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営業見積もり遅い
営業マンや販売員が取引先に出す見積もりは、遅いとダメだとよく言われます。 上司の方や先輩からそう教えてもらった経験がある人は多いことでしょう。 だから、商談に入ってしばらくして早々に見積書を出す営業マンも多いようです。 しかし、本当にそれが正解なのでしょうか? もちろん、顧客に見積もりを依頼され、それでもなかなか出さないのは遅すぎてクレームになるので常識的な限度はあるでしょう。 とはいえ、言われる前から早く出すのは正しいのでしょうか。 実は「出来る営業マン」が見積書を出すのは、意外と遅いという話をご存知ですか。 それにはれっきとした理由があります。 今回の記事では売れる営業マンの見積もりが意外と遅い3つの理由を明らかにし、見積書を出す前に確認すべき3つの条件を解説していきましょう。 見積もりが成約につながらなくて悩んでいるみなさんには、きっとお役に立てる情報になると思います!

そもそも見積書のミッションとは

営業見積もり遅いミッション
みなさんは見積もりを出して、それが成約に至る率をどう思われますか? なかなか見積もりの数ほど成約には至らないものですよね。 会社によっては見積もりを出せば出すほど、競合に負けているようなケースもあるかもしれません。 見積もりをいくら出しても成約に至らないと悩んでいる営業マンのみなさんは、今一度見積りのミッションとは何かについて考えてみましょう。

「これだけ掛かる」じゃなく「これだけ価値ある」を示す資料

見積書というものは、言うまでもなく営業活動で扱っている商材やサービスについて、その内容と費用を伝えるものです。 とはいえ、単に「これだけのお金が掛かります」と伝えるための資料と履き違えてはなりません。 見積もりのミッションは、顧客にとって対価として支払う費用が、その商材やサービスの価値から考えて妥当であることを理解してもらうための資料なのです。 もちろん、それを理解してもらうためには比較する基準が必要です。 見積もりを出すに至るまでの打ち合わせや、商談の中におけるコミュニケーションを通して、顧客の価値基準に関する共通の認識を持っておくことが大切となります。 そういう深いコミュニケーションもなく、ただ内訳と金額が羅列された見積書を提示する営業マンが顧客を成約に至らせるのは、当然ながら難しくなるでしょう。 売れない営業マンの見積りの特徴は、他にもあります。 それは売れない営業マンほど見積もりを濫発するということです。 詳しく見ていきましょう。

売れない営業マンほど見積もりを濫発する

実は売れる営業マンは、見積もりを本当に必要とする顧客にしか出しません。 一方、売れない営業マンほど、見積もりをあちこちに濫発する傾向があります。 営業マンA:見積もりを30社に出してその1割の3社と成約 営業マンB:見積もりを10社に出してその6割の6社と成約 営業マンBは営業マンAの1/3しか見積もりを出していないにもかかわらず、成約数は2倍です。 AとBでは仕事のクオリティが雲泥の差で、このようなことが実際に起こります。 営業マンBのように、本当に見積もりを必要とする顧客にしか見積書を出さない場合は、当然ながら受注率は高くなります。 一方で営業マンAのようにやみくもに見積書を濫発するような安い営業をしていると、どうしても自社の商材やサービスの価値に対する自分自身の理解も顧客に向けた魅力づけも弱くなりってしまい、その結果価格競争での勝負になりがちです。 そして彼はこう言うでしょう。 「〇〇社に価格で負けてしまいました」 本当に出来る営業マンは価格勝負をメインにしません。 顧客にとっての、自社商材やサービスから得られる価値の最大化の提案で勝負をし、評価されているので多少価格でひけをとっていても、負けないのです。 そのため、もし営業マンBが価格の高さが理由で負けるとすれば、その顧客が価値やクオリティよりも予算だけにフォーカスしてジャッジしているからでしょう。 薄利を覚悟で価格を下げて成約に持っていったとしても、次はもっと安い競合に簡単に乗り換えるのはほとんど間違いありません。 そのような継続性がない一回きりの商売を、利幅を削ってまでする旨味はないでしょう。 つまり、営業マンAは成約率が低い上に、成約しているのもそんな旨味のない顧客であることがわかります。

