、製品に加工して電子機器メーカーなどに販売します。液晶パネルや二次電池のメーカーは、電子部品や電子デバイスメーカーから部品を調達し、さらに加工度の高い商品を製造しています。 電子部品メーカーが生産する商品分野は非常に多岐にわたります。顧客となる機器メーカーの用途に応じて、部品の種類や設計、実装方法が細かく変わるため、商社が流通機能を担うことが多いです。 代表的な電子部品の総合メーカーとしては、京セラ村田製作所TDKの3社が挙げられます。これに続いて、オムロンアルプスアルパインも業界大手として知られています。 電子部品業界では、製品の多様さから特定の分野や商品に強みを持つ企業が多く存在し、例えば、小型・中型モーターで世界トップレベルのシェアを持つニデック(旧日本電産)などが代表的です。 加工度の高い商品においても、分野によって主要企業は異なります。液晶パネルや燃料電池の分野では、シャープやパナソニックホールディングスといった電気機器メーカー大手が大きな存在感を示しています。 また、ICカードの製造においては、金融系カードの製造やカードベンダーとしての機能を果たす大手印刷会社が主力となっています。

電子部品業界の主要企業2社の動向

電子部品業界には、高い技術力や多角的な事業展開によって、各分野で活躍する企業が多数あります。なかでも存在感があるのが、株式会社村田製作所・TDK株式会社の2社です。 ここでは、業界を代表する2社の特徴や、動向について簡単に解説します。また業界の中小企業の重要性についても補足しているので、併せてご確認ください。

株式会社村田製作所

村田製作所は、電子部品業界で高い収益性を誇る企業です。年間売上高が1兆円を超え、営業利益率は20%前後を維持しています。村田製作所の強みは、材料調達・開発・設計・製造の各段階を自社で一貫して行うことで、他社が模倣しにくい価値を提供できる点です。 また、海外での販売比率が約9割を占めることも特徴です。近年は、3D触力覚技術を開発するミライセンスを買収し、新技術を掛け合わせることで独自性のある製品・サービスの提供を目指しています。

TDK株式会社

TDKは、電子部品総合大手の一つであり、年間売上高が1兆円を超える規模を持ちますが、営業利益率は数%から10%未満の水準に留まっています。 TDKは、センサー事業の強化を成長戦略に掲げており、2016年から2017年の間に総額2,000億円を投じて米InvenSenseを含むセンサーメーカーなど5社を買収しました。 センサー事業を統括する「センサシステムズビジネスカンパニー」を発足し、買収先の一元管理と横断的な研究開発を行っています。IoTにおいて欠かせないセンサー事業の拡大に積極的に取り組んでいます。

電子部品業界の中小企業の動き

大手企業の活躍が目立つ電子部品業界ですが、一方で業界内では高い技術を保持する中小企業やベンチャー企業も注目されています。 例えば、自動車業界は現在100年に一度の大変革期を迎えています。特に、電気自動車社会の実現に向けて、電池やモーターなどの高い技術力が求められる電子部品の開発が急務となっています。 このような背景から、自動車メーカー大手や電子部品メーカー大手は、多額の研究開発費を投入し、技術革新を進めています。 一方で、開発スピードをさらに加速させるために、大手企業はベンチャー企業へのアプローチを強化しています。 特に、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)を活用した投資が注目されています。従来のM&A(合併・買収)とは異なり、CVCを通じてベンチャー企業に資金を提供し、共同で新技術の開発を進める動きが見られます。 このような動向から、電子部品業界におけるベンチャー企業への注目度は今後も高まると予想されます。大手企業とベンチャー企業が協力し合うことで、技術革新が一層進み、電気自動車社会の実現が加速することが期待されています。

電子部品業界で成功するための要因は?

電子部品業界で成功するためには、変化の激しい市場環境に対応できる経営陣の強いリーダーシップが鍵となります。 業界を代表する大手企業の多くは、買収戦略や生産拠点の海外移転を盛んに行っており、主力商品の市場におけるブランディング戦略などを通じて、常に高い競争力を誇っています。 電子機器関連の業界は、たびたび短期間で大きな市場の変動が起きており、海外企業の台頭やグローバル競争の激化からも目が離せません。このような環境下で競争力を維持するためには、経営陣の迅速な意思決定と行動力が求められるのです。 また現在の電子部品業界においては、他社の技術や市場シェアを取り込むための積極的な買収戦略も重要となりました。買収により、自社の競争力を強化し、新たな市場機会創出のチャンスが生まれます。 加えて高付加価値の商品を提供するためには、技術力と提案力の向上も必要です。これらは顧客のニーズに応えるだけでなく、新たな市場を開拓するためにも欠かすことができません。

電子部品業界の現状

電子部品業界を含めた電気機器や通信機器関連の業界は、技術の進化に伴い業界全体の変化が激しいのが特徴です。これらの企業にアプローチするためには、常に業界が直面する課題や、注力している分野に注目しておかなくてはなりません。 ここではグローバル化やIoT、5Gの進展を初めとした、電子部品業界の5つのトレンドについて解説していきます。

