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マネジメント業務は、現場でプレーヤーとして働いていたときとは異なる能力が必要になります。我流でのマネジメントでは上手くいかずに組織がまとまらない危険性もあるため、マネジメントに特化した勉強をしなければなりません。
そこで今回は、マネジメントに役立つ資格をご紹介します。経営や会計に関する資格にも触れているので、法人営業やマーケティングに関わる管理職の方は、ぜひ参考にしてください。
マネジメントに関する資格取得によるメリット
マネジメントの仕事は、特別な資格が必要なわけでありません。しかしメンバーの管理能力や統率力、決断力だけでなく、経営に関する専門知識など、企業活動における幅広い知識が求められます。
それらの知識を網羅するために、ただやみくもに書籍を読んだり講座などに参加したりするのは、時間もコストもかかります。自己流での学習は、知識や価値観の偏りにもつながってしまうでしょう。
しかし資格取得に特化した勉強をすれば、多くの知識を体系的に学べます。たとえ合格までたどり着かなかったとしても、正しい知識が着実に積み重ねられるのです。
また資格が取得できれば自己実現や達成感につながり、さらに自分自身のスキルの証明にもなります。企業によっては資格取得で年収が上がるケースもあり、さらに転職する際にもアピールしやすくなるため、キャリアアップにもつながるでしょう。
資格取得の際に気をつけること
マネジメントに関する資格を取得すると、スキルアップや自信につながります。しかし資格取得がゴールではなく、勉強したことを活かしたマネジメントを行わなければなりません。「なんのためにこの資格の勉強をするのか」を考えて、資格取得を目指しましょう。
また一口にマネジメントの資格といっても、実にさまざまな資格があります。中には難関の国家資格もあり、1,000時間以上の勉強時間が必要なものも少なくありません。働きながら限られた時間で勉強をするのは心身ともに大きな負担になるため、仕事に支障をきたさないよう自分に合ったスタイルや方法で資格の勉強をしましょう。
マネジメントに関する資格6選
ここからは、マネジメントに役立つ資格をご紹介します。難易度はさまざまなので、自分のレベルや立場にあった資格を選びましょう。
今回ご紹介するのは次の6つの資格です。
・PMP
・ビジネスマネジャー検定
・メンタルヘルス・マネジメント検定
・ビジネス・キャリア検定
・マーケティング・ビジネス実務検定
・公認モチベーション・マネジャー資格
ひとつずつ解説していきます。
PMP
PMPとは「Project Management Professional」の略で、プロジェクトマネジメントの専門家であることを証明する資格です。アメリカのプロジェクトマネジメント協会が「PMBOKガイド」という教本に基づいて認定しています。
プロジェクトマネジメントは、企業のプロジェクトを成功に導くため、スケジュールや人員、資金、物的資源などをコントロールしていくことです。PMPの資格を取得すれば、このプロジェクトマネジメント能力について世界水準のスキルがあることの証明になります。
試験を受けるには学歴に応じたプロジェクトマネジメントの経験年数と、35時間のプロジェクトマネジメント研修受講が必要です。合格後も3年ごとに課題を実施して知識を更新しなければなりませんが、世界中で認められている資格なので、転職の際にも非常に大きなアピールになるでしょう。
PMP
ビジネスマネジャー検定
ビジネスマネジャー検定は、東京商工会議所が主催する検定試験です。管理職として最低限知っておくべき経営学やマネジメントの基礎知識を総合的に身につけることが目的で、2015年に第1回試験が実施された新しい資格になります。
1級や2級といった難易度の等級はなく、管理職の役割や心構え、マネジメントの3本柱「人と組織のマネジメント」「業務マネジメント」「リスクマネジメント」を網羅した内容になっています。
検定試験は年2回実施され、2時間の試験で70%以上の得点率を満たせば合格となります。受験資格はないため、比較的取り組みやすい資格です。
ビジネスマネジャー検定
メンタルヘルス・マネジメント検定
メンタルヘルス・マネジメント検定は大阪商工会議所が主催する、産業精神保健に関する資格試験です。近年は企業に対しても、従業員のメンタルヘルスに関する取り組みが求められています。専門家のような高度な知識はなくとも、部下のメンタルケアはマネジメントにおいても非常に重要な要素です。
