一色 みわ 0 Comments
銀行業界とは、人々や企業のお金を預かり、必要な人や企業に貸し出すことで、経済活動を支える重要な役割を担う業界です。銀行は、預金や貸出業務だけでなく、送金や投資、資産運用など幅広い金融サービスを提供しています。 本記事では、銀行業界の定義をはじめ、業界構造や取扱商品の特性、主要プレイヤーの動向などを解説します。業界の今後についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。 なお、BIZMAPSでは銀行業界に関連する企業の情報を掲載中です。銀行業界における各企業の詳細は、【業界名:銀行】からご確認いただけます!是非合わせてご覧ください。

銀行業界は経済を支える基盤産業

銀行業界とは、私たちの生活や企業活動を支えるために「お金」に関するサービスを提供する企業が集まる重要な産業です。経済全体の基盤を担っており、多種多様な銀行がその役割を果たしています。 まず、多くの人が利用したことのある「メガバンク」は、銀行業界の中でも特に大規模な存在です。メガバンクは日本全国、さらには海外にも拠点を持ち、個人の預金や住宅ローンから、企業への大口融資、投資、外国為替取引まで、多岐にわたるサービスを提供しています。これにより、個人や企業の資金ニーズを幅広く支えています。 一方で、「地方銀行」は地域経済を支える重要な存在です。地方銀行は特定の地域に根ざし、その地域に住む人々や地元企業を主要な顧客としています。例えば、地域企業が新たな設備を導入する際の資金提供や、個人のマイホーム購入のための住宅ローンなど、地域密着型のサービスを通じて、地域経済の成長をサポートしています。 また、近年注目されている「ネット銀行」や「ATM専用銀行」は、テクノロジーを駆使した新しい形態の銀行です。これらの銀行は実店舗を持たず、スマートフォンやパソコンを活用して、どこからでも簡単に取引ができる便利さが特徴です。 また、ATM専用銀行は、全国に設置された多くのATMを通じて、現金の引き出しや入金をスムーズに行えます。これらの銀行は、低コストでの運営を強みに、利便性の高いサービスを提供しています。 銀行業界は、これら多様な銀行がそれぞれの役割を果たしながら、連携して成り立っています。預金や貸出といった基本的なサービスにとどまらず、投資や資産運用、さらには相続関連のサービスなど、多岐にわたる金融サービスを提供し、私たちの日常生活や企業活動が円滑に進むよう支えています。 銀行業界を理解することは、私たちの生活や経済全体の動きを把握する上で非常に重要です。銀行業界の仕組みや役割を知ることで、お金の流れや経済の仕組みについての理解が深まり、より豊かな視点で社会を見ることができるようになります。

銀行業界の進化する業界構造

銀行業界は、預金者から預かったお金を元手として、それを必要としている企業や個人に貸し出すことで成り立っています。この貸し出しでは、貸したときの金利(貸出金利)と預かったときの金利(預金金利)の差、いわゆる「利ざや」が銀行の主な収益源となります。 また、預金の引き出しや振り込みといった各種サービスに対する手数料や、為替取引から得られる収益も銀行にとって重要な収入源です。 近年では、大企業が銀行からお金を借りる必要が少なくなってきているため、銀行は国債を使った運用に力を入れるようになっています。国債とは、政府が発行する借用証書のようなもので、銀行にとって安全性の高い資金運用手段です。 銀行の種類も多様で、大きく分けると、メガバンクと地方銀行、そしてネット銀行やATM専業銀行の3つに分類されます。メガバンクとは、三菱UFJ銀行三井住友銀行みずほ銀行の3行に、りそなホールディングスSBI新生銀行あおぞら銀行を加えた都市銀行の一部を指します。 これらの銀行は全国規模、さらには国際的な取引を行う大手銀行です。一方で、地方銀行は特定の地域を拠点に活動し、その地域の企業や住民の金融ニーズを支えています。 最近では、住信SBIネット銀行セブン銀行イオン銀行のように、インターネットを活用したりATMに特化したりする形態の銀行も増えています。これらの銀行は、店舗を持たず、スマートフォンやパソコンを使ってどこからでも取引が可能であることが特徴です。

