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加工食品業界とは、生鮮食品を原材料として加工・調理・保存し、消費者に提供する食品の製造および販売を行う産業のことを指します。加工食品業界は、食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品と幅広い製品カテゴリをカバーしており、食品の保存性、利便性、味や栄養価の向上を目的とした多種多様な加工方法を採用しています。 企業最大プラットフォーム「BIZMAPS」の便利なタグ検索機能を使って絞り込み、加工食品業界について調べたところ【食肉】は3,805社、【乳製品】は799社、【水産加工専門商社】は3,294社と非常に多くありました。今回は、加工食品業界(食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品)にフォーカスし、徹底的に研究をしました! 加工食品業界の業界研究を紹介します。加工食品業界の事を知りたい方や、加工食品業界の各カテゴリである食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品に新規顧客開拓を考えている営業職の方に最適です。また、加工食品業界の主要企業についてもまとめています。加工食品業界の経営者の方は今後の発展を見込んで、是非、参考にしてください。

目次

加工食品業界の業界定義とは?

加工食品業界は、多岐にわたるカテゴリに分かれており、特に食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品などが含まれます。加工食品業界の各カテゴリは、それぞれの特性と市場動向に応じた製品開発と戦略を通じて、消費者のニーズに応え続けています。これにより、今後も持続的な成長が期待されています。加工食品業界の食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品の詳細を解説していきます。

加工食品業界の業界構造に注目します

加工食品業界は主に、食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品が含まれる業界です。ひとえに「加工食品業界」とまとめても、細かなカテゴリで扱う商品も加工される行程も違います。 加工食品業界の業界構造を細かく見ていくことで、加工食品業界への見解も深まります。特に、これから加工食品業界に新規顧客開拓を試みようと思っている営業職の方や経営層は必ずチェックして欲しい内容です。

加工食品業界の競争や収益をファイブフォース分析

ファイブフォース分析は、マイケル・ポーターが提唱した業界分析のフレームワークであり、業界の競争環境を理解するための強力なツールです。加工食品業界におけるファイブフォース分析を行い、加工食品業界の各カテゴリ(食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品)の競争環境を詳しく説明します。 【競争業者間の敵対関係】 多くの企業が市場シェアを拡大しようと積極的に競争しています。大手企業同士の競争は激しく、マーケティングや価格戦略での対抗が見られます。各企業が独自の製品を開発し、差別化を図ることで競争力を高めています。健康志向、オーガニック製品、エコフレンドリーなパッケージなどの特徴が重要です。また、ブランド認知度と消費者のロイヤルティを高めるために、多大な投資が行われています。 【新規参入の脅威】 製造設備、研究開発、マーケティングに多額の初期投資が必要です。食品安全や品質管理に関する規制が厳しく、遵守するためのコストと知識が必要です。既存の大手企業が強力なブランド力と広範な流通ネットワークを持っているため、新規参入者は市場に浸透しにくいです。 【代替品の脅威】 健康志向の高まりにより、代替製品(植物由来の代替肉、代替乳製品、低カロリースナックなど)が注目されています。消費者のライフスタイルの変化により、調理が簡単で栄養価の高い食品が求められています。冷凍食品やレトルト食品がその例です。代替品が安価である場合、消費者は価格の安い製品に移行する可能性があります。 【買い手の交渉力】 消費者には多くの選択肢があり、価格や品質、ブランドに敏感です。インターネットの普及により、製品の価格や品質、栄養情報を簡単に比較できるため、消費者の交渉力が高まっています。スーパーやコンビニエンスストアなどの大規模小売業者は、大量購入を行うため、交渉力が強いです。 【供給者の交渉力】 特定の原材料の供給が限定されている場合、供給者の交渉力が高まります。例えば、オーガニック食品や特定の品種の食材などです。少数の大規模供給者が市場を支配している場合、交渉力が強くなります。代替供給源が多い場合、供給者の交渉力は低下します。

加工食品業界のカテゴリごとのバリューチェーン

加工食品業界の各カテゴリ(食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品)のバリューチェーンを説明します。加工食品業界のバリューチェーンは、製品が消費者に届くまでの一連の活動やプロセスを示します。 各プロセスにおいて、原料調達過程などに特徴がありますが、全プロセスで共通なのは、全プロセスにおいて、品質を維持・向上させるための管理が行われているという点です。また、環境に配慮した生産方法や素材の使用が求められます。新技術や新製品の開発を進めることで、市場の競争力維持と成長が見込めます。加工食品業界のバリューチェーンは、それぞれのカテゴリで特有のプロセスと活動を含み、効率性と品質管理を重視しています。 これにより加工食品業界は、消費者に安全で高品質な製品を提供することが可能となります。 「食肉」「卵加工品」「水産加工品」についてバリューチェーンを見ていきましょう。

