一色 みわ 0 Comments
金属業界は製造業の基盤を支える重要な産業です。金属製品は私たちの日常生活から先端技術まで幅広く活用されており、経済活動の根幹をなしています。また、金属リサイクルにも注目が集まっており、持続可能な社会実現に向けた取り組みが進められています。 なお、BIZMAPSでは 金属業界に関連する企業の情報を掲載中です。各企業の詳細は【製造業界,金属加工】【資源・素材業界,金属製品】からご確認いただけます!是非合わせてご覧ください。

金属業界とは?

金属業界は、金属の抽出、加工、製造、販売に関わる産業の総称です。金属業界は多岐にわたる産業での応用が可能であり、自動車、建築、航空宇宙、家電製品など、日常生活から先進技術まで幅広い分野で金属材料が使用されています。 多面的な役割を果たす金属業界は日本経済を支える重要な産業セクターです。技術革新と環境調和を目指して進化を続けており、未来の産業構造や社会環境に大きな影響を与えることが期待されています。

金属業界の定義

金属業界は以下の4業種に分類されます。
  1. 【鉄鋼】
鉄鋼業は、鉄鉱石を基に鉄や鋼を生産する業界です。鉄鉱石を高炉で溶解し、鉄を抽出後、さらに炭素や他の合金元素を添加して鋼を生産します。製品は建築材料、自動車部品、鉄道関連の部材など、幅広い用途に供されます。鉄鋼業は大規模な設備投資と高いエネルギー消費を伴うため、環境対策と効率化が重要な課題です。
  1. 【非鉄金属】
非鉄金属業は、鉄以外の金属(アルミニウム、銅、亜鉛、鉛など)を扱う業界です。これらの金属は、特定の特性を持っており、電気伝導性、耐腐食性、軽量性などの特徴から、電子部品、通信機器、自動車、航空機の部材などに利用されます。非鉄金属は資源が限られているため、リサイクルが非常に重要です。
  1. 【金属製品】
金属製品業は、鉄鋼や非鉄金属をさらに加工して、具体的な製品を生産する業界です。このセクターには、工具、機械部品、建築金物、家庭用品など、非常に多様な製品が含まれます。製品は主に、機械加工、鍛造、鋳造、組立などのプロセスを経て製造されます。
  1. 【金属卸】
金属卸業は、生産された金属や金属製品を、製造業者から消費者や他の企業へ流通させる業界です。この業種は、供給チェーンの管理、在庫管理、物流の最適化などが主な業務であり、効率的な流通が求められます。また、市場の需要変動に応じた柔軟な対応が業績を左右する重要な要因となります。 これらの業種は相互に依存しながら、金属業界全体の発展に寄与しています。それぞれが特有の技術や市場ニーズを持っており、業界全体の健全な成長には各セクターの持続可能な発展が不可欠です。

金属業界の構造

金属産業は、世界各地に広がる資源メジャーと呼ばれる国際的な企業群から、鉄鉱石やその他の多種多様な鉱物資源を調達しています。これらの原材料は製錬プロセスを経て基本的な金属に変換され、その後、細かい加工を施すことで様々な産業で使用される製品へと変身します。完成した金属製品は金属卸を通じて自動車製造業者、建築業界、電子機器メーカーなど、多岐にわたる顧客産業のメーカーや流通業者へ納品されることが一般的です。 近年では、鉱石の安定供給を確保するために国内外の鉱山開発への投資が活発化。特に海外での鉱山開発に進出し、原料の自前調達比率を高めることにより、供給の安定性とコスト効率を向上させています。この取り組みにより、市場の変動や供給リスクに対する強い体制が構築され、競争力のある製品供給が可能です。 また、特定の大口需要家に対しては、標準的な流通経路を経ずに製錬・加工を行った企業が直接製品を納品するケースも見られます。このアプローチは、顧客の特定の要望に応じたカスタマイズを実現し、オーダーメイド製品の提供によって顧客満足度を向上させると同時に、密接なビジネス関係を築くことが可能です。 金属産業はその供給チェーンの最適化を図りながら、製品の品質、コスト、納期の各面で優位性を保ちつつ、グローバルな市場での競争力を維持し、産業の持続可能な発展を推進しています。

金属業界の産業内における位置づけ

金属業界の名目GDPは17.2兆円に達しており、日本全体の産業の中でその割合は3.1%ほどです。製造業のセグメントの中でも特に大規模な部門であり、他の多くの産業セクターと比較してもその規模の大きさが際立っています。 金属業界に従事している就業者数は約136万人で、日本の総就業者数に占める割合は2.0%です。この数値は、装置型製造業の典型的な特徴を反映しており、生産設備に依存する業種の性質上、比較的少数の労働力で大規模な生産が可能です。 また、金属業界は川下の産業である機械、エレクトロニクス、自動車・輸送用機器産業などの組立型製造業と比較しても、就業者数が少ない点が特徴です。 金属産業の主な活動は、他の産業で広く使用される鉄鋼や非鉄金属の製造に集中しています。これらの材料は建築業、自動車製造、電子機器製造など、多岐にわたる分野で基本的な構成要素として不可欠です。そのため、金属産業は今後も安定した需要が見込まれ、これに応じた生産体制の強化や技術革新が進められています。

