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目次
出版業界の特性を知ろう
出版業界のバリューチェーン
出版業界の取扱商品は?
紙媒体の取り扱い商品
出版業界では代表的な紙媒体の取り扱い商品です。- 書籍::文字情報を中心とした冊子型商品で、ジャンルや目的に応じて多様な種類があります。主なジャンルとして、小説、エッセイなどの文芸書、料理本、自己啓発書、ビジネス書、趣味関連書籍の実用書、学校教育用や資格試験対策用の教科書・学習参考書、 医学、工学、法学など特定分野に特化した専門書、 幼児向けの視覚的に魅力的な絵本、知識の体系的な整理を提供する図鑑・辞書があります。
- 雑誌:定期刊行される冊子で、情報提供や娯楽を目的としています。主な種類として、女性向け・男性向け、ライフスタイルやトレンド情報を扱うファッション誌、料理、スポーツ、アウトドア、写真などを扱う情報誌、 漫画や学習を組み合わせた内容の子ども向け雑誌、雑誌の多くは販売収益だけでなく、広告収益も大きな収益源になる広告収入があります。
- 新聞:日々のニュースや特集を中心とした定期刊行物です。全国紙、地方紙、専門紙(業界紙やビジネス紙)など、多様な種類があります。
- コミック・マンガ:漫画やグラフィックノベルとして親しまれるイラスト主体の出版物です。国内外で高い人気を誇り、日本の出版業界を代表する商品カテゴリーで、電子書籍化が進んでいる分野です。
デジタル媒体の取り扱い商品
出版業界でデジタル媒体の取扱商品は以下の通りになります。- 電子書籍:デジタルフォーマットで提供される書籍で、タブレットやスマートフォンでの閲覧が可能です。短編や自己出版も含め、多様なコンテンツが普及し人気ジャンルは、ライトノベル、マンガ、ビジネス書です。
- オンライン記事・デジタルマガジン:雑誌や新聞のデジタル版、またはオンライン限定で発行されるコンテンツです。Web版週刊誌、dマガジン(サブスクリプション形式)などがあります。
- 電子コミック:デジタル形式の漫画作品で、専用の電子書籍プラットフォーム(Kindle、BookLiveなど)で提供しています。紙媒体よりも手軽に購入・閲覧可能で、定額読み放題サービスが拡大しています。
- 学術論文・専門コンテンツ:大学や研究機関向けのオンライン学術ジャーナルや電子書籍です。学術出版業界がデジタル化を推進し、購読型プラットフォームで提供しています。
- セルフパブリッシング作品: 個人が直接出版する電子書籍です。出版社を介さないため、コストが抑えられます。プラットフォーム例として、Amazon Kindle Direct Publishing(KDP)などがあります。
その他の商品とサービス
出版業界が提供するその他の商品について解説します。- 教育・学習関連商品:書籍に加え、テキストや問題集、参考資料などがあり、紙媒体と電子教材のハイブリッド型が増加しています。
- オーディオブック:音声で提供される書籍コンテンツです。通勤・通学中に手軽に利用できます。Audible(Amazon)などが代表的なプラットフォームです。
- サブスクリプション型サービス:電子書籍やデジタルマガジンを定額で利用可能です。Kindle Unlimited、dマガジン、楽天マガジンなどがあります。
出版業界が扱うサービスを紹介します
出版物の販売・配信サービス
出版業界では出版物の販売や配信サービスを提供しています。- 書籍・雑誌の販売:書籍や雑誌を販売するサービスで、伝統的な紙媒体の販売が中心となります。販売チャネルは、書店、コンビニエンスストア、オンラインストアです。
- 電子書籍配信サービス:電子書籍や電子コミックをオンラインで販売・配信しています。購入型とサブスクリプション型の両方が存在し、専用のリーダーアプリやデバイスで閲覧可能です。
- 直販サービス:出版社が直接読者に商品を販売します。オンラインショップを通じた直販が拡大しています。限定版や特典付き商品を販売するケースもあります。
サブスクリプションサービス
出版業界が提供するサブスクリプションサービスについて解説します。- 電子書籍の定額読み放題サービス:月額料金で電子書籍や電子雑誌を読み放題で提供しています。コストパフォーマンスが高く、利用者が増加中な項目です。
- デジタルマガジン配信サービス:雑誌のデジタル版を提供するサービスです。紙媒体の雑誌をスマホやタブレットで閲覧可能とし、配信プラットフォームが収益を分配しています。
コンテンツ制作・配信サービス