食肉

加工食品業界の食肉に関しては、牧場・農場などで家畜の飼育(牛、豚、鶏など)や飼料の管理、健康管理、成長管理を行い、家畜の屠殺と初期処理を行います。 その後、食肉のカット、冷凍、包装、加工を行い、冷蔵・冷凍輸送、効率的な物流管理の上、物流と配送をし、消費者への販売、マーケティング、プロモーションを行います。乳業・乳製品は、牧場で牛や他の家畜の飼育と乳搾りを行い、生乳の収集と輸送、低温殺菌、発酵、凝固、加工乳製品の製造をし、製品の包装、物流と配送を行います。 主に冷蔵輸送、効率的な物流管理を行い、スーパーマーケット、オンライン販売、専門店で消費者に販売します。ハム・ソーセージは、肉の調達から肉の塩漬け、燻製、発酵、調味、成型などの加工を行い、製品の包装し、冷蔵・冷凍輸送など効率的な物流管理で配送します。その後、スーパーマーケット、デリカテッセン、オンライン販売で、消費者への販売、マーケティング、プロモーションを行います。

卵加工品

加工食品業界の卵加工品の原材料である卵は、養鶏場で生産され、そこで収集と初期処理を行い、卸問屋を通じて食品メーカーや液卵への加工会社に運ばれます。さらに液卵、冷凍卵、乾燥卵、調理済み製品の製造などの加工をします。 製品の包装と冷蔵・冷凍輸送など効率的な物流管理のもと、スーパーマーケット、オンライン販売、専門店などで消費者への販売、マーケティング、プロモーションを行います。

水産加工品

加工食品業界の水産加工品は、魚介類の捕獲・養殖をし、魚介類の洗浄、カット、冷凍などの初期処理、冷凍、燻製、乾燥、塩漬け、缶詰加工、練り製品の製造などの加工を行います。 製品の包装、冷蔵・冷凍輸送、効率的な物流管理で配送、スーパーマーケット、魚介専門店、オンライン販売などで消費者への販売、マーケティング、プロモーションを行います。

加工食品業界内各セクションの取扱商品

加工食品業界の各カテゴリ(食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品)の取扱商品を以下にまとめます。 加工食品業界の各カテゴリは、それぞれの特性と市場ニーズに応じた多様な商品を取り扱っています。これにより、加工食品業界は消費者の多様な嗜好やニーズに応えることが可能となっています。

食肉・食肉加工品

食肉には、狂牛病や牛・豚の口蹄疫、鶏・豚インフルエンザなどの疫病リスクを防ぐため、食品衛生法に基づき、畜場法や伝染病予防法による、生体検査や解体前・解体後に厳しい検査を行います。万が一でも、疫病が発覚した時は、蔓延防止として行政機関の指示のもと農場の隔離、全飼育家畜の殺処分が行われます。 ソーセージやハム、ベーコンの食肉加工品は、近年、消費者のニーズに対応した無添加や高級志向、地域限定品などが需要を伸ばしています。代わり、加工コストにおいて、消費者への価格転嫁が厳しく収益性は圧迫されがちです。

卵加工品

卵加工品の主たる材料になる鶏卵は季節や飼料価格の変動に大きな影響を受け、価格が高騰したりと変動に影響されやすい商品です。また、運搬にかかる燃料費、人件費の上昇が影響します。 総じて「エッグサイクル」と呼ばれる季節単位の短期、及び5〜6年単位の中期の周期で変動を繰り返しています。

乳業・乳製品

生乳をはじめとする原材料のほとんどは国内産でまかなわれています。ヨーグルトは乳酸菌を含む発酵乳製品で、健康に良いとされています。機能性ヨーグルトも人気です。しかし、チーズに関しては大半を輸入に頼っています。 近年のニーズである健康志向の高まりにより、各企業は乳酸菌飲料やヨーグルトなどを中心に健康につながる機能性の高い商品を販売しています。

水産加工品

水産加工品は、畜産品と比べて変質や腐敗が早いのが特徴的です。そのため、冷蔵・冷凍技術が未発達だった頃から、保存性を高めるさまざまな加工方法が生み出されてきました。 加工品の形態が豊富なのもそのためです。水産加工品は原材料となる水産物の大部分を輸入で行っています。そのため、供給量や価格変動により大きく影響されます。

