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多くの企業では営業計画書を作成して、それをもとに営業活動を進めています。 経営者や営業部門のマネージャーにとって、優れた営業計画書を作成することは、組織やチームを動かすためのキーポイントといえるでしょう。 営業計画書の書き方次第で、目標達成が左右されることも珍しくありません。 着実な売上を上げるためには、テンプレートの項目を埋めればよいというものではなく、内容がある営業計画書を作成することが重要になってきます。 では、そもそも営業計画とは一体どのようなものなのでしょうか? この記事では営業計画書とは何かと、営業計画書を現場の営業活動で運用する方法、そしてパワーポイントで営業計画書を作る際のコツなどを解説していきます。 営業計画書の作り方でお悩みのみなさんは、ぜひ参考にしてください。

そもそも営業計画書とは?

企業の計画書といえば、まず思い浮かぶのが売上計画書ではないでしょうか? では、営業計画書と売上計画書は何が違うのでしょうか。 まずは営業計画書とは一体何を指すのかという、定義から確認しておきましょう。  

営業計画書とはビジョンを落とし込んだ行動計画表

営業計画書とは、単に売上の計画を表にしたものではなく、その企業の営業ビジョンを現場での具体的行動レベルに落とし込み、営業チーム全体で共有するための指針となる書類を指します。 自社の商品やサービスを、どういう顧客ターゲットにどのような戦略のもとでどういった戦術を用いて売っていくかなどを落とし込んだ計画書です。  

営業計画表基本テンプレート

営業計画表のテンプレートは、さまざまなものが存在します。 ここでは一般的に必要とされる要素をカバーしたテンプレート項目を紹介しましょう。 ●営業ビジョンマーケット分析ターゲット設定ポジショニングマーケティング戦略営業手法行動計画営業目標 それぞれについて見ていきましょう。  

営業ビジョン

営業計画書の冒頭には、企業の経営理念にもとづいた営業ビジョンを記載します。 自社の沿革にも簡潔に触れつつ、営業計画の前提となる背景を記しておきましょう。  

マーケット分析

営業計画書の作成において、対象となるマーケットの分析は欠かせません。 商圏全体でどれくらいの数のユーザーが存在し、どの程度の市場規模があるマーケットなのかという概算も必要です。  

ターゲット設定

そのマーケットの中で自社のユーザーになりそうな潜在顧客を、属性や共通点、どのような課題を持っているのかなどで絞り込んだターゲット像を掲げます。 この項目の中身は、自社の戦略や手法が洗練されてシェアが拡大していくにつれて変化していくでしょう。 例えば、当初は商材の品質がまだ低かったために価格設定を低めにして中小企業に売り込みしていたとします。 その後、品質が向上して価格を引き上げ、中堅企業や一部の大企業に採用されるようになる場合もあるでしょう。 つまり、ターゲット設定は状況に応じて見直しと修正を定期的に行う必要があります。  

ポジショニング

競合他社の商材と自社商材との競合状況などにより、マーケットの中での自社の独自性や優位性、存在感などを客観的に見極めて位置付けを明確にするのがポジショニングです。 また、この項目ではマーケット動向についても言及しておきましょう。 ▼あわせて読みたい マーケティングでの戦略的なポジショニングとは?ポジショニングマップの解説&成功事例集  

マーケティング戦略

マーケティングの観点から、価格設定やプロモーション活動についての戦略を明らかにします。 自社商材の認知度向上やリード(見込み客)獲得に必要となる施策と、その効率についての目標値も必要です。  

営業手法

マーケティング活動を通じて獲得したリードを、営業部門でどのようにアプローチするかについて記載します。 マーケティング戦略を、実際の成約につなげるために落とし込んだ戦術と考えてよいでしょう。 ▼あわせて読みたい 新規営業4つの手法とコツとは?ウィズコロナに最適な方法も紹介  

行動計画

目指すべきゴールに到達するために、営業メンバーの現場での具体的なアクションを計画に組み込んだ行動指標です。  

営業目標

営業目標は売上目標と違って、利益額利益率をベースに立てられるものが大半です。 例を挙げれば「年間経常利益率8%」「上半期経常利益額5億円」などになります。 営業活動の指標数値で設定される場合もあるでしょう。 例えば成約率成約件数などです。 目標値は1つだけではないので、重要度の高いものを特定してそれ以外の目標も優先順位をつけて明記しましょう。 ここでの目標にリアリティがないものを設定してしまうと、営業計画自体がぼんやりしてしまうので、要注意です。 また、シェアの目標や目標達成のための営業チームの陣容も記載しておきましょう。 また、目標の達成状況が予定したとおりなのか、早かったり遅かったりを掌握できるようにスケジュールについても触れておくのが賢明です。  

