へたれぱんだ 0 Comments
製紙会社から素材である紙を仕入れ、印刷会社などに販売しているのが、紙・パルプ卸業界の代理店や卸商です。世の中全体がペーパーレスへと進んでいく中で、紙の流通に関わる紙・パルプ卸業界の市場も大きな影響を受けています。 今回は紙・パルプ卸業界の現状と今後の展望について解説していきます。 また紙・パルプ卸業界に属する具体的な企業の情報を確認したい場合には、「紙・パルプ専門商社」から企業名や事業内容、所在地などを見ることができます。登録企業数200万社以上の企業検索サービス「BIZMAPS」に掲載されている紙・パルプ卸業界の企業や団体は、全部で約761社です。 紙・パルプ卸業界にアプローチを検討中のBtoBサービスの営業の皆さんは、ぜひ参考にしてください。

紙・パルプ卸業界とは

紙・パルプ卸業界は素材・材料卸業界の一角で、紙製品に必要な素材を専門に取り扱います。多くの素材・材料卸業界と同様に、紙・パルプ卸業界も低収益なビジネスモデルです。 紙・パルプ業界は、製紙会社から代理店(一次卸)や卸商(二次卸)を通じて、印刷会社や出版会社などの顧客に紙や紙製品を供給する重要な役割を担っています。ここでは紙・パルプ卸業界が取り扱う商品の種類について解説していきます。

紙・パルプ卸業界の取り扱い商品は2種類

紙・パルプ卸業界は、日常生活や産業に欠かせないさまざまな紙製品を取り扱っています。紙は大きく「洋紙」と「板紙」に分類され、それぞれ異なる用途と特性を持っています。 洋紙は、一般的に薄くて柔らかい紙を指し、手すきの和紙と区別するためにこのように呼ばれています。主な洋紙製品には以下のようなものがあります。
新聞用紙 新聞の印刷に使用される紙で、軽量でインクの吸収が良い素材です。
印刷・情報用紙 書籍や雑誌、コピー用紙など、印刷や情報伝達に使用される紙です。
包装用紙 商品を包むための紙で、強度や耐久性が求められます。
衛生用紙 ティッシュペーパーやトイレットペーパーなど、 衛生目的で使用される紙です。
一方の板紙は、紙の中でも厚みがあり、一般的には多層構造になっています。主な板紙製品には以下のようなものがあります。
段ボール原紙 段ボール箱の製造に使用される厚紙で、強度と耐久性が重要です。
紙器用板紙 パッケージや箱などの製造に使用される厚紙で、 形状保持力が求められます。

紙・パルプ卸業界の業界構造

紙・パルプ卸業界は、製紙会社から紙や紙製品を仕入れ、印刷会社や出版会社などの顧客に供給する重要な役割を担っています。この業界の構造は、代理店(一次卸)と卸商(二次卸)の二層構造で成り立っています。 代理店、卸商について、それぞれの特徴や役割の違い、主な企業などについて解説していきます。 代理店(一次卸) 紙・パルプ卸業界の代理店は、製紙会社と直接契約を結び、紙や紙製品を仕入れて大口顧客に直接納入します。代理店は大口顧客に対しては、製品を直接納入することで迅速な供給を実現します。 一方で供給の安定化を図るために、複数の製紙会社と契約を結びます。製紙会社が自ら販売する場合と比較して、代理店を通すことで物流コストを抑えることが可能です。 また紙・パルプ卸業界の代理店は市場の動向を把握しやすく、製紙会社にとって有益な情報を提供します。 多くの代理店は製紙会社から出資を受けており、日本紙パルプ商事とKPPグループホールディングス(王子ホールディングスが出資)、新生紙パルプ商事日本紙通商日本製紙が出資)、丸紅フォレストリンクス丸紅の完全子会社)といった大手企業が存在します。

卸商(二次卸)

紙・パルプ卸業界の卸商は代理店から紙や紙製品を仕入れ、中小印刷業者などの地元ユーザーに販売します。主に卸商は中小規模の顧客を中心に取引を行い、小口取引が多くなります。 卸商の特徴として複数の代理店から仕入れることで、様々な製品を扱うことができます。紙・パルプ卸業界においては都市圏では代理店が強いため卸商経由の取引が少ない一方、地方では卸商経由の取引が多くなります。 卸商も製紙会社との関係性が強く、日本製紙から出資を受ける小津産業平和紙業共同紙販ホールディングスといった大手企業が存在します。 紙・パルプ卸業界の卸商は幅広い製紙会社と関係性を持つほど、安定的に受注を確保しています。

紙・パルプ卸業界の再編の動き

紙・パルプ卸業界では、同業のM&A(合併・買収)や事業領域拡大のための異業種のM&Aが進行しています。 KPPグループホールディングスは、2013年1月に「住商紙パルプ」、2013年4月に「ダイエイペーパーズ インターナショナル コーポレーション」と合併しました。また日本紙パルプ商事は、2017年1月に古紙商社の福田三商を買収しました。これは、古紙再資源化事業における収益力の向上を目指したものです。 さらに、日本紙パルプ商事は、子会社のアライズイノベーションとともに、超高速開発ツールの開発に定評があるジャスミンソフトに出資しています。これにより、物流機能のさらなる効率化を目指しています。また、同社は海外でも事業買収を行っており、オセアニア、ニュージーランド、英国で同業種の企業を買収しています。 このように、紙・パルプ卸業界は、製紙会社との強い関係性を基盤に、安定した供給と事業の拡大を図っています。

