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総合商社業界は、国内外で幅広い商品やサービスを取り扱い、貿易業務、事業運営、投資活動など多岐にわたる事業を展開する業界です。日本特有のビジネスモデルとして発展し、主に五大商社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事)が業界の中核を担っています。
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総合商社業界は、幅広い商品を取り扱っているため、多くの業界に影響を及ぼす業界でもあります。今回は、総合商社業界について、徹底的に調査しまとめました。総合商社業界の経営者の方や、総合商社業界に新規顧客開拓を考えている営業職の方には最適な情報となっています。ぜひ、参考にしてください。
目次
総合商社業界の定義と特性とは?
総合商社業界は、多種多様な商品やサービスを取り扱い、国内外の取引を通じて幅広いビジネスを展開する業界です。資源から非資源分野までを網羅し、貿易、投資、物流、マーケティング、事業運営までを担う多機能型企業が主導しています。 総合商社業界は、多様な事業ポートフォリオを持つことでリスク分散を図りつつ、資源ビジネスを基盤に非資源分野への拡大を進めています。 また、グローバルなネットワークと複合的な機能を活用し、企業や社会の多様なニーズに応えています。今後は、サステナビリティやデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルの構築が成長の鍵となるでしょう。総合商社業界のバリューチェーン
総合商社業界のバリューチェーンは、幅広い事業領域をカバーし、資源・非資源分野における調達・取引から投資・事業運営、顧客への価値提供までの一連のプロセスで構成されています。 総合商社は単なる貿易仲介業にとどまらず、事業の立案、投資、運営、マーケティング、物流、ファイナンスなど多岐にわたる役割を果たします。総合商社は、サプライチェーン全体を包括的に管理する幅広い事業領域を持ちます。- グローバルネットワーク:世界中に展開する拠点を活用して、グローバル規模の取引や物流を可能にしています。
- 多機能型のビジネスモデル:貿易、投資、金融、事業運営を一貫して提供するため、単なる仲介ではなく、付加価値の高いサービスを提供します。
- リスク分散:多様な産業に投資し、収益源を分散することで、特定分野のリスクを軽減します。
- 環境配慮と持続可能性の追求:サステナビリティを重視した事業展開を推進し、再生可能エネルギーや低炭素プロジェクトに注力しています。
総合商社業界の取扱商品を紹介します
総合商社業界が取り扱う商品は、エネルギー資源、金属、食品、化学品、機械、ICT製品、環境関連商品など多岐にわたります。総合商社業界はこれらの商品を軸に、商社は単なる取引だけでなく、物流、投資、事業運営など複合的なサービスを提供しています。 今後は、再生可能エネルギーやデジタルソリューションといった成長分野に注力することが、総合商社業界の重要な戦略となるでしょう。資源分野
総合商社業界の資源分野の一つが、エネルギー資源です。原油、天然ガス(LNG:液化天然ガス)、石炭、バイオ燃料(エタノールなど)があり、発電用燃料、工業用エネルギー、輸送燃料などに利用されます。 他にも 金属資源があり、鉄鉱石、非鉄金属(銅、アルミニウム、ニッケル、リチウムなど)、貴金属(金、銀、プラチナなど)があり、建設資材、自動車部品、電気製品、バッテリーなどに利用されます。非資源分野