加工食品業界のビジネスモデル

加工食品業界におけるビジネスモデルは、多様な消費者ニーズや市場の特性に対応するために、さまざまな形態をとっています。最初に、加工食品業界全体および特定のカテゴリ(食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品)における代表的なビジネスモデルを詳しく説明します。
  • 垂直統合モデル:原材料の調達から製造、流通、販売までの全プロセスを一貫して管理するモデルです。利点はコスト削減、品質管理の徹底、供給チェーンの効率化です。
  • OEM(相手先ブランドによる生産)モデル:他社ブランド向けに製品を製造し、供給するモデルです。利点は生産効率の向上、固定費の削減、多様な取引先への対応です。
  • ブランド製品モデル:自社ブランドの製品を開発・販売するモデルです。利点はブランド価値の向上、直接消費者との関係構築です。
  • サブスクリプションモデル:定期的に製品を消費者に配送するモデルです。利点は安定した収益源、顧客ロイヤルティの向上です。
加工食品業界は、主たる原材料が生産者団体や卸売市場を介した取引が主体となります。また、国内生産物だけではなく、一部原材料の大半を海外からの輸入に依存しているという点もあり、主体的に原材料の仕入価格の調整を行うことが難しい傾向にあります。加工食品業界の加工後の商品の販売においては、顧客となる食品流通大手の価格交渉力が強い点、消費者の消費意欲の停滞が続いた点もあり、価格転嫁が難しい構造になっています。 加工食品業界内の競争については、食品加工品のプロセスにおける技術・ノウハウや設備の投資が重要となっています。近年、大手加工メーカーによるOEM製造を利用した、スーパーやコンビニチェーンなどの小売によるプライベートブランド商品での参入が多くみられます。しかし、加工食品業界全体としては、大手加工メーカーが中心となり競争を展開しています。 近年の消費者ニーズは健康志向やダイエット志向が強くなっています。加工食品業界では、消費者ニーズを受け、肉や生乳の代わりに大豆を用いるなどしています。一部の消費者には好評ですが、国内の食肉市場全体から見れば、代替品としての脅威は今のところ小さい傾向にあります。今後、加工食品業界は健康志向やダイエット志向が高まる影響を受け、代替品として食肉市場に影響を及ぼす可能性もあります。 加工食品業界は健康志向やダイエット志向が高まる中、以前よりも長期的なトレンドとして日本人の食生活の欧米化が進んできたことによる、肉食化や魚離れが進行し加工食品業界内の水産加工品の代替えも進んでいます。

加工食品業界の主要企業の財務指標分析

加工食品業界(食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品)に関しては、取扱商品の性質上から、装置産業での割合が強いのが特徴的です。そのため、有形固定資産比率が大きい傾向にあります。しかし、水産加工品は加工度がそこまで高くないため、有形固定資産比率が若干、軽い傾向にあります。加工食品業界の水産加工品の利益率は、他のカテゴリと比べて低く、営業利益率は3%前後で推移しています。 しかし、加工食品業界のP/Lはコストの中に占める原価の割合が非常に高く、原料の高騰時や為替が不利になった場合は、コスト上昇分を販売価格に転嫁することが難しく、利益が圧迫される心配があります。加工食品業界の乳業・乳製品はバターとチーズが上位集度を図るHHI指数が集中し、比較的高い傾向にあります。加工食品業界の企業間での競争は健全と言えますが、結果を見ると上位企業にシェアが集中している状況です。

加工食品業界の市場規模を確認!

加工食品業界の各カテゴリ(食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品)の市場規模は、消費者のニーズや地域ごとの経済状況、技術の進化などによって異なります。加工食品業界の食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品の各カテゴリに一つずつフォーカスし、それぞれの市場規模を解説します!それぞれの動向を知ることで加工食品業界の今後が見えてきます。是非チェックしてください。