銀行業界の取扱商品の特性

銀行の業務内容は「銀行法」という法律で決められており、以下の3つの分野に分けられます。それが「固有業務」「付随業務」「周辺業務」です。これらを順に説明します。 固有業務とは、銀行の主な役割を担う仕事です。具体的には3つあり「預金業務」は、私たちが銀行にお金を預ける仕組みで、銀行は預かったお金を安全に管理します。次に「貸付業務」では、企業や個人がお金を必要とする際に、銀行がそれを貸し出します。 そして「為替業務」は、振込や送金など、銀行を通じてお金を別の場所や相手に送る仕組みです。これらは、私たちの生活やビジネスの基盤を支える重要な仕事です。 固有業務に関連して、銀行が行う仕事にはいろいろなものがあります。例えば、企業が資金を集めるために発行する社債のサポートや、企業の合併や買収を手伝うM&Aアドバイザリー業務などです。 また、クレジットカードの発行や、手形と呼ばれる企業間の支払いに使う書類の引き受けなども付随業務に含まれます。これらは、単にお金を預けたり借りたりする以上に、企業活動を支える役割を果たしています。 そして、周辺業務は、銀行の通常の業務からは少し離れた仕事です。例えば、リース(設備や車両などを貸し出す仕組み)や信用保証(借り手が返済できない場合に代わりに支払う仕組み)などがあります。 これらは、銀行の本体ではなく、銀行が設立した子会社などを通じて提供されています。さらに、2001年以降の法律改正により、銀行は保険商品の窓口販売も可能となり、より幅広いサービスを提供するようになっています。 全国地方銀行協会のデータによると、日本の銀行業界では、都市銀行と地方銀行が預金や貸出の大部分を占めています。例えば、2021年3月時点では、都市銀行が預金全体の35.4%、地方銀行が24.9%に。 一方、貸出に関しては地方銀行が31.1%で、都市銀行の28.8%を上回っています。これは、地方銀行が地域密着型の運営をしており、地元企業や個人への融資を積極的に行っているためです。

銀行業界のビジネスモデル

銀行業界は、「銀行法」という法律で厳しく規制されており、新たに営業を始めるためには内閣総理大臣の許可が必要です。また、融資業務を行うにあたり、安全性を確保するために最低20億円の資本金が必要とされています。 このような条件がある一方で、資金力のある大企業にとってはそれほど大きなハードルとはならず、証券会社や流通業界の大手企業が銀行業に参入する事例も見られます。 しかし、銀行業界は顧客にとって差別化が難しい業界ともいえます。特に、貸出金利による競争はわずかな差に留まり、多くの預金者や企業にとってどの銀行を利用しても大きな違いが感じられにくいのが現状です。 さらに、日本では長期的な低金利政策が続いているため、貸出業務の収益性が低下しており、銀行の経営は厳しい状況にあります。このような環境下で、1990年代のバブル崩壊後には銀行の統合や再編が進み、大手銀行を中心とした現在の業界構造が形成されました。 また、銀行業界にはノンバンクと呼ばれる競合も存在します。消費者金融を提供するノンバンクは、以前は銀行の競争相手として影響力を持っていましたが、近年の規制強化によりその勢力は弱まりつつあります。 さらに、多くの銀行がこうしたノンバンクを自社グループに取り込む動きを見せており、現在では大きな脅威とはみなされていません。同様に、住宅ローン分野で活躍するモーゲージバンクも規模が限られており、既存の銀行に対抗するには至っていません。 一方で、銀行業界は新たなプレイヤーの台頭を迎えています。たとえば、ネット銀行は、リアル店舗を持たずスマートフォンやパソコンを活用した取引を中心に展開しており、利便性の高さで注目されています。 また、「Fintech(フィンテック)」と呼ばれる金融とテクノロジーの融合により、新しい金融サービスが次々と登場しています。具体的には、ビッグデータを活用して信用情報を分析し、迅速かつ柔軟な融資を行うサービスや、AIによる運用アドバイスなど、これまでの銀行サービスとは異なる革新的な仕組みが広がりつつあります。 このように、銀行業界は規制の中で競争を繰り広げつつ、新しい技術やサービスによる変革を模索しています。今後も従来のビジネスモデルを超えた進化が求められるでしょう。