営業計画表の立て方2つの基本形

営業計画の立て方には基本形として、以下の2つのアプローチがあります。 ●過去の実績の延長線上に立てる方法望ましい目標から逆算して立てる方法 個別に解説していきましょう。  

過去の実績の延長線上に立てる方法

これは例えば過去3年間や5年間の実績の推移から、この先の状況を予測して計画を立てる方法です。 企業業績の伸び方が順調な場合には、それに応じて過去の実績に数パーセント上乗せした目標を立てるようなやり方となります。 この方法の良い点は現実味があって、達成の見込みも手堅い目標になるということです。 悪い面としては大胆な発想にはならないので、大きく飛躍した計画にはなりません。 また、逆にマーケットが急激に変化したり縮小したりする場合に、キャッチアップすることが難しい計画となります。  

望ましい目標から逆算して立てる方法

この方法は、まず現在の市況から考えてこれくらいの成果が出れば上々であるという最終目標ありきの立て方です。 理想的な最終目標が想定できたら、そこからどんどん逆算していきます。 例えば経常利益XX億円を想定するなら、そのためには実際の売上としていくら必要かは計算で出てくるでしょう。 そしてその売上を上げるためには、商材を何件成約しなければならないかも算出できます。 それだけの成約件数を上げるために必要なリードの数も計算可能です。 それだけのリードを獲得するためには、どれくらいも訪問件数や電話営業、メールでのアプローチなどが必要かも具体的に出てきます。 それらを行動計画に落とし込むと、目標に対してリアリティがあるアクションを取れることになるというわけです。  

営業計画書の書き方のコツ:パワーポイント編

営業計画書を作成するためには、それに用いるツールとしてエクセルを思い浮かべる方も多いかもしれません。 もちろん、それでできないわけではないですが、エクセルは本来計算ソフトであって、さまざまな機能を持ってはいますがビジュアル面を追求したものではないのです。 しかし営業計画はある意味で、プレゼン資料的な性格を持っています。 共有する人たちにビジュアルも含めて伝わりやすく、モチベーションを上げられるようなものでないといけません。 そうなると計算ソフトのエクセルではなく、プレゼン資料作成に向いているパワーポイントを用いるのがおすすめです。 ここでは、ビジュアルでの訴求力に優れたパワーポイントを用いて、営業計画書を書くコツを解説していきましょう。  

グラフや図表、画像を駆使して見やすく

営業計画書には図表やグラフ、画像などの、数字の推移などをビジュアルで示すものを多用しましょう。 できるだけ冒頭の段階で挿入し、視覚的なインパクトを狙うのがコツです。 文章による説明では行き違いが生まれることもあります。 しかし具体的な数字を冒頭に持ってくることにより、読む人の理解をよりスムーズにすることが可能です。 また、全体的に文字と数字の羅列では読みづらい計画書となるので、各ページに1か所ずつでも表やグラフ、画像などを挿入すると最後まで読み進めやすいでしょう。 営業計画書は、それを共有するチームメンバーにプレゼンを行なうのと同じです。資料を渡して終わりではありません。 プレゼンの完成度がメンバーのモチベーションに影響を与え、最終的な営業の結果を左右すると言ってもよいでしょう。 そういう意味からも、プレゼン向きであるパワーポイントで営業計画書を作るのが有効なのです。 ただしあくまでも営業計画書なので、ビジュアルを意識しすぎてスライドのような画像だけを載せるのはNGとなります。 数字の入った図表やグラフ、論理的な文章もしっかり掲載しましょう。 つまり、資料として熟読や精読にも耐えられる深い内容であり、ビジュアルでのプレゼン効果もあるのが理想的な営業計画書です。 パワーポイントは図表やグラフを挿入しやすく、文字のサイズや配置などレイアウトの調整が容易といえます。 そのため、デザインやバランスにこだわった視覚的にわかりやすい資料の作成が可能です。 営業計画書を作成する際には、ぜひパワーポイントを活用しましょう。  

文字にメリハリをつけて活き活きとした計画書に!

