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マーケティング戦略に有効なSWOT分析!効果を上げるコツを解説 企業がマーケティング戦略を立案するために有効なフレームワークに、SWOT分析があります。耳覚えのある方も多いのではないでしょうか。 企業の外部環境は売上をアップさせられる「機会」と市場を奪われてしまう「脅威」に分類できます。一方の内部環境では、「強み」と「弱み」を挙げ、外部と内部の要因をそれぞれ分析することで勝機を探す手法がSWOT分析です。 さらに、オプション思考という手法を使って、戦略の精度を上げるために他の有効なフレームワークを併用し、複数の選択肢から最適な方法を考え出します。 この記事ではSWOT分析と他のフレームワークを併用し、最後にクロス分析を活用する最強のアプローチについて分かりやすく解説していきます。 自社のマーケティング戦略に取り組んでいるみなさんは、ぜひ参考にしてくださいね!

「SWOT分析」の仕組み

マーケティング戦略に有効なSWOT分析!効果を上げるコツを解説 SWOT分析というフレームワークでは、企業が向き合っている環境を外部環境と内部環境に分けて考えます。 アメリカの経営学者であるヘンリー・ミンツバーグが提唱したもので、ビジネスに活用したのは、ハーバード・ビジネス・スクールのケネス・R・アンドルーズという教授です。 具体的には組織構造やサービスが持つ外部環境を「Opportunities(機会)」と「Threats(脅威)」に分類します。外部要因とは、トレンドや市場規模、競合他社を始め、政治や法律のような自分たちの力で変えられない要因を指します。 一方の内部環境は価格や品質、技術力、サービス立地など自分たちの力でどうにかできる部分です。SWOT分析では、内容環境を「Strengths(強み)」と「Weaknesses(弱み)」に分類して評価していきます。 SWOT分析は、企業のマーケティング部門や広報部門でよく使われ、特にBtoB企業の戦略立案に有効となります。 ただし、SWOT分析で出てくる強みや弱みは相対評価によるものなので、比較する対象によって答えが異なってくるのです。つまり、分析するにあたっての軸が明確でなければ分析精度が下がるおそれがあります。 そのため、SWOT分析を行うにあたっては他の有効なフレームワークを併用しながら進めるのが効果的です。

SWOT分析の理想的な手順

SWOT分析で解釈を導き出すための材料になる市場環境の情報は、下準備として別のフレームワークであるPEST分析と3C分析でまとめると効率よく適切に整理できます。 理想的な市場環境分析の手順は次のとおりです。 1.PEST分析:政治・経済・社会・技術の4つの観点からマクロ環境を分析 2.3C分析:市場と顧客・自社・競合の視点で分析 3.SWOT分析 4.Tを5フォースで分析:SWOT分析のTである脅威を掘り下げるために、5つの競争要因を分析 5.WTをVRIOで分析:経済価値・希少性・模倣困難性・組織の観点で分析 これが、選択肢を広げるオプション思考という考え方です。そして最後にクロスSWOT分析によって有効な戦略を考えるというのが、効果的なアプローチといえるでしょう。 この順番に沿って話を進めていきます。

SWOT分析の下準備編

マーケティング戦略に有効なSWOT分析!効果を上げるコツを解説 SWOT分析の下準備として役に立つ「PEST分析」と「3C分析」の知識を付けておきましょう。それぞれの分析に必要な要素をまとめています。
  • PEST分析:政治・経済・社会・技術
  • 3C分析:市場と顧客・自社・競合

  • フレームワークを正しく理解することで、分析の質を上げられます。PEST分析と3C分析を詳しくご紹介します。

    PEST分析

    これは企業を取り巻くマクロ環境を構成する4つの要素が、企業の将来において及ぼす影響を予測するためのフレームワークです。 マクロ環境の構成要素とは以下の4つになります。 【Politics:政治】 市場に政治が影響を与える規制や指導 【Economy:経済】 経済の成長や景況 【Society:社会】 社会の人口や構成比 【Technology:テクノロジー】 テクノロジーを駆使したITサービスやデジタルデバイス これら4要素の頭文字をとってPEST分析と呼ばれます。 主に商材を企画している段階や、顧客ターゲットの範囲が広いマスマーケティング案件、またはグローバル戦略を立てる場合などにもよく用いられるツールです。 企業が何らかの活動を市場に向けて起こす前に認識しておくべき、さまざまな制約要因を把握するために、非常に有効といえるでしょう。