食肉・ハム・ソーセージ

加工食品業界の食肉、ハム・ソーセージは経済産業省の「工業統計」「経済センサス」「経済構造動態調査」を参考にすると、2021年の食肉の出荷額は2.4兆円となっています。尚、食肉加工品の出荷額は1.1兆円です。2011年を底に増加基調が続いています。これは、食肉価格の高騰や消費者ニーズが欧米化に変わりつつある点が影響し、市場は拡大傾向にあります。 各業界に影響を及ぼしたコロナ禍は加工食品業界の食肉にも影響を及ぼし、2020年の出荷額は微減となりましたが、すぐに回復しました。食肉加工品は、調理のしやすさから需要が拡大し、出荷額は増加傾向です。日本ハム・ソーセージ工業協同組合による「肉加工品の生産数量」にも如実に現れており、2022年の生産量は534千トンです。2020年はコロナ禍の影響による巣ごもり需要もありベーコン・ソーセージの生産数量が拡大しました。 しかし、2021年、2022年は巣ごもりが解消されたからか減少傾向にあります。しかし、加工食品業界のハムに関してはコロナ禍以前から減少傾向がみられ、今も続いています。2022年の時点で、品目別割合はソーセージが58%、ハムが24%、ベーコンが18%の比率でソーセージが大半を占めていることが分かります。 グローバル市場では、2023年の加工品食品業界の市場規模は約1.5兆ドルと推定されています。今後も人口増加と都市化の進展に伴い、安定した成長が見込まれています。主要市場はアメリカ、中国、ブラジル、ヨーロッパ各国となり、年間平均成長率(CAGR)は約3-4%と予測されています。消費者の肉需要として、経済成長に伴う所得の増加や食生活の変化が肉の消費を促進し、冷凍技術や加工技術の進化により、保存期間が延び、消費者の利便性が向上しています。

卵加工品

加工食品業界の卵加工品は、原材料となる鶏卵の自給率は非常に高く、2022年の生産量は260万トンとなっています。近年の生産量は260万トン前後で推移していますが、コロナ禍による影響で鶏卵価格が低水準で推移したことにより、2021年の生産量は減少しました。2022年に入り生産量は若干回復しましたが、新たに鳥インフルエンザの感染拡大や飼料価格の高騰で卵の価格が高騰しました。これにより需給のひっ迫が懸念されました。 グローバル市場では、2023年の卵加工品市場の規模は約300億ドルと推定されています。今後も安定した成長が見込まれています。主要市場はアメリカ、中国、インド、日本、ブラジルであり、年間平均成長率(CAGR)は約4-5%と予測されています。この要因としては、卵の栄養価の高さ、高タンパク食品としての卵の人気が高く、利便性もあり液卵、乾燥卵などの加工品の需要が増加傾向にあります。

乳業・乳製品

加工食品業界の乳業・乳製品の2021年の出荷額は2兆5,447億円で、増加基調が続いていましたが、コロナ禍の影響により2020年以降は減少傾向にあります。また、少子高齢化の影響で飲用牛乳などの消費が減少傾向にあります。バターやチーズ、アイスクリームなどの加工品が堅調に推移しています。グローバル市場で見ると、2023年の乳業・乳製品市場の規模は約7,500億ドルと推定されています。 今後も健康志向の高まりにより、需要が増加する見込みです。乳業・乳製品の成長率は年間平均成長率(CAGR)は約5-6%と予測されています。要因として、プロバイオティクスや機能性食品としての乳製品の需要が増加していることにあります。また、新製品開発として植物由来の代替乳製品が台頭しています。グローバル市場の主要市場はアメリカ、インド、中国、ヨーロッパ各国を参考にしています。

水産加工品

加工食品業界は水産加工品の2021年の出荷額は2.2兆円で、近年は減少傾向にあります。鯖缶詰や冷凍水産物と言った一部を除き、全体的に水産加工品は消費者のニーズが欧米化・肉食化に傾いたことにより影響を大きく受けています。欧米先進国の健康食ブームや、新興国需要の急増を背景に水産物の国際価格が高騰しています。加工食品業界への価格転嫁は少しずつ進んでいるが、出荷額縮小には歯止めがかかっていません。 グローバル市場では、2023年の水産加工品市場の規模は約2,500億ドルと推定されています。持続可能な漁業の普及とともに、今後も成長が見込まれています。主要市場は中国、日本、アメリカ、ノルウェー、タイとなり、成長率は年間平均成長率(CAGR)は約5-6%と予測されています。要因として消費者のニーズが健康志向に傾き、オメガ3脂肪酸を含む魚介類の健康効果が認識され、需要が増加しました。 これにより、サステナビリティとして、持続可能な漁業と養殖による供給が重視されています。

加工食品業界の最新トレンドに注目しました!

