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エンターテインメント業界は消費者が娯楽を頼むサービスを多岐に渡り提供する業界です。最大級の企業プラットフォームBIZMAPSで調べてみたところ、【楽器】は2,117社、【その他小売】が17,883社、【書店】40社、【エンタメ・娯楽】は18,066社と、多大な企業が商品やサービスを提供しています。 しかし、少子高齢化やスマホやインターネットの普及に伴い、今エンターテインメント業界は大きな改革の時期に達しています。 エンターテインメント業界に関わる経営者の方や、エンターテインメント業界に新規顧客開拓を考えている営業職の方は常に最新の情報を手にしなければなりません。本記事では、エンターテインメント業界について徹底的に研究しました!現在のエンターテインメント業界の動向から今後の展望まで詳しく解説します。

目次

エンターテインメント業界の定義や特性とは?

エンターテインメント業界は、娯楽を提供する多岐にわたるサービスやコンテンツを制作・配信する業界です。 この業界は、映画、音楽、テレビ、スポーツ、ゲーム、アート、テーマパーク、ライブイベントなど、さまざまな形式の娯楽コンテンツを提供する企業で構成されており、近年ではデジタル化の進展に伴い、ストリーミング配信、インタラクティブなメディア、仮想現実(VR)など、テクノロジーとの融合も進んでいます。

エンターテインメント業界の業界構造を解説します

エンターテインメント業界のバリューチェーンは、コンテンツの企画から制作、配信、消費者への提供までの一連のプロセスを指します。このバリューチェーンの各段階で、さまざまな企業やサービスが関与し、エンターテインメントの形が変わりながら消費者に届く仕組みになっています。 エンターテインメント業界の音楽・ビデオ・ゲームソフト販売に関しては、レコード会社や映像製造会社、ゲームソフトメーカーが制作したソフトがCD・DVD販売店で消費者に販売される。を通して消費者に販売されます。 音楽CDは、再販価格維持制度に基づき、レコード会社が決定した価格で消費者に向けて販売がされます。エンターテインメント業界にはレンタル業務もあります。 しかし、エンターテインメント業界でCDやDVDのレンタル業務を行う場合、日本コンパクトディスク・ビデオレンタル商業組合や日本映像ソフト協会といった業界団体に加盟する必要があります。 エンターテインメント業界の書店は、各出版社で出版された書籍や雑誌などを取次店を通じて仕入れ、販売しています。しかし、近年では取次店を介さずに出版社と書店が直接取引をおこなうケースもあります。 エンターテインメント業界で扱う書籍や音楽ソフトは、著作権法で定義される著作物にあたり、独占禁止法の適用除外とされ、再販制度の対象商品となっています。近で年は書籍、CD・DVD・ゲームソフトともに、店頭販売だけではなく、Amazonなどのネット通販が台頭してきています。近年のニーズとしては、オンライン配信サービスの利用者が増加しています。

エンターテインメント業界の取扱商品を紹介

エンターテインメント業界は、娯楽を提供する多種多様な商品やサービスを扱っています。エンターテインメント業界が提供する商品は、映画や音楽などのコンテンツそのものから、それに関連する商品やサービス、体験型エンターテインメントに至るまで幅広く、多様な形で消費者に提供されています。 以下に、エンターテインメント業界が取り扱う代表的な商品を紹介します。

映像コンテンツ

エンターテインメント業界が提供する映像商品を紹介します。
  • 映画・ドラマ:映画やテレビドラマは、エンターテインメント業界の代表的なコンテンツで、ストリーミング配信、劇場公開、DVD/Blu-rayなどで提供されています
  • アニメ・アニメーション:アニメーションは、映画やテレビシリーズとして展開されるほか、ストリーミングプラットフォームでも視聴できます。日本のアニメは、世界中で高い人気を誇ります。
  • ドキュメンタリー:社会問題や自然、文化など、現実のテーマに基づいた映像コンテンツです。ネット配信やテレビ放送、劇場で提供されることが多いです。

