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機械装置メーカーは、自動車業界や食品業界、繊維業界、化学業界などの工場で使用される機械装置の設計と製造を行う企業です。高い技術力によって、あらゆる産業を支えている重要な業界で、自動化やロボット化が進められる今、さらにその重要性は増しています。 今回は機械装置メーカーの業界の特徴や、今後の展望について解説していきます。 また機械装置メーカーに属する具体的な企業の情報を確認したい場合には、「非鉄金属加工機械」「印刷機械」「プラスチック成形機械」「その他機械」から企業名や事業内容、所在地などを見ることができます。登録企業数200万社以上の企業検索サービス「BIZMAPS」に掲載されている機械装置メーカーの企業や団体は、全部で11,298社です。 機械装置メーカーにアプローチを検討中の営業の方々は、ぜひこれらの企業リストを参考にしてください。

機械装置メーカーとは

機械装置メーカーは、顧客のニーズに基づいて部品メーカーから部品を調達し、機械装置を組み立てたうえで、商社や代理店を通して製造事業者に納入します。海外向けでは、総合商社やエンジニアリング会社、現地の販売子会社の役割が重要となることもあります。 基本的に受注型・多品種少量生産の産業であり、ユーザー企業の設備投資の影響を大きく受けるのが特徴です。 機械装置業界は、ユーザー企業ごとに細かい仕様が異なるため、高付加価値化や差別化が求められます。新興国向けの製品では、日本と同じ性能を求められる場合もあれば、汎用・量産向けの機械が望まれる場合もあります。各企業は得意分野を持ち、その分野の製品事業に特化していることが多く、競争関係は安定的です。 機械装置メーカーではユーザー企業の設備投資額が減少すれば、機械装置の導入も減少し、市場が落ち込むことになります。一方、設備投資額が増加すれば、機械装置の刷新が積極的に行われ、業界が活性化します。 ユーザーが大企業の場合、価格交渉力が強くなるため、利益確保が難しい場合もありますが、汎用品や標準装置で対応できる案件が増加すれば、利益の確保がしやすくなります。

機械装置の種類

機械装置は、日本標準産業分類では「生産用機械器具製造業」に含まれます。その中でも、繊維機械、生活関連産業用機械、基礎素材産業用機械、金属加工機械の4つが機械装置業界の主要品目となります。
繊維機械 化学繊維機械や製織機械などが含まれる。 繊維製品の製造に欠かせないものであり、繊維業界の需要に応じて設計・製造される。
生活関連産業用機械 食品機械、印刷機械、包装機械などが含まれる。 これらの機械は、日常生活に密接に関連する製品の製造に使用され、多品種少量生産を基本とする。
基礎素材産業用機械 化学機械やプラスチック加工機械が含まれる。 これらの機械は、基礎素材の加工や製造に使用され、多岐にわたる用途を持っている。
金属加工機械 金属工作機械や機械工具が含まれる。 これらの機械は、金属の加工や製造に使用され、高精度な加工が求められる分野で活躍している。
機械装置業界のプレイヤーは、これらの機械の設計・製造を中心に、アフターサービスなども手がけています。各企業は、それぞれの分野で競争力を発揮し、需要に応じた製品を提供しています。

