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生活サービス業とひと口に言っても、さまざまな事業があります。その一つひとつが私たちの生活を豊かにしてくれるもので、精神的な満足感を提供してくれる大切な産業です。 本記事では、この生活サービス業界を特集。業界の定義や全産業内での位置づけ、市場規模、トレンドなどに加えて、今後業界の動向を左右するポイントについて解説します。 なお、生活サービス業界に所属する企業一覧は、BIZMAPSの「生活関連サービス業界」から確認できます。ぜひ参考にしてください。

生活サービス業界の定義

生活サービス業界とは、一般的に生活者をターゲットとし、「快適・便利・安心・楽しいを創出するため、従来各自がおこなってきた生活行為を肩代わりする産業・ビジネス」や、「日常生活の私的な領域に関する消費・余暇に関わる欲求を満たす産業」を指します。 具体的には、次のような事業です。
  • ブライダル・葬祭
  • 理美容・エステサロン
  • クリーニング
  • 写真スタジオ

生活サービス業界の全産業内での位置づけと市場規模

生活サービス業界は小規模な業界です。ブライダル・葬祭、理美容・エステ、クリーニング、写真スタジオなどを含む生活サービス業界全体の名目GDPの規模は21.6兆円、全産業の3.9%。また就業者数は153万人で、全産業の2.3%を占めています。 家計調査をベースに推計した生活サービス業界の市場規模を見てみると、2022年は2兆円。2020年は新型コロナウイルスの影響によって大幅に落ち込み、2021年は増加に転じたものの回復は鈍く、2022年にコロナ禍前の水準近くまで戻りました。 生活サービス業界のなかでもっとも割合が大きい業界は理美容・エステサロン市場で、業界全体の37%を占める7,480億円となっています。その次に割合が大きいのは葬祭市場の6,399億円、そしてブライダル市場の2,558億円、クリーニング市場の2,446億円、写真スタジオ市場の1,184億円と続いています。 コロナ禍の影響により、接触機会を減らすため、各業界の市場規模は大きく変化しました。特に冠婚葬祭の小規模化は顕著で、ブライダル市場・葬儀市場は2020年に市場は半減。回復ペースも鈍くなっています。 理美容・エステサロン市場では、予約の徹底や来客数を制限するなどの工夫が功を奏し、需要の回復は早かったものの、コロナ前の水準には戻っていない状態です。 クリーニング市場は、コロナ禍による外出自粛やテレワークの普及で利用機会が減少し、市場の縮小が続いています。また写真スタジオ市場も、イベントの自粛やスマートフォン、デジタルカメラ、家庭用プリンターの普及が影響し、需要の回復には至っていません。 生活サービス市場全体が縮小傾向にあり、葬祭市場と理美容・エステサロン市場は縮小幅が小さい一方で、ブライダル市場と写真スタジオ市場の縮小幅が大きくなっているのが現状です。

生活サービス業界の構造

生活サービス業界の事業領域は、サービスの利用頻度で分類されています。日常利用のなかでもっとも利用頻度が高いのは、クリーニング業界です。衣服などを洗剤や溶剤を使用して洗濯しアイロンがけまでをおこなう業界で、普段着のクリーニングは特に頻度が高くなっています。 その次に頻度が高いのが、理美容・エステサロン業界です。理美容・エステサロン業界とは、頭髪のカット、カラー、パーマなどをおこなう理美容業界や、スキンケアやボディケアサービスを提供するエステサロン業界、かつら販売や育毛サービスの提供をおこなうヘアケアサービス業界で構成されています。 理美容・エステサロン業界に次いで利用頻度が高いのが、写真スタジオ業界です。写真撮影を担う写真館業界と、写真の現像や焼き付けや引き伸ばし、フィルム複写などを請け負う写真プリント業界で構成されています。 利用頻度がもっとも低いのはブライダル・葬祭業界です。結婚式場の運営、結婚式のプランニング、ブライダル衣装・備品の賃貸・販売、結婚紹介サービスの提供などをおこなうブライダル業界と、葬儀場・霊園の運営や葬儀関連サービスの提供などをおこなう葬祭業界で構成されています。

