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マーケティングマイオピアに陥る背景と事例検証!避けるための考え方 マーケティングマイオピアとは「近視眼的マーケティング」と呼ばれることからわかるように、企業が目の前の事象にばかり目がいき、大局的に見ることができず、自社のポテンシャルを理解しない状況を指します。 今回の記事では、マーケティングマイオピアに陥る背景を紐解き、日米の事例を比較検証した上で、陥らないための考え方をご紹介します。法人営業担当者のみなさんが押さえておくと、営業アプローチを掛ける際のよい切り口となるでしょう。

マーケティングマイオピアとは?

マーケティングマイオピアに陥る背景と事例検証!避けるための考え方 マーケティングにおける視野が狭く、思わしい展開ができなくなっている状態がマーケティングマイオピアです。マイオピア(Myopia)は、先見性や大局観に欠けていることを指します。 1960年にセオドア・レビット教授(ハーバード大学)が自身の論文にて提唱した考え方です。半世紀以上前の論文ですが色褪せておらず、現在のマーケティングに当てはまる事が多く、大いに参考になる考え方です。

マーケティングマイオピアに陥る背景

企業がマーケティングマイオピアに陥る場合には、おおむね以下のような背景があります。 ・売上拡大に固執し、顧客との関係をないがしろにしている ・顧客ニーズを深く理解せず、製品起点の発想になっている ・量産体制によるコスト削減に執心している ・市場環境が変化していても危機感が薄く、自社の変化を考えない このように、自社のありのままの姿が見えていない状態が、マーケティングマイオピアに陥る背景となっています。

マーケティングマイオピアに陥らせる4つの誤解

マーケティングマイオピアに陥る背景と事例検証!避けるための考え方 前述のようなマーケティングマイオピアに陥る背景を生み出しているものは、以下に示す経営者や経営陣の「誤解」といえるでしょう。 【誤解1:マーケットが拡大している】 現在の日本は少子化で人口は減少傾向ですが、レビット教授が論文を発表した1960年代も、また現在も世界的に見ると人口増加は続いています。 そのため業績が安定している企業は、人口増加に比例してマーケットが拡大する前提で戦略を組み立てている場合も少なくありません。 しかし、人口の推移と特定の商材の市場規模は必ずしも比例しません。 新たな技術革新によってパラダイムシフト(枠組みの変化)が起これば、かつての市場規模が激変し、業界地図が塗り替えられる可能性は、いつでもあります。 【誤解2:自社商材を凌ぐものはない】 市場において、独占的または寡占的なシェアを誇る企業も少なくありません。成長市場であれば、大小の企業が参入してきますが、自社のシェアの圧倒ぶりから、自社商材を凌ぐものはないと過信することがあります。 しかし、今回のコロナ禍がそうであるように、社会の大きな変化でライフスタイルや価値観が激変したり、革命的な競合品が開発されたりして、シェアが大きく変化することもあるでしょう。 【誤解3:スケールメリットは圧倒的に有利である】 成長企業は、規模の経済と呼ばれるスケールメリットを享受できます。 しかし、参入間もない企業にはスケールメリットがありません。 そのため、非常に優秀なベンチャーやスタートアップなどの新規参入を競合とはみなさず、ノーマークだったために出し抜かれる場合があります。 【誤解4:商材改善こそ最善の戦略である】 商材のスペックを改善すること自体は、決して悪いことではありません。しかし改善が手段ではなく目的化してしまい、顧客が欲しているものから知らず知らず遠ざかって、気づけば顧客が他の商材にどんどん乗り換えていく状況になってしまう場合があります。

マーケティングマイオピアの日米事例比較

自社や業界の事業をどう捉えているか、マーケティングマイオピアに陥っているかどうかで、その後のビジネスの明暗は大きく分かれてしまいます。 マーケティングマイオピアを具体的に理解するために、日米で起こった事例を比較してご紹介します。今回は、鉄道業界と映画業界について、日本とアメリカでどのようなことが起こったかをそれぞれ見ていきましょう。

日米の鉄道業界

アメリカの鉄道業界は、モータリゼーションの進展や航空機による新しい移動インフラの整備によって、1960年代に大きく衰退しました。 レビット教授は鉄道業界が衰退したのは、マーケティングマイオピアに陥っていたからであるという分析を論文で展開しています。要約すれば、鉄道業界は「鉄道事業」という限定されたビジネスの枠の中でしか、手を打てなかったということです。 顧客ニーズの本質が「鉄道の利用」ではなく「長距離の移動」であることを理解していれば、輸送事業という大きな発想のもとで手を打ち、衰退を免れた可能性があります。 日本の鉄道業界は、草創期から鉄道だけに固執せずに沿線開発に取り組みました。駅周辺の不動産投資・駅前の百貨店を含む施設開発、バス事業、タクシー事業、観光事業などの関連するビジネスに積極的に進出したので、発展を遂げたのです。