音楽関連商品

エンターテインメント業界が提供する音楽関連商品を紹介します。
  • 音楽アルバム・シングル:音楽は、アルバムやシングルとして提供され、デジタルダウンロード、ストリーミング配信、CDやレコードなどの物理メディアで販売されます。
  • ライブコンサート・フェスティバル:アーティストの生パフォーマンスが観客に直接届けられるライブイベントです。音楽フェスティバルも人気のある体験型エンターテインメントです。
  • グッズ:アーティストやバンドのロゴやキャラクターを使ったオリジナルグッズで、ファンが購入することでサポートできます。

ゲームおよびインタラクティブコンテンツ

エンターテインメント業界が提供するゲームの種類やインタラクティブコンテンツを紹介します。
  • ビデオゲーム:コンソール、PC、スマートフォン向けのゲームが含まれます。デジタルダウンロードやソフトウェアの販売で提供されます。
  • eスポーツ関連商品:eスポーツは、プロのゲーマーがゲームで競い合うスポーツとして成長している分野です。大会チケット、チームグッズなどが含まれます。
  • 仮想現実(VR)および拡張現実(AR):VRやARを利用した体験型エンターテインメントも増えています。VRヘッドセットを使用して没入感のある仮想空間を体験できます。

イベント・パフォーマンス

エンターテインメント業界で提供するイベントの種類やパフォーマンスを紹介します。
  • 舞台公演:ミュージカル、演劇、ダンスパフォーマンスなど、観客が直接参加できる体験型のエンターテインメントです。
  • スポーツイベント:プロスポーツの試合や大会が含まれ、チケット販売やテレビ・ネット配信を通じて収益が得られます。
  • テーマパークおよびアミューズメント施設:テーマパークや遊園地、アミューズメントパークで提供される体験型の娯楽商品です。

デジタルおよびオンデマンドコンテンツ

エンターテインメント業界が提供するデジタル商品および、オンデマンドコンテンツを紹介します。
  • ストリーミングサービス:映画、テレビ番組、音楽などのコンテンツがインターネットを通じて視聴できるサービス。サブスクリプションモデルで提供されることが多いです。
  • デジタル配信とダウンロード:映画、音楽、ゲーム、電子書籍などがデジタル形式で販売され、購入後にダウンロードして視聴・プレイが可能です。
  • インタラクティブメディア:映画やゲーム、ビデオなど、ユーザーが参加することでストーリーが変わるインタラクティブなコンテンツです。

エンターテインメント業界の取り扱いサービスを解説します

エンターテインメント業界では、消費者に多様な娯楽を提供するため、さまざまなサービスを展開しています。 エンターテインメント業界が提供するサービスは、映画や音楽の配信からライブイベントの企画、インタラクティブな体験まで幅広く、利用者がいつでもどこでも楽しめるよう工夫されています。以下に、エンターテインメント業界で提供される代表的なサービスを紹介します。

映像配信サービス

エンターテインメント業界が提供する映像配信サービスを紹介します。
  • ストリーミングサービス:映画やテレビ番組をインターネット上で視聴できるサービスです。定額制やレンタル型などさまざまなモデルがあり、特にサブスクリプションモデルが人気です。
  • レンタル・購入型配信:映画やドラマ、アニメをインターネットでレンタルまたは購入して視聴するサービスです。視聴期間が限られるレンタル方式と、無期限で視聴可能な購入方式があります。

音楽配信サービス

エンターテインメント業界が提供する音楽配信サービスについて解説します。
  • 音楽ストリーミング:音楽をインターネット上で聴けるサービスで、定額制で膨大な楽曲を無制限に楽しむことができます。リスナーは、プレイリストを作成したり、レコメンド機能を利用して新しい音楽を発見したりできます。
  • デジタル音楽購入サービス:楽曲やアルバムをインターネット上で購入してダウンロードできるサービス。音源を所有できるため、オフラインでの利用も可能です。
  • ライブ配信とバーチャルコンサート:コンサートやライブイベントをインターネットで視聴できるサービス。アーティストのパフォーマンスを自宅で楽しめることが特徴です。

