えむら若奈 0 Comments
組織マネジメントとは?必要なスキルやフレームワークをご紹介! 先が見通せない時代において組織マネジメントの重要性が高まっていて、円滑な企業活動や成長のカギになると言われています。しかし、組織マネジメントを実行したいけれど、具体的に何をすればいいのか分からないとお困りの方も多いのではないでしょうか。 本記事では、組織マネジメントとはどのような取り組みを指すのか、そのメリットや基本的な手法について解説します。組織マネジメントの成功事例も紹介しているので、マネジメントに携わる管理職の方は、ぜひ参考にしてください。

組織マネジメントの基礎知識

組織マネジメントとは、組織運営をスムーズにするために管理職が「ヒト・モノ・カネ・情報」を管理することです。 「組織」といってもその規模はさまざまで、どのような立場にいるかによって組織マネジメントの具体的な内容などは異なります。しかしいずれにしても、「ヒト・モノ・カネ・情報」という4つのリソースをどのように動かせば効率的な組織運営ができるかを考えることが重要です。 ここでいう「組織」とは、ただの人の集まりではありません。共通の目的を達成するために集まった集団を指します。要するに組織マネジメントとは、限りある経営リソースを効率よく最大限活用し、目的達成を目指すための取り組みのことです。

なぜ組織マネジメントが重要なのか

組織マネジメントが重要視される背景には、社会が変化するスピードが目まぐるしくなったことが挙げられます。モノや情報が溢れてビジネスのサイクルも短くなり、将来の予測が困難な状況が続いているのです。 さらには、2008年にアメリカの投資銀行リーマンブラザーズが経営破綻したのを機に広がった世界的な株価下落や金融不安、そして2020年以降の新型コロナウイルス感染症の流行など、外的要因で経営危機に陥るケースもあるでしょう。 先行きが不透明な状況下で、いかにリソースを無駄にせず効率的な経営ができるか、企業の体力が問われている時代です。そのため日頃から組織マネジメントを徹底して、不測の事態にも対応できるように力をつける必要があるのです。

組織マネジメントで得られるメリット

それでは、組織マネジメントを行うことでどのようなメリットが得られるのでしょうか。適切な組織マネジメントが実現できれば、次のような効果があります。 ・組織の生産性が向上する ・管理職の負担軽減につながる ・人材流出防止になる ひとつずつ見ていきましょう。

組織の生産性が向上する

組織マネジメントは企業の経営リソースを効率的に動かすためのものなので、マネジメントに成功すれば組織全体の生産性が向上します。 「ヒト・モノ・カネ」をスムーズに動かすには、どこに無駄が生じているのか、あらゆる角度から分析しなければなりません。そして「やらないこと」を決めていきます。浮き彫りになった課題を解決することで業務を効率化できて、結果的に全体の生産性が上がります。 組織マネジメントの最大の目的は、生産性の向上といえるでしょう。

管理職の負担軽減につながる

組織マネジメントを導入すれば、管理職の負担軽減にもなります。なぜなら的確な組織マネジメントによって、部下の一人ひとりが自主性を持って効率的な仕事ができるように成長するからです。 スキルや要領の良さには、個人差があります。何もせず任せっきりにしてしまうと、人によっては非効率な仕事の進め方をしてしまうかもしれません。しかし組織マネジメントで個別の課題を洗い出し適切な指導やフォローをしていけば、それぞれの成長を後押しできるでしょう。

人材流出防止になる

適切な組織マネジメントを実行すると、人材流出の防止になります。チームメンバーに適したマネジメントが実践できるため、それぞれの適性や価値観などを加味した上で仕事の割り振りやサポートが可能なのです。 近年は特に多様な人材が組織に集まる時代です。さらに同じチーム内にも正規雇用と非正規雇用や時短勤務など、さまざまな勤務形態が入り混じっています。それぞれのポジションによって役割が異なり、有効なアプローチ方法も変わってくるでしょう。 組織マネジメントを上手く活用すれば環境に合わせた組織運営が可能となり、一人ひとりが働きやすい職場へと近づけるのです。

組織マネジメントに求められるスキル

組織マネジメントを実行するために必要とされる代表的なスキルは、次の通りです。 ・目標設定・管理能力 ・コミュニケーション力 ・承認力 ・人材マネジメント力 具体的に見ていきましょう。