総合商社業界が扱う非資源分野の食品関連は、穀物(小麦、トウモロコシ、大豆など)、食品原料(砂糖、油脂、乳製品など)、水産物(マグロ、エビなどの加工品含む)、畜産品(牛肉、豚肉、鶏肉)、冷凍食品や加工食品などがあり、食品加工業者、飲食店、小売業者への供給に使用されます。 化学品・化成品は、石油化学製品(プラスチック、合成樹脂、フィルムなど)、基礎化学品(メタノール、エチレンなど)、特殊化学品(塗料、接着剤、医薬品原料)、肥料・農薬などになります。製造業、農業、医薬品産業、消費財製品に使用されます。 機械・設備には、産業機械(プラント設備、工作機械、建設機械)、輸送機器(自動車、鉄道車両、船舶、航空機)、医療機器(CTスキャン、MRIなど)、ロボット(産業用、自動化設備)があります。製造業、建設業、輸送インフラ、医療機関に利用されます。 ICT・電気電子製品は、電子部品(半導体、コネクタ、コンデンサなど)、通信機器(基地局、5G関連機器)、コンピュータおよび周辺機器、家電製品(エアコン、冷蔵庫、洗濯機など)があり消費者向け製品、通信インフラ、工業用途で利用されます。環境・エネルギー関連商品
総合商社業界が扱うエネルギー関連商品を紹介します。再生可能エネルギーとして、太陽光パネル、風力タービン、バイオマス燃料、水素燃料などを扱っています。 これらは再生可能エネルギー発電施設の建設、運営に利用されます。環境保全製品は、排ガス処理装置、水処理装置、廃棄物リサイクル装置などがあり、これらは環境保護、循環型社会の実現に利用されます。生活関連商品
総合商社業界が扱う生活関連商品を紹介します。ファッション・アパレルは、衣料品(素材、完成品)、革製品(バッグ、靴)、アパレルブランドの商品供給などを取り扱っています。 主に小売業、ECプラットフォーム、ブランド企業に利用されます。住宅・不動産関連は、建材(セメント、木材、鋼材など)、住宅設備(キッチン、バス、空調設備)などがあり、住宅建設、都市開発、リフォーム市場に利用されます。金融・サービス関連商品
総合商社業界が扱う金融・サービス関連商品を紹介します。金融サービスは、貿易金融(信用状、為替取引)、プロジェクトファイナンス、保険サービス(貿易保険、事業保険)があり取引先企業の資金調達支援、貿易取引のリスクヘッジに利用されます。 情報・物流サービスはサプライチェーンマネジメント、輸送・倉庫管理、デジタルソリューション(IoT、AIを活用した物流最適化)を提供し、国内外物流効率化、在庫管理の最適化を図ります。総合商社業界の取り扱いサービスを紹介します
総合商社が提供するサービスは、貿易関連や金融サービスから、事業運営支援、DX推進、環境対応まで多岐にわたります。これらのサービスを通じて、総合商社は取引先企業や社会全体の課題解決に貢献し、グローバルなビジネス展開を支える重要な役割を果たしています。 特に今後は、デジタル技術やサステナビリティに関連するサービスの需要がさらに高まると予想されます。貿易関連サービス
総合商社業界が扱う貿易関連サービスを紹介します。輸出入手続きの代行は、関税、通関、輸送手続きなど、資源、食品、機械、化学品、電子部品などの輸出入に関わる複雑なプロセスを代行します。 物流サポートとして、 商品の輸送、保管、在庫管理をトータルでサポート。陸海空の多モーダル輸送にも対応しています。対象はサプライチェーン全体です。輸送の最適化やコスト削減、輸送中のリスク軽減につながります。金融関連サービス
総合商社業界が提供している金融サービスを紹介します。まずは、貿易金融の提供として、信用状(L/C)発行や為替管理、輸出入に関する資金調達の支援を行うことで、中小企業や海外事業進出企業のキャッシュフローを支援します。 プロジェクトファイナンスとして、大型プロジェクト(資源開発、インフラ建設など)に必要な資金調達をサポートしています。長期的な資金計画の支援がメリットです。 保険・リスクヘッジとして、 貿易保険、事業保険、為替リスクや商品価格変動リスクへのヘッジ手段を提供しています。これにより、国際取引における不確実性を軽減します。事業運営支援サービス
総合商社業界の事業運営支援サービスを紹介します。事業開発と投資として、新規事業の立ち上げ、運営、既存事業の拡大支援。商社が資金、ノウハウ、ネットワークを提供しています。リソースが不足している企業や地方自治体へ包括的サポートするのがメリットです。 現地事業運営として、 海外市場での事業展開支援(現地法人の設立、スタッフの雇用管理など)を行い、小売事業の運営、インフラ施設の管理等を行います。現地市場の知識不足を補完し、迅速な市場参入を実現できることがメリットです。コンサルティングサービス
