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目次
1.経営戦略と種類

2.経営戦略の必要性
それでは、一体なぜ企業には経営戦略が必要なのでしょうか。主な理由は、次の3つです。 ▼経営戦略が必要な理由その1:経営環境は移り変わるから 経営戦略が必要なのは、経営環境は常に移り変わるからです。特に最近ではインターネットやAI、情報化、グローバル化などにより、企業を取り巻く環境が変化するスピードは早くなってきました。そのため同じ経営方針を推進していくだけでは、刻々と変化する環境に対応できなくなってしまうのです。 もし経営環境があまり変わらなかったとしても、現状維持では企業としての成長は見込めません。経営戦略は、変化する経営環境の中で勝ち残っていくために重要なものなのです。 ▼経営戦略が必要な理由その2:経営資源の準備・運用ができるから 経営資源の準備や運用を計画的に実行するためにも、経営戦略は必要です。行き当たりばったりの経営では必要なときに資金が調達できなかったり、予算を十分に確保できなかったりするかもしれません。また資金に限らず、重要なプロジェクトを前に人材が不足してしまうこともあるでしょう。 経営戦略を事前に練っておけば、どれくらいの資金や人材がいつまでに必要かが明確になるので、時間に余裕を持って準備できるのです。 ▼経営戦略が必要な理由その3:自社の状況が分かるから 経営戦略の立案は、自社の状況を知るためにも大切です。経営戦略を立てる際、競合他社や関連する業界のこととあわせて、自社の強み・弱みや置かれている状況についても分析します。そのため、自社の状況を客観的に把握するのにも役立ちます。 自社の状況をきちんと理解しているからこそ、適切なサービスを顧客に提供し、競合他社と勝負できるのです。3.経営戦略の種類

①全体戦略
経営戦略としてまずご紹介するのが全体戦略です。 全体戦略は、 ・事業の領域(事業ドメイン)の策定 ・リソース(ヒト・モノ・カネ)の分配 ・資金調達の方向性 といった、経営全体に関する経営戦略です。 例えば、ある製品を国内外で販売している企業が「今後は国内事業を縮小し、好調な海外事業に注力する」という方向性を決定するのが全体戦略です。つまり全体戦略は会社の今後のビジョンとなる経営戦略になり「成長戦略」と呼ばれることもあります。②事業戦略
次に紹介する経営戦略は事業戦略です。 事業戦略は、ある事業にスポットを当て、その事業が競合他社に勝つための経営戦略です。順番としては、全体戦略の後に策定するのが基本です。 事業戦略の立て方としては、競合他社の分析を行って自社との比較を行いながら、どうすれば競合に勝てるかを考えていきます。また競合以外には、消費者の動向や市場の流通なども予測して分析しながら、事業としてどのように対応するかの戦略を立てていきます。 競争相手ありきの経営戦略でもあるため「競争戦略」とも呼ばれています。③機能戦略
機能戦略は、事業戦略の目標を達成するために必要な機能を整備する経営戦略です。機能ごとに戦略を立てるため、各企業の業種などによってその内容は大きく異なります。 機能戦略には、具体的には「マーケティング戦略」「プロモーション戦略」「販売戦略」などがあります。「企画」「製造」「販売」という機能ごとに戦略を考えるのです。機能戦略は事業戦略の内容をもとに策定し、事業戦略は全体戦略をもとにしたものなので、機能戦略にかかわるメンバーは、事業戦略・全体戦略まで把握していなければなりません。④価格戦略
価格戦略は、価格の設定に重きを置いた経営戦略です。価格は、企業にとって損益に直結する重要なものです。 しかし自社の希望とする価格に設定するだけでは、競争に負けてしまう可能性があります。なぜなら価格によって顧客が持つサービスのイメージが定着したり、競合のサービスや売れ行きに影響を与えたりするためです。 これらのことを踏まえて、消費者を意識し、さらに競合他社の価格もチェックしながら、戦略的に価格を設定していきます。⑤差別化戦略
差別化戦略は、その名前の通り競合他社との差別化を主軸にした経営戦略です。市場の中には、同じようなサービスや商品ばかりがあふれています。しかし、その中で自社にしかない優位性を打ち出すことで、顧客から選ばれやすくなるのです。自社の強みを活かし、他社との違いを見出すのが差別化戦略という経営戦略になります。 差別化を図った結果、それが刺さる一定の顧客を確保することができると、持続的な売上も見込めるでしょう。⑥多角化戦略
多角化戦略は、今まで展開していなかった新たな事業を展開する経営戦略です。現存の事業が伸び悩んでいるなど、今後の成長が見込めないケースがあります。そんなときに新たな事業を始めれば、新たな利益が生まれるという考え方です。 事業が分散するので、その分リスクも分散する点がメリットといえます。しかし一方で新たな事業を始めるには、時間やコストを費やす必要があるのも忘れてはいけません。⑦集中戦略
多角化戦略とは逆なのが、集中戦略という経営戦略です。事業をひとつにしぼり、時間やコスト、人材などすべてを集中的に費やします。そしてサービスや商品の価値を高めて顧客満足度やシェアの拡大を図るのが目的です。本来の事業に集中するため、多角的戦略のように新たなコストや人材などの動きが予測しやすいのがメリットです。 ただ、社会や時代の流れの中でその事業自体が失敗してしまうと、企業に与える影響が大きくなるのがデメリットといえます。⑧ブルーオーシャン戦略
ブルーオーシャン戦略とは、新たな市場や領域を開拓して事業を始める経営戦略です。ブルーオーシャンは、競合がほとんどいない新しい市場のことを言います。ブルーオーシャンの逆がレッドオーシャンで、参入している企業が多く競争が激しい市場です。 どんな市場でも競争相手がいるため、新商品を開発したりするのに苦労するかもしれません。しかし新規の市場を開拓できれば、競争相手のことは考えずに自社のサービスの質向上に集中できるでしょう。4.経営戦略の立案方法

