日常生活で足元を保護し、ファッション上のアクセントにもなる靴下。日本製の靴下の大半は奈良県靴下産地（以下奈良産地）で製造されています。しかし、それを上回る量の海外品が流通しているのも、靴下業界の課題です。 今回の記事ではそんな奈良の靴下メーカーの歴史を紐解き、動向を解説します。そして奈良県の主な靴下メーカーのプロフィールを紹介します。靴下メーカーを営業先とする法人営業担当者のみなさんは、ぜひ参考にしてください。

奈良靴下メーカーとは？

奈良県は靴下に関して、国内生産量の約7割を供給する日本最大の靴下産地です。なぜそうなったのか、奈良の靴下製造の歴史を紐解いてみましょう。 かつて大和と呼ばれた奈良の地は昔からお米の産地でしたが、降水量は少なく生産量は決して多いものではありませんでした。そのため農家の人たちとしてはお米以外のもので家計を補う必要から「大和木綿」の栽培が行われるようになりました。 そして江戸時代に転機が訪れます。

奈良が最大の靴下産地になった歴史的背景

江戸時代になって貨幣経済のシステムが整ってきて、全国各地で特産品の生産が活発になります。そんななかで庶民の衣服が麻から木綿の使用にシフトする流れがあり、大和木綿は脚光を浴び、大和の特産品として広く知られるようになりました。 しかし明治維新によって海外との交易が盛んになり、品質が良いインド綿が大量に入ってきました。これにより国内での綿産業は凋落し、奈良も大きな打撃を受けます。 ところが怪我の功名とも言うべきか、近代的な紡績機械が最新技術とともに海外から入ってきて、奈良にもたくさんの紡績工場が建ちました。 吉井泰治郎という人物がアメリカから靴下の手回しの編み機を購入し、明治43年（1910年）に近隣の人たちと靴下製造を開始したのです。 狭い場所でも始められる利点からその周辺にも広がっていき、やがて一大靴下産地を形成していきました。 昭和26年（1951年）にナイロン糸の生産が日本でも本格的に始まったのを受けて、フィット感に優れた伸縮性が高いナイロン靴下の生産で、奈良産地はさらに躍進を遂げます。そうやって全国の7割を生産するほどの産地に成長していったのです。

奈良産地の靴下メーカーの動向

全国首位の靴下生産量を誇る奈良産地ですが、1990年代以降、その生産量の減少が続いています。 奈良産地を筆頭とする国内の靴下産地において生産量が減少している大きな原因は、海外から大量に低価格の靴下が輸入されていることです。日本で流通する靴下の約8割はそういった輸入靴下という厳しい環境下で、奈良の靴下メーカーの数は減少しています。 とはいえ奈良の靴下メーカーのなかには、新製品開発や新販路開拓にチャレンジしているところも見られます。また、奈良産地発信の靴下の認知度の向上やブランディングの取り組みも重要です。 海外の靴下メーカーに対抗するためには、そういった差別化を全方位的に強く推し進めることが求められます。 出典：日本靴下協会　奈良県靴下産地の現状と再生への課題

奈良産地の靴下メーカー

奈良産地の靴下メーカーは以下のとおりです。 ●西垣靴下株式会社 ●三ッ星靴下株式会社 ●イイダ靴下株式会社 ●吉谷靴下株式会社 ●株式会社鈴木靴下 ●今西靴下株式会社 ●瀬川靴下株式会社 ●株式会社西垣 ●株式会社芦田製作所 ●株式会社マルエーニット ●桑メリヤス株式会社 ●株式会社野瀬ソックシステム ●タビオ奈良株式会社 ●株式会社シルクふぁみりぃ ●福西メリヤス株式会社 ●ヤマヤ株式会社 ●株式会社エイコー ●株式会社キタイ ●株式会社和晃 ●三岡繊維株式会社 ●株式会社タケショウ ●丸善産業株式会社 それぞれのプロフィールを見ていきましょう。