    3C分析

    3C分析はビジネスブレイクスルー大学学長大前研一氏(元マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長)が考案したフレームワークです。 1982年の著作『The Mind of The Strategist』で紹介して話題になり、それ以来広くビジネス界で知られるようになりました。 3C分析に必要な3つの要素は、自社(Corporation)・顧客(Customer)・競合相手(Competitor)です。 外部要因の顧客と競合、内部要因の自社を客観的に評価します。顧客ニーズ、自社の強みと弱み、競合他社の強みと弱み、競合がニーズの変化にどう対応しているのかなどを分析します。 分析結果を踏まえて市場にニーズが存在し、自社の強みを活かして、競合他社が真似できない事業戦略を打ち出すのが3Cの有効な戦略立案セオリーです。 さて、これらPEST分析と3C分析で下準備が整ったところで、いよいよメインの手法に入っていきましょう。

    SWOT分析の実施手順

    マーケティング戦略に有効なSWOT分析!効果を上げるコツを解説 この段階に入ってからの作業や出てくる結果が中途半端であやふやなものだと、後に続く戦略立案の工程で無駄な時間を浪費するおそれがあります。 そこで、効率的なSWOT分析を行なう手順をチェックしておきましょう。
  • 明確な目標設定
  • 機会と脅威の特徴を分析
  • 商材の特徴を分析
  • 関係者への協力要請

  • それぞれの過程を詳しくご紹介します。

    明確な目標設定

    明確な目標設定が、SWOT分析の第一歩です。 実戦の戦略策定においてSWOT分析は、決して一回だけ実施すればよいというものではありません。分析した要素それぞれの課題を掘り下げつつ見直し作業を行うのが一般的です。 見直し作業においては、自社の商材がどのフェーズにいるのかによって分析の目的が変わってきます。 顧客対象を絞りこむフェーズにいるのか、絞り込まれたターゲットを獲得するための戦略を構築するフェーズにいるのかなどにより、目的をはっきりさせなければなりません。 目的が明確になっていれば、SWOT分析を掘り下げていく過程でもし行き詰まっても、本来の原点に立ち返って行き詰まりを解消することが可能になります。

    機会と脅威の特徴を分析

    次に、外部環境としての機会と脅威についての分析に進みましょう。 例を挙げると、電鉄会社にとっては若者のクルマ離れは良い機会であり、新型コロナの拡大は脅威です。 このように、取り巻く環境の中での商材の強みと弱みを適切に把握することにより、次の段階である商材自体の分析において、分析観点の多面性を高められます。 市場に出回り販売されている商品やサービスの多くは、他の似た商品やサービスと比較されたり、市場を奪われてしまったりする可能性を免れません。 そのため、外部環境の特徴に関しては主に顧客と競合という2つの軸で分析します。 顧客を軸とした場合は、顧客層の所得の変化やどのような好みの傾向があるのかなどが分析対象です。 また、競合を軸とした場合は、直接的な競合他社の商材だけでなく、自社商材も競合商材も利用しない他の手段がないかも考えてみましょう。 外部環境の特徴をリストアップできたら、その特徴が自社商材にとって機会なのか脅威なのかを判断して分類します。

    商材の特徴を分析

    外部環境の特徴を機会と脅威に分類することができたら、次は商材そのものの特徴をリストアップしてから強みと弱みに分けていきます。 例を挙げれば、仕事とプライベートの両方で活躍するコートが商材だとします。使い勝手の良い自社のコートが多くのミドル層に支持されているのは強みで、競合商材に比べて価格設定が高いのは弱みです。 自社商品に関する強みと弱みなので、考えられるかぎりのすべてを書き出すようにしましょう。

