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イベント・ディスプレイ業界とは
イベント・ディスプレイ業界は、企業や行政機関、各種団体からの需要に基づいて活動する業界です。業界ではイベントやディスプレイの企画、設計、施工、運営までを一貫して行い、顧客のニーズに応えることを目的としています。 具体的には、企業や団体が実施するイベントの企画立案、会場設営、運営、撤去、PRなどを担当するイベント業者と、店舗や博物館などの施設の内装や外装、展示装置、機械設備の演出を行うディスプレイ業者がイベント・ディスプレイ業界に含まれます。 イベント・ディスプレイ業界では、顧客の要望に応じたオーダーメイドの企画設計が行われ、季節変動や案件内での稼働のばらつきが高いのが特徴です。イベント業務とディスプレイ業務はそれぞれ異なる特性を持ち、いずれも外注依存が強いサービス構造となっています。イベント業務の特徴
イベント業務は様々な目的と形態があり、多岐にわたる事業者が関与します。日本イベント産業振興協会では、イベント関連産業を10の産業に区分しています。 これには企業や団体の販促・PRを目的とした広告関連イベント、試写会などのイベント専業、国際会議や学術会議のコンベンション、新商品のデモを目的としたレンタル・ディスプレイ、地域の祭りやフェスティバル、さらに施設や警備、印刷、設備、人材派遣、商店街イベント、花火大会、会議・小セミナーが含まれます。 これらのイベントはオーダーメイドで企画され、非定型的で人材依存度が高く、音響や施工など多種多様な業務との連携が必要です。季節変動が大きく、特に3月や9月の需要が高まる傾向があります。また、オリンピックや国際会議などの特定イベントの開催年には関連イベントが増加します。ディスプレイ業務の特徴
ディスプレイ業務は、顧客の施設に応じて調査企画からアフターケアまで一貫して労務提供を行います。 ディスプレイ業務は施工対象により分類され、商業施設の内外装や展示施設、博覧会のジオラマ、文化施設の展示装置、娯楽施設の音響映像、公共施設のモニュメントや花壇など、幅広い分野で活動しています。ディスプレイ業者は関連企業が多く、外注の比率が高いです。 業務の流れは調査企画、設計、工事管理、制作施工、アフターケアの6段階に分かれ、各段階で顧客の要望に応じたサービスを提供します。受注段階で納期が決まるため、後工程では過密労働が発生することもあります。 イベント・ディスプレイ業界は、多くの専門業務が絡み合うため、外注依存度が高く、各プロセスでの調整が重要です。また、業界では企画立案からアフターケアまでの一貫したサービス提供が求められ、顧客との密なコミュニケーションが不可欠となります。イベント・ディスプレイ業界の構造
イベント・ディスプレイ業界の市場規模
イベント・ディスプレイ業界のビジネスモデル
イベント・ディスプレイ業界は、顧客企業の広告費や販売促進費の動向に大きく影響を受けるビジネスモデルを持っています。広告費や販促費の変動は景気動向に密接に関連しており、業界全体の業績にも大きな波及効果があります。また、業務の多くを外注に依存しているため、関連業種との協力が欠かせません。
ディスプレイ業界では、施工対象となる施設の動向や建設投資の影響も受けやすく、人材への依存度が高い労働集約的な業界となっています。イベント業界も同様に、労働集約型の側面が強く、専門的なスキルを持つ人材の確保が重要です。
競争環境は比較的厳しく、多数の企業が競争する成熟した市場です。参入障壁が低く、関連業種からの新規参入も盛んなため、業界内の競争は激しさを増しています。また、顧客企業や広告代理店の要望に応える形で業務を行うため、外注先の交渉力は相対的に弱くなる傾向があります。
市場は多数乱戦の状態にあり、特定分野に特化した企業や元請けに近い立場の企業が競争優位を保っています。顧客企業の多くは行政機関やブランド力のある企業であり、買い手の交渉力も強いです。広告代理店が仲介する場合、その動向にも大きく影響を受けます。
その結果、業界内では価格競争や高稼働のリスクが常に存在し、企画力や対応力の高い企業が生き残りをかけて戦う状況が続いています。業界全体としては、リアルとオンラインを融合した新しい展示方法やデジタル技術を活用した提案活動など、ニューノーマルに対応する取り組みが求められています。
イベント・ディスプレイ業界の現状
イベント・ディスプレイ業界の業界地図
イベント・ディスプレイ業界は、広告代理店系列や商業施設系列の企業が参入しているだけでなく、独立系企業の存在感も強いです。 広告代理店系列、商業施設系列、独立系企業が混在し、各企業がそれぞれの強みを活かして業界内で競争しています。この多様性が、業界全体の活力と成長を支える要因となっています。イベント業界
イベント業界の主要企業には、電通プロモーションプラス(旧電通テック)、博報堂プロダクツ、ADKクリエイティブ・ワンなどの大手広告代理店系が名を連ねます。これらの企業は特に広告・販促領域との関連性が深く、幅広い事業を展開しています。 また、テー・オー・ダブリュー、セレスポ、オリコム、日展、博展といった企業も有力なプレイヤーです。これらの大手企業は、広告・販促を中心に多岐にわたるサービスを提供しており、業界の中核を担っています。ディスプレイ業界