STEP 1:目標を明確化する
経営戦略を立てる際は、まず目標を設定します。この目標とは、具体的には企業の経営理念やビジョンのことです。 経営理念は、その企業で働くスタッフに対し、企業の存在意義や経営の方向性を示すためのものです。 一方ビジョンとは、企業が理想とする姿をスタッフや投資家などに向けて示したものです。ビジョンは経営理念と比べると目標の期限があり、中長期的な目標といえるでしょう。こうした経営理念やビジョンが、経営戦略のベースになります。STEP 2 自社の課題を出す
目標を明確化した後は、自社の抱える課題を出していきます。自社についてリサーチ・分析を実施して、弱みとなるところなどを見つけ出すのです。経営においては強みを活かすだけでなく、弱みを洗い出すのも重要になります。 自社の課題を見つけることで、何が成長の足を引っ張っているのかを明確にできます。そうすれば、目標を達成するのに必要な施策が見えてくるはずです。STEP 3 課題の解決法を考える
課題を出した後は、その課題の解決法を考えていきます。まずは課題の数にかかわらず、優先的に解決すべき課題から順番をつけていきましょう。 自社の経営のネックになっているものや、すぐに売上に影響しそうなものなどは優先度が高いものです。そして優先順位をつけた後は、解決のための方法をひとつずつ考えます。そうすることで、自社の利益にもすぐに結果として出やすくなるはずです。STEP 4 リスクへの対応
課題の解決法を考えた後は、実践する前にリスク管理を行います。リスクとは、課題解決をする際に経営に与える可能性のある不都合なものです。経営に限った話しではなく、物事にはメリットとデメリットの両方が存在します。そのため課題が解決される一方で、何かしらのデメリットが生じることもあるのです。 課題の解決に人員を充てた結果、通常業務が滞ってしまうなどのリスクが発生する可能性もあります。そのようなリスクを軽減、もしくはなくすための対応策をあらかじめ準備しておきましょう。STEP 5 経営戦略の共有・実行
リスクへの対応を実施したあとは、立案した経営戦略を現場に共有して実行していきます。経営戦略を立てるのは一部の経営陣ですが、目標を実現化するためには企業に所属するスタッフの力が不可欠です。経営戦略の内容はもちろんのこと、目標達成に向けて必要な意識改革も必要になってきます。 全社で足並みをそろえるためにも、経営戦略の共有は重要なステップのひとつです。丁寧な説明を実施したあとに、経営戦略を実行していきましょう。STEP 6 振り返り
設定した期日、戦略について振り返りを行います。経営戦略に限らず、ビジネスの場ではプロジェクトやイベントなどの後には必ず評価を行うものです。 経営戦略の場合も、立てた目標通りの成果を上げることができたかを確認しましょう。もし成果が出ていないのであれば、何が原因なのかをつきとめなければなりません。そして経営戦略の修正を行い、再び目標達成を目指します。5.経営戦略策定に役立つフレームワーク
経営戦略の策定には、自社の状況把握や分析が欠かせません。そのために活用したいのがフレームワークです。ここからは、経営戦略策定に役立つフレームワークを5つご紹介します。 ▼5フォース分析 「フォース」とは脅威を指します。つまり自社への競争要因となる業界内の競合、新規参入、代替品、買い手の交渉力、売り手の交渉力という5つの脅威を分析するのが5フォース分析です。 ▼3C分析 3C分析とは「Competitor(競合)」「Customer(顧客)」「Company(会社)」の3つの要素から競合他社の特徴や市場や顧客のニーズ、自社の強みなどを分析するフレームワークです。 ▼SWOT分析 SWOTとは「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」それぞれの頭文字です。