機械装置メーカーの特殊な業界構造

機械装置メーカーの業界は、製造する機械の種類によってプレイヤーの顔ぶれが変わります。それによって業界構造も大きく異なり、それぞれの企業が特定の分野で競争力を発揮しています。 ここでは繊維機械・食品機械・印刷、製本、紙工機・包装、荷造機械・化学機械・プラスチック加工機械の6種類の各機械装置ごとの業界の特徴について解説していきます。
繊維機械 繊維機械のシェア構造は機械の種類ごとに異なり、細分化された市場で高い占有率を確保することが求められる。 業界最大手の津田駒工業は高い競争力を武器に海外展開を積極的に行っており、海外売上比率も高い。
食品機械 食品機械は多品種少量生産が基本。 各企業は得意分野を持ち、特定の製品に特化している。製パン機械に特化しているレオン自動機や、飲料加工機械の大手である岩井機械工業、精米機械で有力なサタケなどが代表的企業。
印刷・製本・紙工機 印刷・製本・紙工機も食品機械と同様に多品種少量生産を基本としており、新規参入が多い。 業界最大手の三菱重工印刷紙工機械(現・三菱重工機械システム)は、2010年に営業部門の設立など顧客対応の強化を図り、製造販売一体による顧客対応力向上を強化。
包装・荷造機械 メーカーごとに得意な業界が異なる。 澁谷工業フジキカイは食品業界を主要顧客とし、カナエCKDは化学業界が主要顧客。同じ業界向けでも得意分野が異なることが多く、競合関係は比較的安定。
化学機械 化学機械は用途が多岐にわたり、需要先産業も多様。多くの企業が受注生産を行い、工場設計において重要な位置づけとなっている。 海外への販売も積極的に行われ、多くの企業が海外での販売を拡大。
プラスチック加工機械 プラスチック加工機械は、専業メーカーの他に重機メーカーや鉄鋼メーカーも参入。品目によってトップ企業が異なり、多くの品目で寡占市場となっているのが特徴。
国内外でのM&Aも積極的に行われており、業界再編や海外進出が進んでいます。 例えば、三菱重工印刷紙工機械(現・三菱重工機械システム)とリョービが商業用印刷機事業で業務提携を行い、日機装がLEWA Managementを買収するなどの事例があります。

機械装置メーカーの主要企業の動向

機械装置メーカー業界の代表的企業の動向を見ていくと、売上高は年によって多少の増減はあるものの、概ね横ばいから微増傾向で推移しています。営業利益率は0%から10%の間で安定している企業が多いですが、島精機製作所や津田駒工業などは年によって大きく変動しています。 ここでは主要な4社の動向について解説していきます。

住友重機械工業

住友重機械工業はグローバル化を推進することで、需要対応力やコスト競争力の強化を図り、高収益を実現しています。 インダストリアルマシナリー部門は近年増収増益を続けており、営業利益率は8%前後と高水準を維持しています。精密機械部門ではプラスチック加工機械を中心に、レーザ加工システムや半導体製造装置などを製造し、各品目においてグローバル化を推進しています。 インバーター事業では2019年に英国のインバーテックを買収し、プラスチック加工機械事業ではドイツの子会社SUMITOMO DEMAG PLASTICS MACHINERY GmbHとの連携を強化しています。また、中国に新工場を開設するなど、各地域における需要対応力を強化しています。

津田駒工業

津田駒工業は繊維機械の国内最大手ですが、繊維業界の低迷と共に厳しい環境に置かれています。 2008年の金融危機以降、繊維機械事業や工作用機器事業の需要が大幅に減退し、業績が悪化しました。2011年度から2014年度にかけても中国の繊維製品市場の停滞や海外企業との競争により収益性が低迷しました。 コロナ禍で2020年度は大幅な減収となり、回復基調ではあるものの、コロナ禍前の水準には至っていません。 中期経営計画2023では、新製品の市場投入や効率化投資を進め、収益体質への転換を図っています。

澁谷工業

澁谷工業は包装機械製造の大手で、酒類用、食品用、薬品・化粧品用のパッケージングプラント事業や、医療機器や半導体製造装置向けのメカトロシステム事業、農業用設備事業などを展開しています。 近年はコロナ禍による需要低迷で減収傾向が続いていますが、独自の技術により様々な包装システムを開発しています。2019年度には飲料充填機や医療機器などの新工場に50億円を投資し、飲料・医療分野の需要拡大を見込んで事業の拡大を図っています。