金属業界の市場規模

経済産業省が公開する「工業統計(品目編)」、同省の「経済構造実態調査(品目別)」および総務省と経済産業省が共同で行う「経済センサス」によると、2021年の金属産業の出荷額は合計で47.6兆円に達しています。この数字を詳細に見ると、鉄鋼が19.7兆円、非鉄金属が12.0兆円、金属製品が15.9兆円という内訳となっており、特に鉄鋼と金属製品の市場規模が顕著に大きいことが分かります。 金融危機による2009年の世界的な不況の際には、金属産業の出荷額は大きく減少しましたが、2010年以降は出荷額が安定。しかし、この業界は自動車産業や建設業界など、顧客産業の動向に強く影響を受ける特性を持っています。自動車産業や建設業界などが金属製品の主要な消費先であり、その需要が金属産業の健康度を左右するためです。 原材料や物流費などの諸物価の上昇は、業界全体のコスト増加につながっていますが、2021年には鉄鋼と非鉄金属のセクターが前年を大幅に上回るパフォーマンスを示しました。これは、堅調な鋼材需要の持続と、販売価格への転嫁取り組みが功を奏した結果と言えます。 ただし、国内需要の停滞や製造業の生産拠点が海外に移転する傾向が続いているため、将来的には市場の縮小が懸念されます。これらの要因が組み合わさることで、金属産業は不確実な環境に直面しており、今後の市場動向とそれに伴う戦略的な対応が求められています。

金属業界の最新トレンド

日本鉄鋼連盟が提供するデータによれば、新型コロナウイルスの影響が見られる前は、粗鋼の生産量が毎月700万トンから900万トンの範囲で安定して推移していました。しかし、2020年にはこのパンデミックの影響で生産量が大幅に減少し、その年の生産は700万トンから800万トンにまで落ち込みました。 翌2021年には少し回復し、700万トンから800万トンの範囲での生産を見せましたが、2022年には再び減少傾向に転じ、2023年に入ってからも700万トン前後で推移し、依然としてコロナ禍前の水準には戻っていません。 普通鋼鋼材に関しても同様の影響が見られます。コロナ禍前は月間生産量が500万トンから600万トンの間で推移していましたが、2020年にはその数が400万トンから500万トンに減少しました。2021年には若干の回復が見られ、500万トンを超える月もありましたが、2022年には再び生産量が前年を下回る月が増え、2023年に入っても400万トンから500万トンの範囲で低調な状態が続いています。 鋼材の需要は公共投資や設備投資の需要に大きく影響を受けるため、建設業界の景気変動と密接に連動しています。鉄鋼業界は経済活動の中で上流に位置し、その影響は建設をはじめとする多岐にわたる供給先業界に及びます。 このため、鉄鋼業界の季節変動は川下の業界に比べて比較的小さいとされますが、国内外の経済情勢や政策の変更が直接的な影響を与える可能性も高いです。その結果、鋼材市場は不確実性に晒されることが多く、産業全体の安定性に影響を与える要因となっています。

金属業界の発展にむけて

金属業界は、グローバルな変動や技術進化、環境政策の変更など、様々な外部要因に強く影響を受ける産業です。以下に示す5つのポイントは、今後の金属業界の動向を左右する重要な論点となります。
  1. 【国際競争の激化】
新興国を中心とした海外企業の台頭は、金属業界における価格競争と品質の基準を引き上げる要因です。これらの企業は低コストで高品質な製品を市場に供給する能力を持ち、国内企業にとって大きな脅威となっています。
  1. 【原材料確保の戦略】
金属業界では、原材料の安定供給が事業の継続性に直結します。川上の資源メジャーとの良好な関係性を築くことは、供給リスクの低減とコスト管理に不可欠です。これを実現するためには、長期的な契約、相互依存のビジネスモデルの構築、供給元の多様化などが考えられます。
  1. 【金属業界の統合と再編】
金属産業内での業界再編は、効率化、コスト削減、市場での競争力強化を目的として進行しています。大手企業によるM&A(合併・買収)が活発に行われることで、より強固な企業体が形成され、グローバルな市場でのポジショニングを強化する狙いがあります。
  1. 【顧客産業の国際化対応】
自動車メーカーや電機メーカーなど、顧客業界の生産拠点が海外に移転する傾向が強まっている中で、金属業界も対応が必要です。グローバルな供給網の構築、海外での生産設備の確保、現地市場に適応した製品開発が求められます。
  1. 【環境保護への取り組み】
鉄鋼業界など電力を大量に消費する産業では、環境負荷の低減が喫緊の課題です。CO2排出量の削減、エネルギー効率の向上、リサイクルの推進など、環境に配慮した事業運営が求められています。これにより、持続可能な製造プロセスが確立され、企業の社会的責任を果たすことが期待されています。 これらのポイントは金属業界が直面する複雑な課題であり、これに適切に対応することで業界全体の持続可能な発展が可能となります。