紙・パルプ卸業界の市場規模

紙・パルプ卸業界は、近年のデジタル化やペーパーレス化の影響を受け、市場規模が縮小傾向にあります。 経済産業省の「商業統計」および総務省・経済産業省の「経済センサス」によると、2021年の紙・紙製品卸売業の商品販売額は約6.5兆円でした。これは、1991年の9.7兆円から減少傾向が続いていることを示しています。 1990年ごろまでは経済成長に伴い需要が高まっていましたが、近年は印刷業界や出版業界でのデジタル化や電子書籍の普及により、市場は縮小しています。 さらに日本洋紙板紙卸商業組合が公表しているデータによると、紙と板紙の販売量も減少傾向にあります。2023年の販売量は以下の通りです。
143万トン(ピークの2006年の384万トンから約6割減少)
板紙 74万トン(ピークの2005年の123万トンから約3割減少)
板紙の減少率が紙よりも小さい理由として、インターネット通販市場の成長が挙げられます。特に段ボールの需要が増加しており、これが板紙の販売量を下支えしています。

紙・パルプ卸業界の現状

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、紙・パルプ卸業界はさまざまな影響を受けました。 緊急事態宣言に伴う巣ごもり需要の増加で、個人向けの梱包用品や段ボールの需要は増加しましたが、経済全体の停滞により業務用の荷動きは停滞しました。また、トイレットペーパーやティッシュなどの衛生紙の需要は増加しましたが、広告需要の減少やテレワークの普及に伴うペーパーレス化で、紙の使用量は減少傾向です。

紙・パルプ卸業界の主要企業の動き

製紙大手の王子ホールディングスや大王製紙は、「包む・拭く」用途の紙の生産に軸足を移しています。顧客側では、機能性商品や環境対応商品の需要が高まっており、卸業者も製造元や市場の動向に合わせて柔軟に対応することが求められています。 日本紙パルプ商事は海外需要を取り込むことで売上高を伸ばしており、2022年度にはコロナ禍前の水準に戻しました。特に、イベント向けのチラシやパンフレット、通販関連や加工食品向けの需要が堅調に推移し、海外卸売事業の比率は50%まで上昇しています。 新生紙パルプ商事は多くの製紙会社と関係を持ち、受注を安定的に確保していますが、近年は減収傾向にあります。中期経営計画「Growth2024」では、資源循環型素材である紙の価値提案や新たな価値創造を目指しています。

紙・パルプ卸業界の今後の展望は?

最後に、紙・パルプ卸業界の今後の展望について解説します。 紙・パルプ卸業界に限らず、国内の経済は少子高齢化という大きな壁に直面し、今後は国内市場が縮小していくことが予想されています。それに加えて紙・パルプ卸業界はペーパーレスという社会の流れを受け、厳しい局面に立たされています。 国内の紙の需要が減少していく中で、海外市場へと展開していく紙・パルプ卸業界の動向を見ていきましょう。

ペーパーレスとリサイクルの流れを受けて

近年、ペーパーレス化の流れが加速しており、紙の使用量が減少しています。 ペーパーレス化とは、会議や報告書などの書類を電子化することで紙の利用を抑えることを指します。これにより、コスト削減、紛失防止、検索性の向上などのメリットがあります。特に、電子化によりバックアップが可能となり、紛失や劣化の防止にもつながります。 また日本では、板紙や新聞用紙での古紙の利用が進んでおり、リサイクル率が向上しています。学校やマンションでの集団回収や行政回収の定着により、回収率が高まっています。また、グリーン購入法の影響もあり、環境に配慮した製品の利用が促進されています。

縮小する国内市場と、海外市場での展望

国内市場は、人口減少やデジタル化の進展により縮小が続くと予測されています。 日本製紙連合会のデータによると、紙・板紙の生産量は2014年の2,624万トンから2020年には2,472万トンに減少しています。さらに、安価な輸入品の増加により、紙製品の単価が下がることも予想され、国内事業者にとって厳しい環境が続くでしょう。 国内市場が縮小する中で、売上を伸ばすためには新興国への進出が重要となります。大手製紙会社の代理店は既に海外に拠点を作り、ビジネスを展開しています。今後も海外事業を強化する事業者が増加すると予測されます。例えば、日本紙パルプ商事は海外売上高比率50%を目指しており、クロスボーダーのM&Aなどで事業成長を図る方針です。

紙・パルプ卸業界も今後は海外需要が鍵に

今回の記事では、紙・パルプ卸業界の構造や市場規模、さらにペーパーレス化や環境保護の観点からのリサイクルへの動きの中での業界の展望について解説しました。 紙・パルプ卸業界は少子高齢化という国内の経済全体の課題に加えて、業界特有の課題から市場縮小が避けられない状況となっています。そのため今後は海外進出など新規事業の展開が生き残りの条件となるでしょう。 法人営業の皆様には、本記事で紹介した紙・パルプ卸業界の概要を業界各社へのアプローチ戦略にお役立ていただけます。また、無料で毎月100社まで法人データをダウンロードできるBIZMAPSを利用すれば、さまざまな属性や条件で企業を検索できます。営業戦略の立案にぜひご活用ください。 ▼法人営業活動に役立つ業界研究記事はこちらから! たばこ業界の現状と展望:主要企業の動向についても徹底解説 広告業界を徹底解説!市場規模や最新動向、売上ランキング上位の主要企業一覧も 生活用品業界の研究情報を解説! 素材業界とは?構造から企業が抱える課題、今後の動向まで研究し解説します! ▼BIZMAPSのオリジナルタグを元にした企業特集はこちらから! 2021年5月の注目の新設法人10社は?当時話題のニュースも紹介 ▼法人営業に役立つハック記事はこちらから! 新規営業に使える手紙の書き方!すぐに使えるシーン別例文もご紹介! 営業活動としてお礼のお手紙を送るメリット

無料で使える企業検索サービス

営業リスト・法人企業リスト