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ITサービス業界は、企業や組織、個人が情報技術(IT)を活用できるよう支援するサービスを提供する産業です。ITサービス業界は、システム開発やネットワークインフラの構築、クラウドコンピューティング、データ分析、サイバーセキュリティ、ITコンサルティングなど幅広い領域をカバーし、デジタル時代に不可欠な役割を果たしています。 企業最大プラットフォームBIZMAPSでITサービス業界に関連する企業を調べてみました。 【クラウドサービス】1,027社、【システム開発】14,093社、【パソコン・スマホ修理】951社、【ITコンサルティング】8,077社と多くの企業が活躍しています。ITサービス業界は、企業のITインフラを支える中核的な役割を果たし、DXやクラウド、AI、サイバーセキュリティなど多様な分野で進化し続けています。 今後も、技術革新と顧客ニーズに対応しながら、企業の成長と競争力を支援する重要な産業です。 今回はITサービス業界の詳細や、最新のトレンド、主要企業の動向などすべて解説します!

ITサービス業界の定義や特性

ITサービス業界は、企業のデジタル化を支援するための技術やサービスを提供する分野で、システム開発、クラウド、サイバーセキュリティ、データ分析などが主な業務領域です。IT業界は技術革新のスピードが速く、変化に即応できる柔軟性と高い技術力が求められます。 デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により、ITサービス業界の重要性が増し続けており、今後もさらなる発展が見込まれる業界です。

ITサービス業界のバリューチェーンを紐解きます

ITサービス業界のバリューチェーンは、基盤技術の調達からサービスの提供、運用管理、サポート、データ管理に至るまで、複数のプロセスが連携して顧客価値を創出します。特に、技術革新の速さや顧客ニーズの多様化により、ITサービス企業には柔軟かつ高度な技術対応が求められます。 クラウドやセキュリティ、AIによるデータ分析の役割が重要性を増しており、各段階での専門性の高い活動がITサービス業界の競争力を支えています。 ITサービス業界は他のシステム業界の中では下流に属しています。ITサービス業界への参入者の多くは、上流側のシステム構築業務との関連性が高いのが特徴的です。ITサービス業界のIT保守業務は、システムインテグレーターにとっても安定的な収入源となっております。 そのため、大手システムインテグレーターが構築業務を一貫して受注することが多いです。結果、ITサービス業界は専業プレイヤーが比較的少ない傾向にあります。 ITサービス業界に参入している企業も大手システム会社の子会社がほとんどです。独立系専業プレイヤーも存在しますが、基本的には大手システム会社のカバーできない中堅・中小企業や自治体などを顧客とし、すみ分けを図っています。

ITサービス業界の取り扱い商品を紹介します

ITサービス業界が取り扱う商品は、クラウド、サイバーセキュリティ、データ分析、AI、システムインテグレーションなど多岐にわたり、企業のITインフラの整備からセキュリティの強化、ビジネスの意思決定支援まで、さまざまな分野で役立てられます。 こうした商品を活用し、企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現し、競争力を高めることが可能となります。

クラウドサービス

ITサービス業界が提供するクラウドサービスについて解説します。
  • IaaS(Infrastructure as a Service):サーバー、ストレージ、ネットワークリソースなどをインターネット経由で提供する基盤的なサービスです。企業はインフラに関する初期投資を抑え、必要に応じてリソースを拡張可能です。代表的な商品にAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)があります。
  • PaaS(Platform as a Service):開発やデプロイを容易にするためのプラットフォームを提供し、アプリケーション開発を支援します。PaaSは、企業がアプリケーションの構築や管理に集中できる環境を提供します。代表的な商品にAWS Elastic Beanstalk、Google App Engine、Microsoft Azure App Servicesがあります。
  • SaaS(Software as a Service):完成されたソフトウェアやアプリケーションをインターネット経由で提供し、ユーザーはライセンス契約に基づいてアクセスします。最も利用されるサービス形態で、業務アプリケーションやコラボレーションツールが多いです。代表的な商品にSalesforce、Microsoft 365、Google Workspace、Adobe Creative Cloudがあります。