市場調査とマーケティング支援として、 新市場の動向分析、競合調査、販売戦略の策定支援を行い、 顧客の成長戦略を具体化します。 事業運営コンサルティングとして、サプライチェーンの最適化、リスク管理、環境対応戦略の提案などを行いますESG対応戦略、カーボンニュートラルプロジェクトの支援などを行い、 持続可能な成長をサポートしています。デジタルソリューション
総合商社業界のデジタルソリューションに関して解説します。5.1 DX(デジタルトランスフォーメーション)支援として、 IoT、AI、ブロックチェーンを活用したサプライチェーンのデジタル化を提供しています。 トレーサビリティシステムの導入、データ分析による在庫最適化などを行い、 企業の業務効率化と競争力強化を支援します。また、スマートインフラの構築として、スマートシティ、スマートファクトリーの設計・運営を支援しています。 再生可能エネルギー設備の管理システム、スマート農業の導入し、 環境配慮と生産性向上を両立します。環境・サステナビリティ関連サービス
総合商社業界の環境・サステナビリティ関連サービスについて解説します。再生可能エネルギー支援として、太陽光、風力、水素エネルギーのプロジェクト開発支援をしています。これにより、脱炭素社会の実現を促進します。 環境保全ソリューションとして、廃棄物リサイクル、水質管理、カーボンクレジットの取引を支援しています。企業のESG目標達成をサポートし、持続可能な事業運営を可能にします。教育・研修サービス
総合商社業界の教育・研修サービスについて解説します。現地スタッフの育成として、 海外事業展開をサポートするための人材育成プログラムを提供します。これにより、技術トレーニング、マネジメントスキルの向上を促し、事業の現地化を促進します。 技術サポート研修として、専門分野の知識やスキルを強化するための教育プログラムを提供します。製造業向けの先端技術トレーニングをし、 労働力の質を向上します。ヘルスケア関連サービス
総合商社業界のヘルスケア関連サービスについて解説します。医療機器の導入・運用支援として、病院やクリニック向けに医療機器の選定、設置、運用を支援します。 CTスキャン、MRIなどの大型機器など、医療施設の運営効率を改善します。医薬品供給と物流支援として、医薬品の輸出入と保管、配送を管理します。 これにより、医療アクセスの向上を促します。総合商社業界のビジネスモデルについて知りましょう
総合商社業界は、従来の貿易仲介業務だけでなく、投資、事業運営、金融サポート、デジタルソリューション提供など、多機能を統合したビジネスモデルを持っています。これにより、国内外の多様な顧客に付加価値を提供し、持続的な収益を確保する仕組みを構築しています。 総合商社のビジネスモデルを改めて見直すことで、総合商社業界の経営者の方には新たな発見が望めます。総合商社業界のビジネスモデルを確認していきます。基本ビジネスモデル構造を解説します
総合商社業界のビジネスモデルは、以下の3つの柱を中心に成り立っています。- 取引(トレーディング):商品やサービスを調達し、国内外で取引を仲介または直接販売する従来型のビジネスモデルです。大きな特徴として、供給側と需要側を結びつける役割を持っています。大量調達・大量供給によるスケールメリットや、多様な商材(資源、食品、機械、化学品など)を取り扱い、安定収益を確保します。
- 投資と事業運営:貿易仲介にとどまらず、自ら事業に投資し、運営または運営支援を行うモデル。特徴として、資源開発、インフラ建設、小売・物流、製造業など多岐にわたる分野で展開し、投資を通じた長期的な収益を確保します。また、M&Aや合弁事業を活用した市場拡大も行います。
- ソリューション提供:顧客企業に対し、物流、金融、リスク管理、マーケティング、IT活用などの付加価値サービスを提供します。特徴として、サプライチェーン全体の最適化を支援し、DX(デジタルトランスフォーメーション)やESG対応におけるサポートをします。事業拡大のパートナーとしての役割を持っています。