出版業界が提供するコンテンツ制作や配信サービスについて紹介します。- オンデマンド出版:注文が入った時点で印刷・製本を行うサービスで、在庫リスクを抑えられます。個人出版やニッチな需要に対応しています。
- セルフパブリッシング支援:個人が直接書籍や電子書籍を出版するサービスです。著者が自由に出版・販売でき、出版者が印税や収益を得やすいのが特徴的です。
- オーディオブック制作・配信:書籍を音声化し、消費者に提供しています。忙しい人でも「聴く読書」を可能とし、通勤・通学中の利用が増加しています。
マーケティング・プロモーションサービス
- 広告掲載サービス:雑誌や書籍内に広告を掲載するサービスです。雑誌の重要な収益源で、広告主にとってターゲット層への直接アプローチが可能となります。
- インフルエンサー活用プロモーション:インフルエンサーやSNSを活用した宣伝活動です。読者層に直接リーチする効果的な手法です。
- イベント・キャンペーンの開催:出版物や著者をPRするためのイベントやキャンペーンです。書店でのサイン会やオンライン配信が主流です。
教育・学術向けサービス
出版業界が提供する教育・学術向けサービスについて解説します。- 学術出版サービス:研究論文や専門書の出版です。大学や研究機関向けの専門書籍が中心となります。
- 教育コンテンツ配信:教材や学習コンテンツをオンラインで提供しています。電子教科書や問題集のデジタル配信が増加しています。
- ライセンス販売:出版物のコンテンツを他社にライセンス提供しています。マンガや書籍の翻訳・映画化権の販売が主です。
読者向けサービス
出版業界が提供する読者向けサービスは以下の通りです。- 読書サポートアプリ:読書体験を向上させるアプリです。読書履歴や感想共有、読書会の機能を提供します。
- 定期購読サービス:雑誌や新聞の定期購読を管理するサービスです。新刊を定期的に自動で届けます。
物流・流通関連サービス
出版業界は書籍の出版だけではなく、物流や流通に関連するサービスも提供しています。- 配送サービス:書籍や雑誌を店舗や読者に届けます。取次業者(日販、トーハン)を通じた物流が主です。
- 返品管理サービス:書籍や雑誌の返品を効率的に処理するサービスです。抱えている課題としては、高い返品率の削減になります。
出版業界のビジネスモデルを解説します
出版業界の主要企業の財務指標を分析
出版業界の最新トレンド
デジタル化の加速
出版業界は主流だった紙媒体の提供からデジタル化へ加速的に乗り出しています。- 電子書籍市場の拡大:紙媒体の売上が減少する中、電子書籍市場は拡大を続けています。特に人気のジャンル: マンガ、ライトノベル、ビジネス書、手軽に購入・閲覧できる利便性が高評価を得ています。
- 電子コミックの急成長:電子コミックが電子書籍市場の中で圧倒的なシェアを占めています。スマートフォン対応プラットフォーム(LINEマンガ、BookLiveなど)が普及し、サブスクリプション型サービスや読み放題プランが人気です。
- オーディオブックの普及:忙しい現代人に適した「聴く読書」として人気が拡大しています。主要プラットフォームはAudible(Amazon)、audiobook.jpになり、通勤や家事中の「ながら消費」をターゲットにした市場となります。
サブスクリプション型サービスの普及
出版業界では、サブスクリプション型のサービスの普及が拡大しています。- 電子書籍・雑誌の読み放題サービス:Kindle Unlimited、dマガジン、楽天マガジンなどの定額サービスが成長しています。多数のコンテンツを低コストで楽しめるため、利用者が増加しています。
- 特化型サブスクリプション:特定ジャンルに特化したサービスが登場しました。マンガ特化型読み放題サービス、専門書向けプラットフォームなどがあります。
- バンドル型サービス:動画配信や音楽ストリーミングと組み合わせたサービスが人気です。
セルフパブリッシングの拡大
出版業界ではセルフパブリッシングが拡大しています。- 個人出版の増加:Amazon Kindle Direct Publishing(KDP)などを利用した個人著者が増加しています。出版社を通さないセルフパブリッシングが一般化し、著者が直接収益を得るビジネスモデルができています。
- クリエイター支援プラットフォーム:BOOTH、pixivFANBOXなど、クリエイターが直接作品を販売・収益化できるプラットフォームが普及しています。
マーケティングの進化
出版業界のマーケティングは日々進化しています。- SNSマーケティングの活用:TwitterやInstagram、TikTokを活用した宣伝活動が主流になり、特に若年層向けのマンガやライトノベルが効果を発揮しています。ハッシュタグキャンペーンや読者レビューのシェアが増加しています。
