えむら若奈 0 Comments
マーケティングのフレームワークとは?役立つ具体例もご紹介! ビジネスにおける「フレームワーク」とは、課題解決や意思決定のための確立された枠組みを言います。あらゆる動きを効率的かつ効果的に実施するためには欠かせないもので、近年多くの企業でも取り入れられています。 マーケティングにおいてもフレームワークを活用することで、マーケティング活動をスムーズに進めたり、マーケティングの効果を高めることが期待できます。今回はマーケティングにフォーカスして、その役割やマーケティングで活用できるフレームワークの具体例をご紹介します。

マーケティングにおけるフレームワークの役割

マーケティングにおいてフレームワークは、さまざまな事象を漏れなくスピーディに把握するために活用されています。 マーケティングは、市場の分析から施策の効果検証に至るまで多くのステップがあります。しかしこの一連の流れに時間を要していては、目まぐるしく変化する市場の動きについていけません。フレームワークを活用し、ある程度決まった枠組みに沿って迅速に動いていくことが可能です。 さらに、適切な考え方や目標を導きやすく、マーケティングチームで共有しやすい、というメリットもあります。フレームワークを活用することは、厳しい競争社会をマーケティングで勝ち抜く鍵なのです。 ここからは、マーケティングで役立つフレームワークの具体例をご紹介していきます。

思考に関するフレームワーク

はじめにご紹介するのは、思考に関するフレームワークです。マーケティングにおいては、得られた情報を多角的視野で整理・分析していくことが求められます。そのために必要な論理的思考に役立つ、4つのフレームワークをご紹介します。 ・MECE(ミーシー)手法 ・5回のWHY手法(なぜなぜ分析) ・ロジックツリー手法 ・OODA(ウーダ)ループ

MECE(ミーシー)手法

MECEとはミーシー、またはメーシーとも言われ「Mutually(お互いに) Exclusive(重複せず) Collectively(全体に) Exhaustive(漏れがない)」の頭文字をとったものです。 たとえば、とある商品のターゲット層を分類する際、10代〜40代に分けるとします。この場合、重複はしていませんが10代未満や50代以上が要素に入らず漏れがある状態になり、MECEではありません。 ターゲットを男性・女性・大人・子どもに分類した場合、大人と子どもの中に男性も女性も含まれ重複しているため、これもMECEではない例になります。 MECEはマーケティングに必要なロジカルシンキングの基本の考え方です。漏れや重複がないかを頭に入れて思考を巡らせる癖をつけましょう。

5回のWHY手法(なぜなぜ分析)

課題を発見したら「なぜ」を5回繰り返して、その課題の根本原因を洗い出す手法です。世界的な自動車メーカーのトヨタ自動車で実施していて、これこそが「トヨタ式カイゼン」を強固なものにしていると言えます。 トヨタ自動車の例を挙げて具体的に解説します。 起こった問題:生産ラインの機械が停止してしまった なぜ①:なぜ機械が止まってしまったのか? ⇒オーバーロードがかかりヒューズが切れたことが原因 なぜ②:なぜオーバーロードがかかってしまったのか? ⇒機械接合部の潤滑が十分でなかった なぜ③:なぜ潤滑が十分でなかったのか? ⇒潤滑ポンプの汲み上げが十分でなかった なぜ④:なぜ潤滑ポンプの汲み上げが十分でなかったのか? ⇒潤滑ポンプの軸の摩耗が原因 なぜ⑤:なぜ潤滑ポンプの軸が摩耗したのか? ⇒ろ過器がついておらず、切粉が入ってしまった こうして「なぜ」を繰り返したことで「潤滑ポンプにろ過器をつける」という対策が導き出されたというわけです。 マーケティングの分析においても「なぜ」を繰り返して根本的な解決策を導き出すことが重要なので、ぜひ取り入れたい思考です。

ロジックツリー手法

ロジックツリーとは、課題に対してその理由を掘り下げていき、解決策を導き出す方法です。課題の根幹から、関係する事由を木の枝葉のようにツリー上にして分解していきます。 ロジックツリーには次の3種類があります。 Whyツリー:1つの課題から「それはなぜ起きたのか」を列挙していき、されにそのひとつひとつの原因がなぜ起きたのかを挙げることを繰り返し、原因を分析する Whatツリー:構造をひとつひとつの構造に分解して、その課題に関連している要素が何なのかを理解する Howツリー:課題に対して「どうすれば解決するのか」を列挙して、解決策を見つける このようにツリー化することで、思考の過程を可視化できます。また可視化したものをマーケティング部門内で共有しやすい点もロジックツリーのメリットと言えるでしょう。