メンタルヘルス・マネジメント検定では、精神疾患の予防に向けたメンタルヘルスに関する基礎的知識や、外部の専門家との連携に必要となる知識を学びます。コースは次の3つのコースです。
Ⅰ種(マスターコース):対象は経営幹部や人事労務管理スタッフです。自社の人事戦略や方針を踏まえたうえで、メンタルヘルスケア計画、産業保健スタッフや他の専門機関との連携、従業員への教育・研修等に関する企画・立案・実施できることを目指します。
Ⅱ種(ラインケアコース):対象は管理監督者(管理職)です。部下が不調に陥らないよう普段から配慮するとともに、部下に不調が見受けられた場合には安全配慮義務に則った対応を行えることを目指します。
Ⅲ種(セルフケアコース):対象は一般社員です。自らのストレスの状況・状態を把握することにより不調に早期に気づき、自らケアを行い、必要であれば助けを求めることを目指します。
マネジメントに活かすためにも、Ⅰ種やⅡ種の取得を目指して勉強しましょう。
メンタルヘルス・マネジメント検定
ビジネス・キャリア検定
ビジネス・キャリア検定は、職務を遂行する上で必要となる知識の習得と実務能力の評価を目的とした資格試験で、中央職業能力開発協会が実施しています。
試験分野は「人事・人材開発・労務管理」「経理・財務管理」「営業・マーケティング」「生産管理」「企業法務・総務」「ロジスティクス」「経営情報システム」「経営戦略」の8種類。それぞれ「BASIC級」「3級」「2級」「1級」と等級が分かれています。
それぞれの職務に必要な専門知識を問うだけでなく、実用に応用できるかという視点から試験が実施されています。自分の職種や能力に合った受験ができる点が、この資格のメリットといえるでしょう。
ビジネス・キャリア検定
マーケティング・ビジネス実務検定
マーケティング・ビジネス実務検定は、国際実務マーケティング協会が実施する資格試験です。幅広いマーケティング知識を客観的に測る初めての検定試験として、2005年からスタートしました。各級の内容は次の通りです。
A級:マーケティング・戦略、マーケティング・マネジメントレベル(戦略立案、意思決定や管理、判断業務ができる)
B級:マーケティング・オペレーション応用レベル(業務の運営ができる)
C級:マーケティング・オペレーション基礎レベル(定型業務ができる)
マネジメントに役立てるのであれば、A級の資格取得を目指しましょう。マーケティングは企業活動における重要なファクターなので、直接マーケティングに関わっていない場合でも学ぶ意義はありますよ。
マーケティング・ビジネス実務検定
公認モチベーション・マネジャー
公認モチベーション・マネジャーは、東京未来大学と株式会社リンクアンドモチベーションが共同開発したビジネス資格です。試験は「Basic資格」と「Advanced資格」の2種類あり、それぞれのレベルは次の通りになります。
Basic資格:自分の仕事を意味付けして、モチベーションをセルフコントロールする
Advanced資格:他者のモチベーションをマネジメントする、理論に基づく実践スキルを高める
Basic資格はテキストを購入して自己学習したのちに受験できますが、Advanced資格は5時間の対面講座または2時間半のオンライン講座を2回受講し試験に挑みます。
マネジメント業務において、部下とコミュニケーションをとりながらモチベーションを管理することは非常に大切な要素なので、ぜひチャレンジしてみてください。
公認モチベーション・マネジャー
会計・経営に関する資格6選
会計や経営に関する資格も、マネジメントに役立ちます。なぜならマネジメントは、企業のあらゆる経営リソースに関わる業務だからです。
非常に難易度の高い資格もありますが、知識を持っていて損はありません。勉強時間を無理なく確保できるのであれば、ぜひチャレンジしてみましょう。
今回ご紹介するのは、次の6つの資格です。
・MBA
・中小企業診断士
・税理士
・社会保険労務士
・日商簿記検定
・ビジネス会計検定
ひとつずつ詳細を解説します。
MBA
MBAとは「Master of Business Administration」の略で、経営学の大学院修士課程を修了した人に与えられる学位です。日本語では経営学修士号、または経営管理修士号と呼ばれ、厳密にいうと資格ではありません。MBAを取得するには最短で1年、日本やアメリカだと2年が標準的な期間になります。
アメリカでは上場企業の部長クラスの6割ほどがMBA以上の学位を取得しているともいわれていて、実質的には管理職のためのパスポートのようになっています。MBAでは、法務、人事、流通など企業経営全般に関する知識を幅広く学べるのが特徴です。 本来であれば、起業家や企業のマネージャー、リーダーなどが何十年にもわたって積み上げる知識を短期間で取得できるのは、最大のメリットといえるでしょう。