銀行業界の財務指標分析

銀行業界の財務状況を分析すると、安定性を保ちながらも収益性や効率性に課題を抱えていることがわかります。特にメガバンクの収益性は2019年度までは経常利益率が20%前後と比較的安定していましたが、2020年度以降は低金利政策や新型コロナウイルス感染症による経済停滞の影響で低下傾向が続いています。 これは、融資による利ざやが縮小したことや、経済全体の停滞により資金需要が減少したことが要因とされています。 安全性の面では、銀行は現金や債券といった流動資産を多く保有しており、固定資産比率はわずか1%未満と非常に低い水準を保っています。このため、経営の柔軟性や流動性の確保が可能です。 しかし、負債の大部分が預金によって賄われているため、自己資本比率は3%台から4%台と低く、収益性が低下すると資本の安定性が揺らぐリスクが指摘されています。 効率性については、総資産回転率(資産をどれだけ効率的に活用しているかを示す指標)は横ばいで推移していますが、利益率が低迷しているため、総資産利益率(ROA)は非常に低い水準となっています。これは、銀行が大規模な資産を持ちながらも、それを十分に活用して高い収益を上げることが難しい状況を反映しています。 また、2000年代初頭には多くの銀行が競争を繰り広げていましたが、バブル崩壊後の経済混乱を受け、業界全体で統合や再編が進みました。2002年から2004年にかけて市場集中が進行し、現在のメガバンクを中心とした業界構造が形成されました。これにより、銀行業界は規模の経済を活用しつつ、競争力の強化を目指すようになりました。 こうした背景から、銀行業界は現在、安定性を維持しながらも、収益性や効率性を改善する必要性に迫られています。また、低金利政策や技術革新、そして経済環境の変化が大きな影響を与えており、これに適応するためのさらなる変革が求められています。 銀行業界は、これらの課題を克服しながら、今後も重要な経済基盤としての役割を果たしていくことが期待されています。

銀行業界の市場規模とトレンド

銀行業界は、日本の経済を支える大きな柱であり、その市場規模は非常に巨大です。2022年度の全銀行の総資産合計は1,415兆円に達しており、この数字は日本経済の中で銀行業界がいかに重要な存在であるかを示しています。 内訳を見てみると、都市銀行が全体の58%を占め、地方銀行が35%、その他の銀行が8%となっています。この総資産は、2000年代前半から一貫して増加を続けており、とりわけ都市銀行と地方銀行の成長が顕著です。 銀行の基本的な役割である預金と貸出に目を向けると、2022年度の預金高は995兆円、貸出金高は663兆円です。預金額は安定して増加を続けていますが、2019年までは低金利政策や地域経済の停滞により、貸出金の増加が鈍化していました。 しかし、2020年以降、新型コロナウイルス感染症の影響で多くの企業が資金繰りに困難を抱えたため、政府が支援策を講じたことにより貸出金が増加する傾向が見られました。このように、経済環境の変化が銀行業務に与える影響は大きく、政策や市場動向に迅速に対応する力が銀行には求められます。 銀行の収益構造を見ると、都市銀行と地方銀行ともに貸出業務と有価証券運用が収益の大部分を占めています。2022年度の都市銀行の経常収益は13.2兆円で、そのうち69%が貸出業務や資金運用収益から成り立っています。地方銀行も同様に、経常収益の68%が貸出業務によるものです。 一方で、振込や送金などの手数料収入は都市銀行で16%と、全体の収益の中ではそれほど大きな割合を占めていません。このように、銀行業界は融資業務に大きく依存しており、その収益構造の改善が課題となっています。 また、低金利や地域経済の停滞などの影響を受けながらも、銀行業界は政府の施策や経済環境の変化に対応して市場規模を拡大しています。特に、資金運用の効率化や、新たな収益源の確保が重要なテーマとなっています。これには、デジタル技術の活用や新しいサービスの開発が不可欠であり、銀行業界はその変化に柔軟に適応することが求められています。 このように、銀行業界は経済の安定と成長を支える重要な役割を果たしている一方で、課題にも直面しています。それらを克服しながら進化を続けることが、銀行業界の今後の成長と日本経済の発展にとって鍵となるでしょう。

