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進む不動産営業のオンライン化、その現状は? コロナ禍により対面での営業活動が制約を受けるなか、オンライン営業が注目されています。不動産業界も例外ではなく、最新技術や法整備の後押しを受けてオンライン化が急速に進んでいます。 また、不動産業界のオンライン化には、これまでの営業活動のハードルを払拭する効果も出ているようです。不動産営業のオンライン化の現状と、実施する上で気をつけておきたい点を解説します。

コロナ禍で一気に広まった不動産営業のオンライン化

不動産営業は、他の一般的な製品・サービスに比べて「契約・販売するものを動かせない」という特徴があります。契約希望者・購入希望者は現地へ足を運び、営業担当者からの説明を受けながら内見するのが一般的な流れ。地方から都市部へ、都市部から地方への移動に伴う物件探しの場合、内見の都度交通費や宿泊費がかかり、お客様の負担になっていました。 また、物件の公開には時間的制約があったり、居住中の物件は居住者とのスケジュール調整が必要だったりと、希望者の都合に合わせやすいとはいえず、リードタイムが長引くこともあったでしょう。 しかし、コロナ禍に先駆けた2017年、賃貸仲介会社が仮想現実(VR)システムを導入して時間的・距離的制約を払拭しようという動きが始まります。不動産営業の新システムともいえるIT技術の活用方法と「IT重説」について紹介します。 オンライン営業についてはこちらの記事でも解説しています。 zoom営業のコツ徹底解説!オンライン営業の知識を総まとめ

仮想現実(VR)システムの導入で内見もオンライン化

進む不動産営業のオンライン化、その現状は? 賃貸や分譲の物件を仮想現実で再現し、「いつでもどこからでも」内見できるようにしたのが仮想現実(VR)システムです。 2017年のスタート当初はモデルルーム内でVRゴーグルを装着してもらい、360°の映像と視線をリンクさせながら内見をするスタイルが主流でした。家具や内装の雰囲気をその場で設定することができ、より理想に近い住まいをイメージする助けとなる技術です。 ICT技術が成熟し、コロナ禍により人流が抑制される現在は、自宅のインターネットや手元のスマートフォンから物件情報にアクセスできるサービスが急速に普及しています。 都市部の大学へ進学する学生や新社会人、転勤者にとっては、現地に足を運ばなくても物件の詳しい情報が得られるため大きなメリットを感じられるでしょう。 また、オンライン内見は従来の現地での内見よりも気軽にアクセスできることから、見込み客の裾野の広がりも期待できます。

宅地建物取引士の対面による重要事項説明は以前からオンラインで実施可能

進む不動産営業のオンライン化、その現状は? 賃貸物件の契約の際には、賃貸借契約書の取り交わしに先駆けて、宅地建物取引士の有資格者が同席し、対面で説明しなければならないという「重要事項説明」の原則がありました。重要事項説明では賃貸料や解約料、違約金や部屋を使用する際の取り決めなどが詳しく説明されます。 これが国土交通省によるIT活用施策として、賃貸借契約は2017年10月から、売買契約は2021年4月から、対面ではなくオンラインでもOKとなりました。このITを活用した重要事項説明を略して「IT重説」といいます。 ・宅地建物取引士の有資格者は入居予定者へ「宅地建物取引士証」を提示する ・重要事項説明書や添付書類を入居予定者・宅地建物取引士の双方が所持しておく ・双方向でのコミュニケーションが可能なデバイスを利用する といった注意事項はありますが、対面での説明が必要だった頃よりも賃貸借契約がよりスピーディになったことは間違いありません。

物件によっては契約締結までオンラインで

進む不動産営業のオンライン化、その現状は? オンライン内見で物件に納得した入居希望者は、「IT重説」を受けることで、契約締結までオンラインで完結することができるようになりました。しかし、重要書類の電子化は認められておらず、記名押印のために郵送でのやりとりが必要になるため、「完全オンライン化」とまではなっていません。また、買い主・売り主・宅建士・住宅ローン担当者、不動産登記のための司法書士など取引関係者のうち1人でもオンラインに同意を得られない場合、従来通り対面での説明が必要なので注意が必要です。 しかし、現地内見にプラスして「重要事項説明」のために現地に足を運ばなければならなかった不動産契約の仕組みが、インターネット内見とIT重説でカバーできるようになったのは大きな変化といえるでしょう。遠隔地や海外からの賃貸借契約希望者には、交通費や移動時間の節約というメリットが感じられ歓迎されています。 オンライン営業に欠かせない日程調整ツールについてはこちらの記事でもご紹介しています。 私事でも仕事でも使える!おすすめ日程調整ツールをご紹介