レオン自動機

レオン自動機は食品加工機械製造の大手で、食品成形機や製パンラインなどの機械を製造しています。 コロナ禍で一時的に売上を落としましたが、回復は早く、2022年度は過去最高の売上を記録しました。IoT技術を導入した包餡機「火星人」は、稼働状況データをクラウド上に蓄積し、生産状況や生産コストを分析することで生産性向上に寄与しています。 2019年度から2023年までの中期経営計画では、アジア市場での事業展開を強化することを掲げています。

機械装置メーカーの市場規模

機械装置市場は、2009年の金融危機で大きく後退しましたが、その後順調に回復しました。しかし、コロナ禍で再び縮小し、2021年には回復に向かっています。 機械装置メーカーは繊維機械製造業と生活関連産業用機械製造業、基礎素材産業用機械製造業、金属加工機械製造業の4つに分けられます。ここではそれぞれの市場の状況について解説します。

繊維機械製造業

繊維機械製造業の出荷額は3,676億円です。内訳としては、化学繊維機械・紡績機械製造業が1,459億円、製織機械・編組機械製造業が860億円となっており、この2つの業種で約6割を占めています。 2009年の金融危機以降、繊維機械製造業は回復傾向にありましたが、コロナ禍で一時的に落ち込みました。しかし、現在は回復に向かっています。

生活関連産業用機械製造業

生活関連産業用機械製造業の出荷額は1兆3,891億円です。食品機械・同装置製造業、印刷・製本・紙工機械製造業、包装・荷造機械製造業の占める割合が大きいです。 2009年の金融危機以降は市場は順調に回復していましたが、コロナ禍で一時的に激減しました。現在は他の機械装置メーカー業界同様に回復し、特に食品機械・同装置製造業は不況の影響を受けにくいために市場は安定しています。

基礎素材産業用機械製造業

基礎素材産業用機械製造業の出荷額は1兆7,800億円です。内訳としては、化学機械・同装置製造業が9,349億円で半分を占めています。 2009年の金融危機で大きく減少し、その後しばらく停滞していましたが、2014年以降は新興国市場のインフラ整備の進展により需要が高まりました。コロナ禍で再び市場は縮小しましたが、現在は回復に向かっています。

機械装置メーカーとして成功するための要因は

機械装置メーカーが成功するための要因としては、まず技術力の維持・向上が挙げられます。機械装置メーカー業界では、ユーザーとなる業界の高度化・ハイテク化が進む中、技術基盤を維持することが競争力を左右します。 一部の機械装置は技術的に成熟していますが、多くの機械装置では大手企業を中心にユーザーのニーズに合わせた技術革新がたゆまず続けられており、技術基盤を維持しつつ、最新の技術を取り入れることで、業界の中で競争力を高めることができます。 また、現在ではグローバル展開も成功のための重要なポイントです。国内市場が成熟化する中、多くの企業が海外展開を積極的に進めています。 全体として国際市場での競争は激化しており、ドイツや米国といった先進諸国のメーカーに加え、新興国メーカーの安価な機械装置も登場しています。 このような環境下で成功するためには、技術的な優位性を持ってグローバルな競争に打ち勝つことが求められます。

機械装置メーカーの現状と今後の展望

国内のユーザー企業の設備投資停滞に伴い、国内の機械装置業界は停滞してきましたが、今後に向けては明るい材料も多くあります。 設備投資は景気の不透明感から各企業が慎重な姿勢を見せていましたが、製造業においては輸送用機械のモデルチェンジに向けた投資のほか、化学の新素材向け投資や鉄鋼の設備更新・集約投資など、事業基盤強化のための投資が今後増加することが予測されます。 また、製造業の国内回帰が進行することで新たな需要が生まれるという期待も高まっています。

新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルス感染症の感染拡大にともなうiPhoneや自動車の需要減少、工場稼働の停止により、機械装置メーカーは業績が一時悪化しました。 産業用機械は対中国の輸出依存度が高く、中国の需要が停滞したときは建設機械、産業用機械、農業機械等を手掛ける企業が強く影響を受けました。 ただし、中国は他国に先駆けて経済活動を再開したことで、当業界は比較的早期に需要が回復しました。