西垣靴下株式会社

奈良県大和高田市大谷に本拠地を構える西垣靴下株式会社は、1986年に設立された靴下の企画・製造・販売を手がける靴下メーカーです。 自然と体に優しいがコンセプトのエコノレッグを総合ブランドとして、地産地消の良さを生かしながら自社工場での生産を軸に素材にこだわった靴下の製造を手がけています。 高品質・小ロット・短サイクルにも対応しているほか、提案型OEMを積極的に推進中です。高い企画力と技術力を生かした生産が強みといえます。 西垣靴下株式会社

三ッ星靴下株式会社

奈良県香芝市別所に本拠地を構える三ッ星靴下株式会社は、1963年に設立された靴下の企画・製造・販売を手がける靴下メーカーです。 靴下に対する様々なオーダーに応える企画力と長年で培った高度な技術力で、小ロットから大ロットまで対応できます。 国内外の7拠点で受注から約5時間で10万足を1,000ヶ所に出荷することができる流通力があり、年間5,000万足の靴下を生産することが可能です。 三ッ星靴下株式会社

吉谷靴下株式会社

奈良県磯城郡三宅町但馬に本拠地を構える吉谷靴下株式会社は、1965年に設立された靴下の企画・製造・販売を手がける靴下メーカーです。 また、各種繊維製品の製造並びに販売も手がけています。日本靴下工業組合連合会求評展において金賞の受賞経歴を持つ企業です。 三山株式会社、万葉株式会社、河辺株式会社などを取引先、南都銀行を取引先金融機関としています。 吉谷靴下株式会社

株式会社鈴木靴下

奈良県磯城郡三宅町小柳に本拠地を構える株式会社鈴木靴下は、1992年に設立されたスポーツソックスの製造販売を行う靴下メーカーです。 また、繊維素材の開発、美容・健康関連商品の開発・販売なども手がけています。大手スポーツアパレルメーカー、大手通販、大手百貨店、大手量販店などを多数取引先に持っています。 株式会社鈴木靴下

今西靴下株式会社

奈良県大和高田市大東町に本拠地を構える今西靴下株式会社は、1980年に設立された靴下の企画・製造・販売を手がける靴下メーカーです。 防寒靴下や健康靴下等各種靴下の製造及び販売を手がけており、靴下の機能を追求し生活に役立つ商品の開発を目指しています。またオンラインショップ今西工房の運営も展開しており、5本指ソックスやハイソックスを取り扱っています。 今西靴下株式会社

瀬川靴下株式会社

奈良県大和高田市大谷に本拠地を構える瀬川靴下株式会社は、 1974年に設立された靴下の企画・製造・販売を手がける靴下メーカーです。 婦人・子供用を中心としたオリジナルソックスを扱っています。「こころ」で動ける集団を目指し、新しい時代を切り開いてゆくことをモットーにする企業です。 瀬川靴下株式会社

株式会社西垣

奈良県大和高田市野口に本拠地を構える株式会社西垣は、1970年に設立された靴下の企画・製造・販売を手がける靴下メーカーです。同社の製造ラインにおいて、製品に針が折れて混入していないかを出荷前に金属探知機を使って検査をしています。 金属片が混入する可能性はゼロであることが当たり前と考え、事業に取り組んでいます。強みは、小ロットのOEM生産が可能なことです。 株式会社西垣

株式会社芦田製作所

奈良県生駒市高山町に本拠地を構える株式会社芦田製作所は、1951年に設立された靴下・繊維・漁網・建材用熱処理装置等の設計・製造販売を運営する会社です。 ほかにも先端複合材用・プリント配線基板用・合わせガラス用・その他各種オーククレーブを扱っています。 株式会社芦田製作所

株式会社マルエーニット

奈良県大和高田市野口に本拠地を構える株式会社マルエーニットは、2007年に設立された無縫製のニットの肌着や靴下などの商品開発および製造・販売を行う会社です。 無縫製で作られるそれらの商品は肌触りがよく、伸縮性が高く、保温力も高いというメリットがあります。そのメリットを生かして健康・美容関連の靴下や、肌着、腹巻、サポーターなどを製造する企業です。 株式会社マルエーニット