売れる営業マンの見積もりが意外と遅い3つの理由

営業見積もり遅い理由
さて、見積りのミッションと内容ありきか価格ありきかと言う取り組む姿勢について解説したところで、次は売れる営業マンの見積もりが意外と遅い理由について、詳しく解説しましょう。 ただし、誤解を避けるために最初に述べておきたいのは、見積もりを早く出すことが価値を持つ案件、業界、業種も当然あります。 具体的に例を挙げれば卸売問屋や商社などの、提案要素が少ない見積もりになる業種や業態です。 「なるはやでこの商品を仕入れたいんだけど、すぐに見積もり出せるかな?X万個まとめてならいくらで取引できる?」 このように提案要素がなく、価格と数量の決断のスピードによって左右されるビジネスは、例外となります。 しかし、提案要素が占める割合が多いビジネスは、実は早く見積もりを出すことで成約率を下げてしまう可能性が高いのです。 それは売れる営業マンの見積もりが遅い理由と表裏一体です。 以下の3つの、売れる営業マンの見積もりが遅い理由を理解すれば、なぜ早い見積もりが成約率を下げるかも明らかになります。 ●自由度を狭めないため ●競合にアドバンテージを与えないため ●ヒアリングを徹底してニーズを満たすため それぞれについて、じっくりと見ていきましょう。

自由度を狭めないため

ひとつめの理由は、提案の自由度を狭めないためです。 見積もりはあまり早く出してしまうと、提案の自由度の幅を自ら狭めることになります。 なぜなら、早い段階では顧客自体もこれから購入しようとする商材やサービスを実際に使用するイメージがまだまだ弱いからです。 商談が進んでその商材やサービスのことを理解していけば、あれこれと具体的なイメージが出来上がってきて、それに伴って最初は聞かされていなかったリクエストがどんどん上乗せされてくることが多いです。 ところが早めに見積もりを出した段階では、そこまで考えていなかったのでリクエストに応えるためには仕様の変更が必要で、コストが合わなくなっていきます。 当初の見積もりから大幅に上げることになると、顧客は「これくらいでいけると言ったじゃないですか」などと不満を感じます。 かと言って損をしてまでセールスできないので、高くなった見積もりで判断してもらうことになり、結果的には成約できなくなりがちです。 そうならないためにも、商談に入ったからといって急いで見積もりを出さないほうが賢明なのです。 価格を確定しないまま商談の中での仕様の選択の自由度を保つことで、顧客が納得できる提案ができます。

競合にアドバンテージを与えないため

ふたつめの理由は、競合他社にアドバンテージを与えないためです。 早く見積もりを出すということは、自社の手の内を競合に早めにさらしてしまうことになりがちと言えるでしょう。 なぜなら、多くの場合法人向けの高額商材やサービスを購入するにあたっては、同様の商材やサービスを扱っている複数の業者で比較検討、および交渉するために相見積もりを取るからです。 早めに出た見積もりが、今後の比較と交渉の基準となってしまいます。 「〇〇社さんからはこういう内容でこれくらいの予算が出てきたんだけど、そちらではどう?もっと良い条件の提案が出せますか?」 そのように、他社から良い条件を引き出すための交渉材料に使われることになります。 すると競合他社は、〇〇社より内容的に充実して予算的には少し低めになるような絶妙なバランスの提案をしてくるでしょう。 実際のクオリティの比較でどうなるかは別として、見積もり上はいかようにもそういう体裁のものに仕上げてくるはずです。 どちらも使わない限り本当の比較はできないので、そういうことが起こるのです。 その上前述のように、見積もりを早く出せば自由度が狭くなり、後からの調整が難しくなります。 早めに見積もりを出したがために競合が有利な立場で提案し、そちらに持っていかれるようことにならないためにも、売れる営業マンは必要以上に早く見積もりを出さないのです。 かりに顧客から「早く見積書を出してほしい」と言われたとしても、最初の基準とされないように少しタイミングをずらし、 むしろ他社から出てくるのを見計らって、それに総合的に負けない提案を出すのが得策です。

