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ゾーンマネジメントという言葉をご存知でしょうか?ゾーンマネジメントとは「キャズム理論」を提唱したジェフリー・ムーア氏が提唱した、事業ごとにタスクの優先順位付けやタイムマネジメントを実施して生産性を向上させる経営手法です。
本記事ではゾーンマネジメントの基本的な概念と、そのメリット・デメリットのほか、実施する際のポイントや注意点について紹介します。マネジメントに携わる方は、ぜひ参考にしてください。
・ゾーンマネジメントとは
・ゾーンマネジメントにおける4つのゾーン
・ゾーンマネジメントのメリット・デメリット
・ゾーンマネジメントを実施する際の11のポイント
・まとめ
ゾーンマネジメントとは?
ゾーンマネジメントとは、作業やタスクを異なるゾーンに分類してマネジメントすることで、生産性を向上させるためのアプローチです。アメリカの組織理論家で経営コンサルタントのジェフリー・ムーア氏が、著書「
ゾーンマネジメント 破壊的変化の中で生き残る策と手順」のなかで提唱しています。
ゾーンマネジメントでは、性質や目的に基づいて、事業を4つの主要なゾーンに分類します。各ゾーンには特定のアプローチや集中力の使い方が求められ、それぞれが相互にやり取りをしつつ成果の最大化を目指します。
ゾーンマネジメントにおける4つのゾーン
ゾーンマネジメントでは事業を次の4つのゾーンに分類して、各ゾーンごとにマネジメントを実施します。
・パフォーマンスゾーン
・プロダクティビティゾーン
・インキュベーションゾーン
・トランスフォーメーションゾーン
それぞれのゾーンについて解説します。
パフォーマンスゾーン(Performance Zone)
パフォーマンスゾーンは、すでに安定的な成果が生まれている既存事業の維持が目的です。このゾーンでは既存事業で成果を上げるためのマネジメントを実施します。日常的なタスクやルーチン作業に集中するため、効率的な実行力とスキルの向上を重視し、定型的な業務を迅速かつ正確にこなすことが求められるでしょう。
プロダクティビティゾーン(Productivity Zone))
生産性向上を意味するのがプロダクティビティゾーンになります。このゾーンでも既存事業の成果創出が目的でマネジメントを実施しますが、対象は直接利益を抄出しないバックオフィス部門などです。成果を増やすためではなく、投資するリソースの制限によって生産性を高めるマネジメントが求められます。
トランスフォーメーションゾーン(Transformation Zone)
トランスフォーメーションゾーンでは、破壊的イノベーションを目的とします。新規事業の創出と拡大のためのマネジメントが必要となり、ある程度の成果が見込める事業に対して、リスクを背負って投資を実施するゾーンです。
インキュベーションゾーン(Incubation Zone)
インキュベーションゾーンは、トランスフォーメーションゾーンの前段階で、新規事業を生み出すためのマネジメントが求められます。このゾーンでは創造性やアイデアの発想に重点を置き、新しいアイデアの研究や探究、実験的な取り組みが実施されます。収益を生むゾーンではないのでコストが発生しますが、投資額はトランスフォーメーションゾーンと比較して小さいのが特徴です。
パフォーマンスゾーンとプロダクティビティゾーンは「持続的イノベーション」、つまり既存の事業に対するイノベーションに該当します。移り変わる顧客のニーズをキャッチしつつ、既存の事業に革新的な付加価値を加えるためのマネジメントが必要です。
一方インキュベーションゾーンとトランスフォーメーションゾーンが担うのは「破壊的イノベーション」になります。既存の価値にこだわらず、常識を覆すような事業を生み出して新たなニーズを獲得するためのマネジメントが求められるのです。
ゾーンマネジメントのメリット・デメリット
ここからは、ゾーンマネジメントのメリットとデメリットについて解説します。適切なマネジメントを実施するには、良い面と悪い面の両方を理解しておかなければなりません。
主なメリットデメリットは、次の通りです。
ゾーンマネジメントのメリット
・責任と権限の明確化
・業務の専門化と効率化
・柔軟な意思決定と対応力
・コミュニケーションと協力
ゾーンマネジメントのデメリット
・ゾーン間の調整の困難さ
・コミュニケーションの欠如
・責任の重複やギャップ
・利益最大化と全体最適化の調整
・イノベーションやクリエイティビティの制約
それぞれ解説していきましょう。
ゾーンマネジメントのメリット
責任と権限の明確化
各ゾーンには特定の業務や機能が割り当てられ、ゾーン内のメンバーはそれに対する責任と権限を持ちます。これにより、意思決定が迅速化し、責任の所在が明確化されます。
業務の専門化と効率化:
ゾーン内のメンバーは特定の業務領域に専門知識を持っており、その領域における効率的な業務遂行が可能です。専門知識を持つチームが責任を持つことで、作業の質とスピードが向上します。
柔軟な意思決定と対応力
ゾーンマネジメントでは、各ゾーンが自律的に業務を遂行し、必要な意思決定を行います。これにより、組織はより迅速かつ柔軟に変化に対応できます。
コミュニケーションと協力
ゾーン間の連携や情報共有は重要です。ゾーンマネジメントでは、各ゾーンの責任者やメンバーが定期的な会議やコミュニケーションを通じて協力し、情報を共有します。
ゾーンマネジメントのデメリット
ゾーン間の調整の困難さ
ゾーンマネジメントでは、各ゾーンが独立して業務を進めますが、ゾーン間の調整や協調が難しい場合があります。情報の共有やリソースの調整に工夫が必要です。