人手不足解消のために、進む自動化・ロボット化

国内の生産年齢人口の減少や若者の製造業者離れという課題が浮き彫りになり、、ユーザー企業は人手不足に悩まされています。 そのためユーザー企業は生産性の向上を図るとともに、製造工場の自動化・ロボット化への取り組みも加速させています。 特に、食品業界では、省力化による人件費の削減や歩留まりの向上による採算の改善が至上命題となっており、多くの食品メーカーは、新興国での需要増による原材料価格の高騰に悩まされています。 大手スーパーなどの購買力のある小売りに対しては価格転嫁も難しくなっており、メーカー側が自らの努力で利益を生み出すための手段として、ロボットによる作業工程の自動化が注目を集めています。

求められる収益力の強化

機械装置業界の国内市場は一旦の成熟を迎えたものの、短期的には輸送用機械のモデルチェンジや生産ライン改革、化学業界における研究開発拠点の投資などのプラス要素に加え、人手不足を見込んだ合理化投資は一定レベルで継続すると思われます。 また国内メーカーは技術的な優位性があるものの、新興国メーカーが低価格を武器に参入してくることの影響は少なからずあると予想されます。 このような状況下で、機械装置メーカーには収益力の強化が求められます。例えば、不採算事業からの撤退や津田駒工業のような生産効率化、コストダウンによる利益体質への転換といった方向性が考えられます。 また、機械販売時にメンテナンスもパッケージで販売し、定期的なアフターフォローによる収益や補修部品の販売による収益を確保するといった体制も有効と考えられます。

新興国市場での戦略

一方で、拡大投資、合理化投資ともに需要が旺盛な新興国市場への参入も重要となります。特に今後は、既に多くの国内メーカーが進出しているアジアに限らず、他の地域の開拓を見据えた人材の確保や海外営業力の強化が重要となるでしょう。 また、海外展開の方法としては化学機械メーカーの日機装のような積極的なM&Aも有効と考えられます。さらに、国内メーカーがグローバルで競争力を維持するためには、技術基盤の強化を行い技術的な優位性を維持しなくてはなりません。 各社が得意領域に特化し、大量生産の汎用品と高付加価値のオーダーメイド品の両方に対応できる体制を整えることが、新興国での成長と成熟業界における競争力の維持には重要と考えられます。

人手不足という社会課題が、機械装置メーカーの追い風になる!

今回の記事では、機械装置メーカーの業界の特徴と構造、市場規模と今後の展望などについて解説しました。 機械装置メーカーの業界においては、今後新たな海外市場への展開や、それぞれの得意領域への特化といった流れが進むと予想されます。労働力の確保が難しくなっている製造の現場において、ロボット化や自動化を実現する機械装置の存在はますます重要となっていくでしょう。 法人営業の皆様には、本記事で紹介した機械装置メーカーの概要を業界各社へのアプローチ戦略にお役立ていただけます。また、無料で毎月100社まで法人データをダウンロードできるBIZMAPSを利用すれば、さまざまな属性や条件で企業を検索できます。営業戦略の立案にぜひご活用ください。 ▼法人営業に役立つ業界研究はこちらから! 非鉄金属製品業界を徹底的に研究!特徴、動向などを解説します 金属製品業界とは?幅広い市場に製品を併給する産業の構造や企業動向を解説 機械業界とは?産業の基礎知識から注目の業界動向まで徹底解説! 機械関連サービス業界の今を知る!最新動向とTOP15企業売上ランキング 機械業界売上ランキングの上位を紹介【業界の特徴や動向も解説】 自動車業界とは?現在の動向から今後の展望について解説します! ▼BIZMAPSのオリジナルタグを元にした企業特集はこちらから! キーマンレター(Keyman Letter)とは?その内容と掲載企業を紹介 ▼法人営業ハックの企業特集はこちらから! 身辺警護のニーズは増加傾向にある?4号を手掛ける大手と中小 機械商社とは?法人営業担当者のためのランキングTOP30も紹介!

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