加工食品業界は、消費者のニーズや技術の進化に応じて常に変化しています。加工食品業界は、健康志向、サステナビリティ、テクノロジーの進化など、多様なトレンドに対応して進化しています。企業はこれらのトレンドを取り入れ、消費者のニーズに応えるために新しい製品やサービスを開発しています。これにより、業界全体の持続的な成長が期待されます。加工食品業界の2024年に注目される最新トレンドを紹介します。

健康志向とウェルネス

近年、高まっている消費者ニーズとして、植物由来の原材料を使用したプラントベース食品の需要が増加しています。代替肉や代替乳製品などが代表的です。また、栄養強化食品やプロバイオティクス、プレバイオティクスを含む機能性食品が注目されています。免疫力強化、腸内環境改善、ストレス軽減などの効果が期待される食品が人気です。健康志向の消費者向けに、糖質や脂肪を抑え、タンパク質を豊富に含む食品の需要が高まっています。

サステナビリティとエシカル消費

加工食品業界内で、リサイクル可能、再利用可能、または生分解性のあるエコフレンドリーなパッケージ素材の使用が増えています。また、持続可能な農業や漁業によって生産されたサステナブルな調達、原材料を使用する企業が増えています。これにより、環境保護と持続可能な資源利用が促進されます。例として、MSC(Marine Stewardship Council)認証のシーフード、フェアトレード認証の原材料などが挙げられます。

テクノロジーの進化

加工食品業界は、AIやビッグデータを活用して、消費者の好みや健康状態に基づいた食品のパーソナライゼーション食品を提供する技術が進化しています。他にも、IoT技術を活用したスマートパッケージングが登場しています。これにより、食品の鮮度や保存状態をリアルタイムでモニタリングできるようになります。温度センサーや鮮度インジケーターが組み込まれたパッケージなどが進行しています。

新しいマーケティング手法

加工食品業界は、中間業者を介さず、直接消費者に販売するD2Cモデルが拡大しています。これにより、消費者との直接的な関係を築きやすくなります。例として、ブランド独自のオンラインショップやサブスクリプションサービスなどがあります。他にも、ソーシャルメディアを活用したインフルエンサーマーケティングが重要な役割を果たしています。消費者はインフルエンサーのレビューや推奨を信頼しています。

利便性と即時性の追求

加工食品業界は、新しいライフスタイルに対応するため、短時間で調理できる即席食品や簡便食品の需要が増加しています。例として、冷凍ミールキット、即席麺、レトルト食品などがあります。食品のオンデマンドデリバリーサービスが普及しています。消費者はスマートフォンアプリを使って簡単に食品を注文できます。そこには、Uber Eats、DoorDash、Grubhubなどのサービスがあります。

エスニックフードと多様な食文化

加工食品業界は、多様な文化のエスニックフードへの関心が高まっています。消費者は新しい味や食体験を求めています。例として、韓国料理(キムチ、ビビンバ)、インド料理(カレー、ナン)、中東料理(フムス、シャワルマ)などのグローバルフードトレンドがあります。加工食品業界は多様な食文化に各企業が適応をすることで、新サービスの提供や市場価格の上昇、加工食品業界の発展が見込めます。

新規市場と消費者層のターゲティング

加工食品業界は若年層の消費者(ミレニアル世代やZ世代)は、健康志向や環境意識が高く、エシカルな消費を重視しています。例として、サステナブルブランド、ビーガン製品、ソーシャルメディアマーケティングがあります。また、シニア市場は、高齢化社会に対応し、シニア世代向けの健康食品や機能性食品が注目されています。例として、高タンパク質食品、ビタミンやミネラル強化食品、嚥下補助食品などがあります。

食品の安全性とトレーサビリティ

加工食品業界はブロックチェーン技術を活用して、食品の供給チェーンの透明性とトレーサビリティを確保する動きが進んでいます。ブロックチェーン技術とは、食品の生産地や加工履歴を追跡するシステムです。加工食品業界内では食品の品質管理と安全性を向上させるために、新しい検査技術や管理システムが導入されています。これには、リアルタイム品質モニタリング、IoTセンサーによる品質管理などが含まれます。