桑メリヤス株式会社

奈良県大和高田市野口出屋敷に本拠地を構える桑メリヤス株式会社は、1970年に設立された靴下の企画・製造・販売を手がける靴下メーカーです。 紳士・婦人・子供靴下及びパンティーストッキングの製造販売を手がけており、時代のニーズに合った高感度商品の追求とファッション性・実用性・材質を吟味した快適アイテムを幅広い年齢層へ提案しています。 自社ホームページ上でソックス通信やソックス事典等多数のコンテンツを掲載しているほか、自社製品の写真を多数紹介しています。 桑メリヤス株式会社

株式会社野瀬ソックシステム

奈良県北葛城郡広陵町笠に本拠地を構える株式会社野瀬ソックシステムは、1972年に設立された衣料品のOEM生産を行う企業です。 婦人用の靴下やフットカバー・トレンカ等のOEM生産を手がけており、イタリアの編み機の導入で後工程の合理化やリンキングを可能にしています。 ローゲージからハイゲージまでの多機種を所有して生産を行うことで数多くのアイテムを日本製として生産できることが強みです。主要取引先は、繊維製品メーカーが中心となります。 株式会社野瀬ソックシステム

タビオ奈良株式会社

奈良県北葛城郡広陵町大字三吉元に本拠地を構えるタビオ奈良株式会社は、1992年に設立された靴下の企画・製造・販売を手がける靴下メーカーです。 メンズやレディース、キッズ製品を取り扱い、第二の皮膚のような履き心地をコンセプトにした店舗や、紳士靴下を取り扱う店舗、スポーツをコンセプトとした店舗などを展開しています。 また、インターネット販売や、店舗とインターネット販売をつないだオムニチャネル対応などの便利なサービスを追求している企業です。 タビオ奈良株式会社

株式会社シルクふぁみりぃ

奈良県香芝市真美ヶ丘に本拠地を構える株式会社シルクふぁみりぃは、絹で製作した靴下などのさまざまな製品を製造販売するメーカーです。 肌触りの良い絹の商品を販売するだけに、絹の品質には最大限に気をつかっています。薬品処理は最低限にし、着色料や色の違いをできるだけ少なくする努力を怠りません。 販売するアイテムは、靴下から下着・シャツなどの衣類から、ファッション雑貨やキッズ商品など、さまざまな商品を取り扱っています。 株式会社シルクふぁみりぃ

福西メリヤス株式会社

奈良県大和高田市大字野口に本拠地を構える福西メリヤス株式会社は、1961年に設立された靴下の企画・製造・販売を手がける靴下メーカーです。 適正素材を選定し縫製から染色、梱包と発送までを自社で一貫して行っています。ストッキングやタイツ、レギンスなどを縫製と染色しUV加工や接触冷感などの加工も実施しています。 着圧仕様のレギンスや保温性のあるタイツ、ヒップアップ効果やUVカットを取り入れたストッキングなども扱っています。 福西メリヤス株式会社

ヤマヤ株式会社

奈良県北葛城郡広陵町疋相に本拠地を構えるヤマヤ株式会社は、1983年に設立された靴下の企画・製造・販売を手がける靴下メーカーです。 主な業務は靴下の製造と、店舗およびオンラインショップでの販売であり、「Organic Garden」と「Hoffmann」というブランドを展開しているほか、OEM生産も行っています。 素材や品質にこだわった製品を数多く製造しており、また多数の特殊編み機なども活用して個性的な製品も製造しています。 ヤマヤ株式会社

株式会社エイコー

奈良県桜井市大福に本拠地を構える株式会社エイコーは、1999年に設立された靴下の企画・製造・販売を手がける靴下メーカーです。トレンド・履き心地にこだわった靴下のプライベートブランド「Plus Vanilla」を展開しています。 グループ会社の工場および中国の協力工場50社にて生産しています。新しいデザイン・素材を用いながら、ディティールにこだわった靴下や手縫いを要する靴下を提供しています。 株式会社エイコー