ビジネスモデルの特徴と競争優位性
総合商社業界は幅広い産業に参入している業界です。総合商社業界の各企業が重点的に資源投入している事業分野には差異がありますが、いずれも川上(原材料等の調達)を主軸に参入しているため相場や為替の影響を受けやすい事業構造にあることは変わりません。そのため、市場状況の善し悪しが業績に大きな影響を及ぼす構造になっています。 総合商社業界は、常に事業ポートフォリオのバランスと適時見直すことが非常に重要なファクターとなります。情報収集・分析力や事業リスク管理能力が強く問われるビジネスです。- 多角化された事業ポートフォリオ:資源(石油、ガス、鉱物資源)と非資源(食品、化学品、ICT、インフラ、金融)の両分野を展開します。多様な収益源により、経済環境の変化に強い影響をもたらします。
- グローバルネットワーク:世界各地に拠点を持ち、多様な市場に対応します。これにより、新興国市場での事業展開に強みを得られます。
- 付加価値サービスの提供:物流、金融、マーケティング、リスク管理などを統合したサービスです。サプライチェーン全体をカバーすることで、顧客との長期的な関係を構築します。
- 投資と運営のシナジー:トレーディングで培った情報やネットワークを活かし、投資案件を発掘します。投資案件の運営支援を通じて、収益の安定化を図ります。
総合商社業界の主要企業の財務指標分析
総合商社業界は資産の公正価値評価を反映させるため、IFRSsを適用しています。総合商社業界は、資源事業の構成比率が高い企業が多いことが分かります。つまり、総合商社業界は資源市況に損益を大きく左右される特性を持っています。 総合商社業界は、2018年度から2020年度にかけて、市況の悪化とコロナ禍により各企業の減収が続きました。2021年度以降は、資源高や為替相場の影響で各企業ともに増収に転じています。 総合商社業界の収益性については、営業利益率は近年改善傾向で4-5%台を確保しています。総合商社業界の生産性については、従業員当たり売上高が1-3兆円台と非常に高いです。効率性については、総資本回転率が低位で推移しているものの利益率の改善で、ROAが5-7%台まで回復しています。 総合商社業界は、市況に大きく左右される業態であるため、各社とも多少の市況変動で揺るがない強固な財務基盤を有しています。そのため、自己資本比率は40%台を維持しています。各社とも近年はトレーディング機能から事業開発・投資機能へのシフトを進めているため、固定資産比率は上昇傾向にあります。総合商社業界の最新トレンドをチェック
総合商社業界は、従来の資源取引や貿易仲介に加えて、デジタルトランスフォーメーション(DX)、サステナビリティ(ESG)、非資源分野への投資拡大を中心に事業の多角化を進めています。特に、再生可能エネルギー、スマートシティ、ヘルスケア、食品事業などの新興分野での活躍が注目されています。 これらのトレンドにより、総合商社業界は多角化した収益モデルを確立し、今後も持続的な成長を目指していくでしょう。脱炭素社会への対応とESG経営
総合商社業界の脱炭素社会への対応とESG経営について解説いたします。- 再生可能エネルギー事業の拡大:カーボンニュートラル実現に向けて、総合商社は再生可能エネルギーへの投資を加速しています。太陽光発電、風力発電、水素エネルギー、バイオマス発電が主要な投資対象です。
- カーボンクレジットの取引促進:カーボンオフセットを可能にするクレジット取引市場での活動が活発化しています。企業間取引の仲介やカーボンニュートラル事業への参画が進んでいます。
- サステナブル素材の取り扱い:環境に優しい製品や素材(生分解性プラスチック、リサイクル原料)の取り扱いを拡大しています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進
