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ディスカウントストア業界とは、日用品や服飾品、食品、インテリア、さらには医薬品や家電まで幅広い商品を低価格で提供する業界です。長らく続いた不況、さらに現在では急激な物価上昇によって消費者から支持を得、市場におけるその存在感は大きくなってきています。 本記事ではディスカウントストア業界の現状と今後の展望について解説していきます。 またディスカウントストア業界の中から、業界を代表する大手企業も紹介しており、それ以外のディスカウントストア業界の企業情報は登録企業数200万社以上の企業検索サービス「BIZMAPS」の「その他小売」から確認できます。 法人営業でディスカウントストア業界にアプローチを検討中の皆さんは、ぜひ営業戦略立案の参考にしてください。

ディスカウントストア業界とは

ディスカウントストア業界とは、衣料品、家庭日用品、食料品、医薬・化粧品、家具、家電製品など、幅広い商品を低価格で販売する業態を指します。 また、100円均一で家庭日用品を販売する100円ショップチェーンもこの業界に含まれます。これらの店舗は、メーカーと直接取引することで流通経路を短縮し、安価に商品を仕入れ、消費者に低価格で提供しています。特に、現金取引・大量仕入れ・返品なしの全買取契約が一般的であり、これにより低価格での販売が実現されています。 ディスカウントストア業界では、特定地域に集中して出店する「ドミナント戦略」が主流です。この戦略により、地域内での集客力を高め、物流コストを削減することができます。しかし、全国主要都市に店舗を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(旧ドンキホーテ)や、九州を中心に全国展開するトライアルカンパニーなどの例外も存在します。

ディスカウントストア業界と100円ショップ業界

一方、100円ショップ業界では、企業ごとに異なる戦略が見られます。大創産業は24の国と地域に2,272店舗を展開し、ワッツも24か国に100を超える店舗を運営しています。しかし、キャンドゥはアジアへの進出を縮小し、国内市場に特化する方針を取っており、セリアも海外展開を行わず国内市場に注力しています。 さらに、100円ショップ業界では事業の多角化も進んでいます。ワッツはナチュラル雑貨の小売店と卸売販売を強化し、音通はカラオケ関連事業やスーパー事業など、100円ショップ以外の事業にも力を入れています。このように、各企業は独自の戦略で市場に対応し、成長を続けています。

ディスカウントストア業界の市場規模

ディスカウントストア業界の市場規模を正確に示す統計は存在しませんが、主要上場企業の売上高を集計することでその概況を把握することができます。 主要上場企業8社の2022年度の売上高合計は約2.7兆円に達します。2008年から2010年にかけて成長が一時的に鈍化しましたが、その後は順調に拡大を続けています。 特に2020年度は、コロナ禍によりインバウンド需要が減少したものの、巣ごもり需要の影響で食料品や日用品、感染予防グッズの売上が増加し、市場が拡大しました。2021年度と2022年度もこの傾向を維持しています。 パン・パシフィック・インターナショナルと大黒天物産の成長が特に顕著で、市場を牽引しています。パン・パシフィック・インターナショナルは、2018年度にユニーを完全子会社化したことで売上高が大幅に増加しています。

100円ショップ業界の市場規模

100円ショップ業界についても同様に、主要上場企業4社の売上高合計を見ると、2022年度の売上高は約3,639億円となります。これに加え、非上場最大手の大創産業の売上高が約5,891億円であり、総計すると約9,530億円の市場規模となります。 セリアやキャンドゥの急成長が業界全体の成長を支えており、安価な日用品や生活雑貨への需要が高まる中、今後も堅調な成長が見込まれます。音通は2021年10月に食料品・生活雑貨小売事業をワッツに売却し、100円ショップ事業から撤退しましたが、全体として市場は依然として拡大傾向にあります。

ディスカウントストア業界の現状

ディスカウントストア業界の現状を理解するためには、消費者の低価格志向、インバウンド需要の急回復、そしてPOSなどのITシステム活用の高度化といった3つの主要な環境要因に注目する必要があります。 まず、消費者の低価格志向の進行は、ディスカウントストア業界の市場拡大に貢献しています。しかし、同時にドラッグストアやGMS(総合スーパー)、ホームセンターなどとの価格競争も激化しており、各業態間での熾烈な競争が展開されています。 次に、インバウンド需要の動向です。コロナ禍以前には、訪日外国人観光客の増加がディスカウントストア業界の追い風となっていましたが、パンデミックにより訪日客数は激減しました。しかし、2022年からの入国制限の緩和に伴い、訪日観光客は徐々に戻り始めています。 2023年にはコロナ禍前の水準には達していないものの、急激に回復しつつあります。観光庁の「訪日外国人消費動向調査(2023年)」では、訪日外国人が買い物をする場所としてコンビニエンスストアが挙げられており、今後はディスカウントストアでも訪日外国人向けの品揃えや店舗運営が再度進展する可能性があります。

