えむら若奈 0 Comments
マーケティング理論とは?抑えておきたい代表的な理論をご紹介! 自社の商品・サービスで効果的に売上を上げるためには、マーケティングが欠かせません。しかしマーケティングにはさまざまな理論があるのをご存知でしょうか。 マーケティングを学ぶには、まずマーケティング理論を知っておくことが大切です。今回はマーケティング理論についての解説と、おさえておきたいマーケティング理論の種類についてご紹介します。ぜひ参考にしてください。

なぜマーケティングが重要なのか

マーケティング理論について触れる前に、なぜマーケティングが必要なのか、その重要性について確認しましょう。 そもそもマーケティングとは、企業が自社の製品・サービスをプロモーションする上で関わる、すべての市場活動を指します。消費者ニーズの分析、市場調査や競合他社との比較、商品開発、販売経路検討、販促活動など、すべてがマーケティングに含まれるのです。 インターネットやSNSが普及した現代においては、消費者にただ商品を提供するだけでは売り上げ目標を達成するのは難しくなりました。ニーズを的確に捉え、必要なタイミングで商品を提供できるようにするためには、適切なマーケティング活動が重要になるというわけです。

マーケティング理論とは?

上記で述べたように、マーケティングとは、売れるための仕組みをつくるプロセスです。マーケティング理論とは、このプロセスに関する理論を言います。 業界や企業によって、マーケティングの手法や考え方は異なります。また時代の変遷によっても変わってきたため、それぞれの特性を理解した上でマーケティング理論やフレームワークを導入しなければなりません。 なおマーケティングのフレームワークについては、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。 マーケティングのフレームワークとは?役立つ具体例もご紹介! ここからは、知っておきたいマーケティング理論についてご紹介していきます。

イノベーター理論

スタンフォード大学のエベレット・M・ロジャーズ教授が1962年に提唱したマーケティング理論です。イノベーター理論では、消費者を次の5つに分類しています。それぞれ価値観が異なっているため、その特性をよく理解してマーケティング戦略を検討することが望ましいと考えられています。 ラガード(遅滞者) 市場占有率16%。最も保守的な消費者で、新商品や新サービスなどに関心を持たない層です。 レイトマジョリティ(後期追随者) 市場占有率34%。新しいものに懐疑的な反応を見せる消費者で、周りの大多数が受け入れたことを確認して行動を決定する傾向があります。 アーリーマジョリティ(前期追随者) 市場占有率34%。流行に乗り遅れることを恐れているため高い情報感度を持っているものの、新たな製品などの導入に関しては慎重な姿勢をとっている層です。 アーリーアダプター(初期採用者) 市場占有率13.5%。トレンドに敏感で積極的に情報収集をして購買決定します。他の層に対する影響力が大きく、流行の発信源となる層です。 イノベーター(革新者) 市場占有率2.5%。最も早く新製品などを購入する層で、製品の細かい価値やメリットにはあまり興味を示さず、目新しさを重視する傾向にあります。

キャズム理論

マーケティング理論とは?抑えておきたい代表的な理論をご紹介! キャズム理論は、アメリカのマーケティング・コンサルタントのジェフリー・ムーア氏が提唱したマーケティング理論です。ノベーター理論におけるイノベーターとアーリーアダプターを「初期市場」、アーリーマジョリティからラガードまでを「メインストリーム市場」として、これらの間に「キャズム」と呼ばれる大きな溝があることを説いています。 キャズムは、言い換えると市場に製品を普及させるために超えるべき障害です。初期市場とメインストリーム市場では消費者の価値観が異なるため、キャズムが生じると考えられています。その価値観の違いとは、製品・サービスを導入する際に「新しさ」を重視するかどうかです。 このキャズムを超えるためには、次のポイントが重要になります。 ・アーリーマジョリティにアプローチする ・ユーザーの使いやすさを重視する ・狭い市場で確実なシェアをとる まず、アーリーマジョリティは初期市場からメインストリーム市場に至るまでの第一段階になります。そのため、アーリーマジョリティに商品やサービスを普及させることが、キャズムを超えるポイントになるのです。 そして初期市場とメインストリーム市場の転換期には、製品の価値として「安心感」が重視されるようになります。そのため使いやすさ(ユーザビリティ)を重視して向上させていくと、その商品やサービスに対する安心感を消費者に与えられます。 さらにマーケティングの方法として、市場を狭く見て、その中で確実なシェアをとっていくことも重要になります。狭い市場でシェアが獲得できたら、また同じように市場を狭めて隣の市場に乗り込むといったことを繰り返すのです。狭い市場をひとつひとつクリアしていくことが、キャズムを乗り越えて売上をアップさせるきっかけになるでしょう。