ヒアリングを徹底してニーズを満たすため

みっつめの理由は顧客へのヒアリングを徹底してニーズを満たした提案にするためです。 言いかたを変えれば、徹底したヒアリングを経て見積もりを出すのは、たとえ早くしようと思ってもできるものではありません。 顧客サイドの課題をじっくりと聞き出して、ウォンツを引き出し、その奥にある本当のニーズにたどり着くためには、 信頼関係が構築されることや自社商材やサービスを理解してもらうことなどが必要になってきます。 そういうことに取り組まずに見積もりを作ったとしても、内容的には顧客に響くものがない提案になるので、成約自体が無理でしょう。 そんなに甘いものでないことはみなさんもご存知のとおりです。 また、かりに成約に無理やり持っていけたとしても、ヒアリング不足のせいで赤字の提案になるリスクがつきまといます。 つまり、前述のように見積もりを出した後に聞かされる想定していなかったようなリクエストに対応し、 価格を据え置きでとにかく成約を優先した場合、その案件自体の収支は赤字になるおそれがあります。 もちろん、継続的に取引ができるなら後から収益化するチャンスはあります。 とはいえ、最初の取引から「あそこは無理が通る」という認識を与えているため、健全な収益がその後も見込めないかもしれません。 このように、いずれにしてもヒアリングを徹底することが最優先です。

ウォンツの奥のニーズを引き出すには?

顧客にヒアリングする中で出てくる表面的なニーズは、多くの場合にその前の段階であるウォンツに過ぎないことが圧倒的に多いものです。 顧客ニーズというものは、それくらいつかみづらいものだと言えるでしょう。 ウォンツとニーズの違いは、手段と目的の違いと同じと言えます。 ニーズを引き出すには「なぜ?」を繰り返して問い続けるのが効果的です。 最初に出てきたウォンツであろうことに対して 「なぜそうしたいのでしょうか?」 「誰がそうするのでしょうか?」 「いつそうなるのでしょうか?」 「どのようになると良いのでしょうか?」 などをケースバイケースで質問し続けるのです。 相手が不快にならないようにだけ配慮しながら質問を数回繰り返すことで、どんどんニーズに迫っていけます。 身近な例で見てみましょう。 「今日は会社の帰りに絶対バッティングセンターに行きたい」 これは一見するとニーズのように思われます。 しかし、本当のニーズがその奥にあるケースが考えられます。 「なぜバッティングセンターに行きたいの?」 「ボールを打ってスカッとしたいのさ」 「どうしてスカッとしたいの?」 「仕事でストレスが溜まっているので発散したいんだよ」 つまり、この人のニーズは「ストレス解消」です。 ストレス解消の目的で「バッティングセンターに行く」という手段を講じるのです。 企業でも同じことが言えます。 「どうして工場の業務効率化システムを導入したいのですか?」 「工場の業務効率化によって余った人員を営業部門に回せるんです」 「営業部門に人員を回すと何が得られますか?」 「競合に奪われたシェアを奪還するために営業力を上げたいんです」 この場合も「工場の業務効率化システムの導入」は、ニーズではなくウォンツであり手段です。 「営業力を上げる」が根本のニーズであり目的です。 この例では「工場の業務効率化システムの導入」というウォンツに「なぜ?」を繰り返すことで「営業力を上げる」という本当のニーズを知ることができ、 工場の業務効率化システムと併せて営業支援システムも提案できるチャンスが生まれます。 このように、ニーズを引き出すヒアリングは、新たな市場さえも創造するチャンスを与えてくれるパワーを持つ、重要な作業だと言えるでしょう。

見積もりを出す前に確認すべき3つの条件

営業見積もり遅い条件
ここまでで見てきたように、一般論である「見積もりは遅いとダメ」の落とし穴は重々気をつけなければなりません。 出してくれと依頼される前に出すのは論外です。 提案の自由度を自ら狭くした上に、競合にとって有利な材料を自らさらすことになります。 充分なヒアリングをする前に出すのもいけません。 ニーズを満たしていない提案なら、価格以前の問題として、見向きされなくなります。 それらを踏まえて、見積もりを出す前にきちんと確認すべき条件があります。 最後にその条件について触れておきましょう 見積もりを出す前に確認すべき条件は以下の3つです。 ●満足条件:顧客が満足するために必要なもの ●決定条件:それさえ満たせばすぐにでも契約できるもの ●除外条件:そういう内容なら検討の余地がないもの 個別に詳しく解説していきましょう。