ゲームサービス

エンターテインメント業界が提供するゲームサービスを紹介します。
  • クラウドゲーム:高性能なサーバー上でゲームを動かし、インターネット経由でプレイできるサービスです。専用機器がなくても、パソコンやスマートフォンでハイクオリティなゲームが楽しめます。
  • モバイルゲームプラットフォーム:スマートフォン向けのゲーム配信サービスで、カジュアルゲームから本格的なRPGまで幅広いタイトルが提供されています。
  • eスポーツとゲーム大会:プロのゲーマーが競技として参加するゲーム大会のサービス。観客はオンラインで観戦し、競技者としても参加可能なイベントも増えています。

ライブエンターテインメントサービス

エンターテインメント業界が提供するライブに関するエンターテインメントサービスを紹介します。
  • コンサート・イベント企画とチケット販売:コンサートやスポーツイベント、演劇などのライブエンターテインメントのチケット販売とイベントの企画運営を行うサービス。
  • テーマパークサービス:テーマパークや遊園地でのエンターテインメント体験の提供。乗り物やショー、キャラクターとの交流が楽しめます。
  • 体験型イベント:消費者がアクティブに参加できる体験型のエンターテインメントイベントです。リアル脱出ゲームや仮想現実(VR)体験施設などが含まれます。

その他のエンターテインメント関連サービス

エンターテインメント業界が提供するその他の関連サービスを紹介します。
  • ファングッズ販売:映画や音楽、スポーツチームの公式グッズを販売するサービスです。オンラインショップやイベント会場で販売されます。
  • サブスクリプションボックス:月額料金で、特定のテーマに沿った商品を毎月定期的に届けるサービスです。ファンのための限定グッズやアイテムが入っていることが多いです。
  • エンターテインメント教育サービス:演技、音楽、ダンス、アニメーション、ゲーム開発など、エンターテインメント分野のスキルを学べるサービスです。オンライン講座も増えています。
エンターテインメント業界のビジネスモデルを紹介します エンターテインメント業界のビジネスモデルは、音楽・ビデオ・ゲームソフト、書籍販売に関しては、技術面や制度面などにおける参入障壁はさほど高くないことが伺えます。 その一方で、競争力を確保するため商品を豊富に品揃えすること、好立地の店舗、有力な仕入れチャネルの構築など、さまざまな要件が必要となります。エンターテインメント業界は国内市場が成熟しているため、低迷を続けています。 そのため、エンターテインメント業界の競争は激化しています。結果、エンターテインメント業界の大手への集約化および大手同士のM&Aが盛んにおこなわれ業界再編が進んでいます。 エンターテインメント業界のCDや書籍販売においては、メーカーが卸売価格と販売価格を決定する再販価格維持制度が取られています。そのため、メーカーの交渉力は非常に強い傾向にあります。 エンターテインメント業界は再販制度により、販売店から見れば利幅を確保できるメリットがあります。しかし、その一方で差別化が困難で同業他社や代替チャネルの乗り換えなど商品者の選択肢の幅が広いです。 エンターテインメント業界の音楽ソフト市場が低迷している理由の一つが、コンテンツ配信サービスによる代替えが進んでいることです。 エンターテインメント業界の書籍販売は電子書籍が普及し、スマホやタブレットによって紙メディアの在り方が大きく変化しています。以上のことから考えられるKFSは、コンテンツの強化や各種店舗のサービスの充実性、差別化と囲い込みです。 エンターテインメント業界の各小売業者にとっては、商品のラインナップ、豊富な品ぞろえの維持、イベント開催、各種店舗サービスの充実化で他社との明確な差別化を図る必要があります。 差別化を図った上で、Tポイントのようなロイヤルティプログラムなどを利用した顧客の囲い込みをおこなうことが重要となります。