    関係者にも協力してもらおう

    ここで分析対象の商材のSWOTの抽出に関して、社内の他の部署の人たちにも集まってもらって協力してもらいましょう。付箋を使って1枚につき1項目を記載してもらい整理する方法が便利です。 多様な視点で対象商材とその環境を見直すことにより、新たな戦略の着想につながる可能性が広がります。 できるだけ数多くのSWOTをリストアップするために、社員だけではなく既存の顧客や見込み客に商材の特徴についてのアンケートに回答してもらうなども効果的です。 そのような第三者からの客観的な意見も、非常に役立つ貴重なものといえるでしょう。身内では気付かなかった視点が出てくることもよくあります。 そうやって対象の商材についてのSWOTをできるだけリストアップすることで、その商材の特徴を明らかにできます。しかし、それだけで戦略を考える段階に進むのはまだ早いのが事実です。

    SWOT分析の精度の上げ方!

    マーケティング戦略に有効なSWOT分析!効果を上げるコツを解説 SWOT分析では、それぞれの要素の組合せによって、さまざまな解釈をすることが可能です。それゆえに、戦略に関しても複数の案が生まれます。 「オプション思考」は有効に思えるオプションを全部洗い出し、その中から最も確度の高い選択肢を選択するアプローチです。 ここからはSWOT分析の「脅威」を分析する方法である「5フォース分析」と「強み」「弱み」を分析する「VRIO分析」をそれぞれ詳しく見ていきましょう。

    脅威を分析するのに役立つ「5フォース分析」

    これは5つの競争要因(Five Forces)を分析するフレームワークです。SWOT分析の脅威を分析するのに役立つモデルとして定評があります。 アメリカの経営学者マイケル・ポーターが著した世界的ベストセラー『競争の戦略』で提唱された、競争要因分析のためのフレームワークです。 競争構造を「売手」と「買手」、ならびに「競合」「新規参入」「代替製品」という5つの要素から分析して自社の競争力のポテンシャルを客観的に判断します。 ビジネス戦略を考える場合によく前提とされるのは、顧客と競合と供給業者です。しかしこの手法を使えば、新規参入者や代替品などのさらに多角的な要素が加わります。 代替品が出回っていれば価格を下げる要因になり、脅威となります。新規参入者がいればシェア争いが激しくなり、それも脅威です。 これらはただちに競合しなくとも、中長期的に大きな影響を及ぼしかねません。そういう点に着目しているところが、この手法の優れた面といえるでしょう。

    強みと弱みを分析できる「VRIO分析」

    VRIO分析とは、企業の持っている経営資源の「経済的価値」を分析する手法です。SWOT分析の強みと弱みを洗い出すのに有効となります。 アメリカのジェイ・B・バーニーという経営学者が1991年に発表した経営戦略に関する論文で提唱したものです。 それまでは外部環境に向けての企業のアクションが競争力に反映すると考えられていました。それに対して、経営リソースという内部環境も競争力に反映すると主張しているのが特徴です。 VRIO分析において経営リソースとは以下の4つに分類されます。 ●Value:経済的な価値 ●Rarity:希少性 ●Imitability:模倣可能性 ●Organization:組織 これらを上から順に分析していくことで、客観的に自社の状況を判断できます。 VRIOそれぞれの概要を見ていきましょう。 【Value:経済的な価値】 企業の経済的な価値は苦しい状況に対応できて、チャンスを生かせるかどうかを見る基準になります。 これは資本力やキャッシュフローなどの財政面だけを意味するのではなく、抱える人材や技術、設備などのリソースもすべて含みます。 この項目が芳しくないと競争力に欠ける「競争劣位」の状態に陥るのです。 【Rarity:希少性】 そのビジネスは業界の中で希少性を持っているかを見る基準です。自社のビジネスの希少性が高いかどうかは、競合との比較も含めて考える必要があります。 最初の経済的な価値はクリアして、この項目が芳しくない場合、価値はあっても希少性に欠ける「競争均衡」の状態になります。 【Imitability:模倣可能性】 そのビジネスは競合に模倣されにくいかどうかという基準です。自社ビジネスが模倣されるかどうかは、そのためのリソースやコストがどの程度かかるのかに関係しています。 経済的な価値と希少性をクリアしてもこの項目が芳しくないのは、価値があり希少性も高いけれど模倣されやすい「一時的競争優位」の状態です。 【Organization:組織】 経営リソースをフルに活用するために、組織やフローは妥当な設定になっているかを見る基準です。 経済的な価値、希少性、模倣可能性をクリアしていてもこの項目が芳しくない場合、価値があり希少性も高く模倣可能性は低い「長期的競争優位」の状態を少なくとも維持できます。 ここをクリアするとリソースを最大限に生かせる「持続的競争優位」の状態になります。 こういう一連の分析で企業の課題を明らかにし、弱みを補強して競争力を高める戦略を考えるのです。