総合商社業界はデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に力を入れています。- サプライチェーンのデジタル化:IoTやAIを活用した物流最適化や、ブロックチェーンによる貿易書類のデジタル化が進展しています。
- スマートシティプロジェクト:総合商社業界は、IoT技術を活用した都市インフラの整備や、スマートシティ構築プロジェクトを進めています。
- デジタルヘルスケアの拡大:総合商社業界は、医療データ管理、遠隔診療、AI診断ツールの普及を目指した取り組みが加速しています。
非資源分野の成長戦略
総合商社業界の非資源分野の成長戦略について解説します。- 食品事業の強化:安全で持続可能な食品供給を実現するため、農業プロジェクトや食品加工事業への投資が増加しています。
- ヘルスケア事業の拡大:医薬品、医療機器、ヘルスケアサービス分野への参入が進んでいます。
- ICT関連事業の拡大:半導体や通信インフラ関連の事業を強化しています。特に5Gインフラ構築やデータセンター運営が注目されています。
資源事業の変革
総合商社業界の資源事業の変革について解説します。- 資源事業の収益基盤強化:資源価格の変動に対応するため、資源事業の収益構造を多様化しています。リスク分散を目指して非資源事業とのバランスを調整しています。
- 新興国市場でのエネルギー事業拡大:新興国のエネルギー需要増加に対応したプロジェクトが進行中です。
リスク管理と収益基盤の多様化
総合商社業界では、リスク管理と収益基盤の多様化が重要視されています。- 投資ポートフォリオの分散:資源価格の変動リスクを軽減するため、収益源を非資源分野に分散しています。
- 政学的リスク対応: 国際的な政治・経済リスクに対応するため、地域別に収益基盤を構築しています。
サステナビリティ関連サービスの拡充
総合商社業界では、サステナビリティ関連サービスの拡充しています。- ESG投資の拡大:環境、社会、ガバナンス(ESG)基準を重視したプロジェクト投資が増加しています。
- 循環型社会への貢献:リサイクル素材や廃棄物管理サービスの提供が拡大しています。
総合商社業界の市場規模を解説します
総合商社業界の市場動向を解説するために、総合商社業界の主要企業である5社の売上高、従業員数、総資産を比較します。2014年〜2015年度は、資源市況の悪化を受けて全体的に業績が低迷しました。 2018年度以降は、非資源事業の好調も見られ、増収基調です。総合商社業界だけではなく、他の業界にも影響を及ぼしたコロナ禍の影響で業績が2020年度は一時的に落ち込みました。 2021年以降の収益はコロナ禍前の水準を上回りました。総合商社業界の主要企業5社は、トレーディングから事業開発、投資、経営へのシフト、及び市況に左右されやすいため、資源事業の比率を下げて非資源事業費率を上げる事業ポートフォリオの組み換えを行ってきました。 総合商社業界の主要企業5社の中で、連結売上高第三位の伊藤忠商事の連結従業員数が突出して多いです。これには、伊藤忠の主力事業が労働集約的な繊維・生活資材関係事業であることが要因です。 大型買収や従業員数が多い繊維・生活資材関係の買収や連結子会社化を度々行ったことで、2012年度の連結従業員数70,639名から、2022年度には110,698名となり10年間で1.5倍まで増えています。具体的な数字は、以下の買収・連結子会社化による影響が大きく、他社ではこれほど影響を及ぼすような買収・連結子会社化は少ないです。- 繊維事業:三景(+3,042人)、ジャヴァHD及びレリアン(+3,520人)、Bramhope Group HD(+8,309人)
- 生活資材、化学品:シーアイ化成(+1,863人)、Kwit-Fit Group(+7,621人)
- 食糧:Dole International(+18,487人)
- 金属・エネルギー:伊藤忠エネクス(+3,602人)
- その他:伊藤忠ロジスティクス他(+1,123人)
総合商社業界のマクロ環境をチェック
