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住宅設備業界は、施設や住居で必要となる水回り機器やガス機器を製造する業界です。私たちの快適な暮らしを支えてくれる存在であり、オフィスや工場などの設備として、すべての産業に欠かせない業界といえるでしょう。 しかし住宅設備業界は少子化などの影響による新築市場の伸び悩みや、主要な住宅設備が国内市場で飽和状態にあることから、今大きな転換期を迎えようとしています。 本記事では住宅設備業界の現状と今後の動向について詳しく解説していきます。 また住宅設備業界を代表する大手企業3社の紹介もしており、それ以外の業界企業情報は「#住宅・事業向け設備業界」から確認できます。登録企業数170万社以上の企業検索サービス「BIZMAPS」に掲載されている住宅設備業界の企業や団体は、全部で13.501社です。 法人営業で住宅設備業界にアプローチを検討中の皆さんは、ぜひ参考にしてください。

住宅設備業界とは

住宅設備業界とは、キッチンやトイレ、給湯機などの機器を設計・製造するメーカーです。自社製品の販売も行っていますが、販売先は主に建材・住設卸業者となっており、業界全体で流通経路がある程度固定されています。 住宅設備業界とその周辺の業界構造は以下のとおりです。 現在は住宅設備業界の企業から電材卸や管材卸、工事業者への販売も増えており、さらには各業者を介することなくインターネットを通じて消費者へダイレクトに販売するケースも見られるようになりました。

住宅設備業界の市場規模と現状

住宅設備は大きく2つに分けられます。1つがキッチン・トイレ・バス・洗面化粧台などの水回り機器で、もう1つが暖房機器・給湯機器・厨房機器などのガス・石油機器です。 住宅設備業界では、水回り機器の総合メーカーであるLIXIL、ガス・石油機器の総合メーカーであるノーリツを除き、企業はそれぞれの製品に特化して事業展開しており、業界内で住み分けが行われているのが特徴です。 ここでは製品の種類別に、それぞれの市場規模や現状について解説します。

キッチン

・2022年度のキッチン出荷台数は158万台です。 ・システムキッチンが全体の78%を占めています。 2006年度の205万台から、2009年度には152万台まで減少しました。その後、リフォーム需要により、2019年度までは170万台から180万台で安定していました。しかし、コロナ禍で2020年度は150万台まで減少し、その後の回復は緩やかです。これはシステムキッチンの人気が高まる中で、旧式のセクショナルキッチンのニーズが減少し続けていることが要因の一つです。

トイレ

・2022年の水洗式便器の出荷金額は419億円、販売数量は270万個です。 ・2008年をピークに、2009年から2010年にかけて景気低迷で出荷金額が落ち込みました。 ・2021年以降、出荷金額はコロナ禍前を上回り、堅調に推移しています。 トイレの販売台数は横這いですが、出荷金額が増加している理由としては、多機能化や節水化により単価が上昇していることが挙げられます。

バス・洗面化粧台

・2022年度のシステムバス出荷台数は135万台、洗面化粧台は171万台です。 ・2009年の金融危機後、リフォーム需要の高まりで回復しましたが、コロナ禍で再び減少しました。 バス・洗面化粧台の分野においては、2021年度以降も回復は鈍く、コロナ禍前の水準には戻っていません。バス・洗面化粧台はすでに国内では必要な設備が行き渡っていることが要因の一つです。

ガス・石油危機

・2022年の出荷金額は4,354億円で、ガス機器が81%を占めています。 ・このうち暖房機器が604億円、給湯機器が2,956億円、厨房機器が682億円という内訳になっています。 新設住宅の減少や暖冬といった近年の状況から、暖房機器の需要は一時伸び悩んでいました。しかし、現在では省エネ型・低コストのガス給湯器の需要が高まっています。

