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企業の広告や宣伝、マーケティングなどを支えるイベント・ディスプレイ業界。新型コロナウイルスの影響で一時需要が激減し、業界全体が厳しい局面を迎えていましたが、そのような中でもイベントをオンラインに移行するなど、各社は工夫を重ねてきました。そして社会全体がコロナ禍を経て次の段階に入った今、業界の新しいサービスに注目が集まっています。 本記事ではイベント・ディスプレイ業界の構造や市場規模、業界の展望について解説していきます。 またイベント・ディスプレイ業界の中から、業界を代表する大手企業の動向なども紹介しており、それ以外のイベント・ディスプレイ業界の企業情報は「イベント」「企業展示会・販促イベント」「インテリアデザイン」「土木設計」「大型商業施設・公共施設建設」から確認できます。 登録企業数200万社以上の企業検索サービス「BIZMAPS」に掲載されているイベント・ディスプレイ業界の企業や団体は、全部で約28,800社です。法人営業でイベント・ディスプレイ業界にアプローチを検討中の皆さんは、ぜひ営業戦略立案の参考にしてください。

イベント・ディスプレイ業界とは

イベント・ディスプレイ業界は、企業や行政機関、各種団体からの需要に基づいて活動する業界です。業界ではイベントやディスプレイの企画、設計、施工、運営までを一貫して行い、顧客のニーズに応えることを目的としています。 具体的には、企業や団体が実施するイベントの企画立案、会場設営、運営、撤去、PRなどを担当するイベント業者と、店舗や博物館などの施設の内装や外装、展示装置、機械設備の演出を行うディスプレイ業者がイベント・ディスプレイ業界に含まれます。 イベント・ディスプレイ業界では、顧客の要望に応じたオーダーメイドの企画設計が行われ、季節変動や案件内での稼働のばらつきが高いのが特徴です。イベント業務とディスプレイ業務はそれぞれ異なる特性を持ち、いずれも外注依存が強いサービス構造となっています。

イベント業務の特徴

イベント業務は様々な目的と形態があり、多岐にわたる事業者が関与します。日本イベント産業振興協会では、イベント関連産業を10の産業に区分しています。 これには企業や団体の販促・PRを目的とした広告関連イベント、試写会などのイベント専業、国際会議や学術会議のコンベンション、新商品のデモを目的としたレンタル・ディスプレイ、地域の祭りやフェスティバル、さらに施設や警備、印刷、設備、人材派遣、商店街イベント、花火大会、会議・小セミナーが含まれます。 これらのイベントはオーダーメイドで企画され、非定型的で人材依存度が高く、音響や施工など多種多様な業務との連携が必要です。季節変動が大きく、特に3月や9月の需要が高まる傾向があります。また、オリンピックや国際会議などの特定イベントの開催年には関連イベントが増加します。

ディスプレイ業務の特徴

ディスプレイ業務は、顧客の施設に応じて調査企画からアフターケアまで一貫して労務提供を行います。 ディスプレイ業務は施工対象により分類され、商業施設の内外装や展示施設、博覧会のジオラマ、文化施設の展示装置、娯楽施設の音響映像、公共施設のモニュメントや花壇など、幅広い分野で活動しています。ディスプレイ業者は関連企業が多く、外注の比率が高いです。 業務の流れは調査企画、設計、工事管理、制作施工、アフターケアの6段階に分かれ、各段階で顧客の要望に応じたサービスを提供します。受注段階で納期が決まるため、後工程では過密労働が発生することもあります。 イベント・ディスプレイ業界は、多くの専門業務が絡み合うため、外注依存度が高く、各プロセスでの調整が重要です。また、業界では企画立案からアフターケアまでの一貫したサービス提供が求められ、顧客との密なコミュニケーションが不可欠となります。

