風野ミユ

営業代行は、選択する料金体系によっても相場が異なるため、導入の検討には費用に関する基礎知識が欠かせません。
今回の記事では、それぞれの料金体系の特徴や費用相場、営業代行を選ぶポイント、大手営業代行業者3社について分かりやすく解説します。
また、営業代行を利用するメリットやデメリット、利用の際の注意点などもご紹介しているので、営業代行の利用が本当に必要なのか、判断することができるようになります。
営業代行費用の3つの料金体系

営業代行サービスは、提供している会社によって様々なプランが用意されています。
料金体系に着目すると、営業代行サービスの費用は、主に次の3タイプに分類されます。
1.固定報酬型(月額、年額):成果に関わらず期間で一定の金額を支払う料金体系
2.成功報酬型(アポ獲得、成約):成果によって支払いの金額が変動する料金体系
3.複合型:固定報酬型と成功報酬型を組み合わせた料金体系
それぞれの料金体系の特徴を詳しく確認していきましょう。
①固定報酬型(月額、年額)
固定報酬型は、毎月一定の額を営業代行会社に支払う料金体系です。
成果がどれだけ上がっていても費用は変わらないので、予め捻出する予算を見通すことが可能です。
一方で何の成果もない月も、支払いをするのは避けられないので、「最終的に費用だけを浪費してしまった…。」という結果に陥ってしまうリスクもあります。
固定報酬型は、多くの営業代行業者のプランに見られる料金体系です。
支払う料金は、派遣される営業マンの人数や、営業マンの持っている専門知識などを考慮して設定されます。
また完全なる新規開拓営業などは、営業代行業者のノウハウだけでは対応不可能で、事業戦略を立てて実践し、方向性を探っていく作業が必要です。
そのため料金体系は固定報酬型が採用されることが多くなります。
新規開拓営業に関しては
こちらの記事も参考にしてみてください。
②成功報酬型(アポ獲得、成約)
成功報酬型は、営業の成果に応じて支払いを行う料金体系です。
成果が上がらなければ支払いも発生しないので、固定報酬型と比べると成果が出ていない時の費用を抑えることが可能です。
しかし当初の予想以上に営業成績が伸びると、その分費用負担が重くなりますので注意が必要です。
なぜなら、成功報酬型の成功報酬は、固定報酬型の定額料金より割高に設定されている場合が多いからです。
成功報酬型で支払いが発生する基準は、アポイントの獲得や成約1件ごとに、いくらと設定されます。
利用する営業代行サービスによっても支払いの基準が異なるので、契約をする前に必ず支払い条件を確認するようにしましょう。
③複合報酬型
複合型は上記で説明した、固定報酬型と複合報酬型を組み合わせた料金体系です。
つまり月額や年額の支払いをした上で、成果に応じて報酬をプラスで支払う必要があります。
しかし実際には、成果報酬の支払いがメインとなっていることも多く、その場合は固定報酬の部分は経費など最低限に抑えられています。
一般的に複合型の固定報酬として支払う金額は、固定報酬型のプランに比べ、割安である場合が多いです。
成果報酬の部分で、会社ごとの支払い基準が適用されるのは、成果報酬型と同様なので、契約締結前のリサーチが欠かせません。
営業代行費用相場を料金体系別に確認!
料金体系ごとの特徴を確認してきましたが、次はそれぞれの費用相場を見ていきましょう。
種類 |
費用相場 |
固定報酬型 |
50~70万円/月 (営業マン1人につき) |
成果報酬型 |
テレアポ:2~3万円/件成約まで:全体の報酬の3~5割/件 |
複合型 |
固定報酬:30~40万円/月 (営業マン1人につき)成果報酬:成果に応じて支払い |
固定報酬型の営業代行費用相場
固定報酬型の営業代行費用相場は営業マン1人当たり月に50~70万円程度、日当にして2~3万円の計算になります。
株式会社マイナビの
【2021年版 職種別ランキング結果概要】のデータによると、営業職の中でも最も収入の多い、個人向け営業・企画営業の月収がおよそ65万円(年収を12等分して計算)ですので、ある程度妥当な数字ではないでしょうか。
しかし、これは最も収入の高い営業職種のデータを利用しているため、営業代行を利用すると営業マンを実際に雇用するよりは高額な費用が掛かるのが一般的です。
成果報酬型の営業代行費用相場
成果報酬型の営業代行費用相場は、テレアポのようなアポイント獲得の場合一件につき2~3万円、商談から成約までの全プロセスを含む場合は、成約一件につき発生した売り上げの3~5割を支払うことになります。
他の料金体系プランの場合設定されている初期費用が、成果報酬型のプランでは発生しない場合が多く、成果が出るまでは支払いがないのがメリットです。
しかし、中には初期費用が成果報酬に含まれていることもあり、その場合は少し設定金額が高めになっている傾向があります。
混合型の営業代行費用相場
混合型の営業代行費用相場は、固定報酬と成功報酬の2階建てになります。
固定報酬部分の相場は、営業マン1人当たり月に30~40万円程度で、それにプラスして成果に応じて成果報酬を支払います。
固定報酬と成果報酬の割合は業者ごとに異なるため、その比率によって設定される、成果報酬の単価にも幅があるようです。
営業代行費用(料金体系)を検討する際のポイント3つ
営業代行を利用する際に検討しなければならない料金体系ですが、どれを選べばいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか?
営業代行の料金体系プランを決定する際に、検討すべきポイントは次の通りです。
1.成約達成の難易度
2.取り扱う商品の利益率
3.営業代行を依頼する商品数
各ポイントを詳しく解説します。
①依頼する商材が多く人手不足な時の営業代行には固定報酬型
固定報酬型にオススメの条件
・成約の難易度:低~中
・商品の利益率:関係なし
・商品数:多い
固定報酬型の営業代行を利用する場合には、支払う金額が一定なので、コンスタントに成果を上げるほど、コスト率が良くなります。
とにかく人手不足で、スポットで営業マンの補充をしたいという時にもよく用いられます。
依頼する商材が多く、販路がある程度確保されているような営業では、代行の営業マンも着実に成果を上げてくれるでしょう。
②難易度が高く利益率の高い商品の営業代行には成功報酬型
成功報酬型にオススメの条件
・成約の難易度:中~高
・商品の利益率:高
・商品数:少ない
成果報酬型の特徴として、成約やアポイントが決まるほど営業代行業者の収入アップになるため、派遣される営業マンの成約への意気込みも高まります。
難易度が低く、利益率も高くない商材を、成果報酬型の営業代行に依頼してしまうと、粗利益に対して高額の支払いをすることになる可能性があります。
成功報酬型の場合は、営業代行業者も成約への拘りが強まっているため、取り扱う商品数が多すぎると、成約しやすい商品に売り上げが偏ってしまう懸念もあります。
③どちらの要素にも当てはまる場合の営業代行には複合報酬型
固定報酬型と成果報酬型の両方の要素に当てはまり、決めかねる場合は複合報酬型を検討してみるのも手です。
複合報酬型の固定報酬部分は、固定報酬型よりは安価に設定されていることが多いため、基本費用を抑えることが可能です。
混合型の営業代行費用は業者により内容や設定価格帯に幅があるため、詳しく内容をチェックして業者を選定しましょう。
営業代行サービスを利用するメリット