加工食品業界の業界環境

加工食品業界は、食のニーズが欧米化に傾く中、消費者の食生活に変化がみられる点が影響しています。農林水産省の「食糧需給表」を参考にすると、1988年に魚介類の消費量がピークとなりましたが、その後は減少傾向にあります。しかし、食文化が欧米化に移るにつれ、加工食品業界内の肉類の消費量は増加傾向にあり、2022年には魚介類が6.4百万トン、肉類が6.6百万トンとなり、魚介類と肉類の消費量が逆転しました。 また、消費者のニーズの健康志向やダイエット志向が強まり、加工食品業界の中でも機能性の高い乳製品や健康食品の市場が拡大しています。他にも、加工食品業界は家畜の疫病や食品偽装・異物混入など食の安全に関する問題が上がり、規制の強化や食品衛生法改正、HACCPの制度化などが進みました。 加工食品業界は、複雑で変動するマクロ環境の影響を受けています。加工食品業界の企業はこれらの要因を理解し、戦略的に対応することで競争力を維持し、成長を続けることが求められます。特に、消費者の健康志向や環境意識の高まり、加工食品業界は技術革新に対応した製品開発とサステナブルなビジネスモデルの構築が重要です。

政府政策と規制

各国の政府は、食品の安全性を確保するために厳しい規制を設けています。政府の政策と規制は食品の安全性、生産性向上、市場経済動向などを考慮しています。 例えば、米国のFDA(食品医薬品局)や欧州のEFSA(欧州食品安全機関)などが規制を策定しています。農業補助金や関税政策が食品原材料の価格に影響を与えることがあります。これにより、加工食品のコスト構造が変動する場合があります。

経済成長と所得水準

経済成長と消費者の所得水準の上昇は、加工食品の需要を増加させます。高所得層の増加により、プレミアム製品や健康志向製品の需要も高まります。インフレ率の上昇や原材料の供給不足は、食品の生産コストに直接影響を与えます。 例えば、農産物やエネルギー価格の上昇は、加工食品のコスト増加を招きます。また、為替レートの変動は、輸出入コストに影響を与え、国際市場での競争力を左右します。特に、多国籍企業にとっては重要な要因です。

関税と貿易協定

関税の変動や新しい貿易協定の締結は、原材料の輸入コストや製品の輸出競争力に影響を与えます。例えば、米中貿易戦争は、食肉や水産加工品の輸出入に影響を与えました。 加工食品業界の海外産の輸入品については、高い関税が課されることで制限されてきましたが、今後は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP11)の動向が加工食品業界にも大きな影響を与えるとみられています。 これにより、従来38.5%の関税が課されている牛肉は、16年かけて9%に、1kgあたり最大482円が課されている豚肉については10年かけて1kgあたり最大50円に、水産物についても即時~16年後と時期の差はあるものの、関税が撤廃される品目が多くみられます。

消費者のライフスタイルと嗜好

「美味しさ」は引き続き重要ですが、消費者は「お得さ、コストパフォーマンス」や「健康・栄養バランス」にも注目しています。消費者の健康志向が高まり、低糖・低脂肪・高タンパク質の製品や機能性食品の需要が増加しています。 環境保護や動物福祉を重視する消費者が増え、オーガニック食品やフェアトレード製品の需要が拡大しています。

人口動態

多くの先進国で高齢化が進んでおり、高齢者向けの栄養補助食品や嚥下補助食品の需要が増加しています。 都市化の進展により、忙しいライフスタイルに対応する即席食品や冷凍食品の需要が高まっています。加工食品業界は、これらの人口動態の変化に適応しつつ、効率的な生産体制を構築する必要があります。

加工食品業界の主要企業の動向をチェック!

加工食品業界の主要企業は、世界中で多岐にわたるカテゴリーで活動しており、強力なブランド力と広範な製品ラインを持っています。水産加工品や乳業・乳製品企業では、事業の親和性の高い医薬品分野への参入が進んでいます。加工食品業界(食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品)の中でも、業績の高い主要企業をピックアップして紹介します!また、中小企業の動向もチェックしましたので、是非参考にしてください。

