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目次
「SWOT分析」の仕組み
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SWOT分析の理想的な手順
SWOT分析で解釈を導き出すための材料になる市場環境の情報は、下準備として別のフレームワークであるPEST分析と3C分析でまとめると効率よく適切に整理できます。 理想的な市場環境分析の手順は次のとおりです。 1.PEST分析:政治・経済・社会・技術の4つの観点からマクロ環境を分析 2.3C分析:市場と顧客・自社・競合の視点で分析 3.SWOT分析 4.Tを5フォースで分析:SWOT分析のTである脅威を掘り下げるために、5つの競争要因を分析 5.WTをVRIOで分析:経済価値・希少性・模倣困難性・組織の観点で分析 これが、選択肢を広げるオプション思考という考え方です。そして最後にクロスSWOT分析によって有効な戦略を考えるというのが、効果的なアプローチといえるでしょう。 この順番に沿って話を進めていきます。SWOT分析の下準備編
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PEST分析
これは企業を取り巻くマクロ環境を構成する4つの要素が、企業の将来において及ぼす影響を予測するためのフレームワークです。 マクロ環境の構成要素とは以下の4つになります。 【Politics:政治】 市場に政治が影響を与える規制や指導 【Economy:経済】 経済の成長や景況 【Society:社会】 社会の人口や構成比 【Technology:テクノロジー】 テクノロジーを駆使したITサービスやデジタルデバイス これら4要素の頭文字をとってPEST分析と呼ばれます。 主に商材を企画している段階や、顧客ターゲットの範囲が広いマスマーケティング案件、またはグローバル戦略を立てる場合などにもよく用いられるツールです。 企業が何らかの活動を市場に向けて起こす前に認識しておくべき、さまざまな制約要因を把握するために、非常に有効といえるでしょう。3C分析
3C分析はビジネスブレイクスルー大学学長大前研一氏(元マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長)が考案したフレームワークです。 1982年の著作『The Mind of The Strategist』で紹介して話題になり、それ以来広くビジネス界で知られるようになりました。 3C分析に必要な3つの要素は、自社(Corporation)・顧客(Customer)・競合相手(Competitor)です。 外部要因の顧客と競合、内部要因の自社を客観的に評価します。顧客ニーズ、自社の強みと弱み、競合他社の強みと弱み、競合がニーズの変化にどう対応しているのかなどを分析します。 分析結果を踏まえて市場にニーズが存在し、自社の強みを活かして、競合他社が真似できない事業戦略を打ち出すのが3Cの有効な戦略立案セオリーです。 さて、これらPEST分析と3C分析で下準備が整ったところで、いよいよメインの手法に入っていきましょう。SWOT分析の実施手順
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明確な目標設定
明確な目標設定が、SWOT分析の第一歩です。 実戦の戦略策定においてSWOT分析は、決して一回だけ実施すればよいというものではありません。分析した要素それぞれの課題を掘り下げつつ見直し作業を行うのが一般的です。 見直し作業においては、自社の商材がどのフェーズにいるのかによって分析の目的が変わってきます。 顧客対象を絞りこむフェーズにいるのか、絞り込まれたターゲットを獲得するための戦略を構築するフェーズにいるのかなどにより、目的をはっきりさせなければなりません。 目的が明確になっていれば、SWOT分析を掘り下げていく過程でもし行き詰まっても、本来の原点に立ち返って行き詰まりを解消することが可能になります。機会と脅威の特徴を分析
次に、外部環境としての機会と脅威についての分析に進みましょう。 例を挙げると、電鉄会社にとっては若者のクルマ離れは良い機会であり、新型コロナの拡大は脅威です。 このように、取り巻く環境の中での商材の強みと弱みを適切に把握することにより、次の段階である商材自体の分析において、分析観点の多面性を高められます。 市場に出回り販売されている商品やサービスの多くは、他の似た商品やサービスと比較されたり、市場を奪われてしまったりする可能性を免れません。 そのため、外部環境の特徴に関しては主に顧客と競合という2つの軸で分析します。 顧客を軸とした場合は、顧客層の所得の変化やどのような好みの傾向があるのかなどが分析対象です。 また、競合を軸とした場合は、直接的な競合他社の商材だけでなく、自社商材も競合商材も利用しない他の手段がないかも考えてみましょう。 外部環境の特徴をリストアップできたら、その特徴が自社商材にとって機会なのか脅威なのかを判断して分類します。商材の特徴を分析
外部環境の特徴を機会と脅威に分類することができたら、次は商材そのものの特徴をリストアップしてから強みと弱みに分けていきます。 例を挙げれば、仕事とプライベートの両方で活躍するコートが商材だとします。使い勝手の良い自社のコートが多くのミドル層に支持されているのは強みで、競合商材に比べて価格設定が高いのは弱みです。 自社商品に関する強みと弱みなので、考えられるかぎりのすべてを書き出すようにしましょう。関係者にも協力してもらおう
ここで分析対象の商材のSWOTの抽出に関して、社内の他の部署の人たちにも集まってもらって協力してもらいましょう。付箋を使って1枚につき1項目を記載してもらい整理する方法が便利です。 多様な視点で対象商材とその環境を見直すことにより、新たな戦略の着想につながる可能性が広がります。 できるだけ数多くのSWOTをリストアップするために、社員だけではなく既存の顧客や見込み客に商材の特徴についてのアンケートに回答してもらうなども効果的です。 そのような第三者からの客観的な意見も、非常に役立つ貴重なものといえるでしょう。身内では気付かなかった視点が出てくることもよくあります。 そうやって対象の商材についてのSWOTをできるだけリストアップすることで、その商材の特徴を明らかにできます。しかし、それだけで戦略を考える段階に進むのはまだ早いのが事実です。SWOT分析の精度の上げ方!