エンターテインメント業界の財務指標を分析しました

エンターテインメント業界の財務指標を分析するにあたり、主要企業としてヤマハ丸善CHIホールディングスゲオホールディングスの3社を取り上げます。各企業の収益性はヤマハとゲオホールディングスがともに売上高総利益率が40%前後で安定して推移しています。 丸善CHIホールディングスは、書籍の販売事業が大半を占め、再販制度により定価販売しているため、売上高総利益率は23%前後で横ばいが続いています。 丸善CHIホールディングスとゲオホールディングスは、店舗維持のための人件費が嵩むため、販管費率が高く、ヤマハと比べて相対的に営業利益率は低いです。安全性については、ヤマハの自己資本比率が70%超と盤石な財務基盤を持つのに対し、丸善CHIホールディングスとゲオホールディングスの自己資本比率は30%前後です。 ROAは、丸善CHIホールディングスが1%台、ヤマハとゲオホールディングスはコロナ禍で一時的に落ち込んだが3~6%台を維持しています。ヤマハは高利益率(ROS)で低回転率(ATO)を補っているのに対し、ゲオは回転率で利益率を補う形をとっています。 業界の上位集中度を測るHHI指数については、ピアノ及び電子オルガンが5,000以上と高い水準で、楽器製造業界が寡占状態となっていることがうかがえます。

エンターテインメント業界の最新トレンドをまとめました

エンターテインメント業界は、テクノロジーの進化や消費者ニーズの変化により、急速な変化を遂げています。新たな体験や消費方法が登場し、オンラインとオフラインの融合が進む一方、持続可能性や多様性といった社会的価値も重要視されています。 エンターテインメント業界の主要なトレンドを知ることは、今後のエンターテインメント業界の発展や、経営職の方にも重要な情報となります。

ストリーミングとオンデマンドの加速

以前から人気のあったストリーミングサービスが、さらに勢いを増しています。特に映画や音楽、ゲームのストリーミングは、パンデミック以降の需要増加により急成長しています。 サブスクリプションモデルが主流となり、定額制で膨大なコンテンツが楽しめる環境が整っています。オリジナルコンテンツの充実化として、Netflix、Disney+、Amazon Prime Videoなどのプラットフォームが、オリジナル作品を制作し、競争力を強化しています。 また、「バンダースナッチ」など、視聴者が物語の展開を選択できるインタラクティブ映画が登場しています。

メタバースとバーチャルエンターテインメントの拡大

メタバースの概念が注目され、仮想空間内でのエンターテインメント体験が増加しています。ユーザーがアバターとして参加し、バーチャルコンサートやイベントに参加できるほか、ゲーム内で仮想空間を楽しむことが可能です。メタバースは、仮想通貨やNFT(非代替性トークン)といった新たな経済圏とも連携しています。 アリアナ・グランデやトラビス・スコットが「Fortnite」内で開催したバーチャルライブや、Meta(旧Facebook)のHorizon WorldsやDecentralandでのイベントなどがトレンドとして上がっています。

eスポーツとゲームの進化

eスポーツの人気が高まる中、プロゲーマーやeスポーツチームへの投資が増加し、観客数も急増しています。また、ストリーミングプラットフォームのTwitchやYouTube Gamingを通じて、視聴者が試合を観戦する文化が定着しています。 さらに、クラウドゲームの登場で、さまざまなデバイスでゲームがプレイできるようになり、ゲーム体験も変化しています。 モバイルゲームのeスポーツ大会が増え、競技としてのモバイルゲームが拡大し、クラウドゲーミングとしてGoogle StadiaやXbox Cloud Gaming、GeForce NOWなどが、デバイスを選ばずにハイクオリティなゲーム体験を提供しています。

インタラクティブで没入感のある体験

消費者が単にコンテンツを視聴するだけでなく、参加して体験することができるインタラクティブなエンターテインメントが増加しています。VRやARの技術が進化し、没入感のあるエンターテインメントが可能になってきています。 VRヘッドセットを使用して、360度の視点で映画やドキュメンタリーを楽しむVRシネマサービスや、「ポケモンGO」など、現実世界と仮想オブジェクトを重ね合わせるAR技術を活用したゲームやアプリがあります。