銀行業界のマクロ環境

銀行業界では、銀行法や信託業法、金融商品取引法などが基本的な枠組みを提供する一方、経済状況に応じて新たな規制や政策が導入されることがあります。 例えば、リーマンショック後には金融システムを強化するため、自己資本比率を規制する「BIS規制(バーゼルIII)」が適用されました。また、地方銀行が中小企業を支援する「中小企業金融円滑化法」や、相続税法の改正により遺産関連のサービスが広がるなど、環境変化に合わせた対応が求められています。 経済政策の影響も大きく、2016年に導入されたマイナス金利政策は、住宅ローンの借り換えを促進する一方で、貸出し業務の利ざや確保を難しくしました。また、地方経済の縮小は地方銀行にとって厳しい環境をもたらしていますが、富裕層や法人オーナー向けの資産運用や事業承継といった分野では新たなビジネスチャンスが生まれています。 さらに、2020年の新型コロナウイルス感染症の影響で企業の資金繰りが悪化し、政府が危機対応融資を発動するなど、経済政策の動向が銀行業界に直接的な影響を与えています。 技術の進展も業界に変革をもたらしています。ネット銀行の普及やFintech(フィンテック)を活用した新しい金融サービス、AIやクラウド技術の活用による業務効率化が進行中です。 例えば、三菱UFJ銀行はAIを使った住宅ローン審査を導入し、従来の1日かかる審査時間を15分に短縮しました。しかし、このような自動化の進展は、効率化を追求する一方で大規模な人員削減も伴っており、2017年度末にはメガバンク3社で合計3万2千人の削減計画が発表されました。これらは、収益性の伸び悩みに対応するための動きと言えます。 銀行業界は法規制、経済政策、技術革新という多面的な要因の影響を受けながら、事業モデルの転換と効率化を進めています。

銀行業界の相関図・業界地図

日本の銀行業界は、バブル崩壊後の再編を経て、現在はメガバンクを中心とする3大グループ(三菱UFJ、三井住友、みずほ)が10年以上にわたって安定した体制を維持しています。 しかし、長期的な低金利政策や人口減少、地域経済の停滞、ゆうちょ銀行との競争激化、法人融資の需要低下、さらにはマイナス金利の導入など、銀行を取り巻く環境は年々厳しくなっています。このような背景の中で、地方銀行を中心とした統合や提携が進んでおり、銀行業界の再編が続いています。 具体的な例として、以下のケースがあります。 これらの再編により、地方銀行は規模を拡大し、経営効率化や競争力強化を図っています。 一方、近年はネット銀行やATM専用銀行が存在感を増し、銀行業界に新たな風を吹き込んでいます。 これらの銀行は、参入母体によっていくつかのカテゴリーに分類されます。
  • 住信SBIネット銀行や大和ネクスト銀行のように金融サービス業界から派生したもの
  • PayPay銀行auじぶん銀行といったインターネットや通信事業者が展開するもの
  • イオン銀行やセブン銀行のように流通小売業界が参入したもの
これらの銀行は実店舗を持たないことで運営コストを大幅に削減し、その分を金利や手数料に反映させています。さらに、スマートフォンやパソコンを利用した取引の利便性や、セブン銀行のように全国各地のコンビニにATMを設置することで、利用者のアクセスしやすさを高めています。こうした取り組みが、多くの利用者に支持される要因となっています。 しかし、ネット銀行やATM専用銀行も課題に直面しています。特に、低金利環境が続く中で金利差による競争が困難になり、各銀行間での差別化が難しくなっている点が挙げられます。このため、特にネット専用銀行は、自社の強みを活かした独自のサービスを展開するなど、戦略の見直しを迫られているのが現状です。 例えば、一部のネット銀行では、ポイントサービスや他業種との提携を強化。利用者にとっての付加価値を高めようとしています。また、ATM専用銀行は地域や業界との連携を強化し、単なる現金引き出しサービスにとどまらず、幅広い金融機能を提供する方向へとシフトしています。

銀行業界の主要プレイヤーの動向

日本の銀行業界では、それぞれの銀行が特有の戦略やサービスを展開し、収益拡大や地域経済の活性化を目指しています。ここでは、以下の3点に焦点を当て、特徴や課題について詳しくご紹介します。
  • スルガ銀行】個人向けローン戦略と再出発
  • 【イオン銀行】特典活用で顧客を囲い込み
  • 【地方銀行】金融以外の価値提供で地域支援