日米の映画業界

レビット教授は1960年代のアメリカの映画業界も、マーケティングマイオピアの例に上げています。家庭にテレビが普及したことで、映画館に足を運ぶ人が激減して映画館の多くが閉館しました。 映画業界はこのとき、映画事業という限定された世界で苦戦しました。テレビを脅威とみなし、テレビに俳優を出演させないなどのネガティブな妨害工作を展開し、顧客の取り合いを行ったのです。 顧客視点からすれば、映画もテレビも「エンターテイメント」です。 映画業界が映画に固執せずに「エンターテイメント業界」と再定義していれば、映画作りのノウハウを活かしたテレビ向けの番組制作部門を設置したり、人気テレビ番組の映画化を請負ったりするなど、新たな市場を創造できたかもしれません。 日本の映画界もテレビの普及で斜陽化したのは同じです。倒産した映画関連企業もたくさんあります。その中で、東映が「映画館で上映しない」ビデオレンタルを主軸とするVシネマを1990年代から発展させたのは、特筆に値します。 今ではVシネマを珍しく思う人はいませんが、当時は劇場公開しない新作映画には拒否感を持つ映画関係者(俳優を含む)が多く見られました。 その反対を押し切り、その後のVシネマ発展につなげたのは、マーケティングマイオピアに陥らない英断だったといえるでしょう。

マーケティングマイオピアに陥らないための考え方

マーケティングマイオピアに陥る背景と事例検証!避けるための考え方 マーケティングマイオピアに陥らないための考え方としては、以下の2つを意識することで効果があります。 ・前例や成功体験へのこだわりを断つ ・マーケットインをベースにする それぞれを見ていきましょう。

前例や成功体験へのこだわりを断つ

マーケティングマイオピに陥る誤解1「マーケットが拡大している」2「自社商材を凌ぐものはない」3「スケールメリットは圧倒的に有利である」に囚われている経営者は、前例のないアイデアに否定的になり、成功体験に固執してしまう傾向があります。 前述のアメリカの鉄道業界や映画業界の例で見るように、マーケティングマイオピアに陥った根本原因は、自らのビジネスの領域を自ら狭く捉えすぎていたことに尽きます。 その結果、新たな技術やサービスが受け入れられず、顧客のニーズの変化に対応できなくなってしまいました。 そういう事態を避けるために、経営者は自社のビジネスのポテンシャルをさまざまな視点から見出し、顧客をよく理解し、時代の変化に柔軟に対応しなければなりません。

マーケットインをベースにする

マーケティングマイオピアに陥る誤解4「商材改善こそ最善の戦略である」に囚われている経営者は、すでに時代遅れの考え方としてしばしば指摘されるプロダクトアウト(生産者の論理)をベースとしています。 そうではなくマーケットイン(顧客視点を重視した論理)をベースにして、ビジネス戦略を考えることで、マーケティングに陥ることが避けられます。 高度な情報化社会となった現代では、企業は顧客接点が増えており、双方向のコミュニケーションが可能になっています。企業の思考が顧客中心であるなら、顧客ニーズを引き出すことができる環境に恵まれているといえるでしょう。

マーケティングを担当する際の注意点

マーケティング担当者は、一説によればマーケティングマイオピアにかかりやすいといわれています。 なぜなら自社商材の良さをよく理解し、自社商材を愛するあまり商材起点でマーケティングを考えてしまうことがあるからです。 マーケティングの本質は、商材を市場に送り出すことだけを考えずに、ユーザーの購買意欲を刺激して、購入したいと思ってもらう活動そのものです。 また、収益が充分に上がっている有望な市場であればあるほど、マーケティングマイオピアに陥らないよう注意が必要です。 企業や市場が成長しているときには、さらに利益を得るために効率アップや生産性向上、販路拡大など、ポジティブなアクションに向かいます。そういうときこそ、顧客視点がおろそかになる瞬間です。 成長には必ず衰退のリスクが伴っています。マーケティング担当者のみなさんは、どこまでいっても商材起点の発想にならないように注意を払い、マーケティングマイオピアに陥らないようにしてください。

まとめ

マーケティングマイオピアは、どのような時代でも陥るリスクがあります。デジタルマーケティングの要素が強い現代のマーケティング戦略においては、マーケティングマイオピアに陥ることは致命的となりかねません。 経営者、経営陣、そしてマーケティング担当者のみなさんは、マーケティングマイオピアに知らない間に陥ることのないように、ここで紹介した情報を参考に先見性があるビジネスを進めてください。 なお、マーケメディアではマーケティング担当者の資料・情報収集をサポートしており、Webマーケティング用のお役立ち資料がダウンロードできます。 マーケメディアでマーケティング資料をダウンロードする また、法人データベースBIZMAPSでは、170万件以上の法人情報から効率よく見込み客リストが作成できます。毎月100社まで無料ダウンロードできるので、検索条件を上手に組み合わせて、目指すターゲット企業の検索が可能です。 BIZMAPSで企業を探す マーケティングに関する特集記事はこちらです。 マーケティングでの戦略的なポジショニング方法と成功事例集 ホワイトペーパーのマーケティングでの活用法とは?DLサイト紹介も! 「リード」について徹底解説!営業とマーケティングにおける意味の違いとは? マーケティングとプレゼンの意外な関係?プレゼンが上手くなる6つのポイント ペルソナとは?マーケティングにおける役割や設定方法を徹底解説! マーケティング手法11種類!重要性と手順を解説します!

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