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上司の中には、必要な情報を十分に共有しない人がいて、部署内のメンバーが困っているケースがあります。情報共有は現代の企業経営にとって重要な項目であり、スムーズにできていれば多くのメリットが得られるものです。
今回の記事では、情報共有しない上司の傾向性や、その職場が抱えるリスクを掘り下げます。情報共有しない行為がパワハラに該当する可能性や対処法も解説しますので、社内にそういう上司がいる場合の参考にしてください。
情報共有しない上司の傾向性とは
会社組織とは、考え方や価値観が異なるさまざまなタイプの人の集まりです。その中で、情報共有に否定的、あるいは非協力的なために部署の業務を非効率化している上司に悩むメンバーの声も珍しくありません。
情報共有しない上司には、おおむね共通した傾向性が見られます。彼らの傾向性を冷静に見極めることで、対処法を検討するのが賢明です。以下のいずれか、もしくは複数で当てはまっている場合も多いでしょう。
・本人は情報共有しているつもり
・部下への信頼や期待が薄い
・情報共有が面倒だと感じている
・情報共有を必要ないと感じている
・パワハラ上司である
それぞれの要素を、詳しく見ていきます。
本人は情報共有しているつもり
ひとくちに情報共有といっても、その概念は非常に幅広いものです。例えば上司が参加した経営会議の主な内容を、朝礼や終礼で軽く触れただけで情報共有したと安心している場合もあります。 本来は会議の流れや決まったことを整理してデータ化し、部署内のメンバーは自由に閲覧できる環境を整えるのが現代の一般的な情報共有の考え方です。例に挙げた上司とは、相当な認識のズレがあるといえるでしょう。しかも本人は大真面目に、情報共有できていると信じているため、周囲が問題を指摘しにくいのです。 もう少し改善しやすいケースとしては、情報を共有フォルダに格納したからそれでOKだろうと考えている上司が挙げられます。往々にしてフォルダ名やファイル名が不明瞭であり、メンバーとしては探すために無駄な時間を使ってしまいます。部下への信頼や期待が薄い
情報共有をしない上司には、部下に対する信頼や期待が薄いことが多いです。つまり、部下の評価が低いのであり、そういう未熟な部下には自分が苦労して得た情報を渡したくないなどと考えている場合があります。 実はこういった上司は、自己評価が高過ぎて部下を実力通りに評価できていません。また、本来は惜しみなく情報を提供し励ますことで部下の成長が促されるのですが、それも理解できないのです。 自分を過信しているので、このような上司は意識改革が簡単にはいかず、情報共有にとっての難関であるといえるでしょう。情報共有が面倒だと感じている
情報共有などの概念を持たずに長年仕事をしてきた世代の上司にとっては、情報共有をただ単に「面倒なことだ」と感じて積極的に向き合わないケースがあります。 組織にとって情報共有は有効な経営手法であり、組織にも個人にもメリットが大きいのですが、ちょっとした手間を面倒に感じて情報共有に非協力的になるのです。 そのような上司は、情報共有のツールがどんなに使いやすくて便利なものでも、頭から煩わしいと決めてかかっています。業務に向き合う価値観とデジタルリテラシーに、根深い問題があるといえるでしょう。情報共有を必要ないと感じている
誰しも必要性を感じない物事に関しては、あまり関心がいかないものです。情報共有をしない上司は、そもそも情報共有を必要とは感じていないことが多く、他者の意見を受け入れません。 つまり情報共有のメリットをまったく理解できていないから、非協力的になってしまうのです。社歴が長い上司にありがちですが、固定観念に凝り固まって価値観の変更や新しいシステムを受け入れることに大きな抵抗を感じるのでしょう。パワハラ上司である
あってはならないことですが、意識的に情報共有をしないことで嫌がらせをする、不適切な姿勢の上司もいます。残念ながら、必要な情報を上司が伝えなかったために業務に支障をきたした部下を叱責するようなパワハラは少なくありません。 そういうケースでは部下が重要な情報を聞いていなかったと主張しても、パワハラ上司は伝えたと言い張るでしょう。このような情報共有に絡むパワハラは、解決が難しくなります。 情報共有しない上司は、以上のような5つの傾向をひとつ以上持っていると考えられます。情報共有しない行為が「パワハラ(違法)」に該当する基準
上司が情報共有しないからといって、すべてが直ちにパワハラに該当するとは限りません。単なる連絡漏れや認識のずれの場合もあります。一方で、必要な情報をあえて伝えず、業務に支障を出させたり、その結果を理由に叱責したりする場合は注意が必要です。