- インフルエンサーマーケティング:読書好きのインフルエンサーやブック系YouTuberによるレビューが拡大しています。
- データ活用型マーケティング:電子書籍プラットフォームが収集したデータを活用し、読者の嗜好に合わせたプロモーションを実施しています。パーソナライズされたおすすめ機能の提供などがあります。
グローバル展開の強化
- 日本のマンガの海外展開:日本のマンガが電子書籍として海外市場で急成長しています。配信プラットフォーム: MANGA Plus(集英社)、Crunchyroll Mangaなど、ローカライズと翻訳の迅速化が成功要因です。
- ライトノベルの海外人気:ライトノベルやWeb小説が英語圏やアジア市場で拡大しています。
- 国際共同出版:海外出版社と連携した共同出版や同時配信が増加しています。
コンテンツ形式の多様化
出版業界ではコンテンツ形式の多様化を進めています。- マルチフォーマット出版:1つの作品を紙媒体、電子書籍、オーディオブックの複数形式で展開しています。読者の嗜好や状況に合わせた情報を提供しています。
- 没入型コンテンツ:VR/AR技術を活用した新しい読書体験が実現しています。例としてインタラクティブなストーリーブックなどがあります。
- 短編コンテンツの人気:短いストーリーやエピソード単位での販売が増加し、特にスマホユーザーに人気です。
サステナビリティへの対応
出版業界は、サステナビリティへの対応にも力を入れています。- 環境配慮型出版:環境に優しい紙やインクの使用、デジタル出版への移行が主流となってきています。これにより、紙媒体の製造・流通の環境負荷を低減します。
- 電子書籍の推進:環境に優しい出版形態として、電子書籍の普及が一層進んでいます。
物流と流通の変革
出版業界は出版の分野だけではなく、商品を届けるための物流や流通に関しても日々変革を進めています。- オンライン直販の増加:出版社が直接オンライン販売を強化しています。限定版や特典付き商品を販売し、書店を介さないモデルが拡大しています。
- 返品率削減への取り組み:在庫管理の効率化や、オンデマンド出版(POD: Print On Demand)の導入が進んでいます。
出版業界におけるAIの活用
出版業界では、AIを取り入れることにより業務効率などを目指しています。- AIによる執筆支援:ChatGPTなどの生成AIを活用した執筆や編集支援ツールが登場しています。
- AIによる翻訳:自動翻訳ツールの進化により、多言語出版のスピードが向上しています。
- 読者分析:AIが読者の嗜好や行動パターンを分析し、ターゲティング広告やおすすめ機能に活用しています。
出版業界の市場規模
出版業界のマクロ環境を解説します
出版業界の業界地図を広げます
出版業界の主要プレイヤーの動向
KADOKAWA株式会社
KADOKAWAは、日本を代表する総合エンターテインメント企業であり、出版を中心に映像、アニメ、ゲーム、電子書籍、イベント事業など多岐にわたるコンテンツを展開しています。特にマンガやライトノベルの分野では国内外で高い評価を得ています。1954年設立の角川書店と動画投稿サイト運営のドワンゴが2014年に経営統合し設立されました。 2022年3月期の売上高構成比は、出版53%、映像16%、ゲーム12%、Webサービス8%、教育他12%となっています。2013年に角川書店、角川マガジンズ、富士見書房、アスキー・メディアワークス、エンターブレイン、中経出版、メディアファクトリー他、連結子会社9社とKADOKAWAが合併しています。 ドワンゴが運営する動画投稿プラットフォーム「ニコニコ動画」は2007年にサービス開始し、2010年代前半には日本のネット文化の発信地として根強い支持を得ました。投稿者が生中継をおこなう「ニコ生」は、手軽にコンテンツを提供できる場となり、ニコニコ動画は2016年時点で有料会員数が約256万人となりました。 2017年の仕様変更で利用者が急減して大幅な赤字となり、2019年に社長の川上氏が辞任する事態となりました。 2022年度から始まった中期経営計画では、基本方針に「グローバル・メディアミックス with Technology」を掲げ、「制作」「流通」「体験」の各側面において事業強化を推進しています。従業員一人ひとりのクリエイティビティをより発揮しやすい環境づくりや制度改革を行うことでイノベーションの促進に取り組んでいます。 また、従来取り組んできた優れたIP(IntellectualProperty)を安定的に創出し、様々な形で世界に届けるグローバル・メディアミックスをさらに加速させることを目標としています。株式会社プロトコーポレーション