不動産のオンライン営業を利用時に注意したい点

進む不動産営業のオンライン化、その現状は? オンライン内見とIT重説により、不動産取引の現場は変化しています。業界全体に関わる法案成立や企業ごとの取り組みなどが影響し、今後もこの傾向は続くことが予想されるため、注意しておきたい点を3つご紹介します。 これらの注意点をカバーする独自のシステム・サービスや、全面オンライン化に向けた事前準備があれば、より便利で利用者に選ばれる企業になれるかもしれません。他社との差別化の為にも以下3つの注意点を理解し、対策を検討しましょう。

ネットワーク環境必須、契約書の電子化は未認可

インターネットから情報を得るオンライン内見なら、スマートフォンから気軽にアクセスすることも多いでしょう。しかし、IT重説を実施する場合には大きな画面が推奨され、ウェブカメラ・マイク・スピーカーなどの周辺機器が必要となります。相手方にも同様の環境が求められるため、接続機器や通信環境に問題がないかを確認しておく必要があります。 2021年5月にデジタル改革関連法が成立したことを受けて、宅建業法への適応も期待されますが、現時点は紙の書類への記名・押印が義務付けられています。また、不動産売買契約書の電子化は一部不動産会社で進められていますが、宅建業者が売買契約書とは別に交付する契約内容記載書面(37条書面)のオンライン化は認められていません。 全面的なオンライン化には今しばらくの時間が必要なようです。

人通りや昼夜の雰囲気は現場に行かないとわかりにくい

物件情報は、不動産情報の検索サイトなどでの豊富な画像や360°ムービーなどで過不足なくチェックすることができるでしょう。しかし、周辺環境についてはやはり実際に現場へ行かないとわかりにくいものです。 これをカバーするために、不動産紹介の担当者が現場へ赴き、内見希望者とWeb会議システムでつながって、その場で要望を聞きながらカメラを回すという手法も増えています。時間帯を変えて対応すれば、人通りやエントランス周辺の雰囲気なども伝えることができるでしょう。 オンライン商談システムについてはこちらの記事でもご紹介しています。 導入企業増加中?!オンライン商談システムをメリット/デメリットから解説

査定の場合、正確な金額は訪問査定でないと難しい

オンラインで物件の詳細な情報を得られるようになってきましたが、査定業務にはやはり訪問査定が必要でしょう。売却希望者から不動産会社へ、購入時の資料や増改築の履歴などの情報を提供してもらっていても、現状との比較は欠かせません。 査定項目のなかでも ・家の傾き ・床下や屋根裏の雨もり跡・木の腐食(シロアリ被害) ・内装(壁紙・フローリング)の劣化具合・異臭 などは実際に物件をみてみないと判断できないポイントです。オンラインやビデオ通話などで得られる情報はあくまでも参考として、正確な査定のために現地訪問を実施するようにしましょう。

まとめ

不動産営業のオンライン化は、VR技術や360°映像、内装をワンタッチで変化させるシステムなど、先端技術の発展とともに急速に進んでいます。「IT重説」の解禁や「脱ハンコ」の動きと相まって、まだまだ変化が続くでしょう。 物件情報を詳細かつ気軽に得られるようになると、情報へアクセスする見込み客数の増加が期待でき、業界全体の活性化につながります。今すぐにオンライン化・電子化を整えることは難しいかもしれませんが、まずは遠隔地の内見希望者とテレビ電話でつながる内見代行を始めてみるなど、時代の変化とお客様のニーズに合わせた業態へ転換していきましょう。 BIZMAPSでは170万を超える企業データを無料で公開しています。会員登録で月100件までなら無料でダウンロードも。 営業リスト作成の効率化におすすめです。 法人営業に関するオンライン営業については、こちらの記事でご紹介しています。 コロナ禍でどう変わった?これからのオンライン営業の必要性とは オンライン商談と対面営業、どう違う?比較検証!

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