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建設業に属する設備卸は、建築資材や住宅設備機器、管工機材などさまざまな材料を卸している重要な業界です。しかし、近年の社会情勢から実に厳しい状況が続いており、今後の展開にも劇的な変化が起きています。本記事では、設備卸の業界構造から徹底的に調査しました!最新のトレンドと共に主要企業の成功例を交え紹介いたします! また、最大規模の企業プラットホームBIZMAPSで【建材専門商社】で検索すると、9,097社が掲載されています。BIZMAPSは月額無料で100件まで企業情報をダウンロードすることができます。これから設備卸業に新規顧客開拓を考えている方は是非参考にしてください。

設備卸の業界定義をチェック

設備卸は建設業に属しており、屋根材、床材、壁材、ドア、ガラスといった建築資材、バスルーム、トイレ、キッチン、空調といった住宅設備機器、パイプ、バルブ・コック、継手、ポンプといった管工機材などさまざまな産業分野に対して機器や設備を提供する企業を指します。これらの業者は製造業、建設業、医療業界、教育機関など、幅広い分野で必要とされる機器や設備の供給を行っています。

設備卸の業界特性を解説します!

設備卸業界は、産業や商業、公共部門における各種機器や設備の流通・販売を専門とする業界です。この業界に属する企業は、製造業者(メーカー)から機器や設備を大量に購入し、それを小売業者や最終顧客(企業、公共機関、教育機関など)に販売します。設備卸業者は、サプライチェーンの中で重要な役割を担い、効率的な流通と供給の管理を行うことで、顧客のニーズに応えています。 また、設備卸業者のビジネスモデルは、効率的な仕入れと在庫管理、強固な物流ネットワーク、複数の販売チャネル、技術サポートと付加サービス、顧客関係管理を通じて構築されています。これにより、多様な顧客ニーズに対応し、安定した収益を確保しています。技術の進化や市場の変化に対応し続けることで、設備卸業者は競争力を維持し、成長を続けることができます。

設備卸の業界構造と主要企業を紹介

設備卸の主要業態は、大きく分けて建築資材や住宅設備の卸売業者を指す「建材・住設卸」、配管材や関連資材の卸売業者を指す「管材卸」、電気材料や関連資材の卸売業者を指す「電材卸」に分かれます。それぞれの業態により、抱えている問題や傾向もさまざまです。細かに別れ展開する設備卸の業界構造を解説しながら、主要企業まで徹底的に紹介します!

設備卸のバリューチェーン

設備卸の中でのバリューチェーンは、建築資材卸の主要業態でもある、建材・住設卸、管材卸、電材卸の中の、建材・住設卸と管財卸を範囲としています。設備卸業界のバリューチェーンは、製品が製造されてから最終的にエンドユーザーに届くまでの一連のプロセスを指し、元々は各卸の取扱品文句が重複することは少ない傾向にありましたが、事業規模の維持・拡大を図るため、事業領域を拡大するため、他の業態のコア商材を扱う企業も増えています。 設備卸業界のバリューチェーンは、製品の供給から顧客サポートまでの一連のプロセスが緊密に連携することで、高品質な設備とサービスを顧客に提供し、業界全体の発展に貢献しています。設備卸の商品の納入先は、元請負工事業者のゼネコンやサブコン、工務店などの専門工事業者から、マンションオーナーなどの最終ユーザーなど多くの企業を対象としているため二次卸を通した取引も多い傾向にあります。 インターネットが普及した今は、メーカーがネット販売や自車の小売店などを利用した設備卸を通さない流通経路も盛んになりつつあります。商材の垣根を超えた参入があったこともあり、設備卸の競争が激しくなっています。そのため、プライベートブランド(PB)商品の開発や、自社工事部隊を備え工事事業へ参入するなど、利益の確保を求め川上、川下へ と領域を拡大させるプレイヤーも増えています。

