nagi
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目次
ITサービス業界の定義や特性
ITサービス業界のバリューチェーンを紐解きます
ITサービス業界の取り扱い商品を紹介します
クラウドサービス
ITサービス業界が提供するクラウドサービスについて解説します。- IaaS(Infrastructure as a Service):サーバー、ストレージ、ネットワークリソースなどをインターネット経由で提供する基盤的なサービスです。企業はインフラに関する初期投資を抑え、必要に応じてリソースを拡張可能です。代表的な商品にAmazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloud Platform(GCP)があります。
- PaaS(Platform as a Service):開発やデプロイを容易にするためのプラットフォームを提供し、アプリケーション開発を支援します。PaaSは、企業がアプリケーションの構築や管理に集中できる環境を提供します。代表的な商品にAWS Elastic Beanstalk、Google App Engine、Microsoft Azure App Servicesがあります。
- SaaS(Software as a Service):完成されたソフトウェアやアプリケーションをインターネット経由で提供し、ユーザーはライセンス契約に基づいてアクセスします。最も利用されるサービス形態で、業務アプリケーションやコラボレーションツールが多いです。代表的な商品にSalesforce、Microsoft 365、Google Workspace、Adobe Creative Cloudがあります。
サイバーセキュリティ商品
ITサービス業界が提供するサイバーセキュリティ商品について解説します。- エンドポイントセキュリティ:PCやスマートフォン、タブレットなどの端末(エンドポイント)を保護するためのソフトウェアで、不正アクセスやウイルスから守ります。代表的な商品にトレンドマイクロ「ウイルスバスター」、カスペルスキー、Symantec Endpoint Protectionがあります。
- ファイアウォールとネットワークセキュリティ:ネットワークを外部の脅威から保護するための製品で、ファイアウォール、侵入検知システム(IDS)、侵入防止システム(IPS)が含まれます。代表的な商品にCisco ASA、Fortinet FortiGate、Palo Alto Networksがあります。
- クラウドセキュリティ:クラウド環境に特化したセキュリティ対策で、クラウドに保管されるデータやリソースを守ります。代表的な商品にAWS GuardDuty、Azure Security Center、Google Cloud Securityがあります。
- アイデンティティ管理とアクセス制御(IAM):ユーザーのアクセス権限を一元管理するソリューションで、システムやデータへのアクセスを制御します。ゼロトラストモデルの構築に欠かせない商品です。代表的な商品にOkta、Microsoft Azure Active Directory、IBM Identity Governance and Intelligenceがあります。
データ分析とAI商品
- ビッグデータ分析プラットフォーム:大量のデータを収集・分析し、ビジネスの意思決定を支援するためのプラットフォームです。代表的な商品にGoogle BigQuery、Microsoft Azure Synapse Analytics、Amazon Redshiftがあります。
- ビジネスインテリジェンス(BI)ツール:データを視覚化し、ビジネスの意思決定をサポートするツールです。データドリブンな組織運営を可能にします。代表的な商品にTableau、Power BI、Qlik Senseがあります。
- 機械学習・AI開発プラットフォーム:機械学習やAIモデルの構築を支援するプラットフォームで、データ処理やアルゴリズムの選定、モデル構築、テストまでを行えます。代表的な商品にGoogle Cloud AI Platform、AWS SageMaker、Microsoft Azure Machine Learningがあります。
ITコンサルティングとシステムインテグレーション商品