総合商社業界は、多岐にわたる分野でのビジネスを展開しているため、マクロ環境の影響を受けやすい業界です。総合商社業界のマクロ環境として押させておきたい5つの要点をピックアップして解説します。- 資源市況の低迷:2000年頃より続いていた資源価格の高騰は一段落しており、新興国の成長鈍化による資源需要の緩みから、しばらくは低迷が続く見通しです。
- インフラ投資の競争激化:新興国の成長鈍化により各国のインフラ投資はスピードが緩む可能性があります。総合商社業界のインフラ投資のスピードがゆるむ一方で、中国政府は官民一体となって各国のインフラ投資案件に攻勢をかけています。
- 為替のボラティリティの高まり:総合商社業界では、イギリスのEU離脱、米国トランプ政権の政策、テロの増加など世界情勢が不安定な傾向になっています。そのため、今後為替が不安定な状況に陥ることが懸念されます。
- テクノロジーの急速な進歩:総合商社業界だけではなく、各業界でAIやVRに代表されるテクノロジーの進歩が急速に進んでいます。総合商社業界では今後、AIやVRを活用した新たな市場の形成や成長が促進される可能性があります。
- 各社の戦略:総合商社業界の各企業とも、1資源事業から非資源事業へ軸足を移すこと、2トレーディング事業から事業開発、事業投資・経営事業に軸足を移すこと を謳っています。総合商社業界の各企業に寄り内容に濃淡はありますが、資源依存からの脱却を図っていることが伺えます。また、新型コロナの影響で資源分野含めたポートフォリオのより一層の見直しが必要となりました。
総合商社業界の業界地図を広げました
総合商社業界は、日本国内の大手商社が中心となり、世界中で多角的な事業を展開しています。三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事の5社を中心に構成される「五大商社」が市場を牽引し、その他の企業も特色ある戦略で競争しています。 総合商社業界を代表する各社ともに、幅広い事業に参入していますが、重点とする投資先は異なっているのが特徴的です。 しかし、大きくは石炭や鉱石など資源系に重点を置いている傾向があります。旧財閥系と、食品や繊維に重点を置いている旧関西五綿系に分かれていますが、昨今の資源不況の影響を緩和させるため旧財閥系も非資源事業へのシフトを進めている最中です。 総合商社業界は、多種多様な事業に参入する特徴を持つため、多くの子会社を所有しています。しかし、競争環境の厳しい事業では、協業関係も見られます。 総合商社業界の官公庁は、石油メジャーなどグローバル大企業であることが多い傾向にあります。そのため、各方面への影響力を得るために選択と集中を進めて各業界で一定以上の規模を確保する必要があります。総合商社業界の主要プレイヤーの動向を確認!
総合商社業界は、日本の経済活動を支える重要な役割を果たしており、特に「五大商社」と呼ばれる三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、丸紅、住友商事が中心的なプレイヤーです。これらに加え、規模はやや小さいものの独自の戦略で存在感を示す企業もあります。 総合商社業界の最新の動向を探るには、主要プレイヤーの動向を探るのが一番の近道です。総合商社業界の主要プレイヤーの最新情報を紹介します。三菱商事株式会社
三菱商事株式会社は、総合商社業界の最大手であり、エネルギー、資源、非資源分野の多角的な事業を展開するグローバル企業です。資源分野を基盤にしながらも、食品、化学品、インフラ、ヘルスケア、再生可能エネルギーといった非資源分野にも積極的に投資し、事業ポートフォリオを多様化しています。 三菱商事株式会社は、資源分野への投資が多くみられるため、2015年度は資源不況の影響で多額の減損を計上、最終赤字となりました。しかし、その後の中期経営計画では、「1資源と非資源のリバランス、2事業投資から事業経営へのシフト、3事業のライフサイクルを踏まえた入れ替えの加速」を掲げ、2016年度は資源価格が上昇したことで業績が回復しました。 また、その後も2018年度には非資源事業の貢献により大幅な増収となり好調です。