【スルガ銀行】個人向けローン戦略と再出発

静岡県を拠点とするスルガ銀行は、1980年代後半に大きな事業転換を行い、それまで主力だった法人向け融資から、個人向けローンに特化した戦略へと舵を切りました。この戦略転換により、現在では貸出金残高の約9割が個人向けローンとなっています。 このような成果を支えているのが、先進的な自動審査システムや顧客データを活用したリスク管理システムです。これにより、ローン審査が迅速かつ効率的に行えるようになり、転職直後の人や独身女性といった、他の銀行では融資を受けにくい層への対応も可能となっています。 さらに、スルガ銀行はネット支店を活用し、地域を超えた広範なサービスも展開。例えば、「Tポイント支店」や「ANA支店」など、提携先の企業ごとにカスタマイズされたサービスを提供しています。これにより、住宅ローンやカードローンを提供するだけでなく、提携先のブランド価値を活用した新しい顧客層の開拓にも成功しています。 しかし、2018年には不動産投資ローンに関する不正が発覚し、経営に大きな打撃を受けました。この問題では、営業至上主義の企業文化が背景にあり、審査内容の改ざんや偽装といった不正行為が行われていたことが明らかになりました。 この影響で、スルガ銀行の信頼性は大きく損なわれました。その後、経営改革の一環として創業家が保有していた株式をノジマに売却し、事業モデルの抜本的な見直しを行うことで、新たなスタートを切りました。 さらに、新型コロナウイルス感染症の影響によって多くの企業や個人が経済的に厳しい状況に直面する中、スルガ銀行の収益は依然として減少傾向にあります。しかし、これを乗り越えるために、銀行としての基本的なサービスの見直しや新しい戦略の構築を進めています。 今後の課題は、失われた信頼を取り戻しながら、地域密着型のサービスと全国規模での展開を両立させることです。 スルガ銀行のこれまでの取り組みは、挑戦と挫折の繰り返しではありますが、地方銀行がどのようにして他行との差別化を図り、持続可能な成長を目指すかという観点で、他の銀行にも示唆を与えるモデルケースと言えるでしょう。

【イオン銀行】特典活用で顧客を囲い込み

イオン銀行は、2007年にイオングループが設立した銀行で、生活密着型のサービスを提供することで独自のポジションを築いています。この銀行は、主に住宅ローンを中心とした貸出業務で収益を上げており、特にイオンの主要顧客である主婦層に向けたサービスが充実しています。 たとえば、住宅ローンの契約者には、イオンでの買い物が5%引きになる特典が付与されており、家計を助けるメリットとして多くの利用者に支持されています。 さらに、イオン銀行は預金の集客にもユニークな工夫をしています。電子マネー「WAON」やクレジットカード機能が付いたキャッシュカードを契約することで、通常の6倍となる0.12%の預金金利を提供しています。この高金利設定は他の銀行には見られない特徴であり、多くの顧客にとって大きな魅力となっています。 これにより、イオン銀行はスーパーやコンビニ、映画館、ドラッグストアなどを網羅する「イオン経済圏」の形成に大きく貢献しています。イオン経済圏とは、イオングループの多岐にわたる事業を利用することで、日常生活のあらゆる場面で便利さとお得さを提供するエコシステムのことを指します。イオン銀行はその中核を担い、金融面での利便性を高めています。 また、新型コロナウイルス感染症の影響で資金繰りに困難を抱える顧客への融資や、新しいローンサービスの提供にも力を入れています。これにより、個人向けサービスをさらに充実させ、幅広いニーズに対応しています。さらに、近年では相続相談や税務相談の紹介サービスも開始し、金融だけでなく資産管理や相続といった分野にも事業を拡大しています。

【地方銀行】金融以外の価値提供で地域支援

地方銀行は、地域における重要な金融インフラとしての役割を担っていますが、現在、多くの地域で人口減少や企業数の減少が続いており、従来の資金貸出に依存したビジネスモデルだけでは安定した収益を維持することが難しくなっています。このような環境の中、地方銀行には、単なる金融サービスの提供を超えた新たな価値提供が求められています。 具体的には、地方銀行が地域商社としての機能を果たし、地元企業の商品を外部に販売する仕組みを構築する例や、経営コンサルティングを通じて中小企業の課題解決をサポートする取り組みが進んでいます。 また、IT導入支援やデジタル化のアドバイスを行い、地域企業の業務効率化や競争力強化を支援する動きも活発化。これにより、地域経済の活性化を目指す役割を担っています。 加えて、地方銀行は地域密着型の強みを生かし、地元の企業や住民と連携してイベントを開催したり、観光や農業の振興に協力するなど、地域全体の価値を高める活動にも注力しています。このような「金融+α」の取り組みを進めることで、地方銀行は地域経済の発展に寄与し、存在感を高めることを目指しています。