サイバーセキュリティ商品

ITサービス業界が提供するサイバーセキュリティ商品について解説します。
  • エンドポイントセキュリティ:PCやスマートフォン、タブレットなどの端末(エンドポイント)を保護するためのソフトウェアで、不正アクセスやウイルスから守ります。代表的な商品にトレンドマイクロ「ウイルスバスター」、カスペルスキー、Symantec Endpoint Protectionがあります。
  • ファイアウォールとネットワークセキュリティ:ネットワークを外部の脅威から保護するための製品で、ファイアウォール、侵入検知システム(IDS)、侵入防止システム(IPS)が含まれます。代表的な商品にCisco ASA、Fortinet FortiGate、Palo Alto Networksがあります。
  • クラウドセキュリティ:クラウド環境に特化したセキュリティ対策で、クラウドに保管されるデータやリソースを守ります。代表的な商品にAWS GuardDuty、Azure Security Center、Google Cloud Securityがあります。
  • アイデンティティ管理とアクセス制御(IAM):ユーザーのアクセス権限を一元管理するソリューションで、システムやデータへのアクセスを制御します。ゼロトラストモデルの構築に欠かせない商品です。代表的な商品にOkta、Microsoft Azure Active Directory、IBM Identity Governance and Intelligenceがあります。

データ分析とAI商品

  • ビッグデータ分析プラットフォーム:大量のデータを収集・分析し、ビジネスの意思決定を支援するためのプラットフォームです。代表的な商品にGoogle BigQuery、Microsoft Azure Synapse Analytics、Amazon Redshiftがあります。
  • ビジネスインテリジェンス(BI)ツール:データを視覚化し、ビジネスの意思決定をサポートするツールです。データドリブンな組織運営を可能にします。代表的な商品にTableau、Power BI、Qlik Senseがあります。
  • 機械学習・AI開発プラットフォーム:機械学習やAIモデルの構築を支援するプラットフォームで、データ処理やアルゴリズムの選定、モデル構築、テストまでを行えます。代表的な商品にGoogle Cloud AI Platform、AWS SageMaker、Microsoft Azure Machine Learningがあります。

ITコンサルティングとシステムインテグレーション商品

ITサービス業界が提供する、ITコンサルティングとシステムインテグレーション商品を解説します。
  • ERP(Enterprise Resource Planning)システム:企業の業務プロセスを一元管理するソフトウェアで、経理、在庫管理、人事管理などを統合します。代表的な商品としてSAP ERP、Oracle ERP Cloud、Microsoft Dynamics 365があります。
  • CRM(Customer Relationship Management):顧客管理を効率化し、営業活動や顧客対応を最適化するためのツールです。顧客データを活用してマーケティングや営業活動をサポートします。代表的な商品としてSalesforce CRM、Microsoft Dynamics 365 CRM、Zoho CRMがあります。
  • RPA(Robotic Process Automation)ツール:人間が行う定型作業を自動化するソフトウェアで、業務効率を大幅に向上させます。特にバックオフィスの自動化に強みを発揮します。代表的な商品としてUiPath、Automation Anywhere、Blue Prismがあります。

開発ツールと運用管理ツール

ITサービス業界が提供する開発ツールと運用管理ツールを紹介します。
  • アプリケーション開発プラットフォーム:プログラミングやアプリケーション開発を支援するためのツールで、さまざまなプラットフォームでの開発を可能にします。代表的な商品としてVisual Studio、Eclipse、IntelliJ IDEAがあります。
  • DevOpsツール:開発と運用の連携をスムーズにするためのツールで、継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)の実現に役立ちます。代表的な商品としてJenkins、GitLab、Docker、Kubernetesがあります。
  • IT資産管理ツール:企業が保有するIT機器やソフトウェアの管理を行い、ライセンスや保守状況を把握します。効率的なIT管理とコスト削減が期待できます。代表的な商品としてServiceNow、ManageEngine、Ivantiがあります。

サポートおよびヘルプデスク商品

ITサービス業界が提供するサポートやヘルプデスク商品は主に以下の内容です。
  • リモートサポートツール:エンドユーザーのPCやモバイルデバイスにリモート接続し、サポートを提供するためのツールです。代表的な商品としてTeamViewer、AnyDesk、LogMeInがあります。
  • ヘルプデスクとチケット管理システム:顧客からの問い合わせ対応やトラブル対応を管理するシステムで、問題解決までのプロセスを追跡します。代表的な商品としてZendesk、Freshdesk、JIRA Service Deskがあります。