2017年にローソンを子会社化し、2019年にコメダホールディングスと業務提携を締結し、生活産業部門を強化しました。 成長分野として、食品原料、ライフサイエンス、消費財製造、リテール、自動車、電力事業、不動産開発などへの投資を拡大させています。各業界に影響を及ぼしているコロナ禍により、2020年度は資源価格が大きく変動し減収減益となりました。 しかし、2021年度は、豪州原料炭事業や鮭鱒養殖事業の市況好転、自動車関連事業における生産・販売台数増加、鉄鋼製品事業における販売価格の上昇などにより、増収増益となっています。 2022年度は、豪州原料炭事業における市況上昇や欧州総合エネルギー事業の好調などにより過去最高の売上高を記録しました。伊藤忠商事
伊藤忠商事は、日本の五大総合商社の一つであり、特に非資源分野(食品、繊維、生活関連事業)に強みを持つ総合商社です。歴史ある繊維事業からスタートし、現在は国内外で多様な事業を展開しています。 近年では、コンシューマー向け事業やヘルスケア、デジタルトランスフォーメーション(DX)に注力し、業界内でも独自のポジションを確立しています。コロナ禍により、2020年度は減収減益となりました。 2021年度にはコロナ禍前の水準を超え、2022年度は過去最高の売上を更新しました。エネルギーや化学品関連事業では、市場価格の上昇・取引増加、鉄鉱石価格や石炭価格の上昇、日本アクセスの食料品取扱量の増加、建材関連事業の好調などにより堅調に推移しています。 ファミリーマートの完全子会社化により、国内小売市場での影響力を拡大し、データ活 用・DXによる収益機会の拡大、川下起点のバリューチェーン全体の変革の3本柱で経営基盤の強化を図っています。 伊藤忠商事はCITICグループやTUSホールディングスと組み、中国市場で2,000億円規模の投資ファンドを設立し、日本企業の中国進出を支援する予定です。成長が見込まれる東南アジアへの投資を強化しています。三井物産
三井物産は、五大総合商社の一角を担うグローバル企業であり、資源・非資源分野のバランスが取れた事業ポートフォリオを持つことが特徴です。特に、資源事業(鉄鉱石、天然ガス)を基盤としながら、食品、ヘルスケア、インフラ、デジタル関連事業などの非資源分野への多角化を積極的に進めています。 成長領域への重点施策として、インフラ(IPP、FPSOリースなど)や食糧・農業(農業科学や製糖など)、モビリティ(自動車販売・トラックリースなど)、メディカル・ヘルスケアなど に注力しています。 コロナ禍でも増収を続け、2022年度は過去最高の売上と利益を更新しました。これには、資源価格が高騰した影響も大きいが、食料や自動車関連、ヘルスケアなど非資源分野の成長も寄与しています。丸紅
丸紅は、五大総合商社の一つであり、農業関連事業や電力・インフラ、食品・消費関連事業に強みを持つ総合商社です。資源と非資源分野をバランスよく展開し、特に農業・穀物取引と再生可能エネルギー事業の分野で国際的なプレゼンスを発揮しています。また、ICTやデータセンター事業などのデジタル関連分野にも積極的に進出しています。 丸紅は、特に、農業と食品分野での国際的な競争力が際立っており、デジタル技術を活用した効率化が進められています。今後は、脱炭素社会への対応、新興国市場での成長、DX推進が成長のカギとなるでしょう。住友商事
住友商事は、五大総合商社の一つであり、資源分野を基盤としつつ、自動車、物流、不動産、食品、環境対応事業などの非資源分野を多角的に展開する企業です。「持続可能な社会の実現」を経営の基本理念に掲げ、脱炭素社会への移行やデジタルトランスフォーメーション(DX)を進めながら、新興市場での成長を目指しています。 住友商事は、資源分野を基盤としながらも、非資源分野での成長に注力しています。 特に、再生可能エネルギー、環境事業、自動車(EV関連)、食品、不動産分野での強みが目立ちます。今後、脱炭素社会への対応やデジタル技術の活用、新興市場での成長が成長戦略のカギとなるでしょう。総合商社業界の今後の展望は?