銀行業界の今後の業界展望

新型コロナウイルス感染症の拡大や長引く低金利政策は、銀行業界に大きな影響を与えています。融資業務や住宅ローンの収益が伸び悩む一方で、銀行は地域経済や企業を支える使命を果たしながら、新たな収益源やビジネスモデルの模索を続けています。 ここでは、銀行業界が直面する課題とその対応について以下の2点に焦点を当てて解説します。
  • 新型コロナウイルス感染症による業界への影響
  • 銀行業界は手数料ビジネスと新領域で模索

新型コロナウイルス感染症による業界への影響

世界的な政策金利の引き下げにより、銀行は本業である融資業務から得られる利益が減少しています。これに加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で金融市場が混乱し、多くの企業が経営不振に陥ったことで、貸し付けたお金を回収できない可能性が高まりました。 このような状況では、銀行は倒産リスクや債権回収の難しさに備えて追加の費用を計上する必要があり、それが利益の減少に直結しています。 特に地方銀行は中小企業や個人事業主との取引が多いため、その影響を強く受けています。中小企業や個人事業主はコロナ禍で売り上げが減少し、資金繰りに困るケースが増えており、地方銀行は地域経済を支えるという使命のもと、緊急融資の提供に積極的に取り組んでいます。 しかし、融資が増えればその分返済不能のリスクも高まり、信用リスクの課題が大きな問題です。 こうした状況を受けて、政府は2020年8月に改正金融機能強化法を施行し、銀行が企業に出資できる比率を一時的に引き上げました。この改正により、銀行は融資だけでなく、企業への出資を通じて経営を直接支援できるようになりました。 これにより、コロナ禍で業績不振に陥った企業を支援し、地域経済や産業全体を支える役割が、銀行にさらに強く求められるようになっています。 今後、銀行は貸し倒れリスクを管理しながら、地域や企業を支援するというバランスの取れた対応を迫られるとともに、経済回復に向けた重要な役割を果たしていくことが期待されています。

銀行業界は手数料ビジネスと新領域で模索

銀行業界は、低金利や人口減少などの影響で貸出業務や住宅ローンからの収益拡大が難しい状況です。特に国内の住宅着工件数が減少していることや、新型コロナウイルス感染症の影響で住宅ローン滞納リスクが高まっていることが課題となっています。 一方で、相続関連の資産運用や高所得者向けのプライベートバンキングといった手数料ビジネスの分野でのサービス拡大が進められています。 また、低金利を背景に活況を呈していた「賃貸住宅バブル」は、金利上昇局面で崩壊する可能性が指摘されており、今後の動向が注目されています。さらに、技術革新の進展により、AIやビッグデータを活用した新しい融資サービスやFintech(フィンテック)の導入が期待されています。 ただし、規制の少ないFintechベンチャーや異業種企業との競争も激化しており、銀行には新たな戦略が求められています。 銀行業界は効率化や新サービスの開発を進めつつ、手数料ビジネスや異業種との協力による収益確保を模索していますが、ビジネスモデル自体の大きな変革が求められる可能性もあります。

銀行業界の未来を切り開く進化と挑戦

日本の銀行業界は、長期的な低金利政策や人口減少、地域経済の停滞といった課題に直面しつつ、さまざまな戦略で収益拡大と役割の再定義を進めています。技術革新の進展により、FintechやAIを活用した新サービスの開発が進む一方、異業種との競争や市場の変化への対応も必要です。 特に、相続や資産運用といった新分野でのビジネスチャンスや、ネット銀行の台頭が注目される中、銀行は従来のビジネスモデルを超えた変革が必要となるでしょう。 なおBIZMAPSでは、オリジナルタグを用いて多様なアプローチで企業情報を検索できます。銀行業界の企業はもちろん、国内200万社以上の企業の基本情報が無料で閲覧でき、売上や従業員数などの情報を基にターゲット企業を絞り込むことが可能です。 ▼その他の法人営業ハックの業界企業の特集はこちら! 百貨店・スーパー業界の現状とは?トレンドや今後の展望も考察 総合商社業界とは?最新の動向から今後の展望まで解説します! 倉庫業界とは?物流の効率化と社会を支える重要な産業を徹底解説! 海運業界を徹底解説!企業提携やモーダルシフトなど業界の最新動向も 空運業界とは?成長のカギとなる構造と主要プレイヤーの動向を徹底解説 バス業界が抱える深刻な課題とは?主要プレーヤーの動向や今後の展望も解説 トラック輸送業界と2024年問題!宅配や引越し各分野の動向も解説 保険業界を取り巻く環境を徹底解説!トレンドや主要プレイヤーの動向も

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