金属業界におけるビジネスチャンス

金属業界におけるビジネスチャンスは多岐にわたります。以下はその主要な商機です。
  1. 【再生可能エネルギー関連製品への供給】
太陽光発電のパネルフレームや風力タービンの部品など、再生可能エネルギー設備に使われる金属製品への需要が増加しています。
  1. 【自動車産業向けの軽量化材料】
燃費効率と環境基準を満たすために、アルミニウムや高強度鋼などの軽量化材料への需要が高まっています。
  1. 【電子機器への精密部品供給】
スマートフォンやタブレット、その他の電子機器向けの精密金属部品の供給が拡大しています。
  1. 【医療技術向けの高品質金属】
医療機器やインプラントに使われるチタンやステンレススチールなど、生体適合性が高い金属への需要が増加しています。
  1. 【インフラ建設プロジェクトへの参加】
開発途上国でのインフラ整備が進んでおり、橋梁、道路、ダムなどの建設に必要な鉄鋼製品の供給が可能です。
  1. 【持続可能な生産技術の開発】
環境への影響を軽減する持続可能な鉱業技術やリサイクル技術の開発・実装が求められています。
  1. 【グローバル供給チェーンの強化】
国際的な供給網を構築し、輸出入を通じて新しい市場を開拓する機会があります。 これらのビジネスチャンスは、金属業界における技術革新、市場ニーズの変化、およびグローバルな経済動向に応じて形成されています。

金属業界の主要な企業

金属産業は主に鉄鋼と非鉄金属の二つのセクターに分かれており、それぞれ異なる主要企業が存在します。鉄鋼業界では、日本製鉄(旧:新日鐵住金)とJFEホールディングスが大手として知られ、国内市場はこれら2社及びその関連会社が中心に。一方、非鉄金属業界では、金属の種類ごとに異なる主要企業が活動しており、住友電気工業、三菱マテリアル、古河電気工業が主な企業です。 金属製品の分野では、缶製品の大手として東洋製罐グループホールディングスやホッカンホールディングス、ねじ製造の日東精工や尾張精機、そして工具製造の京都機械工具やTONEが代表的な企業です。 また、金属卸売業には総合商社や鉄鋼関連企業が多く関与しており、総合商社からは三菱商事と双日がメタルワンに、伊藤忠商事と丸紅が伊藤忠丸紅鉄鋼に出資しています。 鉄鋼関連では、JFEホールディングスの完全子会社JFE商事や日本製鉄が出資する日鉄物産(旧:日鉄住金物産)が主要な役割を担っています。

金属業界のビジネスチャンスを掴もう

金属業界は、世界的な経済の動向、技術進化、そして環境問題への対応が急速に求められる中で、今後の展開に多くのビジネスチャンスが見込まれます。これらのチャンスを活かすためには、業界内での持続的なイノベーション、資源効率の向上、および国際的な市場への適応が鍵となるでしょう。 BIZMAPSでは、独自のタグシステムを利用して多様なアプローチで企業情報を検索できます。国内170万社以上の企業の基本情報が無料で閲覧でき、売上や従業員数などの情報を基にターゲット企業を絞り込むことが可能です。 詳しくはこちら! 営業リストおすすめ無料検索サイト|BIZMAPS(ビズマップ) ▼その他のBIZMAPS掲載企業の特集はこちら! 2020年4月設立の新設法人を紹介!当時のニュースも振り返ります 2019年12月新設法人から注目の10社を紹介 2019年1月の新設法人リストに注目!話題の企業10社を紹介 アンチエイジングジャパンとは?概要や注目企業10社を紹介! 暮らしを支える製鉄所の現状とは?関連企業の売上ランキングも紹介 輸出入で食文化交流に貢献する食品会社15選!業界の現状も解説 試作市場&微細・精密加工技術展とは?注目の出展社10社も紹介! ▼法人営業に役立つ業界特集はこちらから! 鉄鋼業界の市場は停滞の傾向?業界の概要と気になる今後の動向も 旅行業界とは? 今後の動向から徹底的に解説します! 医療・介護業界の全貌を解明!最新トレンドや今後の重要ポイントを解説

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