サイバネティクス理論

サイバネティクス理論は、マサチューセッツ工科大学のノーバート・ウィナー博士によって提唱されたマーケティングに役立つ理論です。通信工学と制御工学を融合して発展させたもので、博士が毎年生まれた故郷に帰る渡り鳥を見て閃いたとされています。 博士は、天候や気圧、風向きなど毎回異なるはずなのに、なぜ渡り鳥が毎回正確に目的地へと辿り着くのかと疑問を持ちました。そして「途中で何度も軌道修正しながら飛んでいるのではないか」という仮説を立てます。そこで新たに生まれたのが「どのような情報に基づいて軌道修正をしているのか?」という疑問です。 この疑問を深く考察して、星や山といった周辺環境と通信しながら制御しているのでは?という説をまとめ、1947年に「通信と制御」という論文を発表しました。この論文の中で体系化したのが「サイバネティクス理論」なのです。 この理論は航空宇宙産業やコンピューターテクノロジーに影響を与え、「結果を何度もフィードバックしながら軌道修正していけば目的地に辿り着ける」という考え方がマーケティングにも生かされるようになったのです。

サイコ・サイバネティクス理論

サイコ・サイバネティクス理論は、前述のサイバネティクス理論をもとに、アメリカの形成外科医で臨床心理学者のマックスウェル・マルツ氏が提唱したマーケティングに役立つ理論です。 渡り鳥だけでなく人間の内面にも、軌道修正を繰り返し本来の目的地に近づく機能が備わっているのではないか、という理論になります。つまり、目標を設定すると無意識のうちに軌道修正をしながら目標達成に向けて行動するというわけです。 これを応用しているのが、マルチレベルマーケティングです。マルチレベルマーケティングとは正式には「連鎖販売取引」と言われていて、商品の購入者を販売員として、その販売員がさらに別の人に商品を売って販売員を増やすビジネスモデルになります。 サイコ・サイバネティクス理論とサイコ・セラピーを融合した「自己啓発セミナー」が登場し、そのセミナーと訪問販売が結びついたのがマルチレベルマーケティングなのです。

ゲーム理論

ゲーム理論とは、2人以上のプレイヤーの意思決定と行動を分析した理論です。もともとは数学の理論で、自分の失点を極力少なくしつつ得点を高く保つための考え方になります。 ここでは、ゲーム理論の代表的なモデル「囚人のジレンマ」についてご紹介します。 罪を犯し逮捕された2名の容疑者がいて、それぞれ別室で尋問を受けることになりました。2名の容疑者に与えられた選択肢は「自白する」「自白しない」の2択です。そして自白の状況によって、懲役刑の長さが次のように変わることとします。 ・1人が自白、もう一方が自白しない場合:自白した方は無罪、自白しない方は懲役10年 ・2人とも自白しない場合:懲役2年 ・2人とも自白した場合:懲役5年 この状況で最もメリットがあるのは「自分が自白して相手は自白しない」ことになります。しかし相手の状況は見えないため、もしかすると2人とも自白するという結果になるかもしれません。この場合、お互いに懲役5年になるリスクがあります。そしてどちらも自白しなかった場合は、どちらも懲役2年です。 自分にとって最もメリットがある選択をした結果、協力したときよりも悪い結果を招いてしまうことを「囚人のジレンマ」と言います。 ビジネスにおいては「2人とも自白せずどちらも懲役2年」という、双方がWin-Winの関係になることが重要というわけです。

パレート最適とナッシュ均衡

また囚人のジレンマをさらに深く理解するには「パレート最適」と「ナッシュ均衡」についても知っておく必要があります。 パレート最適とは、お互いに不利益になる状況を避けて、全体の利益が最大化されている状態のことです。つまり最大限の利益を出すためには、犠牲も必要だということになります。囚人のジレンマの場合は「2人とも自白せずどちらも懲役2年」という状態がパレート最適と言えるでしょう。 ナッシュ均衡は、それぞれが自分にとって最適な選択をして自分の選択を変えると利益が得られない状態、つまり互いに現状から変わる必要のない安定した状態であることを言います。パレート最適の場合はお互いが自白をしないことが最適な状況ですが、もしも相手が裏切り自白した場合、自分が懲役10年という最大のリスクを負うことになります。 このリスクを回避するためには自白するしかなく、この選択を変更する必要性はありません。囚人のジレンマにおけるナッシュ均衡は「2人とも自白して懲役5年」になるというわけです。 全体の利益を優先するか、個々の利益を優先するかで取るべき選択肢は異なります。この矛盾を表現したのが囚人のジレンマなのです。

