一色 みわ 0 Comments
運輸業界は、日本の経済にとって重要な業界の一つです。国内外での商品供給と経済活動を支え、国内経済の発展に寄与しており、運輸業界の市場規模は拡大傾向にあります。 この記事では、運輸業界の概要や現状、最新動向と合わせて、BIZMAPS掲載の運輸・物流業界売上ランキングTOP5の企業を紹介します。 また本記事で紹介する5社以外の企業情報は「#運輸・物流業界」から確認できます。登録企業数200万社以上の企業検索サービス「BIZMAPS」に掲載されている運輸業界の企業や団体は、全部で40,931社です。 法人営業で運輸業界にアプローチを検討中の皆さんは、ぜひ参考にしてください。

【業界の特性】運輸業界とは

運輸業界は、さまざまな物品や人を運搬する業界で、生産者から消費者まで商品を届ける仕事や人々を目的地へ運ぶ業務を行っています。 運輸業界は、物流における細かなニーズから大量輸送まで幅広く対応しており、私たちの日常生活に欠かせない存在です。近年ではIT技術の導入も進み、ドライバーや運搬に関わる人力の業務以外にも、ITエンジニアの職種での求人も増えています。 私たちの生活において不可欠な存在である運輸企業は、商品供給、価格安定、雇用創出、国際貿易、便益の提供など、円滑に進めるためにも重要な業界であるといえます。

運輸業界構造を解説

運輸業界は、その輸送手段や運ぶ対象によって多様な構造を持っています。課題や動向について考える前に、業界全体の構造を理解しておくことが大切です。 輸送手段にはトラックやバスやタクシーといった自動車の他、鉄道、船舶、航空機などがあります。これらすべては、荷物を運ぶ貨物輸送と、人を運ぶ旅客輸送という2つの大きなカテゴリーに分けられます。バスやタクシー、トラック輸配送の業界が貨物輸送あるいは旅客輸送に特化している一方で、鉄道業界や海運業界、空運業界は貨物と旅客の両方を運んでいます。 貨物輸送においては、大手企業がより小規模の事業者を下請けとして利用していることが多く、全体として巨大なピラミッド型の構造になっていることが特徴です。 運輸業界では、それぞれの事業者が独自の特性を持ちながら、経済活動に不可欠な役割を果たしています。 ここではそれぞれの構造について詳しく解説します。

旅客輸送

旅客輸送には大きく分けて次のものがあります。 【バス】 公共交通機関としてのバスは、人々を目的地へ運びます。 【鉄道】 鉄道も旅客輸送を担当しており、長距離輸送や通勤・通学などに利用されています。 【航空機】 旅行の際に使用される航空機は、人々を目的地へ運びます。 バスやタクシーは、主に人を運ぶ旅客輸送に特化しています。これらのサービスは、日常生活における移動手段としてだけでなく、観光業界においても重要な位置を占めているのが特徴です。各事業者は、輸送サービスの提供だけでなく、運行状況の管理や配車の効率化も行っており、人を運ぶからこそ、顧客のニーズに応じた柔軟なサービスが求められます。

貨物輸送

旅客輸送には大きく分けて次のものがあります。 【陸運】 トラックや車を用いて商品を運搬します。宅急便の荷物や引っ越しの輸送など、細かなニーズに対応できる特徴があります。 【海運】 船舶を用いて主に「BtoB」で活躍します。石油や天然ガスなどの資源の運搬が主な仕事です。 【空運】 飛行機を用いて輸送し、小型かつ軽量な精密機器や生鮮食品などの輸送に便利です。 【鉄道】 鉄道を利用して貨物輸送を行っています。 貨物輸送は、商品の運送、保管、在庫管理、配送などを担当し、供給チェーン内の物流を管理する業界です。商品を製造地から消費地へ効率的に移動させ、需要を満たすために不可欠な役割を果たしています。 貨物輸送がなければ、人々が日常のさまざまな商品を手に入れることは難しいでしょう。運輸が正常に運用されない場合、商品や食品の供給が滞り、需要を満たせなくなり、商品不足が生じます。物流コストの増加により、商品の価格が上昇すれば、消費者に負担がかかるでしょう。また、 国際的な商品の輸送が困難になり、国際貿易が停滞します。 ▼食品業界に関連する記事はこちらから! 食品業界ランキング:トッププレイヤー達の戦略と成功要因