イベント・ディスプレイ業界の構造

イベント・ディスプレイ業界の企業は、主要顧客である行政、民間業者、各種団体などから販売促進や広告宣伝、情報伝達を目的とした業務を委託されます。 受注形式には、顧客からの直接受注や、広告代理店などの総合演出企業の下請けとしての受注があります。業界内には、企画から制作までを一貫して行う企業もあれば、制作を中心に業務を行う企業も存在し、多様なプレイヤーが競い合っています。 イベント・ディスプレイ業界は労働集約的な側面が強く、中小企業の参入も多いのが特徴です。また、映像演出、音響、制作物の制作、プロモーションなど、多岐にわたる業務を外注する傾向があり、関連業種も非常に多いのも業界の特徴です。 このため、業界内の各企業は全体の企画と監理運営に注力し、効果的なマネジメントを行うことで競争力を保っています。 業界への参入プレイヤーは、広告代理店子会社や小売店子会社などのサービス系、建設施工に出自を持つ建設系、各種展示装置や機械設備の製造に出自を持つ製造系に分類されます。サービス系の企業は企画運営に強みを持ち、建設・製造系の企業は制作施工に強みがあります。 これらのプレイヤーはそれぞれの特徴を生かして市場に参入し、業界内での競争を繰り広げています。

イベント・ディスプレイ業界の市場規模

イベント・ディスプレイ業界は、コロナ禍以前には堅調に成長を続けていましたが、2020年のパンデミックによるイベントの中止や縮小が大きな影響を与えました。業界の市場規模はほぼ半減し、イベントの実施形態にも大きな変化が見られました。多くの企業がオンラインを活用した新たな演出や展示方法を取り入れる契機となりました。 この業界は他業界との垣根が低いため、市場実態を正確に把握するデータが少ないのが現状です。日本イベント産業振興協会のデータや主要3社の売上高から、業界の市場規模や動向を推測することが一般的です。 日本イベント産業振興協会によると、2022年度のイベント関連産業の市場規模は「イベント専業」が1,889億円、「広告関連イベント」が1,704億円、「警備・印刷・設備・人材派遣・ソフトウェア」が1,064億円となっています。 コロナウイルス感染症拡大の影響で2020年には市場が半減しましたが、2022年には規制の緩和や撤廃により、コロナ禍前の8割程度まで復調しています。 一方、ディスプレイ業界の主要3社の2022年度の売上高合計は2,219億円で、コロナ禍前の2,755億円から大きく減少しています。この業界は中小の内装事業者が多く、イベントや展示会の延期・中止で大きな打撃を受けました。2009年の経済危機以来、堅調に拡大してきたものの、コロナ禍の影響で回復が遅れています。 現在、リアル空間とオンライン空間を融合した店舗づくりやデジタル技術を活用した展示空間の演出など、新たな取り組みが進められています。これらの取り組みが業界の復調を支える鍵となるでしょう。

イベント・ディスプレイ業界のビジネスモデル

イベント・ディスプレイ業界は、顧客企業の広告費や販売促進費の動向に大きく影響を受けるビジネスモデルを持っています。広告費や販促費の変動は景気動向に密接に関連しており、業界全体の業績にも大きな波及効果があります。また、業務の多くを外注に依存しているため、関連業種との協力が欠かせません。

ディスプレイ業界では、施工対象となる施設の動向や建設投資の影響も受けやすく、人材への依存度が高い労働集約的な業界となっています。イベント業界も同様に、労働集約型の側面が強く、専門的なスキルを持つ人材の確保が重要です。

競争環境は比較的厳しく、多数の企業が競争する成熟した市場です。参入障壁が低く、関連業種からの新規参入も盛んなため、業界内の競争は激しさを増しています。また、顧客企業や広告代理店の要望に応える形で業務を行うため、外注先の交渉力は相対的に弱くなる傾向があります。

市場は多数乱戦の状態にあり、特定分野に特化した企業や元請けに近い立場の企業が競争優位を保っています。顧客企業の多くは行政機関やブランド力のある企業であり、買い手の交渉力も強いです。広告代理店が仲介する場合、その動向にも大きく影響を受けます。

その結果、業界内では価格競争や高稼働のリスクが常に存在し、企画力や対応力の高い企業が生き残りをかけて戦う状況が続いています。業界全体としては、リアルとオンラインを融合した新しい展示方法やデジタル技術を活用した提案活動など、ニューノーマルに対応する取り組みが求められています。