- ERP(Enterprise Resource Planning)システム:企業の業務プロセスを一元管理するソフトウェアで、経理、在庫管理、人事管理などを統合します。代表的な商品としてSAP ERP、Oracle ERP Cloud、Microsoft Dynamics 365があります。
- CRM(Customer Relationship Management):顧客管理を効率化し、営業活動や顧客対応を最適化するためのツールです。顧客データを活用してマーケティングや営業活動をサポートします。代表的な商品としてSalesforce CRM、Microsoft Dynamics 365 CRM、Zoho CRMがあります。
- RPA(Robotic Process Automation)ツール:人間が行う定型作業を自動化するソフトウェアで、業務効率を大幅に向上させます。特にバックオフィスの自動化に強みを発揮します。代表的な商品としてUiPath、Automation Anywhere、Blue Prismがあります。
開発ツールと運用管理ツール
ITサービス業界が提供する開発ツールと運用管理ツールを紹介します。- アプリケーション開発プラットフォーム:プログラミングやアプリケーション開発を支援するためのツールで、さまざまなプラットフォームでの開発を可能にします。代表的な商品としてVisual Studio、Eclipse、IntelliJ IDEAがあります。
- DevOpsツール:開発と運用の連携をスムーズにするためのツールで、継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)の実現に役立ちます。代表的な商品としてJenkins、GitLab、Docker、Kubernetesがあります。
- IT資産管理ツール:企業が保有するIT機器やソフトウェアの管理を行い、ライセンスや保守状況を把握します。効率的なIT管理とコスト削減が期待できます。代表的な商品としてServiceNow、ManageEngine、Ivantiがあります。
サポートおよびヘルプデスク商品
ITサービス業界が提供するサポートやヘルプデスク商品は主に以下の内容です。- リモートサポートツール:エンドユーザーのPCやモバイルデバイスにリモート接続し、サポートを提供するためのツールです。代表的な商品としてTeamViewer、AnyDesk、LogMeInがあります。
- ヘルプデスクとチケット管理システム:顧客からの問い合わせ対応やトラブル対応を管理するシステムで、問題解決までのプロセスを追跡します。代表的な商品としてZendesk、Freshdesk、JIRA Service Deskがあります。
ITサービス業界のサービスの特徴
- 運用:顧客の既存システムのモニタリングとシステムトラブル・障害の予知と対策をおこなうサービスです。企業では、システムやネットワークにトラブル・停止が起こることは重大な事業リスクになり得ます。これらを防ぐため運用の業務は、システムに関する問題のモニタリングと報告や管理業務の代行、アカウント管理やネットワーク管理、万が一の場合に備えたデータバックアップ、システム稼働状況のモニタリング、定期的なメンテナンスなどです。
- 障害対応:未然に防げなかった問題が障害・システムダウンとして顕在化した際、すみやかに正常な状態に復旧するサービスです。複雑な情報システムの中でトラブルの原因を特定し、対処するためには情報システムに関する専門的知識を有する必要があります。
- 改善:メンテナンスやシステムダウンからの復旧や、業務フローを変更した際にシステムの改善が必要な場合が出てきます。改善策を見極め実施するのが改善の付加価値です。
- 教育:システムの利用者や管理者に対して専門的な情報を供与し、操作の習熟度を上げさせるというサービスです。
ITサービス業界の財務指標分析
ITサービス業界の最新トレンド
クラウドサービスの進化とハイブリッドクラウドの拡大
マルチクラウドとハイブリッドクラウドの普及として、複数のクラウドプロバイダーを活用するマルチクラウドや、オンプレミスとクラウドを組み合わせたハイブリッドクラウドの導入が拡大しています。 データの分散管理、柔軟性の向上、コスト管理の観点で採用が増えています。メリットとして、システムの可用性が高まり、特定クラウドへの依存を軽減しながら、データのセキュリティや法令遵守を確保できます。 また、クラウドネイティブ技術の利用拡大もしております。クラウドネイティブとは、クラウドの特性を最大限に活かして設計・運用される技術のことで、コンテナ、マイクロサービス、Kubernetesなどが広く導入されています。 メリットとして、アプリケーションのスケーラビリティや可用性が向上し、企業は新機能の迅速なリリースと管理コストの低減を実現しています。AIと生成AIの活用拡大