株式会社キタイ

奈良県香芝市高に本拠地を構える株式会社キタイは、1966年に設立されたスポーツウェアの製造を行っている企業です。 主な事業内容として、各種スポーツ用靴下およびスポーツインナーの製造・販売事業が挙げられます。 同社は全国靴下求評展において、通商産業大臣賞、中小企業庁長官賞を受賞した実績が誇りです。取引先としてはアディダスジャパン株式会社やミズノ株式会社、株式会社ドームなどがあります。 株式会社キタイ

株式会社和晃

奈良県香芝市穴虫に本拠地を構える株式会社和晃は、1958年に設立された靴下の企画・製造・販売を手がける靴下メーカーです。同社は創業以来、最新の編み機の導入や生産環境の整備などに、積極的に取り組んでいるのが特徴です。 同社のビジネスパートナーのほとんどを占めている、トップブランドが求める品質に応えるために、企画から製造まで、メイド･イン･ジャパンのものづくりを貫いているのが強みです。 株式会社和晃

三岡繊維株式会社

奈良県香芝市逢坂に本拠地を構える三岡繊維株式会社は、1960年に設立された繊維用品の製造を行っている企業です。 主な事業内容として、靴下・インナーウエアなどの製造事業が挙げられます。同社は靴下製造事業において、企画から製造まで一貫して行っています。 原材料にはメリノウール・スーピマ綿・ギザ綿などの高級素材を使用し、ハイゲージのバンナーやジャガード・リブ・リンクスを得意としています。 三岡繊維株式会社

株式会社タケショウ

奈良県葛城市加守に本拠地を構える株式会社タケショウは、1990年に設立された靴下メーカーです。国外から輸入されてくる低価格の靴下に対抗すべく、品質の高い靴下および、5本指靴下を製造しています。 日々刻々と変化していくファッション業界において、時代のニーズ捉えることでお洒落感覚を刺激するような高品質な靴下を商品化している企業です。 株式会社タケショウ

丸善産業株式会社

奈良県大和高田市築山に本拠地を構える丸善産業株式会社は、1990年に設立された靴下の企画・製造・販売を手がける靴下メーカーです。 国外から輸入されてくる低価格の靴下に対抗すべく、品質の高い靴下及び、5本指靴下を製造しています。日々刻々と変化していくファッション業界において、時代のニーズ捉えることでお洒落感覚を刺激するような高品質な靴下を商品化している企業です。 丸善産業株式会社

株式会社ワイズ

奈良県大和高田市築山に本拠地を構える株式会社ワイズは、1990年に設立された靴下メーカーです。オーダーメイド、オリジナルデザインでの靴下製造も受付けています。 オーダーメイドはスニーカー、クルー、サポート、ハイソックスからスタイルを選べ、サイズ、カラー、マークデザイン等細かな要望にも対応可能です。また、水族館、動物園、有名アーティストのグッズも手掛けています。 株式会社ワイズ

まとめ

奈良の靴下メーカーは国内産地の中では圧倒的に強みを持っていますが、シェアにおいては低価格で高品質の海外勢に押されている現状です。 そういう環境でシェアを回復するためには、海外品には真似できない日本特有、もしくは奈良特有の付加価値をアピールするしかありません。 だからこそ、法人営業としては海外勢に真似のできないきめ細やかなものづくりが伝わる提案を盛り込んだ営業アプローチによって、靴下メーカーの新規開拓のチャンスがあると思われます。 法人営業担当者のみなさんはここで紹介した情報を参考に、奈良の靴下の価値を高めるアイデアを武器に、ぜひ新規営業のアプローチに成功してください。 なお、法人データを無料で毎月100社までダウンロードできるBIZMAPSは、さまざまな属性や条件で企業を検索できます。営業戦略を確立するために、ぜひお気軽にご利用ください。 ▼日本最大級の会社DB【BIZMAPS】で下着・靴下関連企業を探す 法人営業向けの特集記事はこちらです。 ゲーム業界の市場動向と課題とは？代表的なゲームデベロッパーを紹介 教育コンサルタントとは？企業向け市場の動向と大手の企業社を紹介 漬物メーカーとは？市場の動向と代表的な企業を紹介 チョコレート市場の現状と動向とは？扱っている代表的な企業を紹介 法人営業担当者は要注目！コロナ禍による冠婚葬祭会社の現状と動向

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