持続可能性と社会的責任(CSR)への関心

エンターテインメント業界は、持続可能性と環境保護、社会的責任への関心が高まっています。環境に配慮した制作方法や、ジェンダー、文化的多様性を重視したコンテンツが注目されています。 映画やテレビ制作におけるCO2排出削減や再生可能エネルギーの活用するグリーンプロダクションや、映画やドラマで、さまざまな人種やジェンダーのキャスティングを行い、包摂的な社会の反映を目指しています。

NFT(非代替性トークン)とデジタル資産の活用

NFTがエンターテインメント業界でも大きな注目を集めています。アーティストや映画スタジオが、限定のデジタルアートや動画クリップをNFTとして販売することで、新しい収益源を開拓しています。ファンはNFTを購入することで、デジタルアセットの所有者になることができ、収集として楽しむことも可能です。 音楽アーティストが、限定のアルバムカバーやサウンドトラックをデジタルアートのNFTとして販売したり、映画の特定のシーンやキャラクターをNFTとして販売し、ファンが所有できる仕組みを取っています。

データとAIの活用

AIとデータ分析が、コンテンツ制作やマーケティング、顧客体験の向上に活用されています。視聴者の視聴履歴や興味に基づいたレコメンド機能が強化され、パーソナライズされたエンターテインメント体験が提供されています。パーソナライズドコンテンツとして、NetflixやSpotifyが、AIを使ってユーザーの嗜好に合わせたレコメンドを提供しています。 他にも、AIによる制作支援として脚本作成や動画編集の一部をAIが支援し、効率化を図る技術が進展しています。

サブスクリプションモデルの多様化

サブスクリプションサービスが、映画、音楽、ゲームに加えて、テーマパークやライブイベントでも導入されています。サブスクリプションにより、ユーザーは定額で無制限にエンターテインメントを楽しむことができ、プラットフォームや企業にとっても安定的な収益源となっています。 DAZNやESPN+など、スポーツに特化した定額視聴サービスや、定額で複数のコンサートやイベントにアクセスできるパスを提供するサービスが登場しています。

グローバルコンテンツと地域特化のバランス

国際的なプラットフォームが増加する中で、地域ごとに特化したコンテンツが増えています。ローカルな文化や視点を尊重しつつ、グローバルにも楽しめるコンテンツが求められています。 Netflixでの韓国ドラマや映画が人気を博し、国際的な評価を受けています。また、字幕や吹替を複数の言語で提供し、各国の視聴者が楽しめるようにするなど、多言語対応の強化が進んでいます。

エンターテインメント業界の市場規模を調べました

エンターテインメント業界の市場規模を調査するために、経済産業省の「経済構造実態調査」および総務省・経済産業省の「経済センサス」を参考にします。 2021年の楽器の出荷額は608億円であり、内訳は、ピアノが32%、電子楽器が9%、ギター(電気ギター含む)が16%となっています。推移をみる限りでは、少子高齢化により楽器販売の中心ともなる若年層が縮小したことが影響していると伺えます。 また、アコースティック楽器より単価の低い電子楽器へ需要がシフトしたことなどを受けて、出荷額はやや回復を見せるも依然として減少基調が続いています。日本レコード協会によると、2023年のCDの生産額は1,391億円となっています。推移としては、アイドルの売上が好調だった2012年の一時的な増加を除けば減少傾向が続いています。 経済産業省の「商業統計」および総務省・経済産業省の「経済センサス」によると、2023年の楽器小売業の商品販売額は2,484億円で、楽器の出荷額と概ね同様の波動で推移しています。 2020年から2021年にかけては、コロナ禍の影響によりコンサートやライブ活動の中止が続きました。2022年以降は増加に転じているが回復は弱く、原因として楽曲配信サービスの利用拡大などが挙げられます。 日本映像ソフト協会の「映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査」によると、2022年のビデオソフトの市場規模は2,242億円となっています。内訳としては、セル市場がおよそ7割、レンタル市場がおよそ3割を占めており、推移をみるとCDの生産額と同様に2000年代後半から一貫して縮小しています。 エンターテインメント業界は2005年時点では、レンタル市場がセル市場を上回っていました。しかし、近年レンタル市場の縮小が顕著です。 2021年の書籍・雑誌小売業(古本を除く)の年間商品販売額は1兆124億円です。推移としては、1990年代後半まで拡大を続け、団塊ジュニアが20代半ばだった1997年に2兆4,787億円とピークを迎えています。その後減少に転じてからは、インターネット販売の拡大や電子書籍の普及などを背景にピーク時の4割まで縮小しています。