目標設定・管理能力

組織マネジメントで何よりも重要になるのが、組織のゴールを定め、そこへどのように向かっていくかを具体的に示す力です。この目標設定・管理能力がないと具体的な努力の方向性が見えずに無駄が生じるため、結果的に生産性が低下してしまうでしょう。 またチーム全体の目標も大切ですが、メンバー一人ひとりの個別目標も設定するようにしましょう。スキルや経験によっては、自分で適切な目標が設定できないメンバーもいます。誤った目標設定のまま突き進むと成長やモチベーション維持に悪影響となる可能性があるため、管理者がリーダーシップを発揮して適切な目標へと導いてあげる必要があるのです。 そして目標を設定したあとは、進捗管理をしなければなりません。まずは達成までの計画を逆算してタスクを分解していきます。分解したタスクごとに期日を決めて、達成度合いを適宜チェックするのです。 目標に向かって業務を遂行するための仕組みづくりができるかどうかが、組織マネジメントを実行するうえで非常に重要なスキルといえるでしょう。

コミュニケーション力

コミュニケーション力も、組織マネジメントを実行するうえで重要なスキルです。円滑な組織運営を実現するには、チームメンバーのモチベーションが高い状態でなければなりません。そのためにも、日頃からメンバーと密にコミュニケーションを取って信頼関係を築いていくことが求められます。 一人ひとりの性質を知ることだけでなく、社内のさまざまな取り組みに置いても「なぜそれが必要なのか」をしっかり伝えていく必要があります。 社員が会社や管理職に対して不満を持つとき、決定事項に対して説明が不足しているケースがほとんどです。納得が得られないと、ただ押し付けられているように感じて、モチベーションを高く保つことが難しくなります些細な決定事項であっても、その目的や背景を丁寧に説明することが、信頼関係を保つコツになります。

承認力

承認力とは、成功したときに褒めるスキルではありません。相手の存在を心から認めることになります。 成果を上げたときに称賛するのは当たり前で誰でもできることですが、失敗したときにも相手を認めていくのはなかなか難しいかもしれません。しかし好きで失敗したわけでもないのに責められてばかりいると、モチベーションは低下する一方になります。 組織マネジメントにおいて大切なのは、成功させようと努力した部分にスポットを当てて、認めてあげることです。日頃から周りを承認していくことでメンバーの自己肯定感が高まり、生き生きと自分の力を発揮していけるのです。

人材マネジメント力

人材マネジメント力も、組織マネジメントにおいて欠かせないスキルのひとつです。人材マネジメントとは、経営戦略を実現させるために適材適所の人材配置を行ったり、部下の能力の最大化を図ったりすることを指します。 部下の適性や強み・弱みを理解し人材配置をすれば、生産性が向上するだけでなく、部下のやる気にもつながります。また人は勝手に育つものではないため、要所で必要な指導をすることも大切です。

組織マネジメントの基本的なフレームワーク

組織マネジメントとは?必要なスキルやフレームワークをご紹介! ここからは、組織マネジメントにおける基本的なフレームワークについてご紹介します。 組織マネジメントは、経営リソースを「組織の7S」と呼ばれる7つの要素に分けて考えます。7つの要素とは次の通りです。 1.戦略(Strategy) 2.組織(Structure) 3.システム(System) 4.価値観(Shared Value) 5.スキル(Skill) 6.人材(Staff) 7.スタイル(Style) このうち戦略、組織、システムを「ハードの3S」、価値観、スキル、人材、スタイルを「ソフトの4S」と呼びます。 それぞれ、詳しく解説していきます。

戦略(Strategy)

戦略(Strategy)とは、目標達成のための具体的な行動を考えていくことです。戦略が定まらないと、向かうべき方向が明確にならず手段も曖昧になってしまいます。 戦略(Strategy)で考えなければならないのは、事業の方向性や他社との差別化、そして課題解決の手段です。まずは企業のビジョンを定める「企業戦略」、そして商品・サービス展開を考える「事業戦略」、最後に事業運営のための研究開発や調達、生産、営業といった機能について考える「機能戦略」を策定していきます。

組織(Structure)

ここで指す組織(Structure)とは、組織構造のことです。どのようなチーム構成・組織形態にするかを考え、チームメンバーの選出、役割分担、指揮命令系統などを決定していきます。 組織構造は、大きく分けて次の3つです。 事業部統制組織:部署を事業部ごとに分割して、それぞれに責任者を置くピラミッド型組織構造です。 機能別組織:人事、営業といった同じ機能を担う人だけで形成する組織です。 プロジェクト組織:特定のプロジェクトを遂行するために、さまざまなスキルや専門知識を持った人たちで形成する組織です。 この3つのうちのどの組織構造にするかを前もって決めておき、そのあとでメンバー構成などを考えるようにしましょう。