ここでは厚生労働省の定義をもとに、判断の目安を整理します。
厚生労働省が示すパワハラの3要素
厚生労働省は、職場におけるパワーハラスメントについて、下記3つの要素をすべて満たすものと説明しています。- 優越的な関係を背景とした言動
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
- 労働者の就業環境が害されるもの
厚生労働省が示すパワハラ6類型
厚生労働省は、職場のパワーハラスメントに当たりうる代表的な言動として、身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害の6類型を示しています。情報共有しない行為は、この6類型のどれかに必ず当てはまるとは限りません。 ただし、特定の部下だけを会議や連絡網から外す場合は「人間関係からの切り離し」、必要な説明をしないまま遂行困難な仕事を任せる場合は「過大な要求」、仕事を進めるための情報を与えず実質的に業務から外す場合は「過小な要求」に近い状態になる可能性があります。 参照:厚生労働省「パワハラ 6類型」「うっかり・連絡漏れ」と「意図的な嫌がらせ」を見分けるポイント
判断する際は、情報共有されなかった回数や対象者、上司の説明、業務への影響を整理することが大切です。 部署全体に共有が漏れていたのか、特定の部下だけが外されていたのかで意味合いは変わります。また、確認したにもかかわらず回答を避けられる、重要な会議や変更事項を毎回知らされない、情報不足でミスが起きた後に強く責められる場合は、単なる連絡漏れとは考えにくくなります。 感情的に「嫌がらせだ」と決めつけるのではなく、メールやチャット、会議案内、指示内容、実際に起きた支障を記録しておくと、第三者に相談する際にも状況を説明しやすくなります。業務に支障が出たり叱責されたりした場合は注意が必要
情報共有されないことで、納期に遅れる、顧客対応を誤る、社内ルールに反した処理をしてしまうなど、具体的な支障が出ている場合は注意が必要です。 さらに、上司が必要な情報を伝えていないにもかかわらず、その結果だけを取り上げて部下を叱責する場合は、パワハラに該当する可能性が高まります。 特に、同じことが繰り返されている、ほかのメンバーには共有されている情報を自分だけ知らされない、周囲の前で責められるといった事情があるなら、個人で抱え込まず、社内の相談窓口や人事部、さらに上の上長に相談することも検討しましょう。上司が情報共有しない部署が抱えるリスク
情報共有しない上司の傾向性が理解できたところで、そういう上司のもとで働く部署が抱えるリスクについて解説します。主なリスクは、次の通りです。
・業務の進捗状況がわからない
・信頼関係が築きにくい
・生産性が向上しない
それぞれを見ていきましょう。
業務の進捗状況がわからない
情報共有をしない上司のもとでは、お互いの仕事の進捗状況がわかりにくくなります。また、トラブルが起こっていても、クレームが来ていてもわかりません。 そういう情報共有ができていなければ、同じトラブルやクレームが他の担当者にも発生するおそれがあります。情報共有さえしていれば、他の担当者もそれを学習してトラブルやクレームを未然に防ぐことができるのに、そのチャンスがありません。信頼関係が築きにくい
情報共有しない上司のもとでは、上司と部下の間の信頼関係が築きにくくなります。なぜなら情報共有の機会がないと、上司と部下のコミュニケーションの機会も少なくなるからです。 コミュニケーションが少なくなれば、お互いの考えていることもわからなくなり、なかなか良好な人間関係が築けません。そうなるとより一層、コミュニケーションも少なくなるという悪循環に陥ります。 上司はそもそも部下の行動を把握して、部署の指揮を執るのが役割です。情報共有をしないのであれば、本来の役割に逆行しているようなものです。生産性が向上しない
上司が情報共有に積極的でなければ、部署全体で効率よく業務を進めるためのノウハウ・ナレッジが共有できず、結果的に生産性の向上が見込みにくくなります。 本来は長年同じ業務をしてきた部署であれば、こんな場合はこうすればよいという類のノウハウ・ナレッジを上司がたくさん持っているはずです。それを部下に共有しない上司は役職の義務を放棄しているようなものです。 その結果、部下も限られた範囲での成長しか望めないでしょう。人材価値がなかなか上がらず、部署内のメンバーのキャリアパスを狭めることにつながります。情報共有が不足している組織に欠けているもの