プロトコーポレーションは、主に自動車関連情報サービスを提供する企業で、自動車業界向けの情報媒体やデジタルプラットフォームを中心に事業を展開しています。また、医療や生活関連分野にも進出し、多様なサービスを展開する総合情報企業として成長を続けています。 2022年度の売上構成比は、プラットフォーム(メディア・サービス)28%、コマース(物品販売等)64%、その他が8%となっています。 M&Aや再編に積極的に乗り出している企業です。2012年には中古車販売店キングスオート、2013年には輸入タイヤ・ホイール通販のオートウェイを買収、2015年4月にはタイヤワールド館ベストを子会社化し、コンテンツに加えて販売事業の強化もおこなってきました。事業の核となるのは、IT事業です。 IT事業に関しては、カービューやヤフー、カカクコム、LINEなどとの業務提携をおこない、2016年10月には子会社であるプロトデータセンターとアイソリューションズを合併し経営の効率化を図っています。 2016年9月からはソフトバンクロボティクスが提供する「Pepper」を活用したロボ査定の提供を開始し、新車ディーラー及び中古車販売店にPepperの販売もおこなうことで、販売店の支援事業も強化しています。 2018年3月からはバイク専用SNS「モトクル」のアプリケーションを提供しました。2019年4月にはベンチャーキャピタルの「プロトベンチャーズ」を設立し、自動車関連のAI・IT分野を手掛ける東南アジアのベンチャー企業への投資強化を図っています。 主要商品である情報誌「グー」は、今後印刷用紙の価格変動などのリスクに備え、電子メディア化を進めていく方針を固めています。出版業界の今後の展望は?
新しい媒体に沿ったコンテンツ創造が鍵
出版業界の今後の展望は、新たな媒体にシフトしていくことが鍵と考えられます。実際に、消費者の情報源がスマートフォン普及に伴い、インターネットが主流になってきています。 今後もさらにスマートフォンへの移行が続くと思われます。それに伴い、紙媒体の書籍や雑誌の情報価値が低下しています。結果、従来の出版業界の市場が縮小していくことは確実です。 市場が縮小することで拡大するのが予想されるのが、取次業者の中抜きの進展、電子出版の更なる拡大です。Amazonが書籍の買取の実現化を進めていますが、これにより出版社の収益性が上がり、取次業者はますます苦しい状況になることが伺えます。また、制作側も変化する可能性がある技術として人工知能・ITがあります。 人工知能が小説を書くレベルまで編集技術は進歩しており、編集・制作業務の半自動化、またそれにともなう商品ライフサイクルの短縮化は継続的に起こっていくことが予測できます。 こうした媒体やデリバリー形態のシフトに応じて、読者を集められる最適なコンテンツを企画・制作できるプレイヤーが生き残っていくと考えられます。その際に、ITの活用などを通じて労働集約的なプロセスをいかに効率化させることができるかも事業の収益性を決定づける重要な論点となります。出版業界は新しい媒体にシフトすることで発展します
出版業界は、デジタル化や消費者行動の変化を背景に進化を続けています。特に、電子書籍の拡大、サブスクリプション型モデルの普及、グローバル市場への進出が成長の鍵となります。また、紙媒体も環境配慮や特別版の制作などで再評価される可能性があります。 これらのトレンドに柔軟に対応できる企業が、次の時代をリードします。しかし、柔軟に対応するには、常に最新の情報を手にしなければなりません。 最大規模の企業プラットフォーム「BIZMAPS」では、月額無料で100件もの企業情報をダウンロードすることができます。出版業界の各企業の情報をいち早く得られるだけではなく、タグ検索機能により自分の欲しい情報にいち早くたどり着くことができます。 出版業界の経営者の方はもちろん、営業職の方にも心強い味方になること間違いありません。ぜひ、利用してみてください! ▼その他の特集記事はこちらから! マスコミ・出版業界の仕事内容とは?業界で活躍する上位10社を紹介! 【大手出版会社一覧】業界の動向も合わせて解説 エンターテインメント業界の最新の動向から導き出す今後の展望は? 紙・パルプ卸業界の最新動向!ペーパーレス時代における業界の展望は 広告業界を徹底解説!市場規模や最新動向、売上ランキング上位の主要企業一覧も 出版業界とは?今後の展望を見据え業界内容を徹底的に解説します!無料で使える企業検索サービス