生成AI(例:ChatGPT、DALL-E、Midjourneyなど)が急速に普及し、コンテンツ生成やカスタマーサポート、プロダクトデザインなど多分野で利用されています。メリットとして、企業は生成AIを使うことで効率的にコンテンツやプロトタイプの作成ができ、創造的なタスクの時間とコストを削減可能です。 また、ビッグデータとAIの活用が進み、リアルタイムデータ分析や予測分析が一般化しています。これにより、データに基づく迅速な意思決定が可能になりました。大きなメリットとして、小売、医療、製造などさまざまな業界で顧客行動の予測やプロセスの最適化が可能になります。ゼロトラストセキュリティモデルの普及
サイバー攻撃や内部脅威の増加を背景に、「信頼せずに常に確認する」ゼロトラストモデルが多くの企業で採用されています。これにより、従来の境界防御に依存しないセキュリティ強化が図られます。メリットとして、ユーザーやデバイスのアクセス制御を厳格化し、特にリモートワーク環境でも安全なネットワーク利用を実現します。 また、 AIを活用した異常検知や自動応答システムが進化し、サイバー攻撃への迅速な対応が可能になりました。メリットとして、サイバーセキュリティの人材不足に対する解決策として、AI技術が重要な役割を果たしています。DXと業務自動化の加速
5Gとエッジコンピューティングの拡大
5Gの普及により、高速・低遅延の通信が可能となり、製造業や交通インフラ、医療などでのIoT活用が拡大しています。メリットは大量のデバイスをリアルタイムで接続できるため、スマートファクトリー、スマートシティの構築が加速することです。 また、データをデバイスの近くで処理するエッジコンピューティングが注目されています。これにより、クラウドに依存せずにリアルタイム処理が可能になります。 メリットは通信コストの削減や遅延の解消が可能となり、医療、製造業、交通インフラなどでの応用が進むことです。グリーンITとサステナビリティの重視
データセンターやITインフラのエネルギー効率向上や、再生可能エネルギーの利用が進んでいます。IT業界全体でカーボンニュートラルに向けた動きが加速しています。メリットは環境負荷の低減と持続可能な事業運営が実現できることです。企業のESG(環境・社会・ガバナンス)戦略の一環として注目されています。 また、環境負荷の少ないソフトウェアやコーディング手法の導入も進んでいます。特に処理が効率的でエネルギー消費を抑えたプログラム設計が注目されています。メリットはデータ処理やアプリケーションの稼働に必要なエネルギーを削減し、エコフレンドリーなITサービスの提供に貢献できることです。ITサービス業界の市場規模を確認します
ITサービス業界のマクロ環境は?
ITサービス業界の相関図は?
ITサービス業界の主要プレイヤーの動向をチェック!
NECフィールディング株式会社
NECフィールディング株式会社は、NECグループの一員で、主にITシステムの保守・運用、フィールドサポート、マネージドサービスを提供する企業です。 NECフィールディングは、全国のネットワークを活用した迅速な対応力を強みとし、システム導入後の運用サポートやトラブルシューティング、オンサイトサービスなど、顧客企業のITインフラを支えるための幅広いサービスを展開しています。 近年は既存の情報機器領域以外への成長領域へ注力しています。成長領域の一つは医療機器領域です。2017年1月より機器・付帯設備品などの保守サービスを展開しています。 二つ目はドローン分野を展開し、「ドローン(マルチコプター)活用サポート」と銘打ちドローンの活用サポートサービスを開始し、機種選定から機材販売、保守、操縦者訓練、運用などを支援しています。 三つめはメガソーラー(大規模太陽光発電)です。2016年7月には滋賀県「日野太陽光発電所」のEPCサービス、O&Mを受託しています。四つ目は作業現場の効率を上げる遠隔支援ソリューションです。作業員から見えている作業風景の映像を外部のパソコンに送るスマートグラスを販売しています。 このように、NECフィールディングは、情報システムに留まらない各種成長領域での機材提供・保守で成長を目指しています。JTP株式会社