日本ハム

日本ハム株式会社、通称「日本ハム」は、日本の加工食品業界で有名な企業です。日本ハムは、食肉加工品やハム・ソーセージ、冷凍食品、調理済み食品など、幅広い製品ラインを展開しています。家畜の飼育から屠殺、加工、販売までのすべてのプロセスを一貫して管理する垂直統合型モデルを採用しています。これにより、品質管理が徹底され、消費者に安全で高品質な製品を提供しています。 2022年度の売上高は、国内・海外での食肉相場の高騰により9.4%の増収となりました。対して営業利益は、原材料価格や燃料費などの大幅な上昇分を吸収できず減益となりました。海外売上比率は、米州の加工事業が好調で25.5%に上昇しました。2023年の売上高は約1兆円に達しました。国内外での市場拡大と多様な製品ラインが売上増加に寄与しています。売上総利益率は約20%で、効率的な生産とコスト管理が貢献しています。 営業利益率は約8%で、強力なブランド力と市場シェアが高い利益率を支えています。純利益は約400億円で、安定した財務状況を示しています。EBITDAは約800億円で、キャッシュフローの健全性を示しています。EPS(1株当たり利益)は約150円で、株主にとっての投資魅力を高めています。 健康志向の高まりに対応し、低脂肪・低糖・高タンパク質製品のラインアップを拡充しています。また、プロバイオティクスを含む製品や機能性食品も展開しています。 サステナブルな取り組みとして、持続可能な農業・漁業の推進、エコフレンドリーなパッケージの採用、廃棄物削減の取り組みを強化しています。 また、オンライン販売チャネルを強化し、Eコマースプラットフォームの構築やデジタルマーケティングの活用に注力しています。中期経営計画2023では、収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト、海外事業における成長モデルの構築などを掲げています。

ニッスイ

ニッスイ株式会社は、加工食品業界における主要企業の一つであり、加工食品業の中では水産加工品で知られています。ニッスイは、海外事業比率が業界他社と比べて高く、幅広い製品ラインアップとグローバルな事業展開を持ち、持続可能な漁業と技術革新に注力しています。 健康志向の高まりを背景に、プロバイオティクスを含む製品や栄養補助食品、消化促進、コレステロール低下などの効果が期待される製品などを強化しています。ニッスイは、水産物の漁獲から養殖、加工、販売までのすべてのプロセスを一貫して管理する垂直統合型モデルを採用しています。これにより、品質管理が徹底され、消費者に安全で高品質な製品を提供しています。 日本国内市場だけでなく、アジア、北米、ヨーロッパなど海外市場にも積極的に進出し、グローバルな視点で事業を展開しています。サステナビリティとして、持続可能な漁業と環境保護に注力しています。MSC認証を取得し、持続可能な漁業を推進しています。また、エコフレンドリーなパッケージの導入や廃棄物削減の取り組みも進めています。また、新製品の開発や技術革新に積極的に取り組んでいます。 健康志向の高まりに対応し、低脂肪・低糖・高タンパク質製品や機能性食品の開発を進めています。

明治ホールディングス

明治ホールディングス株式会社は、乳製品や医薬品、食品の製造と販売を行っており、加工食品業界の中では乳業・乳製品と菓子の分野で強いプレゼンスを持っています。乳製品から菓子、栄養食品、医薬品に至るまで、多角的な事業展開を行っている。これにより、複数の市場でのプレゼンスを強化し、リスク分散を図っています。幅広い製品ラインアップと多様な市場セグメントでの競争力が強みです。 幅広い製品ラインナップの中でも、「R-1」「LG21」をはじめとした利益率の高い高機能性ヨーグルトが好調で収益の柱となっています。日本国内市場だけでなく、アジア、北米、ヨーロッパなどの海外市場にも積極的に進出しています。特にアジア市場での成長が著しくあります。環境保護と持続可能な生産方法に注力。エコフレンドリーなパッケージの導入や、持続可能な原材料の調達に力を入れています。 新製品の開発や技術革新に積極的に取り組んでいます。健康志向の高まりに対応し、機能性食品やプロバイオティクス製品の開発を進めています。オンライン販売チャネルを強化し、Eコマースプラットフォームの構築やデジタルマーケティングの活用に注力しています。2023中期経営計画では、健康志向食品・栄養付加価値商品、超高齢化社会に貢献する商品の売上伸長率アップ、コロナワクチン・治療薬の開発成功などを目標に掲げています。

中小企業の動向のまとめ

加工食品業界の中小企業は、食肉・食肉加工品において輸入に関する規制の緩和に伴い、以前より調達力の優位性を有していた大手企業がさらなる効率性を求める傾向にあります。そのため、国内・海外のM&Aを進める一方で、中小規模の事業においては高付加価値品を追及する動きがみられます。 食肉においては、有名なブランド肉の人気が高かったですが、最近では品質改良や地域の特色を活かしたブランド確立が進んでいる傾向にあります。これは、大手企業と差別化された高付加価値な商品の提供を強化する方針がとられています。

加工食品業界の今後の展望は明るい?