総合商社業界は新型コロナウイルス拡大の影響を多大に受けました。資源エネルギーをはじめ、自動車生産の停滞や、それにともなう化学、素材など幅広い分野で悪影響が広がり、2020年度の各社の業績は大きく落ち込みました。 総合商社業界の五大総合商社の一つ、伊藤忠は、純利益の7割超を非資源分野が占めているため、その中心である生活消費はコロナの影響を比較的受けにくく、業績への影響は比較的少なかったです。 2021年度は鉄鉱石や原油などでの歴史的な資源価格高騰が要因となり、各社は史上最高水準の純利益を達成しました。新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着き、経済活動が再開されたことにより、自動車や食品などで回復が進むなど、非資源分野も貢献しています。 資源価格の高騰は一過性のものであることから、中長期を見据えるにあたり各社は、非資源分野の収益拡大、エネルギー分野での脱炭素化に向け注力しています。 総合商社業界だけではなく、各業界に大きな影響を与えた新型コロナウイルスの影響を踏まえた上で、今後の総合商社業界の展望を解説します。資源事業、事業経営へのシフトが活発に
総合商社業界の商社ビジネスを支えてきた資源事業は、ボラティリティが大きく、今後も変動リスクは大型化することが予想できます。そのため、総合商社業界の各企業は資源事業依存からの脱却を図っています。今後はさらに、生活産業やインフラといった非資源事業への投資シフトが継続されると見込まれます。 その一方で、総合商社業界の各企業が資源事業で積み重ねてきたノウハウや資源の蓄積は異なる強みを持っています。その強みを生かした各社の取る戦略も異なってきます。今後は数年もしないうちに総合商社業界の各企業の事業ポートフォリオが独自性の強いものになっていくと考えられます。 また、総合商社業界の今後は、各社が選択と集中を進める過程でノンコアとなった事業を営んでいる子会社の売却が進む、重点投資した産業の浮沈により、当業界内の序列が大きく変動する、商社が直接経営に関与し、バリューチェーンを構築・強化していくことで付加価値を生み出す、非資源事業への投資をするにあたり海外案件への投資が増加することが予想されます。総合商社業界は環境配慮型へのシフトが鍵!
総合商社業界は、脱炭素社会の実現、DXの推進、新興市場での事業拡大が今後の鍵となります。特に、再生可能エネルギー事業やスマートシティ、農業・食品事業など、環境配慮型で持続可能なビジネスモデルへのシフトが求められています。 また、デジタル技術を活用した効率化や付加価値の提供が、競争力向上の重要な要素となるでしょう。一方で、資源価格の変動や地政学的リスクへの対応力も引き続き重要です。 総合商社業界は、これらの課題を克服しながら、持続可能で多様な社会の発展に寄与する存在として進化を続けます。総合商社業界の情報をいち早く手に入れるには、最大規模の企業プラットホームBIZMAPSを利用するのがおすすめです。登録者数200万社を超えた企業情報を、月額無料で100件までダウンロードできます。経営者の方だけではなく、営業職の方にも心強い味方となってくれること間違いありません。ぜひ、利用してみてください。 ▼その他のBIZMAPS掲載企業の特集記事はこちらから! 総合商社とは?幅広い業界領域から今後の動向まで徹底的に解説します 商社業界の現状や動向、今後の展望とは?売上ランキングTOP20もご紹介! 機械商社とは?法人営業担当者のためのランキングTOP30も紹介! 電子部品・半導体商社業界とは?製品流通を支える重要な産業を解説! 繊維商社業界とは?複雑な業界構造から主要プレーヤーの動向まで徹底解説!労務に携わるWebライターです。「良質な情報を、分かりやすく言語化して伝える」ことを心掛けています。犬とパンやお菓子作りが大好き!にぎやかで楽しい、3人の育児中です。