イベント・ディスプレイ業界の現状

イベント・ディスプレイ業界は、活発な経済活動に支えられた業界です。コロナ禍の影響で外出自粛や大規模イベントの制限が続いていましたが、現在では商業施設やアミューズメント施設が通常営業に戻りつつあり、客足も回復しています。 海外ブランド品を扱う専門店市場では、富裕層の購買が堅調で、イベントや店舗の改装・装飾需要が好調です。一方、百貨店や量販店市場はインバウンド需要の減少により厳しい状況が続いていましたが、サービス面の強化に伴い、イベント・ディスプレイ需要が復調しつつあります。 また、博覧会やイベント市場は経済活動の再開とともに需要が回復し、業界では今後も消費者マインドの好転により市場拡大が期待されています。 さらに、各市場ではデジタル技術の活用が進んでおり、プロジェクションマッピングやVR、ARを使ったオンライン空間の演出が普及しています。消費者の価値観もモノ消費からコト消費へと変わり、体験や経験に対する需要が高まる中で、イベント・ディスプレイ業界は他業界との連携を深め、演出力の向上を図っています。

イベント・ディスプレイ業界の業界地図

イベント・ディスプレイ業界は、広告代理店系列や商業施設系列の企業が参入しているだけでなく、独立系企業の存在感も強いです。 広告代理店系列、商業施設系列、独立系企業が混在し、各企業がそれぞれの強みを活かして業界内で競争しています。この多様性が、業界全体の活力と成長を支える要因となっています。

イベント業界

イベント業界の主要企業には、電通プロモーションプラス(旧電通テック)、博報堂プロダクツADKクリエイティブ・ワンなどの大手広告代理店系が名を連ねます。これらの企業は特に広告・販促領域との関連性が深く、幅広い事業を展開しています。 また、テー・オー・ダブリューセレスポオリコム日展博展といった企業も有力なプレイヤーです。これらの大手企業は、広告・販促を中心に多岐にわたるサービスを提供しており、業界の中核を担っています。

ディスプレイ業界

ディスプレイ業界の主要企業には、乃村工藝社丹青社といった業界をリードする企業が存在します。これらの企業は、高い技術力とデザイン力で知られています。 また、高島屋スペースクリエイツパルコスペースシステムズといった商業施設子会社系の企業も参入しており、商業施設の内外装や展示装置の制作を手掛けています。さらに、スペース船場ラックランドレイなどの企業もディスプレイ業界で重要な役割を果たしています。 この業界では、大手企業のシェアはそれほど高くなく、中小企業が多くを占めているのが特徴です。特に、中小企業は地域密着型のサービスや特定分野に特化したサービスを提供することで競争力を保っています。

イベント・ディスプレイ業界の大手企業

イベント・ディスプレイ業界は労働集約型で、VRなどユーザーの興味をひく新技術のサービスがあれば顧客を獲得しやすいのが特徴です。そのため中小企業も多く活躍する業界ですが、ここでは業界を代表する大手企業2社を紹介します。 ・テー・オー・ダブリュー ・乃村工藝社 それぞれの企業の動向について解説します。

テー・オー・ダブリュー

テー・オー・ダブリューは、イベント企画運営の大手企業で、主に電通や博報堂といった広告代理店大手からの受注をメインに事業を展開しています。従来のPR手法に加えて、デジタル技術や映像制作技術を活用したイベントプランニングを行っており、特にデジタルマーケティング各社との連携を積極的に進めています。 近年の実績としては、PR会社マテリアルとの共同プロジェクト「PRモーションズ」、面白法人カヤックとのデジタル技術を活用したプロジェクト「バズるイベントTOWAC」、太陽企画との映像制作技術を活用したプロジェクト「ヴィジュアル・エクスペリエンスユニット T×T」などがあります。 また、データを収集して分析し、顧客の商品やブランドへの感じ方を予測することで宣伝の精度を向上させる「体験デザイン」を新たな方向性として掲げています。 官公庁の大型案件やオリンピック関連の受注で、2019年度まで増収増益を続けていましたが、2020年度はコロナ禍により大幅な減収を記録。その後、横ばいの状態が続いています。しかし、今後はリアルイベントの需要回帰を取り込み、業績拡大を図る方針です。