ITサービス業界のサービスの特徴

ITサービス業界が提供するサービスは大きく、「運用」「障害対応」「改善」「教育」の4つの分野に分けることができます。
  • 運用:顧客の既存システムのモニタリングとシステムトラブル・障害の予知と対策をおこなうサービスです。企業では、システムやネットワークにトラブル・停止が起こることは重大な事業リスクになり得ます。これらを防ぐため運用の業務は、システムに関する問題のモニタリングと報告や管理業務の代行、アカウント管理やネットワーク管理、万が一の場合に備えたデータバックアップ、システム稼働状況のモニタリング、定期的なメンテナンスなどです。
  • 障害対応:未然に防げなかった問題が障害・システムダウンとして顕在化した際、すみやかに正常な状態に復旧するサービスです。複雑な情報システムの中でトラブルの原因を特定し、対処するためには情報システムに関する専門的知識を有する必要があります。
  • 改善:メンテナンスやシステムダウンからの復旧や、業務フローを変更した際にシステムの改善が必要な場合が出てきます。改善策を見極め実施するのが改善の付加価値です。
  • 教育:システムの利用者や管理者に対して専門的な情報を供与し、操作の習熟度を上げさせるというサービスです。
以上の4つの項目が、ITサービス業界が提供するサービスの内容となりますが、どれも定期的にエンジニアの工数を投入する必要があります。そのため、ITサービス業界のサービスは、月額固定などで料金が発生することがほとんどです。ITサービス業界は契約を獲得すれば、安定した収益を得られるのが特徴の一つです。

ITサービス業界の財務指標分析

ITサービス業界の財務指標を分析するために、ITサービス業界の大手システム会社である内田洋行のITサービス子会社であるウチダエスコ、外資系中心に情報機器の保守からIT研修等を提供するJTP、訪問・電話・遠隔操作によるITサポートを提供する日本PCサービスを取り上げて解説します。 まず、収益性に関しては、ウチダエスコとJTPの営業利益率は改善傾向にあります。しかし、日本PCサービスは急激な集客減による収益の悪化で2022年度は営業利益率がマイナスとなりました。 また、コロナ禍の影響もあり、急速に取り入れられたリモートワークの浸透や、DXに向けたIT投資の拡大でITサービスの需要が高まり、法人顧客の比率が高いウチダエスコとJTPが好調を維持しています。ITサービス業界のコスト構造を見ると、多くは売上原価が占めています。 これはエンジニア・オペレーターに代表される人件費が比較的高いことが要因です。日本PCサービスの販売管理費が比較的高く、広告宣伝費や遠隔操作サポートに関連する費用が嵩んでいることがわかります。 ITサービス業界の安全性については、固定資産が少なく流動資産の割合が高い傾向にあります。自己資本比率は、ウチダエスコとJTPが高水準を維持し、日本PCサービスは収益悪化により大幅に低下しています。

ITサービス業界の最新トレンド

ITサービス業界では、クラウド、AI、ゼロトラスト、DX、5G、グリーンITといった最新トレンドが企業や社会のニーズに合わせて急速に進化しています。これらの技術が業界に革新をもたらし、企業のDX推進や効率化、環境負荷軽減、セキュリティ強化に重要な役割を果たしています。 今後も新しい技術やサービスが登場し、ITサービス業界は引き続き進化し続けると予想されます。 ITサービス業界は非常に情報が早く更新される業界です。特にITサービス業界の経営者の方は最新のトレンドに目を向けなくてはなりません。ITサービス業界の最新のトレンドを紹介します!

クラウドサービスの進化とハイブリッドクラウドの拡大

マルチクラウドとハイブリッドクラウドの普及として、複数のクラウドプロバイダーを活用するマルチクラウドや、オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドの導入が拡大しています。 データの分散管理、柔軟性の向上、コスト管理の観点で採用が増えています。メリットとして、システムの可用性が高まり、特定クラウドへの依存を軽減しながら、データのセキュリティや法令遵守を確保できます。 また、クラウドネイティブ技術の利用拡大もしております。クラウドネイティブとは、クラウドの特性を最大限に活かして設計・運用される技術のことで、コンテナ、マイクロサービス、Kubernetesなどが広く導入されています。 メリットとして、アプリケーションのスケーラビリティや可用性が向上し、企業は新機能の迅速なリリースと管理コストの低減を実現しています。

