へたれぱんだ 0 Comments
ビル管理業界はビルマネジメントやメンテナンス、建物維持管理などの業務を請け負っている業界です。近年の都市開発によるビル増加、さらにコストダウンを目的とした管理のアウトソーシングの傾向により、業界は順調に発展を続けています。 本記事ではビル管理業界の勢力図や市場規模、今注目すべき業界の最新動向について解説していきます。 またビル管理業界の中から、業界を代表する大手企業の動向なども紹介しており、それ以外のビル管理業界の企業情報は「ビルメンテナンス」「不動産管理」から確認できます。 登録企業数200万社以上の企業検索サービス「BIZMAPS」に掲載されているビル管理業界の企業や団体は、全部で約14,000社です。法人営業でビル管理業界にアプローチを検討中の皆さんは、ぜひ営業戦略立案の参考にしてください。

ビル管理業界とは

ビル管理業界は、ビルやマンションなどの建物を対象にさまざまな管理業務を請け負う事業者が集まる業界です。これらの管理業務は、建物全体の運営を管理するビルマネジメント業務に加え、ビルメンテナンス、建物維持管理、管理・サービスの三つの主要業務に分かれます。 ビル管理サービスは、多岐にわたる不動産管理業務の組み合わせで成り立っています。具体的には、ビルマネジメント業務のもとに、清掃・衛生、設備管理、警備保障を担当するビルメンテナンス業務、空調や給排水などのインフラ設備の維持管理を行う建物維持管理業務、そしてビル運営に関わる人的サービスを提供する管理・サービス業務があります。 ビル管理サービスの費用は、主に業務を遂行するための技能の専門性と必要とする労働力の量によって決まります。特定の機械や設備を扱うビルメンテナンスおよび建物管理の業務では、ビルクリーニング技能士や清掃作業監督者、電気主任技術者、ボイラー技士など、業務内容に応じた資格が細かく設定されています。 また、ビル管理事業の労働集約的な性質を反映し、労働力の確保が高い重要性を持ちます。例えば、広範囲で高頻度の清掃・衛生業務は専門性がそれほど高くないにもかかわらず、大きな売上を占める傾向があります。

ビル管理業界の業界構造

ビル管理業界は、ビルやマンションなどの建物オーナーや経営者から管理業務を受託する業界です。業務は主にビル管理とマンション管理に分かれますが、大手企業では両方を扱うことが一般的です。

この業界のバリューチェーンは比較的シンプルです。不動産の所有者や経営者から管理業務を受託し、その業務を自社で行うか、下請け業者に再委託する形態が一般的です。ただし、下請け業者もさらに清掃や警備など専門業者に業務を委託することがあり、複数の層が重なった下請け関係が存在します。

顧客としては、企業と官公庁が保有する不動産が主な対象です。企業が保有する不動産はCRE(Corporate Real Estate)、官公庁の不動産はPRE(Public Real Estate)と呼ばれます。

2000年代以降、不動産の証券化が進展し、所有と経営が分離されるようになったため、アセットマネジメント(AM)会社やプロパティマネジメント(PM)会社からの管理受託も増えています。

ビル管理業界はこのように多層的な構造を持ち、効率的かつ効果的な管理を提供することが求められています。

ビル管理業界のビジネスモデル

ビル管理業界は、ほとんどの業務が人手を必要とする典型的な労働集約型産業です。この特徴は、ビル管理の経営効率化を困難にする一方で、不動産オーナーやアセットマネジメント(AM)、プロパティマネジメント(PM)会社が管理業務を外部委託する大きな動機にもなっています。 ビル管理業界の競争環境は非常に激しく、各企業の収益性が圧迫されやすいのが現状です。業界全体としてアウトソーシング需要は高いものの、参入障壁が低いため供給過剰になりやすく、規模の経済が働きにくいこともあり、大手企業への集約も進んでいません。 その結果、競争の激しさから得られる収益・利益は限定的であり、今後も厳しい環境が続くと考えられます。

競争要因と収益性向上のポイント

ビル管理業界のKFS(キーファクターサクセス)は、顧客との関係性強化と囲い込みによる価格競争からの脱却、およびシステム化・自動化による労働集約型産業からの脱却です。 ビル管理業者は、価格競争に巻き込まれず、収益性を確保することが重要です。高いレベルのサービスを提供し、顧客との関係性を強めることで価格競争を避け、契約の継続を獲得することが求められます。また、資産管理や不動産管理全体の受託という形でAM、PM、FM(ファシリティマネジメント)領域に進出することも有効です。 コスト面では、費用の大半を占める人件費や外注費をいかに低く抑えるかが重要です。管理業務のシステム化や機械による自動化を進め、労働集約的な要素を減らすことが競争力の強化に役立ちます。技術革新を取り入れることで、ビル管理業界はより効率的かつ収益性の高いビジネスモデルを構築することが期待されています。