JTP株式会社は、ITインフラ構築やシステムサポート、医療ITソリューションなどを提供する日本の企業です。IT業界における技術サポートや教育サービスに加え、医療分野でのITソリューションの提供も行い、幅広い業種に向けて技術サポートサービスを展開しています。 2022年度の売上構成は教育ソリューション8%、ICTソリューション44%、西日本ソリューション16%、ライフサイエンスサービス21%、デジタルイノベーション11%です。 海外ICTハイテク企業がハードウェアやソフトウェア製品を組み合わせて日本市場に参入するに対し、技術面から支援サポートするパートナー企業として専門的なサービスを提供しています。他にも、日本国内のエンドユーザーに対して、企業が実現したい働き方改革、競争力強化に向けたDXの推進をICT技術で支援しています。 近年では、ライフサイエンス分野の事業拡大を行っており、医療・製薬業界向けのDX化複合サービスの受注が好調です。 IT投資の拡大に伴い、セキュリティリスク対策のニーズも高まっています。内部脅威対策サービスの拡充やマルチクラウドセキュリティのコンサルティング事業を拡大させています。2023年度からの中期経営計画では、事業セグメントを「デジタルイノベーション」「ICTソリューション」「ライフサイエンス」「海外」の4つに集約し、顧客ニーズの変化に対応する目標を掲げています。中小企業の動向
ITサービス業界の中小企業は、実際の開発に関わる業務は、元請けである大手が中小規模の事業者に委託することが多い傾向にあります。また、IT化の加速化を受けて、ユーザー会社が自社で開発を完結できるよう、自社でのIT部門の組成や各システムの内製化の動きを受け中小規模の事業者の仕事が奪われる状態になっています。 そのため、ITサービス業界の中小企業は独自での新商品、新事業の開発が求められています。ITサービス業界はクラウド化に対応できるかが鍵
ITサービス業界はクラウド化進展により参入企業の勝敗が明確化
ITサービス業界は、これまでと同じく企業の情報システムやネットワーク構築ニーズが継続的に行われることが予想できます。これからは、人材不足や情報保護の観点からもシステム監視・運用保守に対するニーズは高まっていきます。 その一方で、クラウドコンピューティングの普及も顕著です。スマートデバイスの普及も浸透し、今後、クラウド化はどんどん進んでいきます。結果、企業ごとにカスタマイズされたシステムを保守する既存のITサービス領域は縮小していくことが考えられます。 以上のことから、クラウド化の波に乗ることができた企業は新たな成長の機会を得ることができます。また、クラウド化の波に乗れず、これまでと同じサービス展開を発展できない企業は、さらに厳しい状況に追い込まれます。結果的に、大手企業による停滞企業の買収を軸とした事業統合・再編が起こる可能性が高いです。ITサービス業界はクラウドの進化により発展します
ITサービス業界は今後も、クラウドの進化、AIの拡大、DX推進、5GとIoTの融合、そしてサステナビリティ対応が大きなトレンドとなり、企業のデジタル基盤を支える重要な役割を担うことが予想されます。 業界全体でのサービス多様化や専門性の向上により、ITサービスは社会やビジネスの持続的な成長に不可欠なインフラとしての地位を一層強固にしていくと期待されます。 ITサービス業界は、常に情報が変わる業界です。常に最新の情報を得ることは、ITサービス業界の経営者の方やITサービス業界へ新規顧客開拓を考えている営業職の方には必須と言えます。 企業最大プラットフォーム「BIZMAPS」では、月額無料で月100件もの企業情報を得ることができます。登録されている企業は200万社を超え、企業の最新の動向を知る上でも強い味方になってくれます。ぜひ、利用してみてください。 ▼その他の特集記事はこちらから! IT・Web業界の違いとは?その違いを徹底解説&注目企業TOP10を紹介 オンラインで出展ができるJapan IT WeekはIT業界が一堂に集まる最大の出展会 IT導入補助金2019支援事業者の注目10社を紹介!DX化を目指す中小企業は必見! ITエンジニア募集を実施している優良企業情報選!業界や企業規模 ITpro EXPOとは?注目の出展企業10社を紹介! ITサービス業界とは?最新トレンドから今後の展望まで解説します無料で使える企業検索サービス