AIと生成AIの活用拡大

生成AI(例:ChatGPT、DALL-E、Midjourneyなど)が急速に普及し、コンテンツ生成やカスタマーサポート、プロダクトデザインなど多分野で利用されています。メリットとして、企業は生成AIを使うことで効率的にコンテンツやプロトタイプの作成ができ、創造的なタスクの時間とコストを削減可能です。 また、ビッグデータとAIの活用が進み、リアルタイムデータ分析や予測分析が一般化しています。これにより、データに基づく迅速な意思決定が可能になりました。大きなメリットとして、小売、医療、製造などさまざまな業界で顧客行動の予測やプロセスの最適化が可能になります。

ゼロトラストセキュリティモデルの普及

サイバー攻撃や内部脅威の増加を背景に、「信頼せずに常に確認する」ゼロトラストモデルが多くの企業で採用されています。これにより、従来の境界防御に依存しないセキュリティ強化が図られます。メリットとして、ユーザーやデバイスのアクセス制御を厳格化し、特にリモートワーク環境でも安全なネットワーク利用を実現します。 また、 AIを活用した異常検知や自動応答システムが進化し、サイバー攻撃への迅速な対応が可能になりました。メリットとして、サイバーセキュリティの人材不足に対する解決策として、AI技術が重要な役割を果たしています。

DXと業務自動化の加速

定型業務の自動化ツールであるRPAの導入が進み、AIと連携することでより高度な業務自動化が実現されています。メリットとして、 繰り返し作業の自動化により、従業員は付加価値の高い業務に集中でき、業務効率が大幅に向上します。 また、プログラミングスキルが少なくてもアプリケーション開発が可能なローコード/ノーコードプラットフォームが普及しています。 これにより、部門レベルでの迅速なアプリケーション開発が可能です。メリットは開発の迅速化、コスト削減、IT部門への依存を減らし、ビジネスニーズに素早く応えられることです。

5Gとエッジコンピューティングの拡大

5Gの普及により、高速・低遅延の通信が可能となり、製造業や交通インフラ、医療などでのIoT活用が拡大しています。メリットは大量のデバイスをリアルタイムで接続できるため、スマートファクトリー、スマートシティの構築が加速することです。 また、データをデバイスの近くで処理するエッジコンピューティングが注目されています。これにより、クラウドに依存せずにリアルタイム処理が可能になります。 メリットは通信コストの削減や遅延の解消が可能となり、医療、製造業、交通インフラなどでの応用が進むことです。

グリーンITとサステナビリティの重視

データセンターやITインフラのエネルギー効率向上や、再生可能エネルギーの利用が進んでいます。IT業界全体でカーボンニュートラルに向けた動きが加速しています。メリットは環境負荷の低減と持続可能な事業運営が実現できることです。企業のESG(環境・社会・ガバナンス)戦略の一環として注目されています。 また、環境負荷の少ないソフトウェアやコーディング手法の導入も進んでいます。特に処理が効率的でエネルギー消費を抑えたプログラム設計が注目されています。メリットはデータ処理やアプリケーションの稼働に必要なエネルギーを削減し、エコフレンドリーなITサービスの提供に貢献できることです。

ITサービス業界の市場規模を確認します

ITサービス業界の市場規模を調査するために、情報サービス産業協会の会員売上高推移を参考にします。ITサービス業界は、アウトソーシングの項目に含まれるとしてみると、規模は一定の幅を保ちながら推移しているのが分かります。 ITサービス業界が属するITサービス市場は、顧客となる企業が導入するシステム規模による影響を大きく受けます。そのため、システムインテグレーション市場の好調と共に拡大してきたと考えられます。 ITサービス業界が属するアウトソーシングを受託している会員企業の、2023年の売上高は7,732億円でした。2016年をピークにITサービス市場は縮小傾向にありましたが、2023年には一時的に持ち直しました。 安定した収入源であったオンサイト保守サービスは、IT機器単価の下落等により規模が縮小し、主要企業の業績悪化につながったとみられます。ITサービス業界は、クラウドコンピューティング普及による影響を大きく受けています。 クラウドコンピューティング普及により、IT保守サービス企業がターゲットとしてきたカスタマイズシステム・機器については減少傾向にあるとみられ、今後も厳しい状況が続きます。 ソフトウェア投資額の推移として、日本銀行「全国企業短期経済観測調査(短観)」を参考にすると、2022年度の前年度実績比は11.5%となっています。2009年の金融危機で大幅に落ち込み、その後は高い伸び率を示してきました。 近年では、コロナ禍で2020年度はマイナスとなりましたが、2021年度から2022年にかけて急回復しています。

ITサービス業界のマクロ環境は?