情報共有はただ単に報告や連絡をすることだけが目的ではなく、そこから組織としての機動的なメリットが生まれるから価値があります。上司が情報共有しない部署には、以下の3つのものが欠けています。
・一致団結のチームワーク
・互いに刺激し合う風土
・効率よく業務を進める仕組み
それぞれを見ていきましょう。
一致団結のチームワーク
部署というのはそもそも、同じ目的に向けて切磋琢磨する最良のチームであるべきです。ところが上司が情報共有しないのであれば、なかなか同じ目的意識を高いモチベーションで持つことはできません。 当然ながらチームとしての気運も盛り上がらず、一致団結のチームワークが見られない、機能しにくい部署になってしまいかねないのです。互いに刺激し合う風土
情報共有をしない上司のもとでは、メンバー各人の働きぶりが他のメンバーには伝わりにくい環境になります。つまり、他のメンバーの成果や張り切る姿を見て刺激を受けるような風土にならないのです。 本来、同じ部署のメンバーは目的を共有しながら、それぞれの強みを活かして成果を高め合う関係です。互いの取り組みや成功事例が共有されれば、個人の成長だけでなく、部署全体の活性化にもつながります。 しかし情報共有しない上司のもとでは、こうした前向きな刺激が生まれにくくなります。効率よく業務を進める仕組み
情報共有に非協力的な上司の部署では、情報不足によって業務を進めるスピードが遅くなりやすくなります。特に、取引先への対応や企画立案、戦略づくりなどでは、判断に必要な情報が不足していると、確認や手戻りに余計な時間がかかります。 本来、情報共有ができていればスムーズに進む業務でも、必要な情報をその都度確認しなければならない状態では、部署全体の効率が下がってしまいます。結果として、限られた時間を有効に使えず、生産性の低下につながるでしょう。情報共有しない上司への3つの対処法
上司が情報共有に非協力的な場合の対処法としては、以下の3つが挙げられます。
・メンバーから進んで情報共有する・情報共有の仕組みをメンバーが自主的につくる
・客観的な事実を揃えて上長や人事部に相談する
それぞれを見ていきましょう。
メンバーから進んで情報共有する
まずはメンバーの方から進んで上司に情報共有を働きかけましょう。心理学の「返報性の法則」によると、上司に情報を共有すればするほど、上司もそれに返そうとする心理が働くようになります。 上司に顧客の情報を事細かく報告するようなことを日常的に行なっていると、上司のほうも、その立場でしか知り得ない有益な情報を返してくれるかもしれません。情報共有の仕組みをメンバーが自主的につくる
メンバーで自主的に、情報共有の仕組みを作ってしまう方法もあります。仕事に関する前向きな取り組みであれば、上司も受け入れやすいでしょう。 万が一、情報共有の取り組み自体を妨げられる場合は、業務に支障が出ている事実を整理したうえで、さらに上の上長や人事部に相談することも検討しましょう。 メールやビジネスチャット(ChatworkやSlack)などを活用し、上司も含めて情報を確認できる環境を整えれば、情報共有の必要性を理解してもらえる可能性があります。客観的な事実を揃えて上長や人事部に相談する
情報共有されない状態が業務に支障を与えている場合は、感情だけで訴えるのではなく、客観的な事実を整理しておくことが重要です。 いつ、どの情報が共有されず、その結果どのような支障が出たのかを記録しましょう。メールやチャットの履歴、会議案内の有無、指示内容、納期遅れや顧客対応への影響などを残しておくと、第三者にも状況が伝わりやすくなります。 直属の上司に相談しても改善が見込めない場合や、相談することで不利益を受ける不安がある場合は、さらに上の上長や人事部、社内相談窓口に相談しましょう。パワハラの可能性があるケースでは、ひとりで解決しようとせず、会社の正式な相談ルートを使うことが大切です。まとめ
情報共有しない上司は、情報共有の必要性がわかっていなかったり、部下を信頼していなかったり、面倒だと感じていたりなどの傾向性があります。そういう上司のもとでは業務の進捗がわかりにくく、信頼関係も育まれず、ひいては生産性も向上しません。
必要な情報を伝えないことで業務に支障が出たり、その結果を理由に叱責されたりする場合は、パワハラに該当する可能性もあります。まずはメンバーから進んで情報共有を働きかけ、チームで共有の仕組みを整えることが大切です。改善が見込めない場合は、客観的な事実をそろえて上長や人事部に相談しましょう。
部署や営業組織で情報の属人化を防ぐには、個人の意識だけでなく、情報を蓄積・共有できる仕組みづくりも欠かせません。
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