システム(System)

システム(System)とは、メンバーの能力を最大限発揮し、組織がスムーズに機能するような仕組みやルールです。これがなければ組織として機能できずに、それぞれが個人プレーに走ってしまうでしょう。 具体的には人事評価制度や目標管理制度のほか、作業リストやマニュアルといった教育のためのシステムも考えます。

価値観(Shared Value)

価値観(Shared Value)とは、簡単にいえば企業理念です。なぜ経営者が会社を設立したのか、この会社が何を目指しているのかという「自社の存在意義」を指します。 この価値観は変えるのが難しく、浸透させるのにも時間がかかるものです。しかし組織の意思決定の根管にあるものなので、これによってどのような人材が集まるかも決まってきます。「組織の7S」の中でも中心となる要素といえるでしょう。

スキル(Skill)

組織におけるスキルとはメンバーの能力だけでなく、マーケティング力や商品開発力、販売力、営業力といった自社の強みのことです。競合他社に対して、どのような点が強みなのかを分析します。 目標達成のためには自社の強みを理解し、よりブラッシュアップしていくことが必要不可欠です。

人材(Staff)

人材(Staff)とは、組織を形成するメンバーに関する情報です。年齢やスキルといった表面的な情報だけでなく、本質を理解することを指しています。 普段どういった意識で働いているのか、どのようなことでモチベーションを感じるのか、逆にストレスを感じるのかなど、持ち味を最大限発揮できる人材配置のためには、さまざまなことを知らなければなりません。メンバーがどのような考えや価値観を持っているか知るには、定期的に面談の場を設けるなど対話の機会が必要です。

スタイル(Style)

スタイル(Style)とは、企業風土や経営方針のことです。人材のモチベーションに大きな影響を与える部分で、スタイルにマッチしている人材が集まれば組織全体のパフォーマンス向上につながります。 例えば「上下間がない」「風通しがよく誰でも意見が言える」「トップダウン型」など、組織のスタイルにはさまざまあります。自社がどのようなスタイルなのか、またはどのようなスタイルを目指したいのかを明確にすれば、どうすれば社員が気持ちよく働けるのかが見えてくるでしょう。

組織マネジメントの成功事例

ここでは、組織マネジメントに成功した企業の事例について見ていきます。今回ご紹介するのは、次の3社です。 ・パナソニック株式会社 ・花王株式会社 ・株式会社星野リゾート

パナソニック株式会社

パナソニックの組織構造は、もともとは事業部統制でした。しかし1990年代後半、家電のデジタル化やネットワーク化が急速に進んだことで、国内家電業界は業績が大きく落ち込みました。 その際パナソニックは組織構造を見直し、機能別組織へと移行しました。事業部統制組織によって、各事業部間による機能の重複が無駄につながっていたと分析したためです。どの事業部にも必要な人事や経理といった機能を各事業部に置いていましたが、機能を集約して無駄を省いた結果、業績のV字回復を果たしています。 しかしその後、アジアの新興国などによる低価格化の波や、市場ニーズを正確に把握できないことが原因で、再び業績悪化に見舞われました。そこで今度は、営業部と生産部の連携を図って業績回復を目指すために、再び事業部統制組織へと変更したのです。 このように状況に応じて臨機応変に組織構造を変えていく柔軟さが、パナソニックの強みといえるでしょう。

花王株式会社

花王は非常に先進的な企業で、働き方改革が叫ばれる以前よりさまざまな取り組みを行ってきました。まだ世間にパソコンが普及していない時期からいち早く生産部門にパソコンを導入して劇的に生産性を高めたのも、花王式の働き方改革です。 しかしパソコン導入で効率が上がった反面、それによって2500人もの社員が仕事を奪われることになりました。そこで当時の丸田芳郎社長は、新たに印刷会社やコンピューター会社を設立し、余ってしまった社員を異動させたのです。 新しい会社へと移った社員たちは何もかもが初めての環境だったこともあり、何をすべきかを自分たちで考えるようになりました。これによって、自ら考え行動していく主体性が育まれていったのです。 花王株式会社