設備卸の取扱い商品・サービスの特徴

設備卸業者が取り扱う商品やサービスには、さまざまな種類と特徴があります。設備卸が扱う建築資材は、各種金物や面材などの構造材、屋根材や外壁材やエクステリアなどの外装材、床材、壁材、天井材、階段、建具などの内装材、雨戸・シャッター、ドア、ガラス、面格子材などの開口部材からなどがあります。また、住宅設備機器には洗面所やバスルーム、キッチン、トイレ、給湯設備、空調設備などがあります。 設備卸の管工機材には、パイプ、バルブ・コック、継手、ポンプなどが含まれます。設備卸業者の各業者は、特定分野の商材や特定メーカーの商材の取扱いを強みとしており、建材、住設、管材、電材の枠を超えて、コア商材と関連した商材も取り扱われる場合が多くなっています。近年においては、設備卸の建材・住設卸、管材卸、電材卸の取扱商品に垣根がなくなりつつあります。

設備卸の業界ビジネスモデル

建設業界の設備卸ではもともと、各卸の扱う商品が重複することはありませんでした。しかし近年では、ワンストップサービスを視野に入れ実現させるために隣接業界のコア商品を取り扱う企業が増加しています。設備卸では新築需要が伸び悩んでいるのもあり、隣接業界からの参入による業界内の競争率は激しい傾向にあります。また、インターネット普及に伴い、ネット通販やプロ向けショップが増えています。 従来の卸売りを通さず取引を行うことが多くなり、これから主流となる可能性もあるため新たな脅威となる場合もあります。こうして、建築資材卸売市場が成熟と縮小傾向にある中、設備卸は十分に利益を得ることが難しい状況になりつつあります。KFSは商材領域拡大におけるワンストップサービス提供、利益率の高いPB商品開発や工事事業への参入といった垂直方向の川上、川下への領域拡大による利益確保を行うことが必要不可欠となります。

主要企業の財務指標分析

設備卸の財務指標を分析するために、経済産業省の商業動態統計年報を参考にします。設備卸の建築材料卸売業の2021年度の販売額は21兆円です。また、「企業活動基本調査」によれば、設備卸の売上高総利益率は2021年度に14%、営業利益率は2.5%となっています。数字を見る限り、近年は改善傾向にあります。また、設備卸は一般的な卸売業者と同じく、営業人員を多く要する労働集約型の産業です。 固定資産比率は30%とじつに低い値となっています。売上高総利益率、営業利益率は共に低い傾向にありますが、近年資材価格や運送費の高騰で販売費が膨らんでいる影響はあれど、PB商品開発やIT活用によって業務効率化を図り利益率が高まりROAは微増傾向にあります。

設備卸の市場規模と今後のトレンド

設備卸の建築物工事費と管工事費の今の推移状況を詳細に解説します。日本の設備卸市場は、建設業界の需要増加、技術革新、環境規制の強化などにより、今後も成長が期待される分野です。具体的な市場規模や成長率については、最新の市場調査報告や業界分析を参照することで、より詳細なデータを得ることができます。市場の主要プレーヤーは、これらのトレンドに対応し、持続可能な成長を目指して革新と最適化を進めています。

設備卸の市場規模

国土交通省の「建築着工統計調査」を元に解説すると、2023年の建築工事費金額は26兆7,996億円となっています。数字から見ると、2009年の金融危機による落ち込みから回復し、安定に推移しています。しかし、2020年の新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け大きく減少しました。2021年には回復傾向にありましたが、2022年には低調な推移が続き、2023年には増加がみられるものの、コロナ禍前の水準に戻っていません。 なかでも、工事費の約半分を占める住宅の回復が上がらず、2006年の18.8兆円をピークに減少傾向が続いています。コロナ禍により工事及び作業場では製造業が大きな影響を受け需要減の痛手を受けました。2022年にはコロナ禍を上回る回復を遂げ、2023年も増加を遂げることができました。なかでも事務所・倉庫は拡大基調で安定に推移しています。次に、国土交通省の「設備工事業に係る受注高調査結果」を参考にし、推移を確認していきます。 2022年度の受注高は電気工事が1兆8,426億円と全般設備工事の半分近くを占めています。管工事が1兆6,236億円、制御システムや計測機器などの取付や配線を行う計装工事が4,168億円になっています。数字を見るだけでも、建築工事費金額と似た推移になっているのが分かります。 気になるコロナ禍による影響ですが、経済産業省の「経済構造動態調査」を参考に見ると2022年の建築材料卸売業の年間商品販売額は18.2兆億円でした。1990年代前半から減少傾向ではありましたが、2012年から2019年にかけては回復の兆しを見せていました。2020年にコロナ禍の影響で大きく減少をしています。2022年には増加傾向に推移していますが、建築需要の回復は鈍くコロナ禍前の水準には戻っていないのが現状です。