営業代行サービスを利用するメリットは次の3つです。
1.ノウハウを持った即戦力を確保できる
2.販路を拡大できる
3.マーケティング情報を得られる
営業代行サービスを利用すれば、高い営業知識を持った人材が派遣されるため、直雇用の営業マンのように新人教育や採用活動をしなくて良いのが、最大のメリットです。
また、大規模展開している営業代行業者を選べば、それまで地理的な問題でアプローチ出来なかった新しい顧客を発掘することもできるでしょう。
営業代行では、成果が上がっていない時も、活動内容のレポートを受け取ることができます。
つまり、実際に顧客にヒアリングした内容や、商談の際の反応などの情報は、企業活動のマーケティングに応用できます。
営業代行サービスを利用するデメリット
営業代行サービスを利用するデメリットは次の3つだといえるでしょう。
1.営業代行費用がかさむ
2.自社の営業力が伸び悩む
3.情報漏洩の危険がある
営業代行費用については、上記で詳しく解説した通り、少なくとも月に数万~数十万の工面が必要です。
長期的に利用する場合には、コストが膨らみ費用的負担が大きくなります。
また、ノウハウを持った営業代行業者に頼りきりになってしまうと、一時的な成果は上げられたとしても、社内の営業力は向上していない…なんて事態が起きてしまうかもしれません。
企業の要となる営業活動を外部委託する形になるため、重要な情報が漏洩するリスクもあります。
もちろん営業代行業者ごとに契約内容が定められていますが、万が一の時に備えた対応は検討しておくとよいでしょう。
人気営業代行サービス3社の概要と費用比較
営業代行サービスを選ぶ際には、いくつかの業者を比較して違いを把握し、信頼できる業者を選択する必要があります。
営業代行費用や、営業報告の手段や内容、実績、稼働可能な営業マンの数など、業者ごとの特徴を知ることが大切です。
検討する際にきっとタメになる、営業代行大手3社の情報をご紹介します。
Seiyaku/株式会社ウィルオブ・ワーク