ITサービス業界は、各産業が取り入れる情報システムの普及と共に、拡大してきました。しかし近年では、非コア事業を切り離す「選択と集中」の考えが浸透しつつあります。 そのため、IT関連業務を非コアとみなす企業によるアウトソーシングも進み、業界には追い風が吹いていました。現在の情報システムをベースとした、企業経営の方針においては、システムダウンによる業績への影響は脅威です。 そのため、監視・運用をアウトソーシングする動きは活発ですが、システム関連技術は複雑さを増しています。外部の専門家を活用することの重要性も深まっています。その一方で、クラウドを活用するなど、IT資産を自社で持たない動きも進展しています。そのため、分散して存在するシステムをそれぞれ保守する需要が減少しています。ITサービス業界は、限られた市場を取り合うことで参入企業の利益率が低くなっています。 以上のことから、総合的にはITサービス業界の事業環境は厳しさを増している状況です。

ITサービス業界の相関図は?

ITサービス業界へ参入する企業は、大きく大手システム会社系と独立系企業の2つに分類されます。 大手システム会社系の専業プレイヤーとしては、NECフィールディングNTTデータカスタマサービス、ウチダエスコ、富士通エフサス日立システムズなどがあります。基本的には大手システム会社系が市場の大部分を占めています。その一方で、大手システム会社の間を埋める形で、独立系の企業も成立しています。 米Oracleや米HPなどの日本におけるITサポートを中心に事業展開するJTP、パソコン訪問サービスを主力事業とする日本PCサービスなど、大手システム会社が対応しにくいニッチな領域で、独立系企業が独自のポジションを築いています。他にも、地場の中小企業向けのITサポートをおこなう個人事業主などを含め、中小企業は数多く存在しています。

ITサービス業界の主要プレイヤーの動向をチェック!

ITサービス業界には、世界的に影響力のあるクラウド企業(AWS、Microsoft、Google)や、日本国内で幅広いシステム構築を提供するSI企業(NTTデータ、富士通、NEC)など、規模や分野ごとに特徴的な企業が存在します。 また、CRMのSalesforceやITサービス管理のServiceNowといった新興企業も市場での存在感を高めています。これらの企業は、クラウド、AI、セキュリティ、IoTといった技術の進展に伴い、さらなる成長と革新が期待される分野です。

NECフィールディング株式会社

NECフィールディング株式会社は、NECグループの一員で、主にITシステムの保守・運用、フィールドサポート、マネージドサービスを提供する企業です。 NECフィールディングは、全国のネットワークを活用した迅速な対応力を強みとし、システム導入後の運用サポートやトラブルシューティング、オンサイトサービスなど、顧客企業のITインフラを支えるための幅広いサービスを展開しています。 近年は既存の情報機器領域以外への成長領域へ注力しています。成長領域の一つは医療機器領域です。2017年1月より機器・付帯設備品などの保守サービスを展開しています。 二つ目はドローン分野を展開し、「ドローン(マルチコプター)活用サポート」と銘打ちドローンの活用サポートサービスを開始し、機種選定から機材販売、保守、操縦者訓練、運用などを支援しています。 三つめはメガソーラー(大規模太陽光発電)です。2016年7月には滋賀県「日野太陽光発電所」のEPCサービス、O&Mを受託しています。四つ目は作業現場の効率を上げる遠隔支援ソリューションです。作業員から見えている作業風景の映像を外部のパソコンに送るスマートグラスを販売しています。 このように、NECフィールディングは、情報システムに留まらない各種成長領域での機材提供・保守で成長を目指しています。