    SWOT分析の仕上げ方!

    SWOT分析の下準備でPEST分析、3C分析を使い、SWOT分析で挙げられたSWTをさらに分析する5フォース分析とVRIOでオプションを出すことで戦略の選択肢が広がります。 ただし戦略を本格的に構築するためには、そのままでは情報量が多過ぎてとりとめがなくなるので、最後にクロスSWOT分析を活用して有効性が高い戦略を効率よく考えましょう。 クロス分析とは「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つに分類した項目について分析するフレームワークです。SWOT分析のまとめに有効なクロス分析を解説します。

    クロスSWOT分析とは?

    この手法はSWOT分析で集められた商材自体の特徴と外部環境の特徴の項目を掛け合わすことによって、有効な戦略のパーツを見極めて戦略に落とし込むためのものです。
    機会/O 脅威/T
    強み/S S×O S×T
    弱み/W W×O W×T
    上図のそれぞれの項目がクロスする部分について、以下のようなコンセプトの戦略を考えていきます。 S×O:機会と強みを最大限に活かしてできること 環境の機会と商材の強みの両方を活かし、機会を味方にしつつ強みを発揮する最強の戦略を考えましょう。 S×T:脅威に対抗するために強みを活かしてできること 環境の脅威は強みを活かせば対抗できるかもしれません。不利を有利に置き換える戦略を考えます。 W×O:弱みのせいで機会をロスしないためにできること 商材の弱点のせいでせっかくの機会をロスするのは残念なことです。弱みが足を引っ張らないようにする施策を考えます。 W×T:弱みと脅威が重なるリスクを回避するためにできること 商材の弱点が環境の脅威と重なるのは避けたい最悪のシナリオです。それに至らないように打てる対策を考えます。 このようにクロスSWOT分析を行うことによって、たくさん上がったSWOTの項目から考えられる戦略の整理が可能です。とりわけS×Oの戦略は最も強力なので、まずはそこから分析を深めてみるのもおすすめです。

    SWOT分析を活用しよう!

    マーケティング戦略に有効なSWOT分析!効果を上げるコツを解説 SWOT分析と他のフレームワークを併用し、最後にクロス分析をする最強アプローチについて解説しました。下準備としては「PEST分析」と「3C分析」を用いた分析を行います。 その情報を元に、SWOT分析に必要な「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の要素を割り出します。 ひと通りSWOT要素が出揃ったら、関係者にも協力してもらってさらに項目を増やします。そして「5フォース分析」と「VRIO分析」でさらに洗い出し、最後にクロス分析を用いて戦略を考えましょう。 少し手間がかかりますがこの一連の手順は強力な戦略を構築するのに役立ちます。マーケティング戦略に取り組んでおられるみなさんは、ぜひ参考にしてください! BIZMAPSでは170万を超える企業データを無料で公開しています。会員登録で月100件までなら無料でダウンロードも可能です。 SWOT分析の競合調査にも活用できるBIZMAPSをぜひ一度チェックしてみてください。 ▼合わせて読みたい記事はこちらから! マーケティングと営業の4つの違いとは?2つの部門が連携するメリットとコツも解説 マーケティングとプレゼンの意外な関係?プレゼンが上手くなる6つのポイント マーケティングにおけるペルソナの役割とは?設定方法をBtoCとBtoBに分けて徹底解説 マーケティングでの戦略的なポジショニング方法と成功事例集 マーケティングの要となるセグメンテーションとは?成功事例も紹介

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