リフォームの市場規模は当面拡大の見込み

日本の住宅設備業界は新築市場の縮小に歯止めがかからない現状ですが、一方でリフォーム市場の拡大によりコロナ禍から緩やかな回復を見せています。 空き家問題などの対策として、政府も既存の住宅を活用するための戦略に力を入れています。政府は2010年のリフォーム市場規模6兆円を倍増して、2025年までに12兆円にする目標を打ち立てました。この目標の実現のために、リフォーム工事のための各種補助金や減税といった制度もスタートしています。 こうした現状から、リフォーム市場に関しては今後もしばらくの間は国内需要が続くと見られています。

住宅設備業界の代表的企業

住宅設備業界の大きな特性の一つとして、新規参入のハードルが高く、少数の大手企業でシェアのほとんどを占めているという状況が挙げられます。 この要因の一つが、トイレなどの衛生陶器には高度な技術による手作業が必要で、熟練の人材を保持していない企業には参入が難しいことです。さらにガス・石油危機などは一酸化炭素中毒の事故を防ぐために、ガス事業法によって厳しい規制が敷かれています。こうした状況から、住宅設備業界では大手企業が圧倒的な存在感を維持し続けています。 ここでは住宅設備の総合メーカーのLIXIL、水回り機器の代表的メーカーのTOTO、ガス機器最大手のリンナイの3社について解説します。

LIXIL

住宅設備メーカーの最大手であるLIXILは、2011年4月に5つの会社が統合して誕生しました。主にキッチンやトイレ、バスなどの水回り機器やアルミサッシなどの金属建材を製造・販売しており、ホームセンター事業も手掛けています。 海外展開にも力を入れ、北米や欧州、アジアでの企業買収を通じて売上を伸ばしてきました。国内ではリフォーム市場の開拓に力を入れ、「リクシルPATTOリフォーム」を通じてリフォーム需要を掘り起こしています。 コロナ禍の影響で2020年度は減収となりましたが、2021年度には回復しました。しかし、2022年度は資材やエネルギー価格の高騰などで利益率が再び悪化しています。 株式会社LIXILの企業情報

TOTO

TOTOは衛生陶器を主力として、ウォシュレット、ユニットバス、水栓器具、システムキッチン、洗面化粧台などを展開する住宅設備メーカーです。 売上高で5,738億円を記録しており、ライバル企業であるLIXILの1兆7,864億円を下回りますが、営業利益ではLIXILの675億円に対して461億円と、売上高の差に比べて営業利益の差は小さいことは注目に値します。これはTOTOがコスト管理をしっかり行っている証拠です。 また、TOTOは温水洗浄便座の普及に大きく貢献しており、1991年から2015年にかけて普及率は約5倍に増加しました。日本のトイレは多機能・高機能化を進めています。 さらに、TOTOは節水型トイレの開発に注力しており、海外でも節水型トイレが好評です。タンクレストイレやタンク付きトイレの節水化も進めており、環境に配慮した製品開発を行っています。 TOTO株式会社の企業情報

リンナイ

ガス機器メーカーで売上高トップのリンナイは、給湯機器と厨房機器を中心に事業を展開しています。海外では韓国、中国、アメリカ、オーストラリアなどで積極的に事業を行い、2022年度の海外売上比率は53.1%に達しています。 国内では、電力・ガスの自由化やZEHの普及に向けて、ハイブリッド給湯暖房システム「エコワン」の販売を強化しています。さらに、スマート家電やIoT分野への参入も進めています。 2022年度の売上高は、生産の強化により給湯機器の販売が伸び、大幅に増収しました。営業利益も主力商品の好調な売上と原価の削減により増益となりましたが、原材料やエネルギーのコスト上昇により利益率は低下しました。 リンナイ株式会社の企業情報

住宅設備業界の最新動向について

現在、新設住宅の着工数は減少しており、住宅設備業界もそれに伴って新築市場は落ち込みを見せています。さらに新型コロナウイルスの感染拡大が重なり、景気後退による消費者ニーズの低下、サプライヤーからの建材などの供給の遅れなどが、業界全体に大きな影響を与えました。 そんな中でも住宅設備業界各社は状況を打開すべく、新しい戦略を打ち出しています。ここでは住宅設備業界の最新動向を解説します。