エンターテインメント業界のマクロ環境を調査

エンターテインメント業界の楽器に関しては、少子高齢化が進み、主要顧客である若年層が縮小していることが大きく影響しています。他にも、主要商品となっていたアコースティック楽器と比べ、安価で利用できる電子楽器が普及したことにより消費者の需要率が電子楽器へとシフトしました。これにより、販売単価の低下が進んでいます。 エンターテインメント業界の国内楽器市場は低迷していますが、中国を中心に新興国の需要は堅調に拡大を続けています。書籍販売においては再販価格維持制度のもと、取次店経由の商流がメインでした。しかし、近年では出版社と書店の直接取引が増加し変化が見えています。 エンターテインメント業界の音楽ソフト・ビデオソフトに関しては、近年拡大しているネットを利用した定額制音楽や動画配信サービス拡大が大きく影響しています。 エンターテインメント業界の書籍においても、電子書籍の普及に伴い、定額制の書籍読み放題サービスが出現しています。このように、インターネット通販が普及することにより、メーカーから消費者への直販が拡大傾向にあります。 書籍においては、Amazonなどをはじめとした店舗を持たないネット書店も増えています。Amazonからは電子書籍が読み放題になる月額制サービスのKindle Unlimitedなどが書籍の代替品として登場しています。

エンターテインメント業界の業界地図を解説します

エンターテインメント業界の相関図や業界地図は、業界内の企業や分野がどのように相互に関連しているかを視覚的に理解するためのものです。この業界は多岐にわたる分野があり、それぞれが協力し合ったり、競争し合ったりしながら成り立っています。 エンターテインメント業界の主要な構成要素と相互関係を示す「業界地図」を解説するにあたり、主要となっている楽器製造・販売、CD・DVD・ゲームソフト販売、書店にわけて概要を説明します。

楽器製造・販売

エンターテインメント業界の国内楽器メーカーは、ピアノが主力のヤマハ、河合楽器製作所、電子楽器のローランドの3強による寡占市場となっています。 その他、エンターテインメント業界の海外メーカーとしては、アメリカの総合楽器メーカーSteinway Musical Instruments、ギターメーカーのFender Musical Instruments Corporation、Gibson Brands、フランスの木棺・金管楽器メーカーBuffet Groupなどが有力プレイヤーとなっています。

CD・DVD・ゲームソフト販売

エンターテインメント業界のCD・DVD販売店の大手企業としては、ゲームソフト販売大手のREXT Holdingsに合併され、現在はRIZAP傘下となった新星堂や、元々外資系であったが、現在NTTドコモの子会社となっているタワーレコードローソン傘下のローソンエンタテイメントなどが主要企業として挙げられます。 エンターテインメント業界の、CD・DVDレンタルにおいては、TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブとゲオホールディングスが2強となっており、それぞれのチェーン店舗を各地方でFCオーナーとして展開する地域プレイヤーが存在しています。

書店

エンターテインメント業界の書店では、最大手の紀伊國屋書店をはじめ、丸善ジュンク堂書店を子会社に持つ丸善CHIホールディングス文教堂グループホールディングス三省堂、カルチュア・コンビニエンス・クラブなどが主要プレイヤーです。 近年では、アマゾンジャパン楽天グループセブンネットショッピングを運営するセブン&アイ・ネットメディアなどのネット書店などが勢力を拡大させています。 またトゥ・ディファクトは、丸善・ジュンク堂・文教堂といった大型書店と連携することにより紙書籍と電子書籍のハイブリッド型書店「honto」を運営するなど勢力を伸ばしています。 エンターテインメント業界では、印刷最大手の大日本印刷、二大取次店である日販グループホールディングス、トーハンの出資を受けている書店が多いことからも分かる通り、寡占が先行している川中の大手企業主導の再編が進行しています。