この外部環境・内部環境の両局面から自社の経営戦略を分析していきます。 ▼バリューチェーン分析 「バリューチェーン」とは価値の連鎖という意味で、原材料調達から商品の製造・物流・販売・サービスなどの流れを分析するフレームワークです。自社のバリューチェーンを把握し、それぞれのコストや強み・弱みを分析して、経営戦略に活かします。 ▼VRIO分析 VRIOは「Value(価値)」「Rarity(希少性)」「Inimitability(模倣困難性)」「Organization(組織)」の頭文字です。この4つの観点から競合他社との優位性を分析して、経営戦略の有効性を確認していきます。6.経営戦略策定のポイント
経営戦略策定の流れやフレームワークを理解しただけでは、経営戦略を成功に導けません。ここでは、経営戦略策定の際のポイントを5つご紹介します。 経営戦略策定のポイント①経営理念・ビジョンに基づいた経営戦略にする 経営戦略策定のポイント②優先順位を明確にする 経営戦略策定のポイント③自社の強みを活かした経営戦略にする 経営戦略策定のポイント④対象顧客を絞り込む 経営戦略策定のポイント⑤策定した経営戦略でPDCAを回す いずれの種類の経営戦略にも共通することなので、それぞれしっかり確認しておきましょう。①経営理念・ビジョンに基づいた経営戦略にする
経営戦略を策定する際には、その内容が経営理念やビジョンに基づいたものであるかを確認しましょう。 この2つは企業の根幹であり、組織が一体となって目標に向かうためのものです。万が一経営戦略が成功しなかったとしても、もともと経営理念やビジョンに基づいたものであったのなら、軌道修正はできます。組織の全員が同じ方向を向いて進んで行くためにも、軸から外れないように気をつけましょう。②優先順位を明確にする
経営戦略を策定する際には、さまざまな課題が浮き彫りになります。すべてを早急に解決したいと考えてしまいがちですが、課題解決に割けるリソースは限られているため、優先順位をつけなければなりません。 自社の目標達成のために、最も大きな障害となっている課題は何なのか。それを見極めたうえで経営戦略を策定するようにしましょう。③自社の強みを活かした経営戦略にする
経営戦略は、自社の強みを活かせる内容にしましょう。どの会社にも必ず強みがあるはずです。競合他社と比較して何が優れているのか、選ばれているポイントはどこにあるのかを分析したうえで、経営戦略を策定しなければなりません。 企業の強みを伸ばしていくことは、事業継続のために欠かせないことです。自社の強みを長期的にアピールできる仕組みを構築していきましょう。④対象顧客を絞り込む
自社の強みを把握したあとは、その強みとニーズがマッチする対象顧客を絞り込みましょう。ニーズのないところへ訴求するのは、限られたリソースを無駄にしてしまいます。対象顧客を絞り込むことで、効率的かつ効果的に利益を上げられるのです。 一見無関心に見える層でも、深掘りしていけば意外なニーズが掘り起こされるかもしれません。経営戦略策定のためには、マーケティングによる顧客理解が重要なのです。⑤策定した経営戦略でPDCAを回す
せっかく経営戦略を立てたとしても、実行しなければ意味がありません。社内へしっかり共有したあとは、速やかに実行へと移しましょう。 経営戦略を実行する際には、PDCAサイクルを回すことも重要です。定期的なチェック、そして改善を繰り返しながら、確実に目標達成するために経営戦略をブラッシュアップしていきましょう。7.参考にしたい経営戦略事例

8.経営戦略の種類:まとめ

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