グローバル化・IoT・5Gの進展

電子部品業界の現状を分析するにあたって、まずはグローバル化、IoT、5Gの進展という3つの要素に着目する必要があります。 グローバル化の進展に伴い、国内企業は生産拠点を海外に移転し、新興国企業のシェア拡大や海外売上の増加が見られます。これに対抗するため、電子部品大手は生産の海外移転を進め、コスト削減と競争力強化を図っています。 また、電子部品メーカーの海外売上は電気機器・通信機器メーカーと比較しても高い水準にあります。 またIoTの進展により、自動運転車や工場の自動化、家電のIoT化が進み、電子部品の需要が拡大しています。電子部品の微細化により、電気機器1台あたりの電子部品搭載数が増加し、最終製品の高度化とともに世界需要が拡大する見込みです。 しかし、単価の下落により市場の拡大は限定的となる可能性があり、提案力向上や差別化が重要となります。 5Gの本格的なサービス開始は、電子部品業界全体の競争激化につながっています。5G対応スマートフォンは必要な部品数が増える一方で、バッテリーの大型化に伴い部品の小型化が求められ、高付加価値な部品の需要が高まっています。

環境・エネルギー分野の動向

環境・エネルギーの分野では、電子部品業界の事業運営も政策との関係性が重要です。政府が補助金などの支援策を打ち出せば、市場はすぐにそれに反応してニーズの高まりを見せるためです。 太陽電池を例にとって考えると、固定価格買取制度やRPS制度などの普及支援策により市場が拡大し、制度の縮小とともに市場が停滞していく傾向が見られました。燃料電池の有効活用にはインフラの構築が必要であり、政策による拡大後押しの有無が鍵となります。

電子部品大手の買収戦略

京セラ、村田製作所、TDKなどの電子部品大手は積極的な買収を展開しています。 村田製作所は多様な業界の企業を買収し、既存事業の周辺領域に進出することで事業拡大を図っています。TDKはセンサー事業の強化を目指し、センサーメーカーを買収して事業を拡大しています。ニデックはモーター事業を中心に買収を進め、新しい事業領域に進出しています。

リチウムイオン電池・燃料電池分野の協業

リチウムイオン電池市場では、車載用市場の拡大が注目されています。 自動車メーカーと電池メーカーが合弁会社を設立し、協業を進めるという流れが一般的です。燃料電池も車載向け市場の拡大が見込まれていますが、家庭用燃料電池「エネファーム」への注力も進んでいます。こちらはエコ住宅関連の補助金などが、一般消費者の需要拡大を後押ししていると考えられます。

液晶パネル業界の再編

国内の液晶パネル業界は再編が進み、シャープとジャパンディスプレイの2強に集約されています。 シャープは鴻海精密工業の傘下で再建中であり、ジャパンディスプレイは有機ELパネルの量産化を目指しています。韓国・台湾・中国の企業が大きなシェアを保有しており、今後の生き残り策が注目されます。

電子部品業界の今後の展望とは?

電子部品業界は、グローバル化、IoT、5Gの進展により、今後も大きな変革が予想されます。 国内企業の傾向としては、販路拡大を目指し、海外企業の買収を加速させる可能性があります。これにより、事業の多角化と付加価値の向上が見込まれ、企業としての競争力が強化されるでしょう。 5Gの導入やIoTの普及により電子部品の需要は増加しますが、一方で単価の低下には注意が必要です。収益性を維持・向上するうえでは、各分野における技術革新が鍵を握ります。 特に、中国、韓国などのアジアのメーカーがコスト競争力で急成長しているため、国内メーカーは商品の付加価値を追求することに注力しています。 このような現状の中で、電子部品業界の大手各社は製造戦略を多様化させています。村田製作所のように一貫製造で差別化を図る企業もあれば、キーエンスヒロセ電機のようにファブレス化を進める企業もあります。 またパネル、二次電池、燃料電池、太陽電池などの分野では、有機EL技術の進展や新製品の開発により、シャープやジャパンディスプレイが再び世界市場で存在感を示す可能性があります。 さらにリチウムイオン電池の欠点を克服した次世代電池の研究開発も進んでいます。政府の支援を受けて、燃料電池のインフラ整備が進む見込みであり、これにより、自動車、家庭、産業用の市場が拡大する可能性があります。

めまぐるしく変化する電子部品業界に注目しよう!

今回の記事では、電子部品業界におけるさまざまな技術革新や、グローバル化と急増する業界内のM&Aなどについて解説してきました。 電子部品業界では国内外の大手企業による買収の動きが顕著となっており、今後も業界構造が大きく変化する可能性があります。業界にアプローチするためには、常にこうした動きに注目しておく必要があるでしょう。 法人営業の皆様は、本記事で紹介した電子部品備業界の概要を参考にして、効果的な営業戦略を構築してください。また、無料で毎月100社まで法人データをダウンロードできるBIZMAPSを利用すれば、さまざまな属性や条件で企業を検索できます。営業戦略の立案にぜひご活用ください。 ▼法人営業ハックの業界特集はこちらから! 包装資材業界の最新の動向は?梱包資材に対する企業の取り組みに注目 化学品卸業界の今後の展望を解説!最新の動向にも注目しました! 自動化の流れに乗る工作機械・ロボット業界!トレンドや展望などを徹底解説 自動機械業界とは?消費者の日常を支える自動化技術の役割を解説 非鉄金属製品業界を徹底的に研究!特徴、動向などを解説します 窯業業界の最新情報や主要企業の動向、トレンドを徹底的に解説します 自動車部品業界とは?最新の動向から今後の展望を予測します! ▼BIZMAPSのオリジナルタグを元にした企業特集はこちらから! 5G導入企業が切り拓く新ビジネス!先端技術を駆使する注目の20社を紹介

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