エンターテインメント業界の主要企業の動向をチェック

エンターテインメント業界は、映画、音楽、テレビ、ゲーム、デジタルコンテンツなど多岐にわたる分野で成長を続けており、特にテクノロジーとの融合が加速しています。エンターテインメント業界で活躍する主要企業の動向を知ることは、エンターテインメント業界の今を知ることにつながります。 特にエンターテインメント業界の経営者の方には注目していただきたい情報です。主要な企業とその動向を各分野に分けて紹介します。

ヤマハ株式会社

ヤマハ株式会社は、楽器、音響機器、スポーツ用品、産業機械、さらにはデジタルメディアサービスなど幅広い製品を提供する日本の総合メーカーです。1887年に創業し、当初はピアノやオルガンなどの楽器製造を手掛けていましたが、その後、音響機器やスポーツ用品、さらには先端技術を用いたソリューション分野へと事業を拡大しています。 楽器メーカーとして世界的に有名で、音楽教育やデジタル音楽の分野でも高い評価を得ています。 ヤマハの売上高の74%が海外での売上となっているのが特徴的です。2022年度の地域別の売上高比率は、日本が24%、北米が25%、欧州が18%、中国は14%、その他が19%となっています。 今、注目を浴び、今後も成長が期待される新興国市場での売り上げ拡大を目標に、中国では高付加価値商品の展開や地方都市の販売網を拡大しピアノの市場占有率を高めています。 また、新興国では音楽教室を軸にした新中間所得層への販売強化、インド工場立ち上げにより生産能力・モデル数拡大などの取り組みを進めています。 エンターテインメント業界の国内市場では、利益率の高い電子楽器の販売価格の見直しや、コストダウンを主軸に収益性の向上に取り組んでいます。2020年はコロナ禍の影響を受け、8年ぶりの減収減益となりました。 2021年度以降は回復傾向にあり、楽器事業が市況の回復に伴い、ピアノ・ギター・管弦打楽器などが好調な売上を見せています。音響機器事業では、半導体調達難による影響やエントリーモデルの販売不振により減収となりました。 しかしその後、業務用音響機器の回復やICT機器のネットワーク関連の販売が好調となり、増収になりました。ヤマハの中期経営計画「Make Waves 2.0」では、中核事業であるピアノ・管弦打楽器の高付加価値商品拡大により事業の柱として稼ぐ力をより高めることが挙げられています。 ヤマハは、音響事業の事業ドメインを広げ収益基盤を強化することを掲げています。

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社は、日本で幅広いエンターテインメントサービスやライフスタイルに関する事業を展開する企業です。 1985年に設立され、当初はレンタルビデオ事業からスタートしましたが、現在では書店、カフェ、レンタル事業、ポイント事業、そしてデジタルサービスなど、生活のあらゆる場面に関連する事業を展開しています。 特に「TSUTAYA」ブランドで知られており、国内でのエンターテインメントの総合店舗を多数展開していることで知られています。2017年3月に、かつてスタジオジブリを保有し現在も同社が制作したアニメ関連の書籍に強みを持つ中堅出版社の徳間書店を買収しています。 2017年12月には女性ファッション誌や料理・育児などの本を出版する主婦の友社を買収するなど、CCCは出版社の買収を通じてコンテンツの充実化を図っています。 2019年には、コワーキングスペース「SHARE LOUNGE」を渋谷スクランブルスクエアにオープンし、2020年には「和歌山市民図書館」を指定管理者として運営を開始しています。他にも、独自共通ポイントシステムT-POINTを基に、会員データの緻密な分析に基づいたオンラインマーケティングや映像配信サービスなどに取り組んでいます。 近年では、さまざまなポイントカードをまとめて管理できる「スマホサイフ」といったアプリの展開や、「Tマネー」という電子マネーの導入、SBI商圏と共同で立ち上げたT-POINTで投資ができるサービスも展開しています。 CCCは、若者に強い顧客基盤を活用した取り組みを行い、2020年には住信SBIネット銀行と連携し、Tポイントカードに金融取引機能を追加するなど、事業の幅を広げています。

エンターテインメント業界の今後の展望は?