ディスカウントストア業界が直面する課題

さらに、原材料価格の高騰や急激な円安によって、輸入品の比率が高いディスカウントストアや100円ショップでは仕入れ価格の上昇が大きな問題となっています。しかし、販売価格に転嫁するのは難しいため、オペレーションや物流の効率化を図り、コスト軽減に努めています。それでも収益の悪化が懸念される状況です。 最後に、低価格販売を継続するためには、効率的な仕入れ、店舗運営コストの削減、販売機会のロス解消が求められます。そのため、ITシステムへの投資を加速し、業務の効率化を図る取り組みが進められています。POSシステムの高度化など、最新の技術を活用することで、運営コストの削減と業務の効率化を実現しようとしています。

ディスカウントストア業界を代表する2社

ディスカウントストア業界では流通経路の短縮やプライベートブランドの拡大、海外展開など企業によってさまざまな戦略を進めています。 ・パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス ・セリア ここではディスカウントストアと100円ショップ、それぞれを代表する上記の企業の最新動向を解説します。

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(旧ドン・キホーテ)

パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス傘下のドン・キホーテは、都心部への積極的な展開、深夜営業、そして独自の「圧縮陳列」で知られています。この陳列方法は、定番商品と高粗利のプライベートブランド(PB)商品を組み合わせて配置するもので、1989年の初店舗以来、拡大を続けています。 近年は、PB「情熱価格」の拡張や、ショッピングセンターなどへの新形態「ソリューション出店」に注力しています。2019年にはユニーを完全子会社化し、一部店舗を「MEGAドン・キホーテUNY」に転換して成功を収めています。海外展開も積極的で、アメリカや東南アジアで「ドンドンドンキ」を展開し、売上を伸ばしています。

セリア

セリアは、100円ショップチェーンとして全国に1,961店舗(2023年8月時点)を展開し、業界第二位の規模を誇ります。 パステル調の内装やデザイン性の高い雑貨で特に女性から支持されています。2004年にリアルタイムPOSシステムを導入し、店舗別・商品別の販売データを活用した効率的な商品構成を実現しています。 独自の「自律型仮説検証モデル」を用いた発注支援システムにより、業界内でもトップクラスの営業利益率7.3%(2022年3月期)を実現しています。電子マネー対応のセルフレジ導入などで効率化を図り、コロナ禍でも巣ごもり需要を取り込み、売上を堅調に推移させています。

ディスカウントストア業界の今後の展望とは?

100円ショップは幅広い品揃えとコストパフォーマンスの良さから、コロナ禍においても需要が堅調に推移しました。しかし、サプライチェーンの停滞などにより材料費が上昇しており、高価格帯の新業態を開店するなど、付加価値を高めて販売価格を引き上げる動きも見られています。 消費者の低価格志向や他業界との競争激化、少子高齢化による国内市場の縮小が続いており、さらにインバウンド需要の消失も業界に影響を与えています。原材料価格や物流費の高騰により、食品やサービス分野での値上げが広がる中、消費者の低価格志向は続くと予想されています。ドラッグストア、ホームセンター、家電量販店などの業界では大手への集約が進み、ディスカウントストアや100円ショップとの競争が激化する見込みです。 また、急速な円安の進行により仕入価格が高騰し、収益の悪化や調達先の見直しが迫られる企業も増えると予想されます。海外展開を積極的に行ってきた企業も、現地調達比率やフランチャイズ化など戦略の再考が求められています。 さらに、訪日観光客の規制緩和によりインバウンド需要が徐々に回復しつつあり、今後の業績に寄与する可能性があります。業界各社はこれらの課題と機会に対処しながら、今後の成長戦略を練っていく必要があります。

成長中のディスカウントストア業界に注目しよう!

ディスカウントストア業界の市場は消費者の低価格志向やインバウンド需要によって拡大していて、業界全体も成熟しつつあります。その一方で、少子高齢化の影響によって、今後は国内需要の縮小は避けがたいというのも事実です。また円安に歯止めがかからないために、仕入れ価格が上昇して収益性も悪化しています。 いくつもの課題に直面する中で、ディスカウント業界大手各社の今後の戦略に注目が集まっています。 法人営業の皆様は、本記事で紹介したディスカウントストア業界の概要を参考にして、効果的な営業戦略を構築してください。また、無料で毎月100社まで法人データをダウンロードできるBIZMAPSを利用すれば、さまざまな属性や条件で企業を検索できます。営業戦略の立案にぜひご活用ください。

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