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脅威を分析するのに役立つ「5フォース分析」
これは5つの競争要因(Five Forces)を分析するフレームワークです。SWOT分析の脅威を分析するのに役立つモデルとして定評があります。 アメリカの経営学者マイケル・ポーターが著した世界的ベストセラー『競争の戦略』で提唱された、競争要因分析のためのフレームワークです。 競争構造を「売手」と「買手」、ならびに「競合」「新規参入」「代替製品」という5つの要素から分析して自社の競争力のポテンシャルを客観的に判断します。 ビジネス戦略を考える場合によく前提とされるのは、顧客と競合と供給業者です。しかしこの手法を使えば、新規参入者や代替品などのさらに多角的な要素が加わります。 代替品が出回っていれば価格を下げる要因になり、脅威となります。新規参入者がいればシェア争いが激しくなり、それも脅威です。 これらはただちに競合しなくとも、中長期的に大きな影響を及ぼしかねません。そういう点に着目しているところが、この手法の優れた面といえるでしょう。強みと弱みを分析できる「VRIO分析」
VRIO分析とは、企業の持っている経営資源の「経済的価値」を分析する手法です。SWOT分析の強みと弱みを洗い出すのに有効となります。 アメリカのジェイ・B・バーニーという経営学者が1991年に発表した経営戦略に関する論文で提唱したものです。 それまでは外部環境に向けての企業のアクションが競争力に反映すると考えられていました。それに対して、経営リソースという内部環境も競争力に反映すると主張しているのが特徴です。 VRIO分析において経営リソースとは以下の4つに分類されます。 ●Value:経済的な価値 ●Rarity:希少性 ●Imitability:模倣可能性 ●Organization:組織 これらを上から順に分析していくことで、客観的に自社の状況を判断できます。 VRIOそれぞれの概要を見ていきましょう。 【Value:経済的な価値】 企業の経済的な価値は苦しい状況に対応できて、チャンスを生かせるかどうかを見る基準になります。 これは資本力やキャッシュフローなどの財政面だけを意味するのではなく、抱える人材や技術、設備などのリソースもすべて含みます。 この項目が芳しくないと競争力に欠ける「競争劣位」の状態に陥るのです。 【Rarity:希少性】 そのビジネスは業界の中で希少性を持っているかを見る基準です。自社のビジネスの希少性が高いかどうかは、競合との比較も含めて考える必要があります。 最初の経済的な価値はクリアして、この項目が芳しくない場合、価値はあっても希少性に欠ける「競争均衡」の状態になります。 【Imitability:模倣可能性】 そのビジネスは競合に模倣されにくいかどうかという基準です。自社ビジネスが模倣されるかどうかは、そのためのリソースやコストがどの程度かかるのかに関係しています。 経済的な価値と希少性をクリアしてもこの項目が芳しくないのは、価値があり希少性も高いけれど模倣されやすい「一時的競争優位」の状態です。 【Organization:組織】 経営リソースをフルに活用するために、組織やフローは妥当な設定になっているかを見る基準です。 経済的な価値、希少性、模倣可能性をクリアしていてもこの項目が芳しくない場合、価値があり希少性も高く模倣可能性は低い「長期的競争優位」の状態を少なくとも維持できます。 ここをクリアするとリソースを最大限に生かせる「持続的競争優位」の状態になります。 こういう一連の分析で企業の課題を明らかにし、弱みを補強して競争力を高める戦略を考えるのです。SWOT分析の仕上げ方!
SWOT分析の下準備でPEST分析、3C分析を使い、SWOT分析で挙げられたSWTをさらに分析する5フォース分析とVRIOでオプションを出すことで戦略の選択肢が広がります。 ただし戦略を本格的に構築するためには、そのままでは情報量が多過ぎてとりとめがなくなるので、最後にクロスSWOT分析を活用して有効性が高い戦略を効率よく考えましょう。 クロス分析とは「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つに分類した項目について分析するフレームワークです。SWOT分析のまとめに有効なクロス分析を解説します。クロスSWOT分析とは?
この手法はSWOT分析で集められた商材自体の特徴と外部環境の特徴の項目を掛け合わすことによって、有効な戦略のパーツを見極めて戦略に落とし込むためのものです。機会/O | 脅威/T | |
強み/S | S×O | S×T |
弱み/W | W×O | W×T |
SWOT分析を活用しよう!
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大阪生まれ神戸在住。経済学部卒業後、アパレル業界で営業から商品企画・広告プロモーションを経験。2018年副業でライターを始め、2019年に会社を退職しライターに。Webライティングと並行し電子書籍も鋭意出版中。
著者ページ:https://amzn.to/3J5CbjX
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