【参照:
Seiyaku公式サイト】
長年の営業ノウハウを培った株式会社ウィルオブ・ワークが運営しているのが、営業代行サービス「Seiyaku」です。
市場調査からターゲットの選定、戦略立案、リードの獲得、商談、アフターフォローまで、営業の全課程においてサポートを受けることが可能です。
ウィルオブ・ワークは全国50拠点以上のエリアで営業活動を展開しているため、これまで手を伸ばせなかったエリアへのアプローチにも適しています。
初期費用 |
完全無料 |
営業代行費用 |
固定報酬型・成果報酬型 |
サービス内容 |
全営業工程 |
対応エリア・業種 |
全国、全業種対応 |
アポハンター/アズ株式会社

【参照:
アズ株式会社公式サイト】
完全報酬型のアポイント獲得営業代行「アポハンター」は、営業プロセスにおいて最も労力が必要となるアポイント獲得を、新規開拓のプロが代わりに行い成果を上げてくれます。
アポハンターは、1,800以上の企業が導入している実績のある営業代行サービスです。
サービス利用中は、専属の担当者が月に1回顧客を訪問し、活動報告と数字分析、次月の戦略提案など手厚いサポートを受けられます。
初回稼動費用※テストコールが必要な場合 |
1,000,000円/回 |
初回稼動費用※テストコールが不要な場合 |
300,000円/回 |
継続時の営業報告・業務管理費用 |
100,000円/月 |
資料送付希望企業成果報酬額 |
3,000~7,000円/件 |
成果報酬額 |
15,000~55,000円/件 |
株式会社セレブリックス

【参照:
株式会社セレブリックス公式サイト】
12,000商品以上の営業を支援した中で発明した、「お客様の買わない理由をなくす」独自の営業メソッドを核に、1,100社を超える支援実績があります。
営業の全プロセスにおいて営業代行支援を提供している企業です。
創業は20年を超え、豊富な実績をあげており、正社員中心の約450名の営業スタッフが在籍しています。
営業代行を利用する際に費用と共に注意して確認すべき点
営業代行業者を選ぶ際には、営業代行費用だけでなく、忘れずにチェックするべき次の項目があります。
・自社の営業課題
・アウトソーシングする業務の内容
・NDA(秘密保持契約)の内容
営業代行を利用する際に最初にすべきことは、自社の営業課題の確認です。
営業代行サービスを利用する十分なメリットがあるかを、事前に検討する必要があるからです。
営業代行サービスの利用にメリットが認められれば、次に外注する業務の内容を整理します。
営業代行を使って効率的に成果を上げるためにも、どの商材を営業代行に依頼するのか、どの営業工程を外注するのか、などを検討することが重要です。
営業代行サービス利用のデメリットの部分でも解説しましたが、営業代行の利用には情報漏洩のリスクが付きまといます。
秘密保持契約の内容は細かい部分まで必ずチェックし、リスク回避の体制を取りましょう。
まとめ
営業代行費用を決定する要素として、3つの料金体系(固定報酬型、成果報酬型、混合型)があります。
各料金体系の営業代行費用相場は以下の通りです。
・固定報酬型:50~70万円(月)
・成果報酬型:テレアポ/2~3万円(件)、成約まで/全体の報酬の3~5割(件)
・複合型:固定報酬/30~40万円(月)、成果報酬/成果に応じて支払い
それぞれの営業代行プランの特徴を把握することで、適切なプランを選ぶことができます。
営業代行費用に関する正しい知識を付けて、信頼できる委託業者、料金体系の選択を行いましょう。
BIZMAPSでは営業のコツに関する記事も多くご紹介しております。成約率をアップさせる方法を解説している
こちらの記事もきっと参考になるはずです。
マーケティングに携わっているWebライター。カフェでの珈琲タイムが癒しの時間。
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