倉庫業

倉庫業は、物流の中で中継点としての役割を果たし、寄託された物品の保管や管理を行っています。これにより、商品の流通効率が向上し、企業の在庫管理や配送計画に大きく貢献しています。また、ECサイトの普及により、倉庫業界の重要性はさらに高まっています。 トラックによる物流を担う企業は、輸送する品物を保管するための大型の倉庫を保有している場合もありますが、倉庫業を主とした事業とする事業者のサービスを利用するケースもあります。倉庫業も物流業界の重要な役割を担う存在です。

運輸業界全体のピラミッド構造

大手運送事業者は、ドライバーや車両の確保のために、中小の運送事業者を下請けとして活用することが多く、業界内での協力体制が築かれています。 これにより、一次下請けだけでなく、二次下請け、三次下請けといった多層的なピラミッド型の業界構造が形成されており、大手から中小まで幅広い事業者が連携して物流を支えているのが特徴です。 このような運輸業界の構造は効率的な物流システムの構築に寄与していますが、特に二次下請け、三次下請けの事業者においては、ドライバー不足や長時間労働などの課題に悩まされているのも事実です。 下請けの事業者だけでこれらの問題に対処することは難しいため、業界全体で取り組む姿勢が求められています。例えば業界全体で、自動運転技術の導入や、物流のデジタル化による効率化が進むことで、将来的にはこれらの課題が解決される可能性があります。

運輸業界の市場規模は?

それでは、運輸業界が国内の産業界においてどれだけ重要な役割を果たしているのか、具体的な数字で見ていきましょう。ここでは運輸業界のGDP、および貨物重量や輸送距離から、運輸業界が市場で占める位置を解説していきます。 運輸業界も、新型コロナウイルス感染拡大防止のための自粛の流れに影響を受けざるを得ませんでした。しかし現在では貨物重量・輸送距離ともに回復傾向にあります。

業界のGDPと就業者数

運輸業界は、日本経済にとって不可欠な産業で、名目GDPの4.7%にあたる26.3兆円を占めています。 新型コロナウイルス感染症の影響で2020年度には大きな打撃を受けましたが、現在は徐々に回復しています。就業者数は345万人で、全産業の5.1%を占める労働集約型の産業です。特にトラック輸配送業界では多くの人が働いており、ドライバー不足が続いているため、労働環境の改善やドライバーの負担軽減が求められています。 その対策として2024年からはドライバーの労働時間の上限が設けられることなりましたが、結果的に人手が足りなくなる「2024年問題」が浮上しています。「2024年問題」は現在、運輸業界のみならず関連する産業、ひいては消費者の大きな懸念となっています。

陸運・海運・空運の貨物重量および輸送距離

インターネット通販の普及により宅配個数は増加していますが、企業間取引の減少や少子高齢化の影響で、物量全体は減少傾向にあります。国土交通省の統計によると、2022年度の自動車による輸送量は2,269億トンキロで、これは貨物の重量と輸送距離を掛け合わせたものです。輸送量は経済活動を反映する重要な指標であり、GDPとの連動性が高いですが、リーマンショック以降の景気低迷や新型コロナウイルス感染拡大による経済停滞の影響で減少しています。 海上貿易量については、2022年は850百万トンで、輸入が全体の82%を占めるなど、輸入依存度が高い状況です。金融危機やコロナ禍の影響を受けて変動はありますが、2022年にはある程度回復していますが、コロナ禍前の水準にはまだ戻っていません。 空運の貨物量は、2022年度で2,020千トンとなり、国際線が1,471千トン、国内線が550千トンです。コロナ禍の影響で2020年度は大幅に落ち込みましたが、国際線は2021年度に急回復し、国内線も若干の回復が見られます。 陸運、海運、空運を通じて、リーマンショック以降は比較的安定していた輸送量ですが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて大きく変動しています。今後の運輸業界は、経済の回復とともに、どのように変化していくのか注目されています。

業界の最新動向!運輸・物流の今

運輸業界は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けました。現在、運輸業界で特に注目を集めているトピックを3つ紹介します。運輸業界の動向を見ていきましょう。
  • 物流業再編の動向
  • 2024年問題への取り組み
  • 人材不足という課題解決のための施策