設備卸の今後のトレンド

設備卸が最も注目すべきトレンドは2025年から施行される「新築住宅に関する省エネ義務化制度」です。新築住宅に関する省エネ義務制度とは、日本においてエネルギー消費削減と持続可能な建築環境の実現を目指す重要な政策です。これにより、住宅の省エネ性能が向上し、環境保護やエネルギーコスト削減に寄与しています。将来的には、さらなる技術革新と規制強化により、一層の省エネ効果が期待されます。 2025年に向け、断熱性能や省エネ基準などが示されます。省エネ義務は従来、中規模以上のビルに限られていましたが、対象を小規模ビルや住宅にも拡大し、断熱材を厚くしたり効率的な冷暖房・照明を採用することが必要となります。

設備卸の業界環境

設備卸業界は建設市場の動向に大きく影響されます。2009年の金融危機以降、設備卸は回復傾向にありましたが、建設市場は国内の人口減少が住宅ストックの量的充足と重なり、伸びが鈍化してしまいました。それにより、建設業界と強いつながりのある設備卸も大きなマイナス影響をうけました。 少子高齢化により、住宅購入を検討する20代〜30代の人口が減少傾向にあり、新規の住宅購入、建設の需要が減少傾向にあるのも影響の一つです。これらの影響から、建材・設備卸業界ではリフォーム需要の獲得にフォーカスしての活動が大きくなっています。また、リフォーム市場は住宅ストックの老朽化による需要に加え、高齢化による改築需要も高まっています。 2022年6月改正建築物省エネ法が成立し、2025年度までに住宅・建築物に対する省エネ基準への適合が義務化されました。それにより、省エネ化改修や木材利用の促進に向け、建築基準法上の制限が緩和され、省エネ性能が確保された建材や設備の需要が高まっています。インターネットの普及により、メーカーがネット販売を通して直接ユーザーに商品を販売する流通経路が拡大し、設備卸売業者でもネット販売をおこなう企業が増えています。 また、スマートメーターの設置により、建物全体の電気・ガス・水道といったエネルギー利用を一括で管理し、効率化を図るスマートハウス技術や、センサーで建物設備を無人で24時間監視するIoT技術などが進展しています。

設備卸の主プレイヤーの動向をチェック

設備卸は新型コロナウイルスの影響や少子高齢化に伴い、各企業がさまざまな改革を見せています。設備卸の主企業を3社ピックアップし、その動向を調査しました。それぞれの企業の動向を知ることで、今後の設備卸の進展の参考にもなります。また、業界の動向と共に各企業の動きが今後の展開の鍵でもあります。設備卸業に関わりのある経営者の方には是非チェックしていただきたい内容です。

JKホールディングス

設備卸は、住宅建材のジャパン建材を中核企業としています。また、合板、建材卸の最大手であるJKホールディングスは、利益率の高いPB商品「Bulls」の拡販や、工事事業における施工分野の機能と領域拡大に取り組み、収益性の向上を図っています。また、合板の取扱品目拡大や木材販売の強化、リフォーム市場及び介護・高齢者施設や医療向け施設などの非住宅市場向けの商材も拡充させています。 2020年のコロナ禍で売上高の減少が見られましたが、2021年度はコロナ禍の水準に業績が戻り、2022年度は過去最高の売上になりました。この結果を導き出したのは、重点政策の一つに、業界再編に向けて取り組んだことが挙げられます。建設卸業界の再編が進む中、事業承継問題を抱える中小の建材卸・小売企業の買収を積極的に行う動きがみられます。 事業拡大の目的での買収により、2018年に内装用工具のカタログ販売を主要事業とする広島(大阪市)の全株式を取得し、子会社化することで事業基盤を拡大しました。2024年度までの中期経営計画では「持続的成長を目指した連結経営基盤強化」、「コア事業における競争力強化」、「社会課題解決型ビジネスの推進」の3つを軸とし、グループ共通基盤の構築を目指したIT投資や、DXを活用した物流効率化、M&Aや事業承継を通じた拠点整備、循環型社会の構築に向けた取り組み掲げています。 JKホールディングス株式会社