文字は可読性の高い、つまり読みやすいフォントを用いるのが賢明です。 ゴシック体と明朝体で比べると、パワーポイントの営業計画書にはゴシック体のフォントが向いています。 グラフなどの色づかいは、あくまでもビジネス資料なのでビビッド過ぎる色合いは避けて、ほどよい明るさの色を使用しましょう。 また、フォントの種類はできる限り1種類に限定するほうが賢明です。 何種類ものフォントを使う人もいますが、雑然として統一感がなくってしまうおそれがあります。 文章や図表、グラフの中の文字で特に強調したい部分は、ボールド(太字)や下線を使用して目立たせましょう。 その際、文字色を変えてみるとより効果的です。 ただし、赤色は「赤字」を連想させてイメージ的に悪いので、営業文書で用いないのは暗黙のルールとなります。青色を用いるのがよいでしょう。  

目次を入れて概要を伝える

だらだらと長い営業計画書は、読む人の気持ちが途中で失せてしまいます。 できるかぎり簡潔にまとめることが大切です。 また、冒頭には概要と目次、ページ番号を入れておきましょう。 概要は「サマリー」や「要約と結論」などと呼ぶこともあり、営業計画書全体の内容を簡潔にまとめたものです。 1分で全体をおおまかに理解できるくらいの文章量が適切でしょう。 それと目次で、一目瞭然にどのページにどういう情報が盛り込まれているのかがわかる状態にしておきます。 ちなみに、目次は本来それを見れば構成全体が理解できるものです。 目次を見ても構成がわかりづらい場合は、営業計画書全体の流れが不自然であるおそれもあります。 そのような場合は第三者に見てもらって、どこかに違和感がないかを指摘してもらうのが得策でしょう。  

営業計画を現場に落とし込む運用方法

営業計画の目標達成ための活動を、現場の営業スケジュールに落とし込んだ行動計画表を作成して、運用していくのが具体性のある運用方法です。 どのように運用するかについて、例としてリードをリストアップして計画的にアプローチをする、典型的な営業活動を想定して解説しておきましょう。 前提としてマーケティング活動で獲得したリードの全リストの中から、特に成約確度が高そうなリードをピックアップします。 数百名(企業規模によっては数千名以上)ピックアップしてアプローチリストを作り、各営業メンバーに数十名ずつ振り当てましょう。  

営業活動のルール決め

リードに営業アプローチを掛けるために、営業活動のルールを決めておき、行動計画表に盛り込みます。 そのルールとは、「アプローチする頻度」「アプローチの最低回数」です。 「アプローチする頻度」とは「半月に1度」「3週間に1度」というように、どれくらいのスパンでリードにアプローチするかを意味します。 頻度が多過ぎると、うるさがられて成約の機会がなくなりかねません。 とはいえ頻度が少な過ぎると、なかなか認識してもらえなかったり、検討してもらえるタイミングを逃したりするので適度な頻度でアプローチします。 「アプローチの最低回数」は、ピックアップしたリードに最低でも何回はアプローチするという基準です。 「4回」「8回」というように回数を決めて、そこに至るまでにリードに成約のポテンシャルがあるかを判断します。  

週単位の行動に落とし込む

1日単位で計画を立てると、そもそも計画倒れになってしまうリスクが高くなるので、1週間単位の大まかな行動計画を立てるということです。 1週間のうちにこなすメニューだけは決めておいて、何曜日にどれを行なうのかは各メンバーが臨機応変にできるルールの方が継続しやすくなります。  

進捗管理を可視化する

例えば、営業アプローチを行ったら行動計画表の中のチェック箇所の「〇」を「⚫️」にするなどを徹底し、行動計画が順調に実施できているかを可視化していきます。 万が一、行動計画表通りに営業アプローチができなかった場合は「〇」のままにしつつ、予定外での営業活動を行なった場合は「▲」を記入するなどして、ひと目で営業活動の進捗状況がわかるようにしましょう。  

随時リストをメンテナンスしながら進む

最低アプローチ回数に至って、アプローチしたリードに成約のポテンシャルがないと判断した場合、そのリードへの積極的なアプローチはやめて、問い合わせがあれば対応するグループに移します。 代わりに新たなリードをリストに追加します。 また、最低アプローチ回数はあくまでも「下限」なので、アプローチの中でまだ見込みが感じられるリードには引き続きアプローチを続けるのです。 そのようにアプローチ対象のリードリストは、新陳代謝しながら一定数を保つのが理想といえるでしょう。 あくまで大雑把な説明ですが、以上のような運用方法で営業メンバーの行動やリストを管理することで、営業計画書のビジョンを現場に落とし込んでいきます。  

まとめ

営業計画書は書き方次第で、企業の売上目標達成が左右されかねない、非常に重要な営業指針です。 営業計画書はリアリティがある内容であることが求められます。 営業ビジョンがさまざまな角度から計画書の内容に反映されていて、最終的には現場の行動指針となるような優れた営業計画書が望ましいのです。 営業計画書の作り方でお悩みのみなさんはここで紹介した情報も参考にして頂き、パワーポイントを使って営業メンバーのモチベーションを上げられるような活き活きとした計画書を作成しましょう。 ▼あわせて読みたい 営業成績改善のためのデータ分析方法とは?基本分析とフレームワークを解説 営業職の士気を鼓舞するインセンティブ制度とは?具体的な事例や導入の手順も紹介

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