満足条件:顧客が満足するために必要なもの

ひとつめは顧客が満足するために必要な条件である「満足条件」です。 ヒアリングによって見極めたニーズがしっかりと反映されている提案なら、満足条件は満たせるでしょう。 一方、ニーズが満たせないような提案に陥っている場合は、なかなか成約まで至りません。 満足条件を確実に満たす手法として、チェックリストを使いましょう。 ヒアリング作業を通して、必要と思われる商材やサービスの機能をすべて書き出し、チェックできるように一覧表のチェックリストにしておくのです。 ヒアリングの大詰めの段階で顧客と一緒にひとつひとつを確認し、すべてのチェックボックスが埋まるまで行います。 顧客から、これですべて満たされますという返事が聞けたら、そのリストに沿った内容で見積もりを出すことになります。 価格調整をするのはここからの作業です。 例えば、顧客から思っていたより高いと言われた場合、まずは「御社のリクエストをすべて盛り込むとこうなります」と答えましょう。 そして、顧客にとって優先順位の低いコンテンツを削るなどで顧客の希望する価格に近づけます。 チェックリストに関して大切なことは、そのリストに抜け漏れがないことを顧客が確認したという了承を取り付けておくことです。 それが確認できていれば、その先にまた「あれが要る」「これは付加できないか」となった場合に、予算を増やしてもらう交渉ができます。

決定条件:それさえ満たせばすぐにでも契約できるもの

ふたつめは、顧客にとってそれさえ満たせばすぐにでも契約できる「決定条件」です。 先の満足条件と似ているようで違うのは「それが満たされるのなら細かいことはもういい!」という決定的な要素を意味することだと言えるでしょう。 これが、結構多くの場合にあるのです。 具体的には、「納期」だったり「価格」だったり「機能」だったりします。 「今月中に手に入るのなら御社で決める」 「この予算内でいけるなら即契約する」 「〇〇機能が使えるのであればもう迷わない」 他にもさまざまなケースが想定できます。 顧客にとっては最重要項目なので、必ずヒアリングでそういうものがあるのかを確認しておきましょう。

除外条件:そういう内容なら検討の余地がないもの

みっつめは、そういう内容なら検討の余地がないという「除外条件」です。 これは聞き出すのがやや難しい条件でもあります。 例えば、以下のようなやり取りで確認しましょう。 例A) 営業:参考までにお聞きしますが、今回の発注で正直この金額を超えると論外だ、みたいな目安ってあるのでしょうか? 顧客:うーん、さすがにXXX万円以上は到底無理になってくるでしょうね 例B) 営業:念のためお伺いしますが、もし〇〇機能の代わりに同様の効果がある△△機能がつくとしても問題ないでしょうか? 顧客:いやぁ、社長が〇〇機能にこだわっているので、そうなるとい難しいね 例C) 営業:リクエストは全部叶えられたとして、かりに準備に時間がかかって再来月の納品になると具合が悪いでしょうか? 顧客:そもそも来月からの弊社のキャンペーンに活用したいので、もし再来月になるなら他をあたることになるね このように、「参考までに」「念のために」「かりに」などのクッションを置いてさりげなく聞けば聞き出しやすくなります。 それを聞き出せれば、顧客の意向通りに調整するか、どうしても赤字になるので辞退する方が良いと判断するか、選択することが可能になります。

3つの条件がどれも聞き出せない場合は?

もし、真摯にヒアリングしたにもかかわらず、この3つの条件うちの、どれひとつとして具体的に聞き出せなかった場合はどう考えるべきでしょうか。 答えはシンプルです。その案件はもう深追いしない方が良いでしょう。 なぜなら、そのような案件は顧客にとってそれほど重要ではないのです。 よくわからないから、とりあえず提案して欲しいとなんとなく言っているに過ぎません。 複数社から相見積もりを取るだけ取って、結局どこにも決めない可能性が極めて高いでしょう。 「私たちのニーズが満たせる提案が出てこないので、どことも契約はしません」などとしれーっと言われるのが関の山です。 そのような見積もりに付き合わされると、営業リソースの浪費になるだけです。

まとめ

営業見積もり遅いまとめ
売れる営業マンの見積もりが意外と遅い3つの理由を明らかにし、見積書を出す前に確認すべき3つの条件やヒアリングの重要さを解説しました。 遅い見積もりがダメという常識の落とし穴を理解すれば、常識的な範疇で見積もりは遅めに出すことがさまざまな観点から営業マンにとって有利であるのは明らかです。 ここで紹介した情報を参考に、見積もりは急がずに周到なヒアリングで根本的なニーズと3つの条件を確認して、相見積もりを勝ち抜きましょう。

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