OODA(ウーダ)ループ

OODAループとは判断を後回しにすることなく素早く決定・行動するための思考法です。「観察:Observe」「仮説構築:Orient」、「意思決定:Decide」、「行動:Act」の頭文字をとっていて、この4つのステップを繰り返すことで迅速な意思決定と実行を可能にするのがOODAループの特徴になります。 まず現状や市場の動向を観察・情報収集するのが第1のステップです。そして最も重要なのが、収集した情報を統合して仮説構築をする第2ステップになります。このステップによって最終的な行動が大きく変わってくるのです。 構築した仮説をもとに、最終ステップである「行動:Act」において何をするのかを決定します。最終ステップで実行した結果に応じて、再び第1ステップの「観察:Observe」に戻るということを繰り返していくのです。 結果が出るまでのスピードが速く、臨機応変に行動できるのがOODAループのメリットと言えるでしょう。 目まぐるしく変化する時代における、スピーディーなマーケティングには欠かせないフレームワークです。

業務改善のフレームワーク

マーケティングのフレームワークとは?役立つ具体例もご紹介! 次に、業務改善のフレームワークをご紹介します。マーケティングの精度を上げていくには、常に業務改善行動を繰り返さなければなりません。 ここで紹介するのは、次の3つのフレームワークです。 ・PDCA(ピーディーシーエー) ・ECRS(イクルス) ・BPMN(ビジネス・プロセス・モデリング表記)

PDCA(ピーディーシーエー)

フレームワークの中でも最も認知度が高いのがPDCAです。PDCAサイクルとも言われ、「計画(Plan)」「実行(Do)」「評価(Check)」「改善(Action)」を繰り返すことを指します。ひとつひとつの業務やタスクに対して目標を立ててPDCAを回すことで、課題ややるべきことが明確になるのがメリットです。 もともとは工場の生産性アップのために作られたフレームワークなので、決められた工程においていかにコストを抑えながら効率を上げられるかという課題に対して非常に有効とされています。 しかし工場に限らず、PDCAサイクルを回しながら業務改善していくことはマーケティングにおいても非常に重要になります。PDCAサイクルを回すことで、マーケティングの精度を高められるでしょう。

ECRS(イクルス)

もともとは製造業の生産性アップを目的としたものですが、マーケティングにも取り入れやすいフレームワークです。製造現場で使われる業務改善の手法で4つの思考方法の頭文字を取ってECRSと定義しています。「取り除く(Eliminate)」「まとめる(Combine)」「整理する(Rearrange)「簡素化する(Simplify)」の4つの頭文字をとった言葉です。 まず業務フローから取り除いても問題のない工程があるかを検討し、まとめられる業務はひとつの工程にします。そして効率よく進められるフローチャートを整理して、それぞれがスムーズに行えるように簡素化するのです。 コストを削減して生産性をアップし、各工程の属人化防止にもなるのがECRSのメリットと言えるでしょう。

BPMN(ビジネス・プロセス・モデリング表記)

BPMNは「Business Process Model and Notation」の略で、業務の開始から終了までのプロセスをフロー形式で図式化する方法です。手順が決まっていて繰り返し発生する業務や、フローが長かったり複雑だったりする業務に向いているため、マーケティングにも活用できるフレームワークです。 フロー形式で図式化することで、業務の細かい部分が可視化できます。それによって無駄な部分が浮き彫りになり、効率化に向けた課題や改善ポイントが把握可能になるのです。 BPMNでは使うべき記号やフローがあらかじめ決まっています。作成方法が明確なため、取り入れやすい点がメリットです。

消費行動モデルのフレームワーク

マーケティングのフレームワークとは?役立つ具体例もご紹介! 最後にご紹介するのは、マーケティングの根幹とも言える消費行動モデルのフレームワークです。時代の変遷によりさまざまなフレームワークが登場してきましたが、今回は次の6つをご紹介します。 ・AIDMA(アイドマ) ・AISAS(アイサス) ・AISCEAS(アイシーズ) ・VISAS(ヴィサス) ・SIPS(シップス) ・ULSSAS(ウルサス)

AIDMA(アイドマ)

1920年代にアメリカで提唱された消費行動モデルです。AIDMAとは「認知・注意(Attention)」「興味・関心(Interest)」「欲求(Desire)」「記憶(Memory)」「行動(Action)」の5つのプロセスの頭文字を持った言葉です。おもにBtoCの分野において、テレビや新聞、雑誌といったメディアでの広告を通して消費者が取る購買行動をモデル化したフレームワークです。 製品・サービスを知って(Attention)」興味を持ち(Interest)」、それを欲しいと思うようになり(Desire)、手に入らない場合はその製品を記憶し(Memory)、最終的に購買行動に至る(Action)という流れです。 この5つのプロセスの中で「認知・注意(Attention)」を認知段階、「興味・関心(Interest)」「欲求(Desire)」「記憶(Memory)」を感情段階、「行動(Action)」を行動段階と3つに分けてマーケティングを実施するのが一般的です。

AISAS(アイサス)

