一色 みわ

フード業界は、食品の生産、加工、販売、配布などを総合的に扱う広範囲にわたる産業で、私たちの日常生活と深く結びついています。
この記事では、フード業界の定義や産業内での位置づけ、最新トレンドや今後を左右するポイントを紹介します。
なお、BIZMAPSでは フード業界に関連する企業の情報を掲載中です。各企業の詳細は【
食品業界】【
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フード業界とは何か?
フード業界は、食品の生産、加工、販売、配布に関連する広範な産業です。フード業界は農業から始まり、加工食品の製造、食品の小売りや卸売り、さらにはレストランやカフェといった食品サービスまで、非常に多岐にわたります。
フード業界は日常生活に密接に関連しており、経済や雇用にも大きな影響を与える重要なセクターといえるでしょう。
フード業界の定義
フード業界は以下の19業種に所属する企業群を指します。
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農業
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水産
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専門食品卸
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加工食品1(製糖、製粉、製油)
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加工食品2(食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品)
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加工食品3(即席めん、製パン、菓子)
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加工食品4(調味料類、調味・レトルト食品、冷凍食品)
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加工食品5(漬物・煮物・大豆、米飯・惣菜ベンダー)
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健康食品
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清涼飲料
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酒類
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たばこ
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配合飼料
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酒類・食品卸
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食品スーパー
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酒販店
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外食
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デリバリーフード
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給食
これらの業種は、食品の原材料の生産から最終消費者に届けるまでの全過程をカバーしており、各段階で様々な専門技術やサービスが組み込まれています。
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フード業界の構造
フード業界は必需品を供給する重要な役割を果たしている業種です。フード業界は、生産者と消費者を結ぶ複雑な流通構造を持ち、流通事業者が充実している点が特徴です。
フード業界の消費者のニーズは多様化しているため、食品流通、外食、給食業界では競争が激しく、多数のプレイヤーが存在しています。一方で、農業や水産業は政府からのサポートを受けているため、競争はそれほど多くありません。
現在、フード業界は多くの労働力を必要としており、より効率的に運営するため近代化や機械化が必要とされています。
フード業界の産業内における位置づけ
フード業界は日本経済にとって非常に重要な産業であり、その規模と影響は広範にわたります。フード業界の名目GDPは18.2兆円(全国のGDPの3.2%)に達しており、日本経済の中核的な一部となっています。
就業者数に関しては、フード業界全体で979万人が働いており、これは全就業者の約14.5%に相当します。特に、小売業や飲食店など、手作業を必要とする職種が多いため、多くの労働力が必要とされる業界です。これはフード業界が、雇用の創出においても日本経済にとって欠かせない役割を担っていることを示しています。
また、フード業界は経済的な影響だけでなく、文化的な側面においても重要です。国内外の食文化の発展に貢献し、新しい食のトレンドや健康志向の食品開発、環境に優しい生産技術の導入といった革新的な取り組みが進行中です。これらの動向は、消費者の生活様式や価値観に影響を与えるとともに、業界の持続可能な成長を促しています。
このように、フード業界はその広大な規模と多くの雇用を提供すること、そして産業チェーン全体への経済的な影響から、日本の経済において不可欠なセクターとしての地位を確立しています。業界は日々進化し続けており、新しい技術やビジネスモデルの採用によって、今後も国内外の市場で重要な役割を果たし続けるでしょう。
フード業界の市場規模

食品製造業の市場規模は非常に大きく、食料品部門の出荷額は26.6兆円、飲料・酒・たばこ部門は8.9兆円で、合わせて35.5兆円に上ります。これは国内産業の中でも特に大きな規模を誇っています。
2011年までの期間には、デフレの影響で物価が下がり、出荷額も減少傾向にありましたが、2012年からは原材料価格の上昇や食料品に対する消費支出の拡大に伴い、出荷額が増加する傾向に転じました。しかしながら、2020年には新型コロナウイルスの影響で外食産業の需要が大幅に減少し、出荷額が再び減少に転じるという状況に直面しています。
2011年以降、1世帯当たりの食料品に対する月間平均支出も上昇傾向にあります。特に2022年には77,474円という支出額を記録し、原材料の高騰や、総菜や加工食品へのニーズの増加などが原因で価格が上昇。支出額も増加し続けています。
食料品製造業においては、今後も原材料費の上昇や製品の高付加価値化による価格上昇が予想され、出荷額の増加基調は続くと見られています。しかし、国内の人口減少が進む中で、業界の成長は限定的であり、市場の拡大余地は限られているのが現状です。
このため、業界内での競争はさらに激しくなり、効率化やイノベーションがより求められるようになる可能性が高いでしょう。
フード業界の最新トレンド
フード業界は、2019年以降、一部の業種で縮小傾向を見せています。特に食品製造業では、コロナ禍の影響から経済活動が再開されているにもかかわらず、需要の完全な回復には至っておらず、出荷指数の減少が続いています。
一方で、チェーンストアにおける食品販売は異なる傾向を示しています。2020年のコロナ禍中、自宅で過ごす時間が増えたことから、「巣ごもり需要」が高まり、特に総菜の売り上げが増大。この需要増に応えるため、チェーンストア各社は商品の品揃えの充実や売り場面積の拡大に努めました。
2022年には食品販売全体の伸びが鈍化しましたが、2023年に入ると再び販売額が増加する傾向に。この増加は総菜と畜産品の販売が特に好調であることが寄与しています。
農産品については、2023年夏以降、天候不順により価格が高騰。販売額が急激に伸びており、一方で、水産品は不漁などの影響で販売が低調を続けています。
フード業界は多くの課題と機会に直面しており、各業種がこれらの状況にどう対応していくかが今後の業界の動向を左右することになるでしょう。
フード業界の発展に必須なポイント