株式会社星野リゾート

星野リゾートは、組織マネジメントを駆使して多額の負債を抱えていた老舗旅館「旧いづみ荘」を復活させました。 星野リゾートが再生に乗り出した当時、「旧いづみ荘」は40億円もの負債を抱えており、旅館の従業員たちも危機感を持っていたそうです。しかし、何かしなければと思いながらも、具体的に何をどうすればいいのか分からずに苦しんでいたという状況でした。 そこで星野リゾートの星野佳路社長は、日々働く中で気がついたことや感じることを、現場スタッフから徹底的に聞き出しました。そして「50代以上の女性のリピート率が圧倒的に高い」ということが分かり、旅館のコンセプトを「50代以上の女性がターゲットの温泉宿」と定義づけたのです。 こうして目指す方向性が明確になったことで、従業員たちも努力の方向性が見えてモチベーションがアップ。客室稼働率は前年比10%増になり、見事に業績を回復させました。自社の強みを把握すれば方向性が明確になり、それが従業員のモチベーションにもつながるということがよく分かる事例といえるでしょう。 株式会社星野リゾート

組織マネジメントを学ぶには

組織マネジメントを学ぶ方法は、おもに次の3つです。 ・セミナー ・書籍 ・研修 短時間でポイントを掴みたいのであれば、セミナーや研修に参加するのがおすすめです。おおむね1日から2日で体系的に組織マネジメントを学ぶことができます。 さらに深く経営マネジメントを学ぶ場合は、書籍を取り入れるとよいでしょう。組織マネジメントに関する書籍は非常に多く出版されています。その中で、おすすめの書籍をご紹介します。

マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則/ピーター・F・ドラッカー

ビジネス界において最も影響力を持つと言われている思想家ドラッガーの著書「マネジメント―課題、責任、実践」のエッセンスを、初心者向けに分かりやすくまとめた入門書ともいえる書籍です。小手先のテクニックではなくマネジメントのあるべき姿が学べる内容で、マネジメントに携わる人であれば必ず読んでおきたい一冊になります。 マネジメント[エッセンシャル版] – 基本と原則/ピーター・F・ドラッカー

組織マネジメントのプロフェッショナル/高橋俊介

慶應義塾大学SFC研究所上席所員の高橋俊介氏による「戦略を実現するための組織のあり方とリーダーシップ」をベースに加筆・編集した書籍です。 近年特に注目されている「自立組織」について考える内容で、自立組織構築の必要性や構築のための方法などについて触れています。考え方と実例を交えて解説してあるため、自社と照らし合わせながら組織マネジメントが学べます。 組織マネジメントのプロフェッショナル/高橋俊介

ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現/フレデリック・ラルー、嘉村賢州

ティール組織とは、組織をひとつの生命体として捉え、社員一人ひとりに意思決定権がある次世代型の組織モデルです。本書では、上下関係や売上目標、さらには予算もないという、従来の組織のあり方をくつがえす新しいマネジメント手法について解説しています。最新のマネジメント手法を学びたいと考えている人は、一読の価値がある書籍です。 ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現/フレデリック・ラルー、嘉村賢州

まとめ

組織マネジメントとは?必要なスキルやフレームワークをご紹介! 企業が目的を達成できるかどうかは、組織マネジメントにかかっています。適切な組織マネジメントが実行できれば不測の事態に対する対応力が身につき、先行き不透明な時代においても勝ち残れる強固な組織をつくることができるのです。今回ご紹介した手法や他社の事例などを参考にしながら、ぜひ効率的な組織マネジメントを実践してください。 なお、170万社を超える企業データを有するBIZMAPSでは、無料会員登録で毎月100社までの企業データがダウンロード可能です。さまざまな条件で目的の企業を検索可能なので、営業リストの作成の効率化につながります。 ▼営業リストに関するお役立ち記事はこちら 営業リスト購入はお得で有益なデータ販売サービスBIZMAPSを! 営業リストを無料で作成する方法を解説!おすすめツール3選もご紹介 最新企業データベースを無料提供するサービスとは?【法人営業担当者必見】 営業リストで新規開拓の成果が変わる?営業効率をアップさせるリストの作成方法とおすすめサービス またマーケメディアでは、マーケティング・広告・営業担当者の仕事をサポートする資料を一括ダウンロード可能です。無料会員登録で無制限に資料をダウンロードできるので、ぜひご活用ください! ▼そのほかのマネジメントに役立つ記事はこちら 「マネジメント」の意味は?役割や課題・スキルアップを徹底解説! ビジネスコーチングとは?その役割と活用法を徹底解説! マネジメントに必要な資格とは?おすすめ資格12選をご紹介! マネジメント能力とは?不可欠なスキルや身につけるポイントを解説 マネジメント本おすすめ18選!初心者向け~名著まで幅広くご紹介!

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