ビル管理業界の市場規模

ビル数の増加に伴い、管理業務のアウトソーシング需要が高まったことで、ビル管理業界の市場は拡大しています。

全国ビルメンテナンス協会の推計によれば、2021年度の市場規模は4.3兆円に達しています。1980年代後半には、ビル建設投資が盛んになり、ビルメンテナンス市場も拡大しました。バブル崩壊後には、新規ビル着工が急減しましたが、不動産オーナーがコスト削減のために管理業務をアウトソーシングする動きが進みました。

日本銀行調査統計局の「企業向けサービス価格指数」によると、1990年前後にはビル数の増加に伴いビル管理業務の需要が増え、価格上昇が見られました。しかし、2000年以降、コスト意識の高まりにより価格は下落しました。

近年では、需要の変動が緩やかとなり、業界内の価格競争も一段落し、価格指数は上昇傾向にあります。コロナ禍においても需要は減退せず、価格の上昇が続いています。

ビル管理業界の現状

ビル管理業界は、PRE向けサービスと不動産証券化による需要増加が期待される一方で、人件費や外注費の増加が見込まれています。 しかし、技術革新による効率化も進んでおり、業界全体としては前向きな変化の途上といえるでしょう。業界全体に市場の需要に対応するための取り組みが求められており、これによってビル管理業界は持続的な成長を遂げることが期待されています。

マクロ環境要因と市場への影響

ビル管理業界に影響を与えるマクロ環境要因は、大きく市場に直接影響を与える要因と、業界構造に影響を与える要因に分かれます。 市場に影響を与える要因として、政策による市場拡大が重要です。具体的には、官公庁がコスト削減を目的として保有不動産の管理を外注化する動きが進んでおり、PRE向けのサービス提供が増加しています。また、不動産証券化の推進により、不動産投資が促進され、ビル管理業務のアウトソーシングが進んでいます。

コスト構造への影響

ビル管理業界の収益性を左右する重要な要素として、人件費や外注費の動向が挙げられます。国内経済全体で労働力不足と人件費の高騰が進む中、ビル管理業界は「3K(きつい・汚い・危険)」とされる業務のため、人手の確保が難しくなりつつあります。 一方で、不動産管理の効率化に向けたシステム開発が進んでおり、テナント管理などの業務を効率化する技術が導入されています。

技術革新の進展

技術革新の一例として、日本マイクロソフトと竹中工務店がAIを活用した自動建物管理システムを構築するなど、IT化が急速に進展しています。 また、センサーやドローンが収集したデータを3次元モデルに反映させるBIM(Building Information Modeling)技術も発達しており、業務の自動化がさらに進展することが予想されます。

ビル管理業界の業界地図

ビル管理業界は、中小企業が多く集まる構造となっており、売上高100億円を超える企業は数十社程度に限られます。業界最大手とされるイオンディライト東急コミュニティーの売上高も1,000〜3,000億円程度で、全体のシェアは1割未満にとどまります。 業界内の主要なプレイヤーは大きく系列系と独立系に分かれます。系列系企業はさらに、取り扱う物件のタイプによって分類できます。不動産関連企業やデベロッパー、金融(生保)、建設会社などの系列と、自社グループ内の不動産管理を担う不動産部門子会社としての役割を持つ流通・総合電機・通信系の系列があります。 一方、独立系企業は、ビル管理事業を中核事業とする企業であり、近年では業容の拡大を目指して積極的な事業展開を行っています。系列系企業も同様に、ノウハウを活かした事業の拡大を志向しており、業界を超えた競争が激化する可能性があります。 このように、ビル管理業界は中小企業が多く、系列系と独立系の企業がそれぞれの特徴を活かして市場に参入しています。今後の業界の動向として、事業の効率化や新たなサービスの導入が進むことで、さらに競争が激化することが予想されます。

ビル管理業界の大手企業

ビル管理業界は中堅および零細企業が大半を占める業界で、突出した大手プレーヤーは多くありません。その中で業界を代表する大企業として知られているのが以下の2社です。 ・イオンディライト ・東急コミュニティー それぞれの企業の動向について解説します。