アドヴァン

欧州やアジアの建材メーカーと提携しているアドヴァンは、高品質かつデザイン性の高い高意匠の石材やタイルなどの開発輸入をおこなう企業です。ファブレスモデルにより低コストでの高品質建材の仕入れを可能にしており、取扱商品のほとんどがPB商品であるのが特徴の一つです。また、直接工務店に口座を保有して直販をおこなっているため、中間マージンをカットし価格優位性を打ち出す独自のビジネスモデルを構築しています。 コロナ禍で2020年度は大幅な減収となりましたが、2022年度にはコロナ禍前の水準に戻し、営業利益率は20%以上を確保しています。 株式会社アドヴァングループ

渡辺パイプ

管材卸大手の渡辺パイプは、営業エリア拡大と商材の強化を目的としたM&Aを積極的におこなっている企業です。2012年にはエリア拡大を目的に北海道を拠点とする管材・住設卸の梅津管材を、2015年には富山を拠点とする中堅管材卸の辻清商事を、2019年には水道工事の材料・住宅設備機器の販売をしている大森管材をグループ化としています。 2014年には、商材の強化のために電材卸の明興産業を、2015年には鉄鋼卸の東北交換をグループ会社化しています。また、渡辺パイプは自社と取引経験のある顧客を対象に、ネット上で24時間いつでも発注を可能にする会員限定サイトを運営し、既存顧客への効率的な販促をおこなっています。2021年からはDXサービスの推進に向け、スタートアップ企業から協業案募集を開始しています。 渡辺パイプ株式会社

設備卸の業界展望をチェック

2020年の新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きく、建設工事の中止、新設着工の減少、建材・住宅設備メーカーの納期遅れ、などさまざまな減収の影響を受けました。その中でも、木材調達の部分に関しては、需要に供給が追いつかず木材が高騰するウッドショックと呼ばれる様相が続いており、現在も調達に苦戦している状況です。 コロナ禍の影響でコンテナ船が不足し海上物流が停滞したのと、米国において住宅着工が拡大し需要が急増したことも要因の一つです。その後、ロシアによるウクライナ侵攻で一段と木材不足が深刻になる要因もあり、現在も先行きが見通せない状況が続いてます。 少子高齢化による影響により、新築住宅の需要減少で建設市場の低迷が見込まれています。国内の人口が減少傾向にあり、建材・住設卸、管材卸市場もマイナスの影響を受けています。その一方で、既存の建築物の老朽化を対象に、リフォーム需要獲得に向けた商材やサービスの拡充が進んでいます。しかし、リフォーム市場の伸びは比較的緩やかです。 建材、管材、電材の垣根を超えたプレイヤーの参入や建設業界における労働者不足が進み、設備卸を通さない直販取引が更に拡大し、建築資材卸売業界内の競争環境が厳しくなりつつあります。設備卸は、業界内の競争激化にともない、他業界卸と比較して進んでいない業界再編の動きが加速する可能性があります。その影響から、収益確保を目的とした卸売業者のメーカー機能、工事機能への領域拡大への領域拡大の動きも強まる可能性があります。

設備卸業界は急速に業界構造が変わる可能性があります!

設備卸業は、私達の住まいや公共機関などを支える部材を扱う重要な業界です。しかし、少子高齢化、ウッドショック、コロナ禍やウクライナ侵攻など社会の情勢によって大きく左右される業界でもあります。設備卸の企業がこれからさらなる発展や改革をするためにも、最新のトレンドや主要企業の動向をチェックすることで新しいアイデアを得ることが重要です。 設備卸に新しいビジネスチャンスを見出している方は、企業データーベースを有効活用できる「BIZMAPS」がおすすめです。無料で月100件の企業情報をダウンロードできるだけではなく、探したい条件や属性などで手軽に検索もできるので自分が欲しいリストをスピーディーに作成が可能です。今後の発展に向け、是非活用してみてください。 ▼その他のBIZMAPS掲載企業の特集記事はこちらから! 通信業界はさらに大きく発展する!?通信業界の現状と今後の動向を解説!売上ランキング上位15社も紹介します! 家電業界の今後の動向をチェック!家電業界上位10社を紹介します! エネルギー業界の売上ランキングTOP15!業界の概要や動向についても解説 板金業界における注目の展示会・フェアや先駆け企業を10社紹介! アパレル業界の内容とは?現状から将来性まで多角的に紹介します!

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