フード業界は現在、複数の重要な転換期に直面しています。業界が直面する主要な課題とその発展に必須なポイントは以下のとおりです。
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人口減少による消費需要の減少
日本の人口が減少する中で、フード市場は中長期的に縮小する傾向にあります。この状況の中、各業界や参入企業はどのようにビジネスモデルを転換していくべきかが課題です。
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国際貿易政策の変化と流通網の再構築
TPPや農協改革による輸出入の増加と国内農産物流通網の再編は、日本の食料品流通網にどのような変化をもたらすか。特に農業・水産業における独特の流通構造がどのように変わるかが重要です。
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業界再編と外資の影響
飲料業界や食品卸、給食業界など、フード業界全体での再編が進行中です。外資の参入が増えることで、中小・中堅企業の統合やロールアップはどこまで進むかが見極められるポイントです。
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原材料価格の上昇
世界的な資源需要の増加により、原材料の価格は上昇し続けると予想。このコスト増がフード業界にどのような影響を与えるかが注目されます。
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人手不足の進行とその対策
特に外食業界で進む人手不足が、業界にどのような影響を及ぼし、効果的な人材確保策とは何かが重要な議論のポイントです。
フード業界の各企業がこれらの変化にどう対応するかが、業界全体の将来の成功を左右することになるでしょう。
フード業界における商機
フード業界の商機を掴むためには、以下に挙げる重要なポイントを把握しておきましょう。
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持続可能な製品の需要増
環境への意識が高まる中、有機製品、エコフレンドリーな包装、またはカーボンフットプリントが低い製品への需要が増加。持続可能な農法やリサイクル可能な材料を利用した製品開発に対する投資が有望な市場となっています。
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健康志向の食品へのシフト
消費者はより健康的な食生活を求めており、低カロリー、低糖質、機能性食品、スーパーフードなど、健康をサポートする食品への関心が高まっています。新しい健康食品ブランドの立ち上げや既存の製品ラインの健康志向への再調整に大きなチャンスとなるでしょう。
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食品技術の進化
食品科学と技術の進歩によって、食品の加工、保存、そして配送方法がより効率的になっています。例えば、人工知能を使った在庫管理や、ロボティクスを活用した製造プロセス、そしてブロックチェーン技術による供給チェーンの透明性向上は、業界の効率を大幅に改善しているでしょう。
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オンライン食品販売の拡大
パンデミックはオンラインでの食品購入を加速させ、eコマースとデリバリーサービスの市場を拡大しました。このトレンドは今後も続くと見られ、オンラインプラットフォームやローカルデリバリーサービスを通じた販売拡大が有望です。
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グローバル市場への拡大
アジアをはじめとする発展途上国の中産階級の成長は、新しい市場を開拓する大きな機会を提供。地域特有の食品をグローバル市場に紹介することや、逆に国際的な食品をローカルマーケットに導入することが、新たな収益源となり得ます。
これらのビジネスチャンスを活用するためには、市場のトレンドを敏感に捉え、消費者のニーズに応じた製品開発とマーケティング戦略が必要です。また、テクノロジーの活用と持続可能性への取り組みが、競争の激しい市場での成功の鍵となるでしょう。
フード業界の発展と持続可能な成長に向けて

フード業界は、人々の生活に密接に関わる産業であり、食料品や飲料の生産から流通、小売、サービス業まで多岐にわたります。私たちの日常生活に深く関わり、経済的、社会的な側面からも重要な役割を果たしていることがいえるでしょう。
さらに、近年では持続可能性や健康志向などの社会的な要求が高まっており、フード業界もそれに応えるべく、環境負荷の低減やオーガニック製品の提供など、新たな取り組みを進めています。
フード業界の発展と持続可能な成長は、私たちの生活や社会全体にとって不可欠な要素となるはずです。
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「場所や時間にとらわれない自由な働き方」がモットーの転勤族ママライターです。読み手に寄り添った分かりやすい文章を心がけています。転職・副業・旅行ジャンルなどが得意。旅行とカメラと甘いもの(とくにチーズケーキ)が大好きで、毎日のお茶タイムは欠かせません。元気すぎる2人の子どもを育てながらのんびりと活動しています。
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