物流業再編の動向

貨物輸送を行う物流業は「調達物流」「生産物流」「販売物流」「回収物流」「消費者物流」の5つのセクターに分かれ、これらの領域を横断的に連携させる多くの企業が協力し合い、業界全体が成り立っています。新型コロナウイルス感染症の拡大とオンラインサービスの増加に伴い、通販市場が拡大し、物流業には大規模な変化が起きました。今後はますます物流業は拡大すると同時に、荷主の高度なニーズへの対応も求められるでしょう。 こうした背景を受けて、設備投資が難しい中小企業を中心に事業からの撤退やM&Aによる業界再編が進むかが注目されています。

2024年問題への取り組み

運輸業界の市場が拡大するなかでも、すでに述べたように「2024年問題」によるドライバーなどの人材不足が懸念されています。 運輸業界に人材を増やすためには、採用要件の見直しと労働環境の改善が不可欠です。そのため物流システムとロボティクスの活用などによる作業効率向上の取り組みに注目が集まっています。

人材不足という課題解決のための施策

運輸業界は恒常的に「人材不足」という課題に直面しているのが現状です。多くの企業は運輸市場での生き残りをかけて、物流システムやロボティクスの導入、自動運転トラックやドローンの活用、AI技術による業務効率化を推進しています。 また運輸業界が日本経済に欠かせない役割を担っていることから、国としても運輸業界の機能維持を後押しする政策を実施しています。法制度の改正も進行中で、運輸業界全体の効率性向上や労働環境の改善につながっていくことでしょう。 運輸業界は私たちの生活に不可欠なインフラです。さまざまな課題を抱えつつも、今後も運輸業界の市場は拡大し続けていくと予想されます。

運輸・物流企業売上上位5社

ここでは、BIZMAPS掲載の運輸・物流業界内で注目される企業の中から、以下の売上上位5社をご紹介します。 ・国分ロジスティクス株式会社 ・日本郵政株式会社 ・国際総合航空輸送会社 ・イオングローバルSCM株式会社 ・NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社

国分ロジスティクス株式会社

国分ロジスティクス株式会社は、国分グループ唯一の包括的な物流会社です。一般貨物自動車運送業や軽貨物運送事業などの物流業務、倉庫事業を含む間接業務のサービスを提供しています。 本社は東京都中央区に位置し、神奈川、千葉、大阪、滋賀など全国各地に拠点を持っています。国分グループの物流部門の主要な企業として、最適な物流ソリューションを提供し、信頼されるパートナーとしての地位を築いています。 運輸・物流業界売上ランキング第1位 国分ロジスティクス株式会社

日本郵政株式会社

日本郵政株式会社は、グループ会社の経営戦略策定を担当する企業です。日本郵便株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険を傘下に持つ持株会社として、顧客の生活を支援する「トータル生活サポート企業グループ」の実現を目指しています。 日本全国に設置された物流ソリューションセンターは、ECビジネスの成長に伴う多拠点展開、物流拠点の中心化、BCP(事業継続計画)への対応など、クライアントのビジネス規模と戦略に合わせ、物流の課題を解決するために活用されています。 運輸・物流業界売上ランキング第2位 日本郵政株式会社

国際総合航空輸送会社

国際総合航空輸送会社は、総合的な航空貨物輸送業を専門とする企業です。フェデックスコーポレーションの傘下にあり、全米および220以上の国や地域に向けて、高速で信頼性の高いサービスを提供しています。 空と陸の広範なグローバルネットワークを活用して、顧客の厳密な時間枠に合わせた運送を実施。航空輸送業界において高い評判を持つプロフェッショナルな運送会社として、顧客の国際的な物流ニーズを満たすために最善を尽くしています。 運輸・物流業界売上ランキング第3位 国際総合航空輸送会社

イオングローバルSCM株式会社

イオングローバルSCM株式会社は、イオングループの物流センターの管理と運営、物流業務の提供を担当する企業です。また、イオングループのサプライチェーン(供給網)の構築も担っています。 国内幹線物流ネットワークを駆使し、日本全国のイオングループの店舗に向けて商品の迅速で効率的な配送を実施。顧客のニーズに適合したサプライチェーンの設計と管理において中心的な役割を果たし、イオングループの効率性向上と顧客満足度の向上に寄与しています。 運輸・物流業界売上ランキング第4位 イオングローバルSCM株式会社

NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社

NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社は、グループ企業の経営管理から関連業務までを担当する企業です。2022年1月に設立され、物流を通じて新たな価値を創造し、持続可能な社会に貢献しています。 NXグループの中で、日本通運や物流サポート事業などの経営管理に携わり、経営の改善提案から実際のサポートまで幅広い支援を行っています。 運輸・物流業界売上ランキング第5位 NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社

物流業界と環境問題

現在すべての産業が「持続可能な社会の実現」に向けた取り組みに舵をきっています。そのような状況下で、運輸業界に対して特に求められているのがCO2排出量の削減です。 物を運ぶためにトラック・船舶・航空機などを動かさざるを得ない運輸業界ですが、少しでもCO2の排出量を減らすために、各社さまざまな試みを行っています。

共同配送など効率的なトラック輸送の実現

コンテナを用いて一度に多くの荷物を運んだり、同業他社同士で情報を共有して同じ方面に向かうトラックに複数の企業の荷物を積んだりといった、トラック輸送の効率化が進んでいます。無駄な輸送を減らすことで、CO2削減に大きく貢献しています。 複数の企業で情報共有を行う場合は、専用のアプリが用いられています。データによって各トラックの積載状況を可視化し、より効率的な配送を実現する仕組みです。

船や列車による輸送でトラック輸送を削減

大型の船や列車で荷物を一度で運ぶことによって、大量のトラックによる行き来を減らそうとする動きも進んでいます。このCO2排出量削減の取り組みが、モーダルシフトです。 また本来は旅客を運ぶための列車やバスを、荷物の輸送にも活用する企業も増えています。同じ方向に向かう場合、旅客用と輸送用を分けずに1つの列車やバスを客貨混載で動かしたほうが合理的です。特に旅客も荷物も数が限られている山間部に向かう路線で、大きく効果を挙げています。

アイドリング・ストップの実践

大量のトラックなど自動車による輸送を行う運輸業界では、それぞれのトラックがアイドリング・ストップを実践することが、CO2排出量の削減に直結します。 アイドリング・ストップとはトラックを動かさないときには、その都度エンジンを停止することです。輸送トラックの場合、倉庫などでの荷物の積み下ろしで、他のトラックが出るまで待機しているときなどにエンジンをかけたままにしているケースが多く見られます。 現在では事前予約システムなどを導入して、各トラックの待機時間を減らしてスムーズに積み下ろしを行えるようにする企業も増えています。

再生可能エネルギーの活用

運輸業界の中にも、太陽光などの再生可能エネルギーの発電に取り組む企業が増えています。 太陽光発電はパネルを設置する広い場所が必要になりますが、運輸業界では荷物を保管するために各地に大型の倉庫を保有しているのが一般的で、その屋根で発電を行うのです。 また再生可能エネルギーを活用した電力会社と提携することで、事業で使用する電力の中でCO2を排出しないものの割合を増やそうとする取り組みも見られます。

運輸業界に注目しよう!

今回の記事では、運輸業界の現状や最新動向、注目の企業5社を紹介しました。運輸業界は着実に進化し、私たちの日常生活と経済に欠かせない役割を果たしています。人材不足などさまざまな課題がありますが、運輸業界の市場は今後も拡大していくでしょう。 法人営業の皆様は、本記事で紹介した運輸業界の概要や売上上位ランキングを参考にして、効果的な営業戦略を構築してください。また、無料で毎月100社まで法人データをダウンロードできるBIZMAPSを利用すれば、さまざまな属性や条件で企業を検索できます。営業戦略の立案にぜひご活用ください。 ▼日本最大級の企業DB【BIZMAPS】で運輸・物流業界企業を探す ▼法人営業向けの、さまざまな業種の特集記事はこちらです。 商社業界の現状や動向、今後の展望とは?売上ランキングTOP20もご紹介! 士業ランキングTOP15を紹介!業界の現状や最新動向についても 製造業界の現状と課題とは?今後の展望や売上ランキングTOP10も紹介! 建設・建築業界の現状と今後の動向は?売上上位10社も紹介! 小売・卸売業界のトップ企業10:競争激化の中で輝くビッグプレーヤーたち 注目の倉庫業界の現状と動向!売上ランキング上位の倉庫会社も紹介 素材業界とは?構造から企業が抱える課題、今後の動向まで研究し解説します! 旅行業界とは? 今後の動向から徹底的に解説します! リフォーム業界の将来性は?今後の課題を含め解説します! 法人サービスとは?業界の特徴や最新動向、代表的な企業も紹介

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