新築市場は低迷、各社はリフォーム市場へ注力

住宅設備業界の新築市場は先の見えない低迷を続けています。経済の発展によって住宅が十分に行き渡ったことに加えて世帯数は減少、さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響によって住宅展示場などへの来場が激減、消費者の購買力が低下したことも打撃となりました。 そんな中、住宅設備業界の主力はリフォーム市場へと移りつつあります。既存住宅の老朽化や高齢化社会でバリアフリーのニーズの高まり、省エネのためのエコ住宅やスマート住宅を求める消費者などを背景に、各社リフォームに注力する動きが強まっています。 ただし世帯数が減少しているため、将来的には国内のリフォーム需要も落ち着くでしょう。

国内の主要住宅設備は飽和状態、海外市場への展開

内閣府の2023年の「消費動向調査」によって、国内の温水洗便座の普及率は81.7%、洗髪洗面化粧台の普及率は74.2%、システムキッチンの普及率は70.6%に達したことが明らかとなりました。住宅設備業界の各製品は飽和状態といえます。 国内では少子化に歯止めがかからず、住宅設備業界の各社は今後も国内市場での売上には期待できない状況です。そのため主要メーカーは積極的に海外への展開を図っています。特に住宅インフラが十分に整備されていない新興国や、最新の住宅設備のニーズが高い欧米諸国の市場に注目が集まっています。

新規参入企業の試み

固有の技術や法規制といった側面から新規参入が難しい住宅設備業界ですが、近年では家電量販店など周辺の業界の市場への参入が増加しています。新規参入企業の大多数は大手企業であり、インターネット販売に関する独自のチャンネルを保持していることがポイントです。 住宅設備業界では、これまで各業者を介しての相見積もりなどが一般的でしたが、現在は消費者がインターネットを通じて自ら各社の製品の機能や価格の情報を取得して比較することが容易となっています。 そのため今後の住宅設備業界への新規参入においては、消費者にダイレクトに自社製品をアピールするWebマーケティングの戦略を持っていることが強みとなるでしょう。

住宅設備業界とSDGs

エコロジー志向の高まりは、おおむね住宅設備業界にとっては追い風となっています。国内外の法規制の強化に伴い、環境に配慮した製品の開発が進んでおり、市場規模の拡大に寄与しています。 一般消費者の間でも省エネルギーかつ高機能な住宅設備への需要が拡大し、こうした消費者のニーズに応じる製品を数多く開発。リフォームによって新築住宅だけでなく、既存の住宅にも省エネ効果の高い住宅設備を提供しています。 さらに高齢化が進むとされている中で高齢者向けのバリアフリー設備や、リフォームによって空き家を蘇らせる住宅設備へのニーズが市場を牽引しており、これらは今後ますます増加すると予想されます。

住宅設備業界のさらなる成長に注目!

今回の記事では、住宅設備業界の現状や最新動向、市場を寡占している代表的大手企業3社を紹介しました。住宅設備業界は国内市場のニーズが頭打ちになることが予想されていて厳しい局面を迎えていますが、海外市場への進出や地球環境に配慮した新しい商品の提案など、各社は生き残りをかけて新しい戦略を打ち出しています。 法人営業の皆様は、本記事で紹介した住宅設備業界の概要を参考にして、効果的な営業戦略を構築してください。また、無料で毎月100社まで法人データをダウンロードできるBIZMAPSを利用すれば、さまざまな属性や条件で企業を検索できます。営業戦略の立案にぜひご活用ください。 ▼法人営業ハックではさまざまな業界を特集しています! 建設業界とは?定義や動向を解説 ▼BIZMAPS掲載中の企業特集はこちら! 2021年4月の新設法人10社を大特集!この時期のビジネスニュースも 2022年7月の注目新設法人リストを紹介!【当時のニュースも併せて解説】 営業職募集のポイントや優秀な人材の見極め方は?注目企業25社も紹介 JAPAN SDGs Action Platform事例9社を紹介!各企業のSDGsの取組みとは 【法人営業担当必見】非破壊検査会社の現状と将来!首都圏の会社一覧 【BtoB営業担当者必見】空調設備会社の売上ランキングTOP30

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