乃村工藝社

乃村工藝社は、ディスプレイ業界最大手の老舗企業で、展示施設や商業施設、博物館などのディスプレイ企画・設計・施工・運営管理を手掛けています。著名な施工実績には、愛知万博の政府館の展示制作や1/1実物大ガンダムなどがあります。 乃村工藝社は、エンジニアリング、デザイン、アフターサービスの各領域で新技術の活用や他社との連携を積極的に進めています。 例えば、2013年には日立製作所と協業して空間データ・マネジメント・プラットフォームを開発し、2014年には美術やデザインを中心とした印刷出版サービスを提供する六耀社を買収。2015年には設計プロフェッショナル集団スクエアを子会社化し、2016年にはデザインオフィス「nendo」との協業を開始しました。 さらに、2017年には店舗メンテナンスサービスを提供するシンプロメンテと資本・業務提携し、2019年にはNTTドコモと協業して空間演出とIoT技術を活用した新たなコミュニケーションの実現を目指しています。 新型コロナウイルスの影響で、同社の2020年度の業績は大きな打撃を受けました。複数の大型案件の完工遅れや各種催事、展示会・イベントの延期・中止、店舗の臨時休業や営業時間短縮が原因で、売上高は前期比で25%減となりました。2021年度には増収増益に転じましたが、2022年度は横ばいで、コロナ禍前の水準には戻っていません。

イベント・ディスプレイ業界の今後の展望は?

イベント・ディスプレイ業界は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を大きく受けました。 2020年には政府の緊急事態宣言を受けて不要不急の外出自粛が呼びかけられ、展示会や商業施設、文化施設のオープンが延期されるなど、多くの催事がオンラインでのみ開催される状況になりました。 コロナ禍の期間中に定着したオンラインイベントの需要は今後も続くと予想されます。また、政府による「Go To イベント」キャンペーンの支援により、オフラインイベントの活性化も進んでいます。

技術革新と市場の拡大

コロナ禍収束後、イベント・ディスプレイ市場は拡大が見込まれています。景気回復に伴い、広告費や販促費が増大し、業界は好転するでしょう。 また、「コト消費」と呼ばれる体験重視の消費傾向が拡大することで、新たな需要が喚起される見込みです。プロジェクションマッピングやVR、AR、IoTなどの先端技術を活用した新しい演出技術が普及し、顧客を魅了する新しい体験が提供されるでしょう。

注目の企業

今後の業界をリードする存在として、チームラボライゾマティクスなどデジタル技術を駆使した演出を手掛ける企業が注目されています。 チームラボは、プログラマやロボットエンジニア、数学者、建築家、グラフィックデザイナーなど多様な人材を抱えるウルトラテクノロジスト集団で、芸術を主体とした先鋭的なディスプレイを行います。同社のデジタルアートミュージアムは、米Times誌が選ぶ「世界で最も素晴らしい場所」に掲載されるなど、空間演出において高い評価を得ています。 イベント・ディスプレイ業界は、技術革新とともに新たな展開を迎え、消費者の体験重視の傾向に応える形で進化していくでしょう。

イベント・ディスプレイ業界市場の再拡大に注目

今回の記事では、イベント・ディスプレイ業界の現状と今後の展望について解説しました。 イベント・ディスプレイ業界は新型コロナウイルス感染拡大という苦境を乗り越え、市場は回復傾向にあります。現在では新技術を駆使してユーザーにまったく新しい体験を提供するVRやAR、プロジェクションマッピングなどのサービスに注目が集まるようになりました。今後は新規参入企業も増えて、さらに業界は活気づいてゆくでしょう。 法人営業の皆様は、本記事で紹介したイベント・ディスプレイ業界の概要を参考にして、効果的な営業戦略を構築してください。また、無料で毎月100社まで法人データをダウンロードできるBIZMAPSを利用すれば、さまざまな属性や条件で企業を検索できます。営業戦略の立案にぜひご活用ください。 ▼BIZMAPSに掲載中の企業特集はこちらから! BtoB受発注の未来を切り拓くアイミツクラウド:注目企業紹介10 プロジェクションマッピングは成長市場の技術!主な制作会社を紹介NANO OPT Mediaとは?主催イベント出展企業を紹介! 「日本ものづくりワールド」とは?イベント概要と製造業の企業を紹介! ▼そのほかの業界特集はこちらから! Eコマース業界とは?注目の最新トレンドや今後の動向を徹底解説! 空運業界とは?成長のカギとなる構造と主要プレイヤーの動向を徹底解説 通信業界はさらに発展!?現状と動向を解説!売上ランキング15社も紹介! エンターテインメント業界の最新の動向から導き出す今後の展望は?

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