コミュニケーションの欠如
ゾーンマネジメントでは、各ゾーン同士で十分なコミュニケーションが取れない可能性があります。情報の共有不足や意思決定の誤解が生じるリスクがあるのです。
責任の重複やギャップ
ゾーンの責任範囲が明確でない場合、責任の重複やギャップが生じてしまうかもしれません。これにより、業務の効率性や品質に影響が出ることがあります。
利益最大化と全体最適化の調整
ゾーンマネジメントでは、各ゾーンが自身の業務に焦点を当てているため、全体の利益最大化や組織全体の目標に対する最適な調整が困難になる場合があります。
システムの複雑化
ゾーンマネジメントにより組織内に複数のゾーンが存在するため、管理や監督の複雑化が生じる可能性があります。それによって、組織の運営やコミュニケーションの管理に追加の負荷がかかってしまうかもしれません。
イノベーションやクリエイティビティの制約
ゾーンマネジメントでは、各ゾーンが特定の業務領域に特化するため、他の領域へのアイデアやクリエイティビティの流れが制約される可能性があります。部門間でのアイデアや知識、リソースの共有が滞るリスクをはらんでいるのです。
以上が、ゾーンマネジメントの一般的なメリットとデメリットです。企業がゾーンマネジメントを採用するかどうかを決定する際には、組織の特性や目標、業務の性質といった要素を総合的に考慮し、メリットを最大限に活かしてデメリットを最小限に抑えるような対策を講じることが重要になります。
ゾーンマネジメントを実施する際の11のポイント
ゾーンマネジメントを適切に実践するためには、いくつかのポイントがあります。ここでは、ゾーンマネジメントで考慮すべき11のポイントを解説します。
ゾーンマネジメントのポイント①クリアなゾーンの定義と役割
ゾーンマネジメントでは、各ゾーンの範囲、責任、権限、役割を明確に定義しましょう。ゾーンごとに目標や業務領域を明確にし、重複やギャップを避けるためのガイドラインを策定します。
ゾーンマネジメントのポイント②コミュニケーションと情報共有
ゾーン間のコミュニケーションや情報共有を促進する仕組みを確立しましょう。定期的なミーティングや報告体制、コラボレーションツールの活用など、円滑なコミュニケーションを支える環境を整えます。
ゾーンマネジメントのポイント➂ゾーン間の調整と協力
ゾーン間の調整や協力を重視することも大切です。異なるゾーンの関係者が協力し、組織全体の目標に向けた努力をおこなえるようにします。ゾーン間のシナジーを生み出すために、共通の目標やプロジェクトに取り組む機会を設けることも有効です。
ゾーンマネジメントのポイント④ゾーンの柔軟性と変革力
ゾーンマネジメントは、組織の変化や市場の変動に対応できる柔軟性を持つ必要があります。各ゾーンが自律的に業務を進めながらも、柔軟に調整し変革に対応する文化を醸成しましょう。
ゾーンマネジメントのポイント⑤リーダーシップと管理
各ゾーンのリーダーは、ゾーン内の効率性や成果の達成を促進する役割を果たします。リーダーシップの資質や管理スキルの育成に注力し、ゾーンマネジメントの実施をサポートしましょう。
ゾーンマネジメントのポイント⑥レビューと改善
定期的なゾーンのレビューを実施して、適切な評価と改善策を導入します。ゾーンマネジメントの効果を評価し、必要に応じてゾーンの再調整やプロセスの改善をおこないましょう。
ゾーンマネジメントのポイント⑦チームメンバーの育成とスキルマッチング
各ゾーンには適切なスキルセットを持つメンバーが配置されるようにします。メンバーの能力開発やトレーニングの提供、適切なスキルマッチングの確保に努めましょう。
ゾーンマネジメントのポイント⑧バランスの取れたリソース配分
各ゾーンに必要なリソース(人員、予算、ツールなど)を適切に配分することが重要です。特定のゾーンに過剰なリソースを集中させることや、逆に他のゾーンのリソースを不足させることがないように注意しましょう。
ゾーンマネジメントのポイント⑨目標と成果の測定
ゾーンごとに明確な目標と成果基準を設定し、定量的な評価手法を導入します。ゾーンのパフォーマンスを定期的に測定し、目標達成に向けた改善策を検討しましょう。
ゾーンマネジメントのポイント⑩変化管理とコミットメントの確保
ゾーンマネジメントの導入や変更には、組織全体のコミットメントと変化の管理が必要です。変更に伴う認識の共有や関係者の参画、変化への支援やコミュニケーションを通じて、スムーズな移行を図りましょう。
ゾーンマネジメントのポイント⑪持続的なモニタリングと改善
ゾーンマネジメントの効果を継続的にモニタリングし、改善を行うことが重要です。フィードバックを収集し、問題や課題を把握し、適切な改善策を実施する文化を醸成します。
ゾーンマネジメントの実施には、継続的な努力と適応力が求められます。組織の特性や目標に合わせて注意点やポイントを適切にカスタマイズし、継続的な改善を通じて最適なゾーンマネジメントの実現を目指しましょう。
まとめ
ゾーンマネジメントは、それぞれのゾーンの特性を理解して適切なマネジメントを実施することで、事業だけでなく自社全体に対するイノベーションが期待できます。
既存の事業で成果を上げることと新規事業を創出することの両立は、一見するとハードルが高いように見えるかもしれません。しかし事業を4つのゾーンに分類してそれぞれに合ったマネジメントをおこなっていけば、競争が激しい市場のなかでも新たな顧客を獲得して、自社の成長につなげることができるでしょう。
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