ハフ理論

ハフ理論はカリフォルニア大学のデービット・ハフ博士が提唱した流通業の売上予測に使えるスタンダードモデルで、都市再開発に使用されることが多いマーケティング理論です。消費者が商業施設に出かける確率を、居住地からの距離と店舗の面積から割り出すものになります。 ハフ理論では、周囲の他の店舗に比べて店舗の面積が広ければ広いほど確率は高くなり、他の店舗に比べて店舗への距離が遠ければ遠いほど確率は低くなるという考え方です。しかし店舗面積が広ければいいわけでもなく、品ぞろえが悪ければ客足が伸び悩む可能性はあります。また求める商品の品ぞろえがよければ、多少遠くの店舗へと足を伸ばす人もいるでしょう。 このようなハフ理論の問題点をカバーするために、1980年に日本の通産省(現在の経済産業省)が取り入れたのが「修正ハフモデル」です。出店審査の基準として、ハフモデルの計算に使っていた「店舗の面積」と「店舗までの距離」のほか、ブランド力や営業時間といったさまざまな要素を取り入れました。 この修正ハフモデルによって、それまでより多角的な視点で店舗への吸引率を割り出せるようになったのです。

ジョブ理論

ジョブ理論は、アメリカの実業家クレイトン・クリステンセン氏が発表したマーケティング理論です。簡単に言うと、人がどのような商品を購入して、どのような商品を買わないのかを説明した理論になります。 ジョブ理論における「ジョブ」とは「特定のシチュエーションにおいて人(顧客)が成し遂げたい進歩」のことです。そのジョブを進める手段として、特定の商品・サービスを消費することを「雇用」としています。 そして、ジョブは顧客が商品やサービスを購入するかの判断材料で、顧客の置かれた状況により、雇う製品は左右されるというのがジョブ理論の考え方になります。つまりジョブを理解することで顧客の本質的なニーズが把握でき、ニーズのズレが解消できるというわけです。

そのほかの理論・フレームワーク

マーケティング理論とは?抑えておきたい代表的な理論をご紹介! 上記でご紹介した以外にも、マーケティングの分析の際に役立つ理論やフレームワークがあります。代表的なものは次の通りです。 STP分析 Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字を取ったマーケティング理論です。顧客層を属性別に細分化して自社の立ち位置を確認する手法になります。 3C分析 Customer(市場や顧客層)、Competitor(競合他社)、Company(自社)の頭文字を取ったマーケティング理論です。市場、競合他社などの外部環境と内部環境である自社を分析する手法になります。 4C分析 Customer Value(価値)、Cost(コスト)、Convenience(利便性)、Communication(コミュニケーション)の頭文字を取ったマーケティング理論です。マーケティング活動を顧客目線でとらえた手法になります。 分析に関するフレームワークはこちらの記事で解説していますので、参考にしてください。 営業戦略はフレームワークから組み立てるとうまくいく! 営業成績向上はデータ分析方法から!基本分析とフレームワークを解説

まとめ

ご紹介したように、マーケティングに関する理論にはさまざまなものがあります。もともとは別分野の理論をマーケティングに活かしているケースがあるのは、マーケティングには幅広い視野が必要なためでしょう。今回ご紹介した理論で自社に適していそうなものがあれば、ぜひ参考にしてみてください。 日本最大級の法人データベースBIZMAPSでは、170万件以上の法人情報から見込み客リストが作成できます。毎月100社まで無料ダウンロードできるので、ぜひ無料会員登録をしてご利用ください。 マーケティングに関するそのほかの記事はこちら↓ マーケティングコンセプトとは何か?その概要および歴史と変遷も解説 マーケティングでの戦略的なポジショニング方法と成功事例集 ペルソナとは?マーケティングにおける役割や設定方法を徹底解説! マーケティング手法11種類!重要性と手順を解説します! 営業成績向上はデータ分析方法から!基本分析とフレームワークを解説 マーケティングコミュニケーションとは?目的と重視される理由を解説

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