JTP株式会社

JTP株式会社は、ITインフラ構築やシステムサポート、医療ITソリューションなどを提供する日本の企業です。IT業界における技術サポートや教育サービスに加え、医療分野でのITソリューションの提供も行い、幅広い業種に向けて技術サポートサービスを展開しています。 2022年度の売上構成は教育ソリューション8%、ICTソリューション44%、西日本ソリューション16%、ライフサイエンスサービス21%、デジタルイノベーション11%です。 海外ICTハイテク企業がハードウェアやソフトウェア製品を組み合わせて日本市場に参入するに対し、技術面から支援サポートするパートナー企業として専門的なサービスを提供しています。他にも、日本国内のエンドユーザーに対して、企業が実現したい働き方改革、競争力強化に向けたDXの推進をICT技術で支援しています。 近年では、ライフサイエンス分野の事業拡大を行っており、医療・製薬業界向けのDX化複合サービスの受注が好調です。 IT投資の拡大に伴い、セキュリティリスク対策のニーズも高まっています。内部脅威対策サービスの拡充やマルチクラウドセキュリティのコンサルティング事業を拡大させています。2023年度からの中期経営計画では、事業セグメントを「デジタルイノベーション」「ICTソリューション」「ライフサイエンス」「海外」の4つに集約し、顧客ニーズの変化に対応する目標を掲げています。

中小企業の動向

ITサービス業界の中小企業は、実際の開発に関わる業務は、元請けである大手が中小規模の事業者に委託することが多い傾向にあります。また、IT化の加速化を受けて、ユーザー会社が自社で開発を完結できるよう、自社でのIT部門の組成や各システムの内製化の動きを受け中小規模の事業者の仕事が奪われる状態になっています。 そのため、ITサービス業界の中小企業は独自での新商品、新事業の開発が求められています。

ITサービス業界はクラウド化に対応できるかが鍵

ITサービス業界だけではなく、多くの業界に影響を与えた新型コロナウイルス感染症の影響ですが、ITサービス業界への影響は限定的と言えます。主な影響としては、システム保守や運用体制に弊害が出たことです。しかし、従来からのシステムが主な対象のため、影響は限定的と言えます。 また、企業各社はシステム運用センターの在宅化を急ピッチで進めて多くのユーザー企業のシステムを保守・運用しています。 以上の影響から、今後のITサービス業界の展望を見ていきます。

ITサービス業界はクラウド化進展により参入企業の勝敗が明確化

ITサービス業界は、これまでと同じく企業の情報システムやネットワーク構築ニーズが継続的に行われることが予想できます。これからは、人材不足や情報保護の観点からもシステム監視・運用保守に対するニーズは高まっていきます。 その一方で、クラウドコンピューティングの普及も顕著です。スマートデバイスの普及も浸透し、今後、クラウド化はどんどん進んでいきます。結果、企業ごとにカスタマイズされたシステムを保守する既存のITサービス領域は縮小していくことが考えられます。 以上のことから、クラウド化の波に乗ることができた企業は新たな成長の機会を得ることができます。また、クラウド化の波に乗れず、これまでと同じサービス展開を発展できない企業は、さらに厳しい状況に追い込まれます。結果的に、大手企業による停滞企業の買収を軸とした事業統合・再編が起こる可能性が高いです。

ITサービス業界はクラウドの進化により発展します

ITサービス業界は今後も、クラウドの進化、AIの拡大、DX推進、5GとIoTの融合、そしてサステナビリティ対応が大きなトレンドとなり、企業のデジタル基盤を支える重要な役割を担うことが予想されます。 業界全体でのサービス多様化や専門性の向上により、ITサービスは社会やビジネスの持続的な成長に不可欠なインフラとしての地位を一層強固にしていくと期待されます。 ITサービス業界は、常に情報が変わる業界です。常に最新の情報を得ることは、ITサービス業界の経営者の方やITサービス業界へ新規顧客開拓を考えている営業職の方には必須と言えます。 企業最大プラットフォーム「BIZMAPS」では、月額無料で月100件もの企業情報を得ることができます。登録されている企業は200万社を超え、企業の最新の動向を知る上でも強い味方になってくれます。ぜひ、利用してみてください。 ▼その他の特集記事はこちらから! IT・Web業界の違いとは?その違いを徹底解説&注目企業TOP10を紹介 オンラインで出展ができるJapan IT WeekはIT業界が一堂に集まる最大の出展会 IT導入補助金2019支援事業者の注目10社を紹介!DX化を目指す中小企業は必見! ITエンジニア募集を実施している優良企業情報選!業界や企業規模 ITpro EXPOとは?注目の出展企業10社を紹介! ITサービス業界とは?最新トレンドから今後の展望まで解説します

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