エンターテインメント業界を含む、あらゆる業界で影響を与えた新型コロナウイルスの影響ですが、エンターテインメント業界は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、巣ごもりの影響もあり書籍・音楽・ゲームといったコンテンツの需要は高まりました。しかし、その一方で、外出自粛や店舗休業などをきっかけにECを通しての購買行動が浸透しました。これにより、今後はECを使った購買行動が定着していくと考えられます。 影響として、エンターテインメント業界は店舗販売をメインとする傾向の業界でもあるため、低迷が加速することが考えられます。エンターテインメント業界の企業としては、オンライン化の強化や実店舗ならではの魅力を高める試みが必須となっています。 近年、多大な影響を与えた新型コロナウイルスが収まった今、どのような展望が見込まれるか解説していきます。

市場は低迷が見込まれる中、業界再編が必須!

エンターテインメント業界の大手は、少子高齢化の進行による楽器需要の縮小、コンテンツサービスの差別化や専門化、各種コンテンツの定額制配信サービスの拡大、電子書籍の普及などのさまざまな要因により、今後も市場の低迷が続きます。 エンターテインメント業界は、市場が低迷することにより、各小売業界の競争も激しさが増すことを考え対応が求められます。 また、インターネット販売の拡大や物流機能の効率化も加速要因となり、より一層、業界再編が進むと考えられます。 エンターテインメント業界内の書店についてはカフェとの複合化などさまざまな試みを行うも、巻き返すことができるのは一部のチェーンのみで他の企業の大きな巻き返しの策となることは難しいと考えられます。業界再編は大手の集約化のみに留まりません。 エンターテインメント業界の大手企業同士のM&Aをはじめとし、取次や出版、印刷も含めた川上・川下の業態の垣根を超えて進むと考えられます。 また、一部の超大手を除いて、生き残りをかけた大手販売業者における特定の分野に特化したコンテンツやサービスの提供による差別化や専門店化が進み、よりすみ分けのはっきりした勢力図となることも考えられます。

エンターテインメント業界はニーズに沿った業界再編が必須!

エンターテインメント業界は、テクノロジーの進化や消費者ニーズの変化に伴い、今後も多様化と成長が期待されています。特に、デジタル技術の進展によって、新しいエンターテインメントの形態やビジネスモデルが次々と登場し、エンターテインメント業界の在り方が大きく変わりつつあります。 今後、デジタルと消費者のニーズに沿ったサービスの提供や、業界再編を行うことがエンターテインメント業界が発展するカギとなります。 エンターテインメント業界だけではなく、他の業界でも大きな改革が行われています。エンターテインメント業界は他の業界とも関わりのある業界のため、他業界の情報もしっかりと得る必要があります。最大級の企業プラットフォームBIZMAPSでは、月額無料で最大100件の企業情報をダウンロードすることができます。 登録社数は200万社を超え、タグ検索などで自分が欲しい情報をいち早く得ることができます。 他企業の情報を知ることは、業界の動向を知ることにつながります。また、エンターテインメント業界に新規顧客開拓を考えている営業職の方にも最適な情報です。ぜひ、利用してみてください! ▼その他の業界特集記事はこちらから! 家電業界の今後の展望は?最新の動向と共に業界を細部まで解説します 半導体業界とは?デジタル革新の核心を担う産業の今後を徹底解説! 家電量販業界とは?製品の多様性と市場の進化をリードするトレンドや動向 光学機器業界はレンズを扱う市場規模が広い業界!最新情報を紹介します 旅行業界とは? 今後の動向から徹底的に解説します! OA機器商社業界とは?注目企業の動向や業界展望まで徹底解説! 好調のコンテンツ配信業界とは?現在の業界地図や今後の展望を解説

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