中小企業診断士
中小企業診断士は、中小業の経営課題を診断して助言をする経営コンサルタントの専門家です。資格を取得するには組織運営だけでなく財務や会計、人事、法務など、中小企業の経営に関するあらゆる知識を網羅しなければなりません。
合格に必要な勉強時間の目安は1,200時間で、合格率は平均20%前後になります。取得が困難なので多くの人は予備校に通って学びますが、役員への昇進や将来的な独立にも役立つ資格です。
中小企業診断士
税理士
税理士は、法人税、所得税、相続税などの申告を代行したり税務に関する相談を受けたりする仕事です。企業の経営を知るうえで、税金の知識は欠かせません。財務諸表を読み解く力が身につけば、経営に関する分析力が鍛えられるのです。
税理士試験の毎年の合格率は20%以下であることが多く、勉強時間の目安は3,000時間なので、長期的スパンで合格を目指す必要があります。
税理士
社会保険労務士
社会保険労務士(社労士)とは、社会保険に関する業務のほか、労務・人事管理のエキスパートとして相談や指導などのコンサルティングをする仕事です。社会保険労務士の勉強をすると、経営資源を構成する4つ要素「ヒト・モノ・カネ・情報」のうち「ヒト」の部分に関する専門的な知識が身につけられます。
国家試験の中でもかなり難易度が高い試験で、毎年の合格率は6~7%程度です。合格に必要な勉強時間は1,000時間で、標準的な勉強時間は1年といわれています。
社会保険労務士
日商簿記検定
日商簿記検定は、企業の経理事務に必要な会計知識などを認定する資格試験で、日本商工会議所および各地の紹介会議所が実施しています。
初級:簿記の基本用語や複式簿記の仕組みを理解し、業務に利活用することができるレベルです。
3級:零細企業における経理担当者・経理補助者として必要な、商業簿記に関する初歩的な知識を有しているレベルです。
2級:高度な商業簿記・工業簿記を修得し、財務諸表の数字から経営状況を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえた適切な処理・分析を実施できるレベルです。
1級:非常に高度な商業簿記、会計学、工業簿記、原価計算を修得し、会社法や会計基準、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえたうえで、経営管理や経営分析を実施できるレベルです。1級にすると税理士試験の受験資格が得られます。公認会計士や税理士といった国家資格への登竜門ともいえるレベルになります。
マネジメントに活かすのであれば、財務諸表を読む力が身につく2級以上を目指しましょう。
日商簿記検定
ビジネス会計検定
財務諸表を読み解く力「会計リテラシー」の向上を目的として、大阪商工会議所が実施している資格試験です。簿記検定が会計の基準に沿って正確な財務諸表を作成する能力が問われるのに対して、ビジネス会計検定では財務諸表を正確に読み解いて分析する能力が問われます。試験は次の3つのレベルに分かれています。
3級:一般企業の社員や学生の受験を想定しています。会計用語や財務諸表の構造・読み方・分析など、財務諸表を理解するための基礎的な力を身につけることが目的です。
2級:一般企業の管理職、経営者、経理担当者などの受験を想定しています。企業の経営戦略や事業戦略の理解のために、財務諸表を分析する力を身につけることが目的です。
1級:経理財務管理職や財務担当役員などの受験を想定しています。企業の成長性や課題、経営方針、戦略などを理解・判断するために、財務諸表を含めた会計情報を総合的かつ詳細に分析して企業評価できる力を身につけることが目的です。
希望のレベルから受験可能で、連続する2つの級を同日に受験することもできるため、マネジメントに役立つ2級以上を目指してチャレンジしてみましょう。
ビジネス会計検定
まとめ
マネジメント業務は、非常に多岐にわたるスキルが求められます。そのため、日々自己研鑽を積みながら知識を取り入れたりアップデートしたりしなければなりません。資格取得を目標にすれば、勉強のモチベーションが維持できて生活に張り合いが出てきますよ。
今回ご紹介したもの以外にもさまざまな資格があるので、自分に合ったものにチャレンジしてみましょう。
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