生活サービス業界の主要企業の動き

生活サービス業界は、一部を除いて大手企業のシェアが低く、地域に根差した中小企業が多数存在しているのが特徴です。 たとえばブライダル・葬祭業界大手の「燦ホールディングス」は、関西圏や首都圏や中国地方を中心に展開しているものの、それ以外の地域には進出できておらず全国展開ができていません。 また、生活サービス業を展開する企業が、別の事業領域に参入する事例も増えています。 ハウスウェディング大手の「株式会社ツカダ・グローバルホールディング」は、エステサロン事業を展開する「FAJA」を買収しエステサロン事業に進出。さらに写真プリント業界大手の「株式会社キタムラ・ホールディングス」は写真館「スタジオマリオ」を立ち上げて、写真館事業にも進出しています。 この背景には、客単価の下落という生活サービス業界全体の課題があります。近年のデフレや価格競争の影響もあり、サービスの質を低下させずに低価格を実現するための企業努力が求められているのです。 そのため新たな顧客を取り込み客単価を上昇させるために、サービスの多様化を模索する企業が増えていくと予想されています。

生活サービス業界の最新トレンド

生活サービス関連支出の月次推移を見てみると、世帯平均の支出合計は月におよそ1,700円~4,300円台で推移しています。 婚礼関係費と葬儀関係費の支出はコロナ禍によって大幅に落ち込み、2022年にかけて順調に回復していたものの、2023年は減少に転じています。コロナ禍の影響で冠婚葬祭の小規模化が進んだことで、参列機会の減少などによる支出金額が影響したようです。 理美容代や洗濯代への支出は、社会経済活動の再開で外出機会が増え、緩やかな回復傾向となっています。写真撮影・プリント代は、コロナ禍で自粛されていたイベントなどが再開されたこともあり、微増傾向で推移しています。 各支出は、月による変動が大きくなっています。結婚式は3~6月と10~12月、葬式は12~2月に集中する傾向があり、洗濯代は季節の変わり目である4~6月と10~12 月、写真撮影代はイベントが多い3~4月と11~12月の支出が多く、変動が激しいのが特徴です。そのため生活サービス業界では、需要が集中する季節に効率的に需要を獲得するだけでなく、需要を分散させる施策も求められています。

生活サービス業界の動向を左右するポイント

生活サービス業界は、大企業が占めるシェアが低い業界です。そのなかで業界再編が進行し、全国展開の企業がどれだけ誕生するかは、業界の動向を左右する大きなポイントとなるでしょう。シェアが分散する市場構造において、M&Aや海外からの新規参入などで市場が活発化し、業界再編が進行するかが注目されています。 また人口減少や低価格を強みとする企業の参入、所得の低下による「ナシ婚」や「個人葬・家族葬」に代表されるサービスの簡素化が進行するなかで、各社がどのような施策を打ち出して成長していくかも重要なポイントです。特に、ショッピングセンターなどの商業施設やコンビニエンスストアといった流通業と、どのような連携をするかも、業界の動向を左右するでしょう。 生活サービス業界に限った話ではありませんが、少子高齢化などの影響で労働力不足も問題となっています。ロボットなどの機械活用がどれだけ進むのか。そしてIT技術や物流システムの発達に後押しされた新たなサービスを提供するベンチャー企業が、今後どれだけ登場するのかも注目したいところです。

豊かな人生を提供してくれる生活サービス業界の動向をチェック

生活サービス業界は、私たちの人生をより豊かに彩ってくれる産業です。市場規模は小さいものの、さまざまなサービスで生活や精神面の充実を支えてくれています。 今後、新たなサービスを打ち出す企業がどのくらい登場するのか、そしてそれによって業界全体がどう変わっていくのか注目しておきましょう。 登録企業数200万社以上の国内最大級の企業検索サービス「BIZMAPS」には、生活サービス業界関連の企業が14,000社以上掲載されています。ぜひチェックしてみてください! ▼法人営業ハックではさまざまな業界について解説しています! 生活用品業界の研究情報を解説! 生活関連サービス業一覧!企業ランキングTOP10と多様なサービス内容を紹介 運輸業界とは?現状や最新動向を紹介!TOP5企業もチェック! 情報・通信業界を徹底解説!最新のトレンドも紹介します 総合小売業界とは?主な業種や最新動向などを解説 エネルギー業界とは?徹底的に業界研究をした内容を解説します! 進化を遂げるエレクトロニクス業界とは?定義や最新トレンドを解説! 建設工事は建設業の中でも競争率の高い業界!最新の情報を公開します

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