AIDMAがテレビなどの既存メディアによるものに対して、インターネット普及によって提唱されたのがAISASです。それぞれ「認知・注意(Attention)」「興味・関心(Interest)」「検索(Search)」「行動(Action)」「共有(Share)」の頭文字をとった言葉になります。 製品・サービスを知って興味を持つところまではAIDMAと同じですが、AISASはこの次に興味を持った製品についてインターネットで検索する(Search)」というプロセスが入ります。そして購入に至ったあとは、その製品の感想やレビューをSNSなどで共有し(Share)、さらなる認知・注意(Attention)につながるという流れです。 AISASにおいては「検索(Search)」と「共有(Share)」を前提としたマーケティングの施策を立てることがポイントです。 特にwebマーケティングにおいて重要なフレームワークのひとつです。

AISCEAS(アイシーズ)

AISCEASはアイシーズ、またはアイセアスと呼ばれ、AISASI同様インターネット普及後の消費者行動モデルとして提唱され、現代のマーケティングにおいては欠かせないフレームワークの一つです。 「認知・注意(Attention)」「興味・関心(Interest)」「検索(Search)」「比較(Comparison)」「検討(Examination)」「行動(Action)」「共有(Share)」の頭文字をとった言葉で、AISASIと異なるのが行動の前に比較と検討が入っていることです。 製品を認知して興味を持ちそれについて検索したあと、公式サイトや口コミサイトなどでのレビューを見て類似製品と比較し(Comparison)、より自分に合ったものを検討(Examination)した上で購入に至ります。 より購入に慎重になりやすい高額な製品やサービスにおいて使われやすい消費行動モデルと言えるでしょう。

VISAS(ヴィサス)

VISASとはソーシャルメディアマーケティングにおける消費者行動モデルを指します。「口コミ(Viral)」「影響(Influence)」「共感(Sympathy)」「購入(Action)」「共有(Share)」の頭文字をとったもので、2010年にITビジネスアナリストの大元隆志氏が提唱しました。 消費者は口コミによって製品やサービスを認知し、その口コミをした人に影響を受けたことで共感します。そして購入に至り、購入したものの評価を共有するというプロセスです。 普段何気なく眺めているSNSで偶然見つけた口コミなどから消費行動に至るため、自分でも気が付いていなかった潜在的なニーズを掘り起こせるのがメリットです。

SIPS(シップス)

ソーシャルマーケティングに特化した購入心理プロセスで、「共感(Sympathize)「確認(Identify)」「参加(Participate)」「共感・拡散(Share&Spread)」の頭文字をとったものです。 出発点が認知や関心ではなくSNSによる共感から始まっています。そして共感したものについて口コミサイトなどで第三者の意見を見て、自分の共感が正しかったのかどうかを確認するのです。そして安心感を得たあと、SNSで「リツイート」や「いいね」をしたり、共感を持ったきっかけとなった投稿に変身したりといった参加行動に出ます。 参加行動には「ゆるい参加者(Participant)」「応援者(Fan)」「支援者(Loyal Customer)」「伝道者(Evangelist)」という4つのレベルがあり、そのレベルによって新規の消費者へ与える影響が大きく異なります。 そうして共感、確認、参加を経たあとは、それまでの行動をSNS上で共有し、それを他の消費者が拡散することで購入者が増えていくのです。

ULSSAS(ウルサス)

ULSSAS(ウルサス)とは、SNS時代におけるソーシャルメディアマーケティングに特化した新しい消費者行動モデルです。ULSSASにおける消費者行動プロセスは、次の通りになります。 UGC:ユーザー投稿コンテンツ Like:SNS上で「いいね!」などの反応 Search1:SNSによる検索 Search2:Google・Yahoo!などによる検索 Action:購入 Spread:拡散 VISAS が口コミ、SIPSが共感を認知のきっかけとするのに対して、ULSSASはユーザー投稿コンテンツから始まります。ULSSASは消費者自身が投稿したコンテンツによって別の消費者が認知することになります。TwitterやInstagramなどの投稿を見て「リツイート」や「いいね」といった反応をして、その認知が別の人にも広がっていくというわけです。 実際に購入した消費者のリアルな声が溢れているSNSをマーケティングのターゲットとする現代において、非常に重要なフレームワークと言えるでしょう。

まとめ

マーケティングでは、ただ闇雲に問題提起をしたり改善策を考えたりしても、余計な時間がかかって非常に非効率です。フレームワークを活用すれば、決まった枠組みの中で思考ややるべきことがクリアになり、マーケティングの精度や生産性が向上するでしょう。 しかし、フレームワークを使うことが目的になってしまっては本末転倒です。今回ご紹介したフレームワークの中から。自社に最適なものを選び取り、マーケティングを推進する手段として活用してください。 無料会員登録で毎月100社までの企業データをダウンロードできるBIZMAPSでは、さまざまな検索条件で目的の企業を検索できます。マーケティングのさらなる効率化のためにも、ぜひご利用ください。 そのほか、マーケティングやフレームワークに関する記事はこちら↓ 営業成績向上はデータ分析方法から!基本分析とフレームワークを解説 営業戦略はフレームワークから組み立てるとうまくいく! マーケティングの8種類の勉強方法を紹介!最新のトレンド手法も解説 マーケティングミックスとは?活用法や成功のポイントも解説! ホワイトペーパーのマーケティングでの活用法とは?DLサイト紹介も!

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