ディスプレイ業界の主要企業には、乃村工藝社や丹青社といった業界をリードする企業が存在します。これらの企業は、高い技術力とデザイン力で知られています。 また、高島屋スペースクリエイツやパルコスペースシステムズといった商業施設子会社系の企業も参入しており、商業施設の内外装や展示装置の制作を手掛けています。さらに、スペース、船場、ラックランド、レイなどの企業もディスプレイ業界で重要な役割を果たしています。 この業界では、大手企業のシェアはそれほど高くなく、中小企業が多くを占めているのが特徴です。特に、中小企業は地域密着型のサービスや特定分野に特化したサービスを提供することで競争力を保っています。イベント・ディスプレイ業界の大手企業
テー・オー・ダブリュー
テー・オー・ダブリューは、イベント企画運営の大手企業で、主に電通や博報堂といった広告代理店大手からの受注をメインに事業を展開しています。従来のPR手法に加えて、デジタル技術や映像制作技術を活用したイベントプランニングを行っており、特にデジタルマーケティング各社との連携を積極的に進めています。 近年の実績としては、PR会社マテリアルとの共同プロジェクト「PRモーションズ」、面白法人カヤックとのデジタル技術を活用したプロジェクト「バズるイベントTOWAC」、太陽企画との映像制作技術を活用したプロジェクト「ヴィジュアル・エクスペリエンスユニット T×T」などがあります。 また、データを収集して分析し、顧客の商品やブランドへの感じ方を予測することで宣伝の精度を向上させる「体験デザイン」を新たな方向性として掲げています。 官公庁の大型案件やオリンピック関連の受注で、2019年度まで増収増益を続けていましたが、2020年度はコロナ禍により大幅な減収を記録。その後、横ばいの状態が続いています。しかし、今後はリアルイベントの需要回帰を取り込み、業績拡大を図る方針です。乃村工藝社
乃村工藝社は、ディスプレイ業界最大手の老舗企業で、展示施設や商業施設、博物館などのディスプレイ企画・設計・施工・運営管理を手掛けています。著名な施工実績には、愛知万博の政府館の展示制作や1/1実物大ガンダムなどがあります。 乃村工藝社は、エンジニアリング、デザイン、アフターサービスの各領域で新技術の活用や他社との連携を積極的に進めています。 例えば、2013年には日立製作所と協業して空間データ・マネジメント・プラットフォームを開発し、2014年には美術やデザインを中心とした印刷出版サービスを提供する六耀社を買収。2015年には設計プロフェッショナル集団スクエアを子会社化し、2016年にはデザインオフィス「nendo」との協業を開始しました。 さらに、2017年には店舗メンテナンスサービスを提供するシンプロメンテと資本・業務提携し、2019年にはNTTドコモと協業して空間演出とIoT技術を活用した新たなコミュニケーションの実現を目指しています。 新型コロナウイルスの影響で、同社の2020年度の業績は大きな打撃を受けました。複数の大型案件の完工遅れや各種催事、展示会・イベントの延期・中止、店舗の臨時休業や営業時間短縮が原因で、売上高は前期比で25%減となりました。2021年度には増収増益に転じましたが、2022年度は横ばいで、コロナ禍前の水準には戻っていません。イベント・ディスプレイ業界の今後の展望は?
技術革新と市場の拡大
コロナ禍収束後、イベント・ディスプレイ市場は拡大が見込まれています。景気回復に伴い、広告費や販促費が増大し、業界は好転するでしょう。 また、「コト消費」と呼ばれる体験重視の消費傾向が拡大することで、新たな需要が喚起される見込みです。プロジェクションマッピングやVR、AR、IoTなどの先端技術を活用した新しい演出技術が普及し、顧客を魅了する新しい体験が提供されるでしょう。注目の企業
今後の業界をリードする存在として、チームラボやライゾマティクスなどデジタル技術を駆使した演出を手掛ける企業が注目されています。 チームラボは、プログラマやロボットエンジニア、数学者、建築家、グラフィックデザイナーなど多様な人材を抱えるウルトラテクノロジスト集団で、芸術を主体とした先鋭的なディスプレイを行います。同社のデジタルアートミュージアムは、米Times誌が選ぶ「世界で最も素晴らしい場所」に掲載されるなど、空間演出において高い評価を得ています。 イベント・ディスプレイ業界は、技術革新とともに新たな展開を迎え、消費者の体験重視の傾向に応える形で進化していくでしょう。イベント・ディスプレイ業界市場の再拡大に注目

人材サービス・求人広告などの営業を経て、現在Webライターとして活動中。文章の書き方や人材業界について、日経ビジネスで勉強しています。月30本観るレベルの映画好きで、感想ブログも始めました!(夕方からシネマ/https://yuugatakaracinema.blog)
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