加工食品業界の今後の展望は、消費者のニーズや技術の進化、グローバルな経済状況など、さまざまな要因に影響を受けます。加工食品業界は、健康志向、サステナビリティ、技術革新、グローバル化、消費者ライフスタイルの変化など、多様な要因によって変化し続けています。企業はこれらのトレンドに対応し、競争力を維持するために柔軟な戦略を採用する必要があります。 今後も加工食品業界は消費者のニーズに応え、持続可能な成長を実現するために、イノベーションと持続可能なビジネスモデルの構築が鍵となります。

新型コロナウイルスの影響について

新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックは、加工食品業界に多大な影響を与えました。その影響は、消費者行動の変化、サプライチェーンの混乱、加工食品業界の労働力の確保の難しさなど、多岐にわたります。中でも、緊急事態宣言に伴う外出自粛により、家庭用食品需要が増加傾向にあるのに対し、外食需要が低下しました。 そのため、業務用食品の需要が減少し、家庭用と業務用で大きく明暗が分かれました。コロナウイルスに対する業務用食品需要の影響は、2020年10月から開始されたGo To Eatキャンペーンの効果に期待されたが、限定的であったため回復は微々たるものでした。2022年に入り外食産業での各種制限が解除され、外食の需要は徐々に回復してくるものと見られています。 また、少子高齢化は、日本の加工食品業界にとって大きなチャレンジであり、同時に新たな機会も提供します。企業は、高齢者向けの製品開発や健康志向の製品ライン拡充、自動化技術の導入、地域活性化の取り組みなど、多角的な対応が求められます。消費者のニーズに柔軟に応えながら、持続可能な成長を実現するための戦略を策定し、実行することが重要です。

食肉

加工食品業界の食肉は、消費者の食のニーズが欧米化へと進行することで、今後も食肉の消費量が増えます。また、TPPによる規制緩和で、原材料調達の自由度が高まっています。しかし、その一方で安価で競争力の高い食肉加工品が国内市場に出回っているため、食肉加工品の競争が激化しています。そのため、新興国需要の獲得を目指し、食肉加工メーカー各社が海外事業展開をさらに本格化することが見込まれます。

水産加工品

加工食品業界の水産加工品は、消費者の食ニーズが欧米化へと移り変わることで、食の魚離れが今後も続くことが見込まれます。それによって水産加工品の需要も減少が続く可能性があります。水産加工品は、原材料調達の部分を輸入に頼っている構造です。そのためTPPによる規制緩和は、調達の自由度が上がり大きなメリットとなりました。天然水産資源の安定した供給が難しいため、完全養殖技術への取り組みが進んでいます。 また、漁業権開放によって養殖業への企業参入も検討される中、慢性的な労働力不足解消なども見込まれています。また、欧米化に対し、欧米の先進国による健康志向の需要拡大も進み、今後水産加工品のニーズも高まることが見込まれます。

乳業・乳製品

加工食品業界の乳業・乳製品は消費者の食のニーズが健康志向へと高まる中、乳酸菌製品を中心とする、高機能性商品の需要が拡大をしています。乳業・乳製品の中でもチーズは大部分を輸入に頼っています。また、一時期、品不足となったバターなども規制緩和により、国内海外産の乳製品の価格競争が激化しています。海外に対しての需要は水産加工品と同じく、新興国及び先進国の需要拡大が影響し、高機能性商品を中心に海外事業に展開を始める企業が増えています。

加工食品業界は消費者のニーズの変化によって対応する必要があります

加工食品業界(食肉、乳業・乳製品、ハム・ソーセージ、卵加工品、水産加工品)は、私たち消費者の豊かな食文化を支える重要な業界です。しかし、消費者の食文化が欧米化へと移り変わったり、少子高齢化の影響により、加工食品業界は今後、競争が激化する可能性が高いです。加工食品業界に属する企業は、常にトレンドに敏感になりつつ、新たな食文化に対応できるよう対策を練り順応していくことが今後の成長の鍵です。 BIZMAPSは、月額無料で月100件までの企業情報をダウンロードすることができる、企業情報サイトです。オリジナルタグでターゲットを絞ることも可能です。自分が欲しい情報を一瞬で検索ができ、上質な営業リストが作成できるのは、今後の活動に大いに活かせること間違いありません。興味のある方は是非、利用してみてください! ▼その他のBIZMAPS掲載企業の特集記事はこちらから! フード業界とは?産業の全体像と重要ポイントについて解説! 輸出入で食文化交流に貢献する食品会社15選!業界の現状も解説 ふるさと小包に商品を提供している会社10選!サービス概要も解説 「PR TIMES」とは?【健康食品関連の掲載企業10社も紹介】 法人営業のチャンス!ハムメーカーの混戦状況と代表的な企業一覧

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