イオンディライト

イオンディライトは、イオン系列のビル管理企業であり、業界首位の座を占めています。 2006年にイオンとマイカルのビル管理事業子会社が統合されて設立されました。イオングループ外の顧客や海外市場の開拓に積極的であり、ビル管理事業の成長と競争力強化を図っています。2015年にはJ・フロントリテイリング傘下の白青舎を買収するなど、国内市場においてもグループ外企業の売上比率を35%に高めることを目指しています。 また、海外展開も進めており、中国、マレーシア、ベトナムに拠点を持ち、2018年にはインドネシアの清掃事業会社を買収しました。2025年までに海外売上高比率を15%超とする目標を掲げています。 業務効率化にも注力しており、遠隔制御による施設の一元管理システムの構築や、業務用清掃ロボットの導入などを進めています。さらに、再生エネルギー管理や小売事業も展開し、資源エネルギー庁の補助事業に採択されるなど新しい事業にも挑戦しています。コロナ禍で一時的に売上が減少しましたが、その後は回復基調にあります。

東急コミュニティー

東急コミュニティーは、東急不動産グループのビル管理会社であり、ビルとマンションの管理に強みを持つ大手企業です。設立当初は東急グループの物件管理が中心でしたが、現在ではグループ外の物件や自治体の公共施設管理も手がけており、管理物件の約8割がグループ外となっています。 同社は、自社管理のマンションに加えて、2013年にはマンション管理企業であるユナイテッドコミュニティーズを買収し、管理戸数を拡大しています。また、ドローンによる物件点検や新電力事業者エネットとの提携による安価な電力提供、GLOBAL EDUCATIONAL PARTNERSとの提携による教育サービスの提供など、新たな取り組みを積極的に進めています。 2019年には「渋谷スクランブルスクエア東棟」の管理を任され、グループ内の連携強化を図り、さらにインドネシアへの展開なども進めています。

ビル管理業界の展望について

ビル管理業界の企業の動向としては、コロナ禍を契機に業務の見直しや改善が進み、新たに消毒・防疫業務を開始する動きも見られました。ビル管理市場は横ばいで推移しており、技術革新による業務の自動化が進むことで業界再編が加速する可能性もあります。 ビル管理業界の市場環境として、企業が所有する不動産の管理業務を外注化する需要は今後も増加が見込まれます。官公庁もビル管理会社への管理委託を進めており、需要の増加が期待されています。一方で、コスト削減のための価格下落圧力は今後も続くと考えられ、国内市場は横ばいで推移する可能性が高いです。 ビル管理業界では、労働力不足に伴う人件費・外注費の高騰が課題となっていますが、管理システムやロボット技術の導入による業務の自動化が進んでいます。IT技術を活用した業務の代替が着実に進行しており、今後は資本集約的な事業構造への移行が予想されます。 2019年には日本が気象災害による損失が最も大きい国と発表されており、災害対策も重要な課題となっています。例えば、ALSOKは大雨による地下空間の浸水対策ソリューションを提供しており、災害対策サービスの展開が進んでいます。 ビル管理業界は、技術革新と効率化の進展により、新たなサービスやビジネスモデルの導入が進み、業界全体の変革が期待されています。

今後はビル管理業界の技術革新の動きに注目!

今回の記事では、ビル管理業界の現状と今後の展望について解説しました。 労働集約型のビジネスであるビル管理業界は安定したニーズが見込まれるものの、人材不足と高騰する人件費の問題に直面しています。それらを解決するために、業界全体でロボットや管理システムといった新たな技術の導入を急いでいます。 また日本は災害大国であり、新技術はより安全なビル管理の実現においても期待されています。今後は業界内で新たなサービスが生まれる可能性もあり、進化し続けるビル管理業界から目が離せません。 法人営業の皆様は、本記事で紹介したビル管理業界の概要を参考にして、効果的な営業戦略を構築してください。また、無料で毎月100社まで法人データをダウンロードできるBIZMAPSを利用すれば、さまざまな属性や条件で企業を検索できます。営業戦略の立案にぜひご活用ください。 ▼法人営業ハックのそのほかの業界特集はこちら! 不動産業界の今後はどうなる?業界動向を左右するポイントを解説 広告代理店業界の成功パスポート:ピックアップ企業ランキング20 生活関連サービス業一覧!企業ランキングTOP10と多様なサービス内容を紹介 ▼法人営業に役立つ記事はこちらから! 営業職募集のポイントや優秀な人材の見極め方は?注目企業25社も紹介 ▼BIZMAPS掲載中の企業特集はこちらから! 身辺警護のニーズは増加傾向にある?4号を手掛ける大手と中小 【法人営業向け】コロナ禍の業績回復を支援しよう!貸切バス会社一覧 農業に参入する会社が増えている?法人営業の新たなリード候補に!

無料で使える企業検索サービス

営業リスト・法人企業リスト